学長・学部長・研究科長から2019年度卒業生の皆さんへメッセージ

2019年度卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
周知のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大状況に鑑み、令和2年3月18日の卒業証書・学位記授与式および大学院学位記授与式、卒業懇親会を開催中止といたしました。
本来でしたら、卒業生のみなさんの門出を教職員一同、キャンパスでお祝いさせていただく予定でしたが、ホームページにて学長、学部長、研究科長から卒業生のみなさんへメッセージを掲載することにしました。
このような形でのお祝いの言葉をお伝えすることは、大変心苦しくはありますが、ぜひご一読いただけましたら幸いです。

卒業生の皆さん、ならびに保護者の皆様、ご卒業、誠におめでとうございます。

学長メッセージ

阪南大学長 田上博司

 阪南大学での学びを終え、卒業・修了を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。また、卒業生・修了生の皆さんを、これまで長い間物心両面において支え続けてこられたご家族の皆様、本当にお疲れ様でした。阪南大学教職員一同、心よりお祝い申し上げます。
 皆さんにとって大学生活の四年間、あるいは大学院での二年間は、思い返せば本当にあっと言う間だったのではないかと推察いたします。しかし、皆さんが阪南大学で過ごした時間には、この先、決して得ることのできない数々の経験が詰まっています。多くの同窓生が言っておられるように、これからの長い人生の中でその重みをきっと実感される時が来ると思います。

 現在、我が国のみならず世界中の国々が大きな災難に見舞われています。新型コロナウィルスの脅威が、私たちの社会・経済・生活に巨大な影を落としていることは既に皆さんご承知のことでしょう。本学においても、卒業式という、皆さんにとっても、私たち教職員にとっても最重要なイベントを中止せざるを得ない状況になってしまったことは残念でなりません。

 しかしながら、このような時だからこそ、大学で学んだことがさらに大きな意味を持ってくるのかもしれません。今世界中はコロナウィルスの脅威を目の前にして、これまで考えてもいなかったこと、思いつきもしなかったことを考えなければならない状況にあります。コロナウィルスの影響はいずれ終息すると思われますが、そこからの経済・社会の回復、あるいは他国との信頼関係の修復、さらにはこの先に予想されるAI共存時代への対応など、今後の社会に課せられた課題は決して少なくありません。そして、これらを解決していくのは他ならぬ皆さんなのです。

 皆さんにはこれから先、実社会において様々な出来事に答を出さなければならない場面が訪れるだろうと思います。もし、答に迷ったりつまずいたりしたときには、また阪南大学を訪ねてください。その時のために、私たちは皆さんに対して、いつも阪南大学の扉を開けておきたいと思います。

 皆さんの前途が輝かしい未来であることを祈念して、私のお祝いの言葉とさせていただきます。
 ご卒業本当におめでとうございます。

流通学部長メッセージ

流通学部長 新谷雅美

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
残念ながら卒業式は中止となってしまい、皆さんの晴れ姿を見ることはできませんでしたが、ゼミ大会などの流通学部での様々なイベントで皆さんの一所懸命頑張っている姿が思い出されます。
さて、大学ではいろいろなことを学んだことだと思います。これで勉強しなくていいと思っている人もいるかもしれません。しかし、これまで学んだことだけで今後の長い人生を乗り切れるほど現代社会は甘くないのです。
大学での学修は単なる知識の修得が目的ではありません。講義科目では知識を得ることが重要ですが、ゼミはそうではなかったことでしょう。グループで作業を行い、他人の前で発表するといった活動は、思考力・判断力・表現力などの能力を養い、また、主体的に取り組む態度を身につけることにつながったのではないかと思います。これらの能力・態度は、将来に何らかの困難に直面したときには、道を切り開いてくれる武器になるでしょう。皆さんが未知の問題に立ち向かうことのできる社会人になることを願い、我々教員は教育を行ってきました。
大人になっても学び続ける姿勢を持ち続けてください。そして皆さんが大いに活躍することを心から祈念します。

経済学部長メッセージ

経済学部長 中原隆幸

 2019年度卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。学部構成員を代表して心からお祝いいたします。
 新型コロナウイルス拡大防止のため、本来であれば晴れの舞台である式典を挙行できなくなってしまいましたこと、痛恨の極みです。本当に残念でなりません。
 さて、このウイルスの拡大に伴い、日本各地で様々な事件が起きています。それらに共通しているのは、様々なメディアに扇動され、「今さえ、自分さえ、よければそれで良い」という利己主義的な個人が、ウイルスのように、日本において蔓延し始めていることです。
 皆さんが学んだように、経済学では「個人の経済合理性」を尊びます。一見すると上記の利己主義という行為原理と同じように見える、「経済合理性」という人間行動にとって不可欠の原理は、しかし、単なる利己主義とは似て非なるものです。というのも、経済学のいう「合理性」には、冷徹な経済計算という意味に加えて、混乱した状況にあっても常に「理性的かつ論理的に」物事を考察し、行動するという意味も内包されているからです。そしてこのことは社会科学における最も基本的な共通認識でもあります。
 したがって、本学において経済学を学修した皆さんであれば、現在のような混乱した状況においても、常に「合理的=理性的」に行動できるはずです。まだまだこの混乱は続きそうですが、社会人としての第一歩を踏み出す皆さんに次の言葉を贈ります。
 「厳しい判断を迫られる事態に至った時には、手前勝手な自己の欲求充足のみを求めずに、まずは弱者に対するいたわりの心をもつことを常としつつ、物事の本質を見極めるために冷徹かつ徹底的なまでに合理的に考え行動しよう」。
 ちなみに、この文言は経済学者なら誰でも知っているアルフレッド・マーシャルの有名な文言、Cool head but Warm Heartを私なりにアレンジしたものです。皆さん方におかれては、本学で学んだはずの、このような経済学の知見を生かして社会という未知の大海を渡っていっていただければ幸いです。
 末筆ながら、皆さん方の未来が希望に満ちたものであることを祈念します。どうぞいつまでもお元気でご活躍ください。

経営情報学部長メッセージ

経営情報学部長 濵道生

 皆さん,ご卒業おめでとうございます.
 本来なら,スーツや晴れ着姿で卒業証書を受け取り,先生や同級生達と言葉を交わすはずだった卒業式が中止となり,本当に残念な思いで一杯だと思います.
 今,未知の病原体への対応を巡って社会が混乱しています.
 経験のない状況に直面し,正しい対応法が不明なとき,私たちはどうすれば良いのでしょう?
 実は皆さんはもう知っています.
・自ら積極的に調べ,データを集める
・根拠不明の情報を排除し,客観的事実を見いだす
・信頼性の高い情報源に依拠する
・明確な事実に基づいて,論理的に判断する
これは正確な認識に到達するための普遍的な科学的方法で,卒論等を通じて学んだことですね.
 文系だから防疫の知識は不要,ではありませんでした.漢詩を添えた日本からの支援は,中国の人々から感動を持って迎えられました.これらは,文理に渡る幅広い教養の大切さを示すものです.
 皆さんがこれからも学び続けることを期待するとともに,健康で豊かな人生を送れますことをお祈りし,ご卒業に寄せるメッセージとします.

国際コミュニケーション学部長メッセージ

国際コミュニケーション学部長 賀川真理

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 2020年3月に卒業される皆さんにおかれましては、新型コロナウルスの影響を鑑み、本学危機管理対策本部の判断により、3月18日の卒業証書・学位記授与式が執り行えないこととなりました。本来でしたら、卒業生の皆さんの門出を、学部教員一同キャンパスで直接お祝いさせて頂く予定でしたが、今回はこのようなビデオ・メッセージという形を取らせて頂くこととしました。
 皆さんが阪南大学の学生として過ごされた日々は、これからの人生にとっての基盤となる、かけがえのない時間であったと確信しています。入学式やガイダンスでは、隣に座っている人にさえなかなか声を掛けられなかった皆さんが、オリエンテーション・キャンプや授業などを通じて仲間ができることで、自分自身の成長を実感し、次第にゼミなどでは自分の意見を提案し、あるいは積極的に発表する機会を得るなどしてこられたのではないかと思います。
 また専門科目や専門演習をはじめ、各種授業やスピーチ・コンテスト、卒業研究発表会、留学、資格取得、模擬国連、クラブ活動などを通じ、常にチャレンジし続けてこられた方も大勢いることでしょう。
 加えて、多くの皆さんにはオープン・キャンパスにおいても、皆さん方自身の先輩がそうであったように、持ち前の明るさや元気さをバネに、時には自分の経験をもとにしたトークを炸裂させ、先輩として本学部を受験される皆さんと接して頂いたことに、学部長として心から感謝します。
 大学生から社会人へと移行する人生の節目にある今、皆さんは確実に成長されている自分を信じ、未来の自分に必要なことは何かと問いかける、とてもいい機会だと捉えてください。社会に羽ばたかれるにあたり、ご自分の目標を立て、明日に備えて常に基礎力を磨く姿勢を取り続けてください。  
 仲間や初めて会う人と接する際には、まずは挨拶からはじめ、相手の立場に立って物事を考え、互いに心地よい関係を保つ。この一見当たり前なことが、当たり前にできる国際コミュニケーション学部の卒業生であって頂きたいと願っています。
 そして近い将来、夢の半ばあるいはその夢に到達できた暁には、阪南大学を思い出し、再び母校に顔を出しに来てください。卒業生の皆さんと再びキャンパスでお目に掛かれる日を楽しみにしています。

国際観光学部長

国際観光学部長 大谷新太郎

国際観光学部の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
皆さんの門出をお祝いするはずであった卒業証書授与式や卒業懇親会が中止となってしまったことは残念でなりません。皆さんの悔しさを考えると断腸の思いです。不透明な情勢に、4月からの次のステージがどうなるのか不安を抱えている人も多いでしょう。
皆さんが学んできた観光の世界でも先が見えない不安が覆っています。国際観光では国を超えた移動が制限され、国内観光でも「不要不急」の最たるものとして観光が控えられ、観光業界は苦境に立たされています。
しかし皆さんは、観光がさまざまな危機を乗り越えてきたこともご存じでしょう。観光は紛争やテロ、災害、そして感染症といった事態により何度も打撃を受けてきましたが、そのたびに危機を克服するのみならず、それまで以上の発展を遂げてきました。それは観光が持つ力、すなわち人の異文化に対する好奇心による観光への意欲とそれを支える観光関係者の努力によるものです。その積み重ねが十数億の人々が国を超えて移動し、日本も観光大国に肩を並べる時代をもたらしたのです。観光が今回の危機も克服し、より発展すると信じています。
皆さんもこれからの人生において困難に直面することがあるでしょう。そのときには本学で培った力を発揮して立ち向かってください。観光という人の複雑な営みを教室だけでなく企業・地域など社会・現場でも学んだ皆さんには、困難を克服する力が身についているはずです。そして異文化を楽しむという本質を持つ観光の営みを続けることで、人生を豊かなものとしてください。
皆さんの旅立ちにエールを送ります。

大学院研究科長メッセージ

大学院研究科長 花川典子

大学院の修了生の皆様,修了おめでとうございます.心よりお喜びを申し上げます.

阪南大学大学院は2年前に皆様方をお迎えしました.大学院ではゼミ担当教員との研究活動を中心に授業や行事に勤しんだと思います.教員も学部生とは異なりより親密に大学院生と接しました.研究室の狭い空間で,白板に膨大な字列,資料を見ながら額を突き合わせて白熱したディスカッション等,貴重な時間を持てたことは,教員としてうれしいことと思います.さらに,大学院の最大のイベントであります修士論文作成では,教員の厳しい指導,論文の度重なる修正,2回の中間報告と最終審査での副査からの厳しい指摘等,多くの体験をしたと思います.それらの活動の中で培われた論理的思考は,必ず皆様方の社会生活を充実させる強力な武器になると思います.

本大学院で学んだこと,特に論理的思考力をもって社会に羽ばたき,様々な分野で益々のご活躍を期待しております.