塩路ゼミ3年生が柏原市でフットパス

 国際観光学部 塩路研究室3年生5人が、2019年2月15日(金)に柏原市でNPO法人おいなーれ柏原のご協力でまち歩きをし、地域の魅力を発見するお手伝いをしました。おいなーれ柏原の桝谷さんからまちの概略を散策マップとともにご説明いただき、簡単にポイントを案内していただいた後、自分たちで自由に散策して回りました。散策後、おいなーれ柏原の方々や地域づくりに関わる方々とミーティングを行い、発見した魅力や問題点などについて話し合いました。今回は、学生たちがその活動内容と活動を通して感じた事、考えたことを報告します。

まち歩きで見つけた柏原市の魅力
 3年生 歌川 ひいな

 私は、柏原市を初めて訪れました。商店街や人通りの少ない細い道、古い建物など少し田舎を感じさせる風景でした。しかし、その中にカフェやパン屋がありました。古い建物をリノベーションして造られた「キッチンモトクラシ」は、都会を感じさせるおしゃれなカフェですが、どこか懐かしく落ち着いた空間です。古い建物を壊し、全てを新しくするのではなく、新しさを古いものに加えることで、日本らしく居心地の良い空間になっていました。この「キッチンモトクラシ」では、人々が入りやすいように、入口がガラス張りになっています。このように、中が見える構造にすることで、抵抗なく安心して入ることができます。訪れやすくすることで、地域内でのコミュニケーションが盛んになります。地域内だけでなく、外から訪れた人々との交流もできるようになり、地域活性化に繋がる取り組みだと感じました。
 私が柏原市を訪れて感動したことは、「クレマチス」というお茶や昆布を販売している店でのことです。緑色の外観の建物に惹かれ、その店に近づいて見ると、中で年配の女性方がお茶を飲んで楽しく会話をしていました。入ってみたかったのですが、入る勇気が出なく外で中を覗いていると、中にいる1人の女性が声をかけてくれました。それをきっかけに、中に入ることができました。中に入ると、抹茶やお菓子などを振舞ってくれました。楽しく会話をして、ゆったりと過ごすことができました。ここ「クレマチス」では、月に1度お茶の会を催して地域内での交流を深めているそうです。ここを訪れて、声をかけてもらわなければ体験できないことでした。このような交流がさらに広がり、同じ顔ぶれだけでなく地域全体でこのような集まりができれば、さらに町が活性化すると感じました。外から訪れた人々が、私たちのような体験をすれば、この町の良さを感じることができ、人を集めることも可能であると感じました。
 柏原市を歩き、多くの可能性を秘めている町だと感じました。リノベーションや町の人との交流が魅力的でした。古い物の中に新しい物がある、住みやすい町という印象が強かったです。地域の方々にとってはあたりまえの町並みですが、私たちにとってはとても暖かみのある町です。歩いて発見できることは数多くあります。私たちが気づいた点をお話すると、今まで気づかなかったと地域の方々に言っていただきました。そのような意味で、まち歩きをして発見できたことを、地域の方々に伝える取り組みはとても重要であると感じました。

外国人に“うける”街、柏原
 3年生 島田 麻衣

 2月15日、大阪府柏原市でフィールドワークを行いました。柏原市は大阪東部に位置しており、都心部から電車1本で行けるなど、住みやすいと感じます。特定非営利活動法人「おいなーれ柏原」の代表である桝谷さんらが作成してくれた柏原まちあるきマップを片手に、散策しました。
 オガタ通り商店街の街灯にブドウのペイントがされており、形もワイングラスとユニークなものでした。他にもガードレールやマンホール、歩道のタイルにもブドウのデザインがみられました。柏原市ではブドウの栽培が盛んで、大阪中央市場や他府県に出荷販売し、また都市住民のため観光ぶどう狩りや、ぶどうの宅配便などを行っています。街中や商店街にはパン屋やカフェなど新しくオープンしたような店もいくつか見られました。
 柏原市には古墳や遺跡、重要文化財があります。また、昔からある銭湯や床屋、定食屋などもあり、残されている古いものの中にぽつぽつと新しいものもみられます。古と新がミックスされている、そこが柏原市のいいところであります。「クレマチス」というお茶、海苔、器などを扱っている店に入りました。外観が緑で変わった店だなと思ったのがきっかけで、店前まで行ってみると、お茶会に無料で参加できると張り紙があり、うろちょろしていた私たちを店内にあげてくださいました。抹茶や和菓子、お菓子をいただき、ゆっくりさせてもらいました。外部から来た者は、そのコミュニティに入りづらかったり、入るのをためらったりしてしまいます。店の人からウェルカムな姿勢であいさつなどちょっとした声掛けしてもらうと馴染みやすくなりますし、近年の観光ではそういうものが求められると感じます。

 私は、この柏原市には外国の方に“うける”要素がたくさんあると考えます。大阪都心部にも奈良にもアクセスが良く、日本の歴史も感じられるような古い景色も見られ、染工場や銭湯、茶屋、和菓子屋など日本の文化を知り、体験できる場所もあります。月1回、第2日曜日には大阪府柏原市の「いとをかし」が集まるマルシェ(路上マーケット)が開催されます。ここでは柏原産の野菜や雑貨、染衣類、お菓子などが販売されています。地域内だけではなく、地域外から、そして海外から来られた方との交流にはぴったりなイベントであります。インスタグラムやフェイスブックでの発信で外国の方にも知ってもらい、そして足を運んでもらい、柏原市に住む人々の温かさや歴史、特産品などアピールできたらよいのではないかと思います。まち歩きマップも紙一枚ではなくて折り畳みのパンフレットのようなものにして、パンフレットを開くと柏原のブドウの香りがするというように柏原ならではの一工夫かみられるとより良いのではないかと思いました。

柏原まち歩きから考える地域コミュニティ
 3年生 三枝 寛和

 2月15日、私たち塩路ゼミは柏原市にてまち歩きフィールドワークを行いました。まち歩きの後は、「NPO法人おいなーれ柏原」の桝谷さん、中島さん、地元住民の方々と意見交換会を行いました。
 はじめに桝谷さんに案内していただき、柏原駅周辺を少し歩きました。道の上っているところは昔堤防だったことなど、柏原の歴史について学ぶことができました。それから私たちだけで柏原を散策し、地域外からの若者目線で、魅力的な地域資源を探しました。多くの発見があったなかで私が特に印象的だったのは、お茶屋「クレマチス」のお茶会に参加したことです。店の外で見ていたら、声をかけて下さり、無料でお茶とお菓子を用意していただきました。クレマチスでは、毎月15日にお茶会を開いているそうで、店内では何人もの地元の方が談笑されていました。このような憩いの場が、地域コミュニティを作っているのだと学びました。クレマチスを出る際に、せんべい屋を紹介して下さいました。このように、地域の人との交流は地域外からきた人にとっても面白い体験になることを改めて感じました。
 まち歩きをして気づいたことを、大正通り商店街にある「キッチン・モトクラシ」にて意見交換しました。そこで、クレマチスでお茶をした話をしたところ、「店の人が声をかけてくれなかったら店に入れなかったのではないか」という意見を地元の方にいただきました。確かに、既に出来上がったコミュニティに、赤の他人が入っていくのは難しいことです。そこに入っていきやすい雰囲気づくりや声掛けが、新たな交流を生むのだと考えさせられました。
 実際に柏原では、コミュニティに入りたいけど入れない新住民である「難民」が多いそうで、そんな人々を受け入れるために、「キッチン・モトクラシ」では中の様子が見えるよう全面ガラス張りにしてあったり、大正通り商店街ではコミュニケーションの取りやすい屋外マーケット「マルシェ」が開催されていたりします。このように、地域コミュニティに観光客も入ってもらうことをねらいとした工夫が必要だと考えます。
 マップ作りにその考えを活かすならば、店のスタッフや店長さんの写真か似顔絵を入れ、顔を見せることで安心感を与えられるように思います。または、「柏原のここに行けばこのような交流(体験)ができます」といったような、人が集う場所を示した地図も有効だと思います。柏原に観光客が集い、今以上に魅力的な地域になることを願っています。

柏原市の魅力
 3年生 永野 実優

 2月15日に大阪府柏原市でNPO法人おいな~れ柏原のご協力の下、フィールドワークを行いました。おいな~れ会長の桝谷さんに柏原の案内をしていただき、その後自分たちで自由にまち歩きをしました。今回のフィールドワークを通して魅力的に感じた点がたくさんありました。
 まず私が魅力的だと感じた点は、古民家や平屋のリノベーションです。特に大正通りの「キッチン モトクラシ」やゲストハウス「Bed&Bicycle」は、私たちのような若者世代やインバウンドにも好まれそうだと感じました。リノベーションの特徴は、古いものと新しいものが共存し、調和していることであり、現代の若者はそこに魅力を感じています。近年では新しい入居者が現れない、空き家問題が重要視されていますが、このようなリノベーションを用いた町おこしは、若い人たちからの注目を集め、問題の解決にも結び付けられると考えます。また、モトクラシの外観をガラス張りにすることで、中の様子が見え、開放的で入りやすい印象にしているという話を聞き、住民のマインドも考えられていて素晴らしいと感じました。昔ながらの店はノスタルジックな雰囲気があり、それが良い所ではありますが、一方で新規の人々は昔ながらのコミュニティに入りにくい部分があるのも事実です。その対策として、訪れる人々や新規住民にも入りやすいコミュニティを作る必要があると考え、工夫をされているそうです。
 また、柏原市は町全域に川や水路が張り巡らされているのが特徴です。柏原の代表的な川である平野川は、別名「了意川」とも呼ばれ、もとは明治時代に、舟を通して物資を運送する河川として利用されていたそうで、鉄道の発達とともに舟運が衰退していったといわれています。当時民家の付近を流れる水路には洗濯をするために人が集まったという話も聞き、柏原の住民にとってこの川は生活の一部としてとても身近なものだったということを感じました。一方で、流れる水の濁りなど、清潔さが少し気になりました。綺麗で透明度がより高い方が好まれると思うので、この魅力をもっと引き出すためには、河川の清掃や整備をより行う必要があるのではないかとも思いました。
 今回のフィールドワークを通じて、大正通りの例からもあるように、若者と年長者が分断されているのでないかという点を感じました。若者は若者らしく新たな取り組みで町おこしを進めている一方で、年長者の方たちからは昔ながらの変わらない、暖かい人との繋がりを感じさせてもらいました。どちらも柏原の魅力であり、大切にしなければならない部分なので、両者が手を取り合って柏原を盛り上げるための施策を考えれば、今以上に柏原の魅力を引き出せるのではないかと思います。

昔と今の共存
 3年生 遠藤 菜緒

 私たちは2月15日、大阪府柏原市にてフィールドワークを行いました。私自身、柏原はよく電車で通っていましたが、実際に町を歩いたことはありませんでした。
 まず、柏原を歩いて最も印象的だったことは街の住みやすさ、生活のしやすさを感じる環境でした。柏原は天王寺へも電車で一本、約20分弱という好立地であり、駅も綺麗に整備されていて近くにスーパーや病院といった日々の生活にとって必要な環境が整っていました。なおかつ、通称「了意川」と呼ばれる平野川や大和川が通るなど水辺を感じることができることも大きなポイントであると感じました。この水辺は、まち歩きにおいても良いスポットでもあると思います。大和川は歩道が綺麗に整備されていて、その地の特徴や歴史が記された百人一首や手遊びなどが記されていました。これらは大人同士で童心を思い出しながら楽しんだり、親子など家族で歩きながら楽しんだりできる道であると思います。

 さらに柏原を歩いて感じたことは、古いもの、新しいものが混ざり合った町であるということです。私が思っていた以上に、ゲストハウスや大正マルシェなど、新たなことに挑戦する様子を感じました。お洒落なパン屋やご飯屋は若者にも受けが良く、地元住民の皆さんのコミュニティの広場にもなりえます。こういった場所はまち歩きの休憩スポットとしても活用できます。更に古き良き茶屋「クレマチス」では、ちょうどお茶会であったことから声を掛けていただき、お茶を頂きました。昔ながらの店でレトロな様子と人の温かさを感じることができました。柏原で新しいものとレトロの両方を感じることができるのは、大きな魅力であります。
 茶屋ではせんべい屋を紹介して頂いたのですが、まち歩きにおいてこのような人と人との繋がりは楽しみの1つであり、それを実感することができた経験となりました。このような人との繋がりを生かし、訪れた場所に行くまで、その次に行く場所がわからない、繋がりでルートが決まるまち歩きなど、新しいまち歩きに応用することができるのではないかと考えました。
 私は今回、初めて柏原を歩きましたが、一度歩くだけで新しい魅力と古き良き魅力を感じることができる町であり、なおかつ住みやすい町であることを知りました。このような大きな魅力を持った柏原にはより面白いまち歩きルートへの可能性があると思います。

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