コロナ禍に想う カヌレと飲食店の行く末-国際観光学特講7(地域データ分析)

国際観光学部准教授 長谷川明彦

 現在、多くの大学でオンラインを利用した授業が行われています。手元のパソコンで出席確認をし、挙手機能を利用して学生の反応を探りつつ、黒板やホワイトボードの代わりにWordを映し出し、時としてチャット機能を利用した意見交換を行います。1コマ90分の授業を終えると、教室で授業を行っていた頃よりも大きな疲労を感じます。
 コロナ禍以降、その疲れを癒す目的で散歩に出かけることが多くなりました。定番となった散歩コースの途中には、カヌレを販売している露店があり、ついつい買ってしまうのですが、外側はパリッと香ばしく、内側はしっとりとしたフレンチトーストのような不思議な食感の魅力に嵌りました。販売員の方に話を伺うと、露店での販売はコロナ禍以降に始めたといいます。
 仕事で疲れた心身を癒してくれるカフェ、家族連れで少し贅沢をと訪れるレストラン。しかし、今や気軽に店内に立ち入ることができなくなってしまいました。それでなくても飲食店業界は新規参入が多く、立地だけなく、消費者の嗜好やテレビや雑誌での紹介をきっかけに売上が大きく左右されます。生き残りが激しい業界と言われ、今はコロナ禍の影響を受けて、存亡の危機に瀕している事業者も多いと聞きます。
 国際観光学特講7(地域データ分析)の授業では、こうした飲食店データを地図上に表示させ、具体的にどれ程の影響が出ているのかを可視化するといったことなどを演習形式で学んでもらいます。
 2020年8月2日現在、コロナ禍が問題視される以前に存在していた飲食店のうち、梅田駅周辺では16.3%程、なんば駅周辺では16.9%程が飲食店の検索サイトから消えてしまいました。 
 しかし、その一方で、ある洋菓子メーカーの調査によると、休校やテレワークにより自宅で過ごす時間が増えたことで、おやつの回数が増えた人も多いそうです。つまり、コロナ禍にあっても一定程度の需要はあるという証左であり、私のように散歩途中の衝動買いを含め、持ち帰り、宅配、通販にシフトする動きが、今後益々加速していくのかもしれませんね。
  • カヌレ販売店

  • カヌレ

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