2019.1.31

国際観光学部 塩路ゼミ3年生が日本観光研究学会で発表

塩路ゼミ3年生が日本観光研究学会でポスター発表

 国際観光学部 塩路研究室3年生4チーム10人が、2018年12月16日、東京の跡見学園女子大学で開催された日本観光研究学会でポスター発表を行いました。
 日本チームは「フットパスウォーカーをひきつける地域の魅力」、3つの海外チームとしては英国チームが「本場イギリスから学ぶフットパスの魅力」、デンマークチームが「アンデルセンの軌跡をたどる〜歩いて学ぶオーデンセ〜」、タイチームが「大都会の中のローカルを歩く〜タイ・バンコク〜」というタイトルでそれぞれの夏の調査旅行の内容をまとめ、分析した結果を報告しました。
 今回は、学生が発表した内容とポスター発表会での経験について報告します。

日本のフットパスへの提案
~デンマーク・オーデンセのアンデルセンをもとに~
 3年生 島田 麻衣

 東京で開催された日本観光研究学会で、夏休みに海外で行ったフットパス調査についてポスター発表をしました。私たちは北欧諸国の南部に位置するデンマークを調査しました。デンマークのオーデンセという街で、童話作家アンデルセンの生きた軌跡をたどるフットパスコースを見つけました。アンデルセンの代表作として『マッチ売りの少女』『親指姫』『人魚姫』『みにくいアヒルの子』『裸の王様』などがあげられます。誰もが幼少期に一度は読んだことのある作品ばかりです。アンデルセン博物館、アンデルセンの生家、幼少期の家、ミュンターボックス、ティンダーボックスの5か所をつなぐコースで、その道中にも、アンデルセンの銅像があったり、アンデルセンの母が洗濯女として働いていた川があったりします。地面には足跡が描かかれており、それをもとに歩くと迷わずに巡ることができます。
 私たちはこのオーデンセのフットパスの経験をもとに、日本にも1人の著名人に焦点をあてたフットパスコースを取り入れてはどうかと提案しました。しかし、日本では一地域で生まれ、育ち、活動を行う著名人は珍しいためコースを作るのは難しいのか、そもそもそのような概念がないのかと考えていました。ポスター発表では、本大学の先生や他大学の先生、学生が観覧し、意見を下さいました。
 ある先生からは、岩手県花巻市出身の宮沢賢治、山口県長門市出身の金子みすゞが当てはまるのではないかと教えてもらいました。調べてみると、花巻市には宮沢賢治に関する施設、宮沢賢治童話村、宮沢賢治記念館、ポランの広場、林風舎があり、長門市には金子みすゞ記念館、みすゞ通り、王子山公園があることがわかりました。これらをアンデルセンの軌跡をたどるコースをモデルに日本のフットパスとしてつなげられたらおもしろいと感じました。街全体が作品に基づいていて観光資源になっているのは、歩いていて子供から大人まで楽しめ、街の魅力をより知ってもらうきっかけにもなります。実際に岩手県や山口県に訪れてみて、現状を知り、フットパスに取り入れるために、観光活用するためにどうしたらいいのかを調査していこうと考えています。
 他大学の学生のポスター発表はレベルが高く、良い刺激をうけました。なかでも、城崎温泉の活性化のために地域の特産物を利用したメニューを展開してはどうか、また、香川県の観光客誘致、宿泊数の増加のための取り組みを提案した発表が印象に残っています。時間に余裕があったなら多くの発表を聞きに回りたかったのですが、自分たちの発表に手いっぱいでした。今回アドバイスをもらったことを踏まえ、今後の活動に生かしていきます。

初めての意見交換
 3年生 前田 果歩

 12月16日に東京の跡見学園女子大学で開催された日本観光研究学会でポスター発表を行いました。9月にヨーロッパで調査したフットパスに関する内容をまとめて他大学の学生や教員、一般企業の方々に自分たちの考えを伝えてきました。
 私たちは「アンデルセンの軌跡をたどる~歩いて学ぶオーデンセ~」と発表を題しました。ポスターには私たちが実際に歩いたコースや歩き方だけでなく、デンマークについてやアンデルセンとはどういった人だったのかを記しました。私の考えでは、日本にはアンデルセンの軌跡をたどるといったようなコースが全くと言って良いほどないです。なぜなら日本では地方で生まれても有名になると都会に出てしまう著名人の方々が多いからです。その為、歩くという行為でその人の人生のすべての軌跡を巡ることは不可能です。日本には軌跡を巡るようなフットパスがないのではないかと考えていました。
 しかし、今回、沢山の方の前で発表するうちに自分では思い浮かばなかった意見などをたくさんいただくことが出来ました。例えば、アンデルセンと全く同じようなものはないが、一地域で活躍をした人や、暮らしていた町をモデルにして作家活動をしていた人がいるなど教えてくださいました。それらを踏まえて自分でその土地を訪れて今回歩いたオーデンセのコースとの違いを見つけてみたいと思いました。それだけでなくフットパスでも沢山の考えがあるのだと感じました。実際に生活で使われているコースや今回調査したまち歩きといったコースなど沢山あると思いました。そのような考えを持てたのも他大学の方々とポスターセッションを通して交流出来たからです。
 自分が発表するだけでなく他大学の方のポスター発表も聞かせてもらいました。観光客の少ない地域にどのようにして人を呼ぶかなど地域活性化の研究をしている方が多かったです。どの大学も自分の考えやアンケート調査を元にした考えをまとめていたり分かりやすく説明し、疑問に思ったことにも丁寧に答えてくれました。そして、そのようにまとめたものを地域に貢献したり観光協会などに認めてもらうために報告書を提出していた点はとても素晴らしいと感じました。自分たちだけで考えて終わりではなく、そのアイデアの実現まで考えていたのに感動しました。そういった事をしている学生さんなどとポスターセッションという交流を通して意見交換が出来たのは発表した意義があったと思いました。

観光研究学会の収穫
 3年生 吉田 翔一

 12月17日に東京で開催された日本観光研究学会全国大会でグループでのポスター発表を行いました。パネルでの学生発表だけでも、20弱程の発表ブースがありました。
 学会発表に参加した大学・学部は観光学部だけではなく、観光産業に関連する自然災害や情報システムについて研究する学部生が参加していました。そのため、ポスターセッションは、他大学の学生がどのようなことについて研究しているのかを知る機会でした。特に京都大学の学生による日本にオーバーツーリズムの研究発表は、現状日本の社会が直面する問題を提起し、その改善点を3段階で事例を交えて発表していたため、興味深く感じました。
 私たちのグループでは、「英国を発祥とするフットパスとその活動に伴う経済効果」について発表を行いました。私は英国留学期間を活用し、フットパス認知度やイギリス人の観光目的など約130人にアンケート・ヒアリング調査や実体験から学んだフットパスの可能性や意義、環境資源についてグループメンバーの意見を踏まえて述べていきました。アンケートやフィールドワークから分かったフットパスの需要とその活動に取り組むNPO団体や英国政府の環境保全への取り組みなどイギリスの地域創生活動について詳細に発表しました。他大学の研究者や学生との交流を通じて、多くの鋭い意見を頂きました。例えば「フットパスとそのほか都市街歩き観光、ウォーキングツアーとはどう違うのか」、「日本での観光資源や社会に適合するために事業内容は具体的に教えてください」など私の研究不足であることを痛感させられました。そもそも、フットパスというその活動自体があまり学生や研究者の中では浸透しておらず、知らないという意見が多かったので、SNSを活用したり、さらに他と区別がついて尚且つ分かりやすい説明を加えていきたいと思いました。
 ゼミ活動では更に研究内容が深みを増していくよう、教授や学生からのコメントや改善点など学会発表での収穫を活用し、高い研究成果を出せるよう今後のフィールドワークの質を高めていきます。
 資料を聞き手に一枚配布してそれを見ながら発表するグループもあれば、発表後研究内容についての意見やアンケートを求めるグループもありました。研究内容だけでなく発表の仕方や発表の機会を生かすグループもあり、今後の参考になりました。今後は今回のポスターセッションのような交流機会により多く足を運び、いろんな見方をして深めていきたいと思いました。

観光研究学会のポスター発表を終えて
 3年生 三枝 寛和

 12月16日、跡見学園女子大学で観光研究学会が開催され、私たちはポスターセッションに参加しました。今回、私たちは日本のフットパスに焦点をあて発表しました。
 発表の内容は、私たちがこれまでに訪れフットパスを体験した6つの地域についてです。実際の経験から感じた、地域それぞれの良い点や改善点などをまとめ、フットパスを活用した地域づくりに何が必要なのか考察しました。例えば、熊本県の芦北フットパスは海沿いを歩きながら絶景を楽しめますが、コース上にトイレや休憩所がほとんどありません。しかし地域住民のフットパスに対する認知度が高く、地域の人がトイレを貸してくれることがあります。私たちは、芦北のように、まずはフットパスが地域住民に認知され受け入れられる必要があると考えました。また、官民連携や官学連携の体制を敷いて多方面の目線から地域づくりを進めるべきだとも考えました。
 このような内容を、ポスターを見に来てくださった方に説明しました。相手にわかりやすく丁寧にと心掛けましたが、時間を長くかけすぎてしまったことは反省点です。聞いてくださった方は、本場イギリスのフットパスに行かれたことのある方からフットパスを知らない学生まで様々でしたが、貴重な意見をいただき、更に考察を深める必要があると気づかされました。
 また、他大学の学生のポスター発表を聞くことも出来、勉強になりました。とある大学の学生は、徳島県東部地域に観光客を呼び込むための研究をしていました。その研究ではデータを用いてしっかりと現状分析を行い、その上でアンケート調査を行っていました。今後、私たちも研究内容によってはデータを分析する必要が出てくると思うので、その方法に興味を感じました。その研究では若い女性をターゲットにしたナイトツアーを提案していて、徳島県の魅力を観光客に伝えられる良いものだと思いました。
 今回のポスターセッションに参加したことは、私たちにとって大きな経験になりました。他大学の発表のテクニックやポスターの作り方も参考にしながら、この経験を次の報告会や発表の場で活かしていきたいと考えています。

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