2019.3.22

経営情報学部学生広報誌「じぇむ」no.18 田上ゼミプロジェクションマッピングチームの中心メンバー入江香奈美さん

文:田辺千夏 写真:山本あづさ


 今回、4回生の入江香奈美さんに取材させてもらいました。入江さんは田上ゼミのプロジェクションマッピングチームの中心メンバーです。

楽曲もキャラクターもオリジナルのプロジェクションマッピングを制作

——:プロジェクションマッピングと映画の違いを教えてください。
入江:映画であれば、フィルムと平面のスクリーンさえあればどこでも投影できます。でも、プロジェクションマッピングは事前に投影する物体の写真を撮り、その写真に合わせて映像を作っているので、決められた場所・角度でないと制作者の狙い通りに映りません。また、映画にはできない表現として、止まっているはずの物体が動いているように見せることができます。例えば、ビルに映像を投影するとき、閉まっている窓を映像で開く描写をすることで動きを付けることができます。
——:プロジェクションマッピングにはどんな準備が必要なのですか?
入江:作品を作る前にどういうオブジェクトに投影するのか、どこにプロジェクターを置くのかという調査が必要で、事前に3回現地に赴きます。一回目は依頼主様との打ち合わせで、電源の確保、どこに映すのか、何が必要なのかというお話をし、撮影オブジェクトの写真も撮ります。二回目に実際に機材を置いて光が通るのか、配線が通るのかを確認します。三回目が投影前日で足場の組み立てをして機材を設置し、建物に光が届くのかを確認します。
——:プロジェクションマッピングのコンセプトは誰が考えるのですか?
入江:コンセプトは依頼主様から指定される場合もあれば、田上ゼミにコンセプトを任される場合もあります。
——:田上ゼミプロジェクションマッピングチーム内の役割分担を教えてください。
入江:大きく分けてコンテンツ班、組み立て班、交渉班に分かれています。
——:その中で、入江さんはどんな役割を担当しておられますか?
入江:私はコンテンツ班の中で映像担当をしています。
——:田上ゼミのプロジェクションマッピングで使われているCGを作るのに、どんなソフトを使っているのですか?
入江:私たちは主に2DCGを使用して平面の映像を作っています。アドビイラストレーターやアドビフォトショップなどを使用しています。
——:プロジェクションマッピングで使われている音楽は既存の楽曲を使っているのですか?
入江:卒業式・入学式プロジェクションマッピングのオープニングのクラシック曲を除いて、既存の楽曲は一切使っていません。全てオリジナルで作成しています。
——:楽曲は誰が作曲しているのですか?
入江:コンテンツ班は、さらに映像班と音楽班に分かれており、音楽班が各自で作曲しています。
——:田上ゼミではプロジェクションマッピングの楽曲を制作するのにどんなソフトを使っていますか?
入江:私は映像担当なのでソフトはわからないのですが、スマホのアプリで制作している人もいれば、パソコンで制作している人もいます。
——:プロジェクションマッピングでキャラクターが映し出されることがありますが、既成のキャラクターを使っているのですか?
入江:基本的にオリジナルのキャラクターですが、依頼主様のマスコットキャラクターがある場合はそれを使うこともあります。例えば、松原徳洲会病院でのプロジェクションマッピングで使用したウサギや雪だるまはメンバーそれぞれのオリジナルで、手描きで作成しました。まつばらテラス(注:松原市の施設)でのプロジェクションマッピングでは松原市のメインキャラクターのマッキーちゃんを使用しました。
担当教員注:
市販の楽曲や既成のキャラクターを許可なく使用すると、著作権や商標権を侵害する恐れがあります。
——: 1作品作るのにどれくらいの期間がかかるのですか?
入江:個人の作成した映像や音楽を田上先生が集めて編集し、一つの映像にするので完成形まで最低3か月かかります。長くて半年かかったこともありました(笑)。
——:ゼミ生が作成した音楽やキャラクターがボツになることはあるのですか?
入江:ないです。田上先生はゼミ生が作ったものを全部使うので、ボツになるものはないです。
——:作品を作るにあたって難しかったり、大変なことは何ですか?
入江:1から映像を作るので何も思い浮かばず想像がつかない時や、思い浮かんでいるのにどうやって映像を作ったらいいのかわからないところで難しいと感じますね。
——:田上ゼミで入江さんが関わったプロジェクションマッピングを教えてください。
入江:2017年度から全ての作品に関わっています。
——:プロジェクションマッピング投影の当日、入江さんはどんな役割をしておられますか?
入江:私は、作った映像を建物に合わせるマッパーという仕事を担当しています。
——:マッパーは難しい作業なのですか?
入江:とても難しいです。プロジェクションマッピングチームの中でも3人くらいしかできません。
——:作成中や投影中での失敗やトラブルはありましたか?
入江:あります(笑)。最近のであれば、松原徳洲会病院のクリスマスプロジェクションマッピングで配線の接触不具合のため、スピーカーに音楽が出力されず、映像も投影されなくなって急遽徳洲会のケーブルをお借りすることになりました。

兄妹で経営情報学部の田上ゼミ!

——:次に入江さんについてお聞きします。
阪南大学に入学した理由、経営情報学部に入学した理由を教えてください。
入江:私の兄が阪南大学経営情報学部出身で、田上ゼミでCGを作っていました。私も兄みたいな作品を作りたいと思い阪南大学に入学しました。
——:じゃあ、田上ゼミに入るために阪南大学に入学したのですね。
入江:そうですね。
担当教員注:阪南大学には、親または兄弟姉妹が卒業・在学している方が専願制入試で合格した場合、入学金が免除となる「卒業生・在学生家族優遇制度」があります。利用する場合は、事前に入試広報課にお問い合わせください。
——:入試区分を教えてください。
入江:女子学生特別推薦です。
——:出身校を教えてください。
入江:あべの翔学高等学校です。
——:アルバイトは何かやっておられましたか?
入江:SAをしていました。
——:SAというのはどんなことをするのですか?
入江:SAというのはスチューデントアシスタントの略称で、授業中に先生の補助をします。また、困っている学生を積極的に教えています。
——:どんな科目のSAをしておられましたか?
入江:報処理入門、情報処理応用、マルチメディア入門のSAをしていました。
——:何か資格は取りましたか?
入江:大学の授業を受けて取れる資格としては、高等学校「情報」の教員免許と、司書教諭と、司書の資格を取りました。それ以外に、ドローンパイロットの免許や秘書検定2級を取りました。
担当教員注:経営情報学部で取得可能な資格はこちらをご覧下さい。
——:ゼミの中では田上先生はどんな感じですか?
入江:私たちは「たがみん」呼んでいます(笑)。あと、似顔絵を描いたら怒られました(笑)。
——:プロジェクションマッピングに取り組むにあたって、役にたった科目はありますか?
入江:マルチメディア入門・マルチメディア論・マルチメディア演習・マルチメディア制作1と2です。
——:田上ゼミではプロジェクションマッピング以外のことにも取り組んでいますか?
入江:ドローンパイロットの資格を取る活動を行っています。田上ゼミで希望者を募って、休みに2日間の講習を受けに行き、私はそこでドローンパイロットの資格を取りました。
——:田上ゼミでどんなことを学びましたか?
入江:地域連携活動を通じての人とのつながりの大切さを学びましたし、いろんな人たちとお話しする機会が多くなりコミュニケーション能力が上がって、友達が多くなりました。
担当教員注:田上ゼミのプロジェクションマッピングは、阪南大学の地域連携・社会連携活動の一つです。
——:卒業後の進路を教えてください。
入江:阪南大学の大学院に進学します。
——:研究など大変だと思います。頑張ってください。応援しています。

取材を終えて

 私は今回が初めての取材でとても緊張しました。田上ゼミでプロジェクションマッピングの活動をし、たくさんの資格を取得なさった入江さんを尊敬しました。私も大学で実績を残せれるように頑張りたいと思いました。たくさんのお話を聞けて良かったです。入江さん、ありがとうございました。
田辺千夏


 私は入江さんとは一回生の時からの友人で、プロジェクションマッピングのお話は良く聴いていたのですが、より深くお聴きできてよかったです。取材中は少し緊張気味の入江さんでしたが、和やかな雰囲気で取材ができ、入江さんのゼミでの活躍の様子を知ることができました。大学院での活躍も期待しています!お忙しい中、取材にご協力いただきましてありがとうございました。
山本あづさ

ゼミ指導教員より

 入江さんはご本人も言っているようにお兄さんともども田上ゼミ生です。お兄さんと妹さんが田上ゼミというのは2組目で、指導教員としてはうれしい限りです。
 入江さんはCGのセンスが抜群で、繊細でファンタジックな表現を得意としていますが、現場でのマッピング技術にも定評があり、田上ゼミ第2期プロジェクションマッピングチームになくてはならない存在であったと思います。大学院に進学してもきっと活躍されることと期待しています。
田上博司
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