知らない世界を身近に感じる-異文化理解入門

国際観光学部准教授 渡辺和之

 この授業の目的は異文化への関心を育むことです。国際観光学部に来る学生のなかには、海外に関心を持つ積極的な学生が少なくありません。ただ、そんな人でも、「インドやバングラデシュにゆくと、カレーを手で食べます。君はできる?」と聞くと、「え?」と、少したじろいでしまうことが多いです(下写真左)。無理もありません。日本では手で食べることをためらう人の方が圧倒的に多いのです。おにぎりは手で食べるくせにです(下写真右)。
 異文化を学ぶためには、異文化と自文化の同じ部分を見つけるのが近道です。異文化を目の前にすると、共通する部分よりも、違いの方が先に目につきます。でも、日本にも手で食べる文化があることに気づくと、違いは表面的であることに気づきます。おにぎりを手で食べることだって、当たり前ではありません。欧米人のなかには、「ご飯を手で握るのは不衛生だ」という人もいます。パンは手で食べる癖にです。表面的には違うけど、根底では同じなのです。そう考えることが、異文化を学ぶ上で重要なのです。
 今年はコロナの影響で、海外に渡航することが難しくなりました。しかし、私は身近な地域を知るよい機会と思っています。日本でも海外でも、ある文化を知るためには、何かのテーマについて学ぶことが重要です。というのも、それらのテーマを突き詰めると、共通する部分が見えて来るからです。たとえば、私はネパールで茅葺屋根(かやぶきやね)をふき替える所を見て、日本の白川郷(しらかわごう)と同じやり方だと思ったことがあります。日本で学んだことは海外のことを調べる時も必ず役に立つのです。
 突き詰めると、世界はまったく同じではありませんが、そんなに大きくは変わりません。基本は同じとわかると、文化の違いにも関心がわいてきます。今できることをしっかりと調べることが、コロナ収束後に世界を理解する時の鍵となります。もちろん、海外渡航が解禁になったら、すぐに調査へ行こうと、私自身は思っています。
  • バングラデシュの魚料理

  • 日本のおにぎり

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