鹿児島市で現地調査を実施しました(2)

鹿児島市の歴史や文化、桜島の観光の変遷について学びました

 森重ゼミが9月12日から6日間、鹿児島市で実施した現地調査報告の第2弾です。今回は仙巌園や寺山炭窯跡などの世界遺産をはじめ、鹿児島市中心部から北部にかけて観光資源調査を実施したグループの報告です。鹿児島市は明治維新前後の歴史資源が数多く賦存していますが、このグループでは地元の観光ボランティアの方からも話をうかがい、鹿児島市の歴史・文化について理解を深めたようです。また、3日目に訪れた桜島では、現地の方から桜島の観光の変遷について話をうかがうこともできました。当日のフィールドワークの様子を以下でお伝えします。(森重昌之)

フィールドワークの様子

  • 仙巌園での活動の様子

  • 世界遺産・寺山炭窯跡

  • 世界遺産・関吉の疎水溝

  • カフェ彼女の家での活動の様子

  • 湯乃山温泉での活動の様子

  • 桜島のカフェしらはまのワンプレートランチ

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参加したゼミ生の報告

鹿児島フィールドワーク調査における若者に向いた観光地の探索
 国際観光学部3年 西内拓史

 私たちは9月12日から17日までの5日間、若者旅行のニーズに沿った観光資源を探すという目的で、鹿児島市へフィールドワーク調査に行きました。フィールドワーク期間中は主に3つのグループに分かれて行動し、自分たちでインターネットや雑誌を使って調べた情報や、鹿児島県大阪事務所で聞き取り調査を行った結果をまとめ、観光資源を周りました。
 1日目、私たちのグループは、鹿児島市の中心部から少し南にある「いろはの湯」を訪れました。この「いろはの湯」は、私たちが鹿児島県大阪事務所を訪れ、聞き取り調査をした際に教えていただいた場所です。県庁所在地で最も温泉数の多い鹿児島市の中でも、非常に設備の整った温泉でした。施設の温泉は非常に広く、さまざまな効能の温泉に浸かり、ゆっくり過ごすことができ、癒されました。露天風呂も大きくつくられており、温泉の温度も熱過ぎることがなかったので、小さな子どもや若い人に喜ばれるのではないかと思います。また、お年寄りの利用者も多く見られたので、どの年齢層でもゆっくりできる温泉かと感じました。風呂から上がった後も、駄菓子や飲み物などを買い、そのまま飲食ができるスペースが設けられおり、施設内の設備は非常に充実していました。近くにイオンモールもあることから、比較的に若者が集まりやすい場所だと感じられました。
 次に、「鹿児島サンロイヤルホテル」に訪れました。外から見たホテルの印象はかなり古い建物だと感じましたが、内部はそれを感じさせないほど非常にきれいでした。しかし、若者には少し値段的にも高い印象があり、若者が宿泊するホテルに向いているようには感じられませんでした。
 その後、鹿児島市中心部に向かい、城山展望台と城山ホテルに向かいました。城山からの景色は、正面に桜島を捉え、鹿児島市内を見下ろすことができるので、非常に見応えのある風景でした。しかし、3月のフィールドワークで訪れた際は天候も良く、桜島もきれいに見えていたので、観光客(特に訪日外国人観光客)がたくさんいた印象でしたが、今回の調査で訪れた日は雨でしたので、観光客も少なく、景色も前回ほど良くはありませんでした。それでも桜島の雄大さを実感するには十分な場所であり、観光客にはオススメしたい場所でした。
 「城山展望台」を下った所にメルヘン館や照国神社があります。メルヘン館は小さい子ども向けの施設でしたが、トリックアートで童話の世界に入ったような体験ができ、グループのみんなで写真を撮るなどして楽しむことができました。料金も300円とお手頃です。しかし、若者や観光客は見られず、地元の子ども連れが訪れている印象でした。
 メルヘン館を出た後、すぐ近くにある照国神社に訪れました。照国神社は道路を跨ぐほど大きな鳥居があり、境内の雰囲気も良く、鹿児島市の中心にあるにもかかわらず、ゆったりとした落ち着きのある神社でした。照国神社では、グループのみんなで参拝し、おみくじを引きました。照国神社の前にはホテル「吹上荘」があり、温泉が有名なホテルでしたが、ロビーの見学しかできませんでした。
 その後、他のグループと合流し、鹿児島県大阪事務所で勧めていただいた屋台村に行きました。屋台村は小さな居酒屋がたくさん集まり、店を渡り歩きながら鹿児島のさまざまな特産品を味わえるようになっています。お客さまから店員まで、さまざまな人が気さくに話かけてくださり、とても楽しい時間を過ごすことができました。
 このフィールドワークで感じたことは、それぞれの観光地が近接していることが多かったので、城山付近は徒歩で観光地めぐりができそうです。体力的に元気な若者には向いているのではないかと思いました。

世界遺産が集結する鹿児島の魅力
 国際観光学部3年 栗田真衣

 私たちは2日目も引き続き、グループごとに分かれて調査しました。フィールドワーク期間中の1週間は、雨の予報だったにもかかわらず、晴天とまではいかないものの、桜島の頂上が見えるほど雲が少ない1日でした。桜島を眺めながら錦江湾岸を走行していると、角度によって桜島の見え方が違うなと感じながら、桜島の山肌がはっきり見えて、とても感動しました。
 フィールドワーク1日目に鹿児島観光コンベンション協会にて聞き取り調査を行い、得た情報をもとに、昨年世界遺産に登録された寺山炭窯跡で大砲の話や歴史について、地元の方にうかがいました。話の中には少し難しい部分もありましたが、その後寺山炭窯跡と関係の深い仙巌園、そしてすぐ横に隣接している尚古集成館を訪れました。仙巌園に入ると、すぐ目の前に鉄製150ポンドの巨大な大砲や反射炉跡が展示され、圧倒されました。先ほどうかがった話をもとに、自分たちでその大砲のしくみについて理解を深めました。また、私たちが訪れた日は平日ということもあり、若者ではなく、お年寄りの方やアジア系の外国人を多く見かけました。私たちが鹿児島を訪れる前に行った、鹿児島県大阪事務所での聞き取り調査の中で、インバウンドを受け入れる体制を整え、インバウンドにも力を入れているとおっしゃっていました。そこで、大型観光バスの誘致や多言語にわたったパンフレットが用意されていて、実際にインバウンドの増加に向けた取り組みを現地で実感することができました。
 仙巌園の中には、土産物店もたくさん並んでいました。さつま揚げなどの製造工程を見ることができるようにガラス張りにして、観光客を引き寄せる工夫をしていたことが印象的でした。さまざまな世代にさまざまな目的を持って土産物を選ぶことができるよう、種類も豊富に用意されていました。また、園内では、鹿児島の名物である「黒豚」を使ったラーメンなどが食べられるレストランも出店していたり、特産品の「薩摩切子」が並んだ店があったりするなど、鹿児島の魅力がたくさん詰まっていました。そして何より、鹿児島のシンボルともいえる桜島が見える、絶景の場所であると感じました。仙巌園でも、桜島ビューポイントとして園内の散策マップに掲載することで、鹿児島が一体となって桜島をアピールでき、その他の観光資源も大いに生かされていると実感しました。
 仙巌園のすぐ横にある建物「尚古集成館」は、現存する最古の洋風工場建築物で、現在は島津家の歴史や資料が多数収蔵・展示されていました。仙巌園と尚古集成館を共通入場券にすることで、仙巌園だけでは物足りなさを覚えたとしても、シアターの上映や模型などの展示により興味を抱いてもらうことで、鹿児島の歴史の理解を深めることができるよう、工夫がなされていました。

日本の産業革命の中心が鹿児島に
 国際観光学部3年 小林廉

 私たち森重ゼミは、9月12日から14日にかけて鹿児島市でフィールドワークを行いました。3つのグループに分かれ、観光名所や地元の食材が食べられる飲食店、温泉などを自分たちで足を運び、実際に見たり食べたりして調査を行いました。私のグループではいくつかの温泉、城山展望台、仙厳園、集成館などの鹿児島市でも比較的有名な名所を調査しました。その中でも印象に残ったものを紹介していきたいと思います。
 まず1つ目は「関吉の疎水溝」です。この疎水溝は、1日目に他のグループが聞き取り調査を行った際に紹介されたものです。関吉の疎水溝は、2015年に世界遺産に登録されました。この疎水溝は、1852年に薩摩藩第28代藩主島津斉彬の集成館事業の動力源としてつくられました。集成館では製鉄や紡績など、当時の最先端の事業が行われていました。その動力がこの疎水溝から送られてきた水でした。この疎水溝では、当時の薩摩藩の技術の高さを感じることができます。石に人工的に切り込みを入れたり、支柱を立てた穴をつくったりしていました。この疎水溝からの水が動力となり、集成館は大きな事業を行っていたため、明治維新にも大きな影響を与えていたとされています。
 2つ目は「寺山炭窯跡」です。この寺山炭窯跡も聞き取り調査の際に紹介されました。この寺山炭窯跡も、関吉の疎水溝と同じく2015年に世界遺産に登録されました。寺山炭窯跡も島津斉彬による集成館事業のためにつくられました。ここでは大砲をつくったり、製鉄をしたりする際に必要になる木炭を製造するためにつくられました。この木炭は白炭と呼ばれるもので、火力が強く反射炉に使われました。この白炭をつくるのに適している木がシイやカシであり、この炭窯以外にも複数の炭窯が離れたところにつくられていたといわれています。この炭窯は薩摩藩の繁栄や明治維新、日本の産業革命に大きな影響を与えました。八幡製鉄所や富岡製糸場も、この影響を受けてつくられたものだとされています。
 この2つの世界遺産には、地元のガイドがいて、詳しく丁寧に説明をしてくださいました。自分たちが見ただけではわからないことや、つくられた背景などを知ることができ、とても勉強になりました。また、この2つの世界遺産から当時の薩摩藩のレベルや日本全国、さらに世界に大きな影響を与えたことも学ぶことができます。ここから明治維新や日本の産業革命が始まったとされており、非常に貴重でおもしろい遺産になっています。
 今回のフィールドワークで、鹿児島の歴史や薩摩藩時代の技術力の高さを感じることができ、多くのことを知ることができました。

インターネットではわからない資源の良し悪しを再確認できた
 国際観光学部3年 小路健太

 私たち森重ゼミは2016年3月に一度、鹿児島を訪れました。1回目に訪れた目的として、鹿児島市内と桜島の魅力を探し、フィールドワークの課題を見つけられる場所かとしてふさわしいかどうかを調査しました。その後、私たちが着目したのが、「若者の旅行」についてです。現代の若者が旅行で求めているものを分析した上で、鹿児島の観光名所や観光協会、市役所から勧められた場所が求められているものに合致しているのか、調査を行いました。
 はじめに、若者が旅行で求めているものを分析しました。若者が旅行で求めているのは、「癒し」や「買い物」、「景観」、「食」、「体験」があげられました。その中で、一緒に行く相手によって場所が変わってくるので、「カップル」、「一人旅」、「男友達」、「女友達」を想定しました。分類した箇所に、鹿児島市内と桜島の行く場所を連想して当てはめていくことにより、若者が求めているものが明確になりました。そこで、調査として訪れたのが、今回でした。
 3つのグループに分かれ、3日間調査を行いました。私が執筆を担当したのは、3日目の「カフェ彼女の家」、「湯乃山温泉」、「蜂楽饅頭」についてです。3日目の最初に訪れたのは、「カフェ彼女の家」です。私たちが宿泊した場所から徒歩5分で行くことができますが、自動車ですと鹿児島ICから10分ほどかかり、バスでは天文館で下車すると徒歩数分で着きます。天文館は観光客が多く訪れるので、アクセスとしては便利な場所に位置していると思います。外観はおすすめメニューが看板として設置されており、見やすい場所にありました。
 店に入る階段は、カップルが手をつないで通れるような広い空間でした。店内は落ち着いた雰囲気で、カップルだけではなく、「女友達」や「男友達」でも訪れている人もいました。メニューはスイーツだけではなく、ランチメニューも豊富でした。そこで私たちが注文したのは、店の代表スイーツ黄熊です。黄熊は人の顔より大きいマンゴーのかき氷です。カップルや複数人で食べると盛り上がるかき氷で、美味しい一品でした。ちなみに一人で食べると、30分程度かかります。
 店を出ると、次に「湯乃山温泉」へと向かいました。天文館には観光ガイドがいて、親切に行き方を教えてくださいました。天文館から徒歩20分程度で行けますが、近くにバス停があるので、バスで向かいました。バスは約5分で行くことができます。しかし、バスを下車すると、バス停から路地に入り、少しわかりづらい場所に位置していました。入浴料金は大人が500円で、小人が250円です。外観は少し汚れており、地元の人が多く利用するそうです。脱衣所は籠だけで浴場も広くありませんが、友人たちと行くと盛り上がる温泉地でした。店主は「観光客はあまり訪れない」と話していました。そこで、私は温泉好きの人は必ず訪れるであろう場所ですが、情報発信が足りないと感じました。
 次に向かった場所は、「蜂楽饅頭」です。天文館に位置しているので、天文館へ戻りました。「蜂楽饅頭」は看板が大きく、一目でわかる店です。店内は1階と2階にイートインスペースがありますが、私たちはテイクアウトしました。店の一番人気のメニューである白あん黒あんの大判焼きは1つ100円で、多くの人が食べに訪れていました。
 私は鹿児島へ行く前に周る場所を調べていましたが、インターネットだけでは把握できない資源の良し悪しを再確認できたと思います。これから若者の旅行形態を徹底的に分析して、鹿児島には何が不足していて、売り出せるものは何かを検討し、鹿児島市内と桜島の地域活性化につなげていきたいです。

何度でも訪れたくなる場所
 国際観光学部3年 山田奈緒子

 私たち森重ゼミ5期生は、9月12日から3泊4日の日程で、2度目の鹿児島市現地調査を行いました。
 ゼミ生で1度鹿児島市を訪れて以降、鹿児島市への観光客を増やすための取り組みをどのように行っていけばよいかについて話し合ってきました。そこで、私たちがターゲットにしたのは若者です。私たちと同年代の人びとであれば、鹿児島市の良さを発信しやすいと感じたからです。鹿児島県では範囲が広すぎるので、鹿児島市にフィールドを絞り、1度鹿児島市を訪れたからこそわかる、若者が楽しめそうな観光地をゼミ生でピックアップしていきました。今回はそれらの観光地を周り、若者にアピールできる魅力探しを目的としました。
 1日目と2日目は鹿児島市中心部を周り、3日目に桜島を訪れました。桜島は1度目に訪れた際に、私が1番魅力を感じた観光地です。この日はあいにくの雨でしたが、前回訪れることができなかったスポットにも何箇所か、訪問することができました。私たちがまず初めに訪れたのは、「桜岳陶芸」です。ここは、桜島の火山灰と温泉水を活用してつくり出される「桜島焼」が有名です。1つ1つ手づくりなので、まったく同じ形や柄の商品がないのが魅力です。また、桜島の火山灰を使用したサンドアート、粘土体験ができます。店の方に私たちが鹿児島市内の観光地について調査していることを話すと、突然訪問したにもかかわらず、近年の桜島の観光についてお話を聞かせてくださいました。桜島の方々の温かさを身にしみて感じた瞬間でした。
 昼食は「カフェしらはま」でいただきました。前回桜島を訪れた際には、道の駅で昼食をいただいたので、「カフェしらはま」への訪問は初めてでした。ここは、桜島大根や桜島小みかんなどを生産する農家の方が経営しているカフェです。桜島でとれた新鮮な野菜などを使ったワンプレートランチは、彩り鮮やかで、おいしくいただくことができました。店の中もオシャレで可愛く、若者が気に入りそうなカフェだと感じました。このカフェには、観光客のご家族やカップルが訪れることはもちろんですが、お話をうかがうと、地元の方も多く訪れて来ているようでした。桜島の方々の憩いの場になっているように感じました。ここでも店の方は優しく、桜島のオススメの観光地などを教えてくださいました。
 桜島は鹿児島市中心部からフェリーで約15分と、簡単に訪れることが可能です。しかし、毎回桜島に降り立つと、まるで別の国を訪れているかのような感覚になります。地元の方は優しく、景色はどこから見ても綺麗で、桜島にいるだけで心が癒されます。桜島は私が何度でも訪れたくなる場所です。その場所は必ず若者が訪れたくなる観光地にできると感じました。2度目の現地調査が終わり、これからまたゼミ生との話し合いが始まります。今回の調査を生かし、私たちの取り組みがこれからどのような形で完成するのか楽しみです。