経済学部:定藤 博子

 河内天美駅から東へ3分程度のところに玄三天美店はある。下町情緒を感じる店構え、常連さんしか来ないのでは、と少し怖気づいてしまう。一緒に行ったのはカナダからの留学生マークさん。彼は、大阪で外食をすることも多いらしく、「ここ、良いんじゃない?あんまり慣れてない?」と言われつつ、グルメ散歩取材先として、玄三天美店が決まった。
 お店の外観には、「下町情緒」という言葉が浮かぶ。
 「カナダには下町ってありますか?」「下町って何?」「なんだろう・・・庶民的で人情味がある、みたいなエリア。フランスにはないってフランス人が言ってましたね」「うーん。。。最近だとキッチンカーがあったりします。あと、カナダの中華料理店は少し古びてる方が美味しかったりします。」「あ、日本もそうかもね。『町中華』と言いますよ。」「あとは、カナダでもインスタ映えばかりを狙った新しい店は美味しくない。」「あ~、日本もそうかもね。」
 そんな話をしつつ見ていた玄三天美店は2022年5月オープンの新しいけど昔からある人情の温かみを感じる肉丼と定食の店。
 お店の扉を開けると、「今、混んでるので、お待たせしてしまうけど、いいですか?」と店主の女性から声がかかる。「大丈夫です」と言い、カウンターに座った。
 メニューを開くと、おいしそうでボリューム感のあるどんぶりと定食、それぞれのメニューにこだわりの一言が並ぶ。私は名物ハラミ丼、マークさんはローストビーフ丼をお味噌汁のセットで注文した。
 待っている間に、新しいお客さんが来た。年配の男性のようだった。「いつものできる?」「持って帰るの?一人分?」「おかあちゃんが悪いから出歩かれへんねん。僕はここで食うて帰るから」「待たせるけどかまへん?」「かまへんかまへん」常連さんのようだった。
 待っている間に壁をみると、店主である「お母さん」に向けたお子さんからの手紙が飾られていた。「お母さん」への感謝とまた手伝うねというメッセージが書かれていて、和む。
 運ばれてきたハラミ丼は、お肉たっぷりでしっかりした味付けがご飯とあう。セルフのお味噌汁を挟みつつ、食が進む。マークさんのローストビーフ丼には生卵が乗っていて、色合いも美味しそうだったが、うっかり写真を撮り忘れてしまった。「ご飯の感想を言うのは苦手だけど、おいしい。」「食レポって難しいですよね。」と言いつつ、温かいご飯を堪能した。
 「ごちそうさまでした。あのぅ・・・阪南大学の『グルメ散歩』に載せてもよろしいでしょうか?」と、伺うと、ご快諾いただいた。
 メニューにはおでんもあり、魅力的だった。次回はおでんを頼もうと思う。
 初めてでも、一人でも、気兼ねなく入れて、おいしいご飯と店主の優しさを感じる。そんな玄三天美店だった。



店名;玄三 天美店
住所:大阪府松原市天美東7-64 大東ビル 1F
TEL:072-333-1857
営業時間:月火11:00~14:00、17:20~20:30
     水 11:00~14:00
     木 11:00~14:30、17:20~20:30
     金 11:00~14:30、17:00~21:30
定休日:日祝日、水曜の夜

 

グルメ散歩とは?

「おいしい」は、経済の入り口。

経済学部の教授が学生とともに取り組む「グルメ散歩」は、地域の個人店を実際に訪れ、料理や店の雰囲気をレポートしながら、地域経済の仕組みを体感的に学ぶプロジェクトです。
学生が普段足を運ばないような店に出向き、街の人と出会い、消費が生まれる。その一つひとつが、地域を動かす力になることを、現場から伝えていきます。
本企画では、単なるグルメ紹介にとどまらず、「なぜこの店が地域で続いてきたのか」「人が集まる理由は何か」といった問いを立てながら、学びと実践を往復することを大切にしています。

これまでに訪れたお店やレポートは、以下のアーカイブからご覧いただけます。
気になる一軒や、思わず足を運びたくなる一皿が見つかるかもしれません。
本企画のこれまでの取り組みを、ぜひご覧ください。