ゼミ3年生が吹田浜屋敷で報告会

 2018年3月25日に、吹田市浜屋敷の吹田歴史文化まちづくり協会において2017年度のキャリアゼミ活動報告会を行いました。学生が1年間に実施した調査研究のまとめを吹田まち案内人を含むまちづくり協会の方々に向かって発表するというものです。今回は、2年目ということで、発表内容にまとまりと深みが生まれているというまちづくり協会理事からのコメントもいただきました。さらに、質疑応答では突っ込んだ議論がなされ、発表した3年生だけでなく、2、3年生で参加した学生にとって、フットパスやまちづくりというテーマでより多くのことを考えるきっかけになったようです。ここでは、発表者代表1名と参加学生2名の感想と考えたことを報告します。

フットパス活動報告会in浜屋敷
 4年生 上村 瞳

 3月25日、私たちは吹田市浜屋敷にて、吹田まち案内人の方に向けて1年間の報告会を行いました。私たちがフットパスの調査活動を行ったイギリス、カナダ、兵庫県但東町、大阪府吹田市の4つの地域について報告しました。
 私たちの発表テーマは、「 ‘フットパスを歩くこと’ と ‘観光’ の違い」「フットパスによるまちづくりは経済効果を高めるのか」「観光資源としてのフットパスというあり方」です。イギリス、カナダのどちらの地域も地元民や観光客など多くの人がフットパスのコースを利用しており、フットパスを目的に訪れる観光客も多いことがわかりました。現地の人々の自然保護意識が高いため、自然を保つことができ、さらに保全された自然資源が集客につながります。集客により資金が集まり、フットパス、トレイルの環境が整うという循環がわかりました。
 兵庫県但東町では、現地の人々が町の景観、歴史や文化などの地域資源を町の魅力として、再確認する必要があることを感じました。さらに、住民が町の魅力を活かしたフットパスをつくることによって、歩く人が増え、この地域でしかできない体験をすることで地域の良さを伝えることができると考えました。
 吹田の南千里、神崎川、緑地公園の3コースでは、自然が豊かで緑が多いということが最も印象に残っています。休憩スポットがあまりなかったことやトイレが少なかったことは歩くうえでの改善点としてあげました。そして、まち案内人の方々は吹田の良さを誇らしく思っていることがわかり、観光客に来てもらいたいというよりも、地域の人々に吹田の良さを知ってもらい地元の人々にも誇りに思ってほしいのではないかと思いました。
 これらを報告したところ、海外の事例については①フットパスのコースを歩くために費用はかかるのか ②フットパスは個人で楽しむのか、団体で楽しむのかといった質問が参加者からでました。日本の事例については③但東町でフットパスつくりの活動をすることに決めたのはなぜか、という質問が挙げられました。①の質問については、コースを歩くために費用はかからず、楽しむことができるため、現地の人も気軽に楽しめるという利点を伝えました。②カナダでもイギリスでも、個人でも団体でも自由に楽しむことが出来ます。③塩路先生が調査で但東町を訪れた際、但馬観光局が但東町をフットパスで盛り上げていきたいということを知り、ゼミ生も含め但東町を調査することにしたという経緯を知りました。
 浜屋敷での報告や吹田まち案内人の方々との意見交換を通して、その地域でフットパス活動を行い、観光客に訪れてもらい地域活性化に繋げようとすることや、地域の良さをその地元の人々に知ってもらい自分の住む地域を誇りに思ってほしいなど、フットパスといっても、地域によってその目的に関する認識の違いがあることがわかりました。

フットパスの課題及び改善点
 4年生 平 大貴

 今回の4回生によるゼミ報告会は3回生の時に留学に行っていた自分にとって留学中のゼミ活動をイメージさせる良い経験になりました。塩路ゼミではフットパスによる地域活性というテーマの元研究を行っており、話によると現在の4回生は3回生の際にフットパスの発祥の地であるイギリスをはじめカナダ、日本の兵庫県などで現地調査を行なったということでした。
 調査の内容は、実際にフットパスのコースを自らの足で歩き、問題点を洗い出し、解決策を出すというものでした。そもそもフットパスの定義というものは、地域の人々と触れ合いながら自然道を歩き、その道中で何らかの形でお金を使ってもらうことで地域を活性化するだけでなく、その地域に人が集まることで地域の人々が自分たちの住んでいる地域の魅力を再発見でき、地域をより良くしようという気持ちになってもらうというものです。
 調査の結果としては、海外に比べ日本はフットパスが浸透していないためか、トイレが汚いことや、レストランがない、道が悪いなどのフットパスによる地域振興を行う町として致命的な問題点があがりました。これでは集客が見込めないどころかお金を落としてくれる場所もなく、ただ地域の人々との会話を楽しむ場になってしまいます。しかし、これらのフットパスが整備されていないのはそもそもその地域の人々が整備するに見合った魅力、価値がないと思っているからだと私は考えました。実際にフットパスの道中に施設を建設するのには莫大な資金が必要であり地域住民の協力がなくてはできるものではありません。そのためまずは地域住民にフットパスによるメリット、成功事例などを発表する場を設け納得してもらうことが必要であると思います。結果、地域住民を納得させることに成功すれば、まだ日本では数少ないフットパスでの地域活性化が成功するのではないかと感じました。
 もし私が地元の山形県米沢市でフットパスによる観光を始める場合は、米沢は上杉の城下町ということもあり沢山の歴史的建造物、また八種類の温泉があるので、それらの観光資源を使いフットパスのルートを作りたいと思います。しかし、それらの観光資源は歩いて回れる距離にあるわけではないので、様々なコースを作ることで観光客に好きなコースを選んでもらうという手法で地域を売り込みたいと思います。米沢も多くの観光客が来ているというわけではないので、地域の人々の理解を得る必要があります。しかし、兵庫県の事例に比べると、米沢の人々は自分の地域に誇りを持っている人が多い気がします。そのためそれほど理解を得るのは難しいわけではないと思います。
 今回私は浜屋敷でのゼミの活動報告会を聞いて、フットパスについて理解をより深めることができ、フットパスによる観光的なメリットは沢山あるが、地域によっては課題も多いことがわかりました。これからはこの課題の打開策を考えていきたいです。

浜屋敷での報告会
 3年生 三枝 寛和

 3月25日、吹田歴史文化まちづくりセンター浜屋敷にて、塩路ゼミ3回生による活動報告会がありました。私も2回生ながらその場に同席し、先輩方の発表を見聞きしました。
 その発表は「観光とフットパスの違い」を日本と海外それぞれの事例から説明した内容のものでした。イギリスやカナダでは日本よりもフットパスが浸透しており、フットパスによる観光客が訪れることで、地域への経済効果や自然環境への保護意識が生まれていることを知りました。特にイギリスにはその至る所にフットパスのコースがあり、その多様性や難易度によってコースを選択できるという点は興味深く感じました。日本の事例では、兵庫県の但東町や吹田市にフットパスのコースがあり、その地域では住民たちが町の魅力を発信しようと励んでいることがわかりました。フットパスは、歩くことで自然や景観、人々との交流を楽しむものです。地域が観光化されるわけではなく、フットパス観光客によって地域の活性化へと繋がります。等身大の町の姿やその魅力、地域住民との交流をじっくりと楽しんでもらえるフットパスに、改めて関心を持ちました。
 活動報告に際して吹田まち案内人の方々から貴重なご意見やコメントをいただきました。そのご意見を参考にさせていただきながら、今後は私たち新3回生が先輩方の活動を引き継ぎ、フットパスをテーマに活動していきます。「西吹田駅(仮称)」が建設中であるなど、吹田市もどんどんと変化しているようで、新しい地域資源を発掘していきたいと考えています。私たち若者の目線、地域外からの視座によって新たな発見ができるかもしれません。課題もあるかとは思いますが、解決策を考えながら、吹田市の魅力を再発見してもらえるようなフットパスのコースを考えていければと思います。また、但東町での活動にも、今後関わっていきたいと思います。
 今回の活動報告会に参加して、これからの自分たちのゼミ活動がより楽しみになりました。1年後、今度は私たちが先輩方のように上手く発表できるよう、努力していきたいと思います。

塩路ゼミにおける最近のキャリアゼミ活動一覧