鹿児島県大阪事務所で聞き取り調査を行いました

われわれの気づかない鹿児島市の魅力を教えていただきました

 森重ゼミでは毎年、ゼミ生自身で地域の課題を見出し、観光を活用して地域の課題解決に向けた方策を考える取り組みを行っています。今年度のゼミ3年生は鹿児島市をフィールドに決めました。鹿児島市といえば、桜島や明治維新にかかわる歴史資源が有名です。しかし、われわれは若者がもっと魅力を感じるような観光資源を見出し、それらを発信することで、若者の誘致をめざしていくことをテーマに、今年3月に一度鹿児島市を訪れ、4月から具体的な調査を進めてきました。
 9月中旬に鹿児島市で2度目のフィールドワークを実施する予定ですが、その前に鹿児島市の観光資源に関する情報を収集するため、大阪駅前第一ビルにある鹿児島県大阪事務所を訪問し、聞き取り調査を実施しました。聞き取り調査の内容や今後の調査に向けた成果については、以下で参加した学生が報告します。
 お忙しい中を聞き取り調査にお時間を割いてくださった、鹿児島県大阪事務所の方々に厚く御礼申し上げます。(森重昌之)

聞き取り調査の様子

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参加学生のレポート

私たちが知らない「鹿児島市」
 国際観光学部3年 栗田真衣

 私たちは2年生後期に、鹿児島市をフィールドワークの対象地として設定しました。私は留学期間中で行くことができなかったのですが、今年3月にゼミ生が1泊2日で鹿児島市を訪れました。その後、ゼミ生の話を聞いていると、私たちがまだ知らない鹿児島市があると確信しました。そこで、3年生前期の授業と夏休み期間を利用して、若者がどのような目的で旅行に出かけるか、またそのためにはどのような情報発信が必要なのかについて、インターネットや旅行雑誌で調査し、フィールドワークに向けた準備を進めてきました。私たちはその準備の中で、鹿児島市には食の魅力がたくさん詰まっていることがわかりました。しかし、それだけで鹿児島市を発信していくには不十分であり、事前に鹿児島市を深く知った上でフィールドワークに行くため、私たちはまず鹿児島県大阪事務所を訪れ、聞き取り調査を行いました。
 私は鹿児島市に対し、桜島というイメージを強く持っており、時々全国ニュースにもなっている噴火に恐怖心を持っていました。しかし、聞き取り調査の結果、火山灰は地元の人々にとってはごく当たり前で、日常的なものであることを知りました。もちろん洗濯物などに影響するものの、身体的に大きな影響はないということに驚きました。また、熊本地震による風評被害を多く受けていることもあり、観光客も急激に減少していることがわかりました。テレビや旅行雑誌などの情報だけではわからない鹿児島の姿や誤解していることも多く、実際のフィールドワークで有意義な活動ができるのではないかと期待が高まりました。
 また、魅力ある食では、黒豚やかるかん、鹿児島焼酎が特に有名ですが、黒豚などは値段も高く、学生を中心とする若者が食べることのできる店は少ないようです。その中で、聞き取り調査で鹿児島中央駅近くの「屋台村」を教えていただきました。地元の飲食店が立ち並んでいて、若者でも気軽に行くことのできる場所だとうかがったので、フィールドワークの際にぜひ寄ってみたいと思います。さらに、「鳥刺し」と呼ばれる地鶏の刺身を教えていただきました。新鮮な鶏肉を生で食すという独特な食文化は、鹿児島県と宮崎県の一部にしかないそうです。
 さらに、鹿児島市内の源泉数は270以上と、大分県別府市に次いで多いそうです。鹿児島市で温泉というイメージはあまり強く持っていなかったので、その数に驚きました。一方、民泊で農業を体験したり、シーカヤックなどの体を動かしたりする体験型観光を促進し、リピーター獲得にも力を入れているそうです。今後のフィールドワークでは、鹿児島市の現在取り組んでいる観光にも目を向けて知識を広げ、新しい鹿児島市の姿を発見していこうと考えています。

火山に対する意識や温泉の身近さなど、地元の観光に対する意識を学んだ
 国際観光学部3年 小林 廉

 私たち森重ゼミは、9月5日(月)に大阪駅前第一ビルにある鹿児島県大阪事務所に行き、聞き取り調査を行いました。ゼミ活動のフィールドである鹿児島市について、観光の情報や観光に対する考え方などを調査しました。
 調査にあたっての質問事項については、事前にゼミ生で考え、電話とメールであらかじめ伝えていました。まず、それらの質問に対する回答をいただきました。具体的な内容では、現在鹿児島県がどのような考え方で観光を進めておられるのか、観光に出かける若者に対してどのような取り組みを行っているのかなどを尋ねました。その結果、鹿児島県としては奄美群島などの世界遺産をめざし、世界から観光客を誘致しようという考えを持っておられることがわかりました。また、鹿児島空港周辺にアウトレットモールやテーマパークを誘致することも視野に入れているとのことでした。若者の誘致に直接つながる対策や活動はないものの、アウトレットモールやテーマパークは若者にも重要であると感じました。
 次に、鹿児島市内でお勧めの観光地を教えていただきました。市内では動物園や水族館、さらに世界遺産でもある仙厳園などをあげていただきました。そして、一番のお勧めは桜島でした。地元住民の考えとしては、火山の噴火による危険や怖いといったマイナスのイメージを変えたいということでした。噴火もひとつの観光資源として捉えておられ、活火山と住民の共生や生活の一部であることを、もっと多くの人に知っていただきたいとのことでした。また、若者に対する具体的な活動については、若者に特化したものはないが、マラソンやSNSで芸能人とタイアップするという興味深いアイディアも出されました。さらに、スポーツ合宿として大学のサークルや部活の合宿も呼び込んでいるそうです。
 一方、鹿児島市は県庁所在地としては日本一の温泉数であり、温泉の情報についても教えていただきました。鹿児島市の温泉の多くは銭湯のような形式になっており、地元住民の生活に根付いています。気軽に温泉を利用できますが、観光客にはなかなかわかりづらくなっています。温泉と言うと温泉街をイメージする観光客が多いこともあり、鹿児島市は温泉のPRが不足しているということもわかりました。
 今回の調査で、私たちが事前に調べていたこと以上に、地元の方の目線から意見や情報をいただき、今まで知らなかった新しい知識を身につけることもできました。現地調査に行く前に、新しい情報や具体的な地元住民の観光に対する考えを聞くことができ、貴重な時間となりました。

聞き取り調査による新たな可能性の発見
 国際観光学部3年 西内拓史

 私たちは今、ゼミ活動で鹿児島市についての研究をしています。研究を進めるにあたり、今年3月に一度、鹿児島市にフィールドワークで訪れました。しかし、1泊2日のフィールドワークではわからないことがたくさんあり、研究テーマに沿った情報もなかなか見つからなかったため、もう一度鹿児島市でフィールドワークをすることにしました。今回のフィールドワークでは、前回のように有名な観光スポットを巡るのではなく、若者に対して魅力ある観光地を探すことにしたので、事前にこれらの情報を収集するため、9月5日に鹿児島県大阪事務所を訪れました。そこで職員の方々に質問をさせていただき、お話を聞かせていただきました。
 お話をうかがっている中で私が感じたことは、鹿児島県全体でとても積極的に観光客誘致の取り組みを行っていることです。新しい県知事になってから、知事のマニフェストに沿った「世界から集まる鹿児島」を目標に6つの取り組みを行っておられます。鹿児島県ではインバウンド客が増加していますが、まだ地方では効果が見えないということも教えていただきました。
 また、私たちは噴火という言葉を聞くと、少し身構えてしまいがちです。しかし、県民にとっては、天気予報で桜島上空の風向きが記されており、風向きと噴火の様子を見て、「今日は洗濯物を外に干すのはやめておこう」と考えるなど、噴火は「もう慣れた光景だ」と言うほど日常生活に溶け込んでいることがわかりました。こうした活火山と共存する街は、世界的に見ても大変珍しいそうです。しかし、メディアから発信されるニュースなどは、噴火に対するマイナスイメージの強いので、少し気になると仰っていました。危険という情報が発信されることは、観光地としても非常に痛手になるので、マイナスイメージの払拭が重要だと感じました。
 さらに、地元の方がよく行くおいしい店や行きつけの温泉などの情報についても教えていただきました。温泉の数が県庁所在地で一番多いということもあり、地元の方しか知らない温泉から有名な温泉まで、数多くの温泉を教えていただきました。発信できていないだけで、鹿児島市民の生活に馴染んでいて、観光客にとっても地元の方と触れ合う機会が得られるので、観光スポットとしても非常に良い資源となるのではないかと感じました。
 今回の聞き取り調査では、意義のあるお話をたくさん聞かせていただきました。特に鹿児島県民の噴火に対するイメージのお話をうかがい、噴火がもつマイナスイメージを払拭できれば、「世界でも珍しい活火山と共存する街」というコンセプトによって知名度を上げ、注目を集めることができ、観光客の誘致につながるのではないかと感じました。