経済学部のまちづくりパッケージでは、2回生と3回生で国内フィールドワーク実習が必須となっています。フィールドワークとは、現場に実際に訪れて、見たり、聞いたり、感じたりしたことを記録してまとめる調査方法です。また、最近ではインターネットの発達によって、そこに行かなくても風景を見たり、文章での説明を読んだりできますが、フィールドワークでは、現場の匂いや音、裸で感じた印象、または飲食店で味わったり、温泉に入ったり、和紙づくりや陶芸を体験したりすることも重要な調査となります。
 フィールドワーク実習では、事前調査、フィールドワーク、事後調査を行います。事前調査では、フィールドワークで何を調査するかということから先行研究を検討するだけでなく、現場の地図を見たり、公共交通機関の時刻表を確認したり、昼食をとる飲食店の目星をつけたりします。ほとんどの場合、フィールドワークでは現地集合・現地解散なので、自分で現場にたどり着くことが必須となるので、事前学習での現場の学習は大切です。
 事後調査では、フィールドワークで調査してきたことをまとめる作業を行います。インタビュー調査であれば聞いた話を文章にまとめたり、アンケート調査では結果を集計表に記入して結果のグラフを作成したりします。ほとんどの場合で、グループで結果をまとめてプレゼンしてもらいレポートとして提出します。また、事後学修ではフィールドワークの調査対象の関係者である方(市町村職員やNPO・企業の代表の方など)が参加して、学生のプレゼンを聞いていただける機会もあります。
 具体的なフィールドワークの内容としては、2021年度の2回生の合同フィールドワークを紹介したいと思います。今年度は、7月に「大和郡山市のまちあるき調査」と11月に「八尾市の藤原電子工業株式会社における実態調査」を実施しました。まちづくりパッケージでは、2回生でフィールドワークの基礎を学ぶために、合同で同じテーマのフィールドワークを実施します。

大和郡山市のまちあるき調査

 「まちあるき」とは、正式には「観察調査」という社会調査の方法の1つです。「まちあるき」は、フィールドワークとしては最も基本的な調査方法です。現場を、実際に訪れて歩いて見て回り、気になったところを写真に撮ったり、記録したりします。事前にある程度のルートは決めますが、その場の判断で変更してもかまいません。飲食店や小売店に立ち寄って、食べ歩きをしたりお土産を買ったりしてもそれは立派な調査となります。また、地元の人の話しを聞くなど交流できることもあります。たまたまその場を訪れた観光客からの話や様子を観察することも、よい調査となるでしょう。
 大和郡山でのフィールドワークの詳細は、以下のページをご覧ください。
 フィールドワーク実習として大和郡山市でまちあるきを実施しました

八尾市の藤原電子工業株式会社における実態調査

 この調査では、大阪府八尾市にある藤原電子工業株式会社の本社工場に訪問して、代表の方のお話を聞いたり、工場の現場見学をしたり、従業員の方へのインタビューを行いました。インタビュー調査は、対象者の話を聞いたり、質問したりして関係当事者から調査対象についての事実を明らかにする調査方法です。一般的なインタビュー調査では、事前に調査対象についての質問を用意しておいてから実施します。ただ、アンケート調査とは異なり、話しの流れや現場の雰囲気や新たな発見によって、臨機応変に質問内容が変更できます。
 詳細は、以下のページをご覧ください。
 櫻井ゼミ「八尾市のものづくり中小企業の現場で企業の戦略を学びました」
 豆本ゼミ「八尾市の藤原電子工業でものづくり中小企業の現場を学ぶ」

他年度のフィールドワークの様子

  • 羽曳野市道の駅で アンケート調査を実施

  • 和歌山県かつらぎ町のイベントで「はぴなん」で盛上げる

  • 吉野町で吉野杉の間伐作業体験

  • 吉野町で紙漉き体験

  • 尼崎市の商店街ハロウィンイベントのお手伝い

 フィールドワークによる調査方法は、他にもアンケート調査やドキュメント調査があります。調査の内容や対象によって使い分けるので、必要に応じて実際にやりながら学んでいけることがこのパッケージの特徴です。フィールドワークは、ゼミや年度によって実施する内容が異なりますので、いろんな事を体験して学生は成長し、社会へ出てからのスキルとして活用することができるでしょう。