未来の観光産業人材育成へむけて-観光経営学

国際観光学部教授 福本賢太

 21世紀以降、我が国は観光立国への道を歩みはじめ、堅調なインバウンド(訪日外国人旅行者)需要に支えられた観光事業者(旅行業、航空業、宿泊業、テーマパーク業、鉄道業他)・観光地経営事業者(DMO、DMC)は成長産業に位置付けられ、将来に渡る日本経済への貢献を期待されてきました。
 しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「移動制限」は観光に関わる諸事業者の経営環境を激変させ、更には経済状況(所得の減少、雇用環境の悪化他)・消費者心理(三密の回避、市中内感染の拡大他)の悪化と重なり、旅行・観光需要の回復は時間を要する様相にあります。この需要低迷期を耐え忍びつつ、業態変容への努力を重ね続けた事業者は、近い将来、再び日本経済を支える成長産業の座へ復活することを信じています。
 Society5.0時代(「仮想空間+現実空間」の融合社会)の到来を見据え、『観光型MaaS』(モビリティ・アズ・ア・サービス)による地域活性化、『JTB TaaS』(ツーリズム・アズ・ア・サ-ビス)によるトータルコンテンツプラットフォーム構想他、観光事業者は次世代へむけた新たな動きを見せはじめています。人工知能(AI)をはじめとする多様なテクノロジーの出現は、既存観光事業者の経営課題を解決(需要の創出・生産性の向上等)、又新たな社会的価値を創造する事業者への変容を導くものと考えます。
 国際観光学部の『観光の学び』の特徴は、「観光文化」「観光計画」そして「観光事業」という3つの分野の探求と実践です。観光経営学の授業は、「観光事業」分野への学びの第一歩です。経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の役割や有効な活用法等の経営学領域に関する基礎知識や理論概要、観光事業者のビジネスモデルや有する特性等を学びます。観光産業史上かつてない試練に直面する観光事業者、その行方、その変容を捉え、次世代を担い得る、未来の観光産業人材の育成へ貢献していきたいと考えています。
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