2023.2.13

尾道市役所に1年間の取り組みの成果を報告しました

尾道市役所に1年間の取り組みの成果を報告しました

オンラインでしまなみ海道での調査成果を伝え、意見交換を行いました

 今年度の森重ゼミ3年生は、広島県尾道市のしまなみ海道を調査対象地に選定し、観光客の島での滞在時間を延ばす方策の検討を進めてきました。これまで2度の現地調査とオンラインによる聞き取り調査を実施し、宿泊施設のPR方策とサイクリングコースの提案をまとめました。宿泊施設のPR方策は、より積極的にPRするためのインスタグラムの活用や若者が関心を持つような動画を提案しました。また、サイクリングコースは、初心者のサイクリストがゆっくりと島を巡ることができるよう、マップに掲載する情報に工夫を凝らしました。
 これらの取り組みの成果を現地に還元する目的で、2月1日(水)に尾道市観光課に向けてオンラインによる成果報告会を開催しました。当日は尾道市役所の川本さまに2つの提案を行うとともに、モデルとして作成したPR動画もご覧いただきました。その後、川本さまから、学生はどのような手段で旅先の情報を得ているのか、SNSを使わないと答えた学生は何を使っているのか、なぜSNSを使わないのか、サイクリングに関心のない観光客にしまなみ海道の魅力を伝えるにはどのようなことが必要かなど、さまざまなご質問をいただき、活発な意見交換ができました。ゼミ3年生は1年間の取り組みの成果を報告でき、満足した様子でした。
 お忙しい中、成果報告の機会を設けていただき、意見交換させていただいた尾道市観光課の川本さまに改めて心より御礼申し上げます。以下で、当日の様子を参加したゼミ生が報告します。(森重昌之)

当日の成果報告会の様子

  • ゼミ生による成果報告の様子

  • ゼミ生による成果報告の様子

  • 尾道市役所職員との意見交換の様子

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参加したゼミ生の報告

1年間のゼミ活動で得たこと
 国際観光学部3年 磯田圭吾

 私たち3年生は、これまでのしまなみ海道のゼミ活動の総括として、尾道市役所への成果報告会を実施しました。ここでは、前回のオンライン会議で発見したことをもとに、2回目のフィールドワークを実施し、そこで発見した新たな観光の形を私たち大学生の目線で考察し、尾道市の観光客増加や新たな魅力の発掘に貢献できるよう、ゼミ活動の総括として提案しました。
 私たち11期生は最初、調査地選定でさまざまな候補地があがり、調査地選定に難航していました。それぞれの候補地でフィールドワークを行う理由や調査内容がしっかりしていたことも、難航した大きな理由です。最終的に、広島県尾道市のしまなみ海道を調査地として、ゼミ活動を開始しました。
 最初のフィールドワークでは、サイクリストなどの通過型観光客が多いと考えていましたが、サイクリスト以外の観光客も少なくないことがわかりました。また、自治体が策定している観光振興計画なども参考にしながら、しまなみ海道の観光の課題を精査していきました。はじめは、なかなか課題を見つけることが難しく、私たち大学生ができる観光資源の発掘、提案はあるのだろうかと行き詰まり、停滞した時期がありましたが、若者が観光で活用するSNSでの情報発信をメインに、しまなみ海道の課題を見つけ、国際観光学部としてこれからの提案を考察しました。
 そして、最終的に大きく分けて2点の提案をしました。1つ目は、宿泊施設のPR方法の提案です。これはインスタグラムなどのSNSを利用した情報発信の提案で、例としてショート動画を作成しました。これにより、宿泊施設の情報を手軽に知ることができるため、観光客の情報をより見つけやすくなります。2つ目は、新たなサイクリスト獲得のために、初心者用サイクリングコースを観光マップとしてつくることです。観光客は事前に情報を得ることができ、さらに尾道市の大きな魅力であるしまなみ海道をより多くの人に知ってもらう機会になると考えたからです。
 報告会当日、私たちはこのゼミ活動の総括として午前中から集まり、より良いものになるよう最終調整を行い、備えました。前回もそうでしたが、行政の方との話し合いは緊張感があり、正直不安もありましたが、報告会は良い形で終わったと感じました。1つ目の提案では、若者目線の意見をこれからにつなげるための参考にしてくださる旨の意見を言ってくださいました。また、2つ目の提案では、現在しまなみ海道内の正規ルートであるブルーラインとは別に、島内を巡るラインを設置されているという情報を知り、その発信材料として参考にしたい旨のご意見をいただきました。これまでの調査がきれいに終わり、安心しました。
 最初はとても不安が多いゼミ活動でしたが、結果的に観光学として意味がある活動ができたと強く感じました。同時に観光は奥が深く、難しいと感じましたが、大きな達成感も得られました。また、重要なことはゼミ生みんなで話し合い、課題の共有がこのゼミ活動ではカギでした。私自身も協調性に欠けていた部分があり、ゼミ活動を通じて解決していき、1人の人間としても成長できたと思います。最後にお時間をつくっていただいた尾道市役所の皆さまに感謝申し上げます。ゼミのみんなもこの1年いろいろなことがありましたが、お疲れ様でした。

想像力を得る機会になったフィールドワーク
 国際観光学部3年 藤井前

 今回、私たちはしまなみ海道の2回目のフィールドワークを終えて、宿泊施設のPRと新しいサイクリングコースを提案するため、尾道市役所の方と2回目のZOOM会議を行いました。
 具体的な宿泊施設のPR方法として、SNSを利用することで、低コストで幅広い世代に宿泊施設を認知してもらうことにつながると考えました。インスタグラムを使う際に意識したポイントとして、画像の中に情報を簡潔に書き込む、1枚目に1番見せたい画像を掲載することがあげられます。一方、動画では並行になるように撮る、景色を映す、部屋の魅力がわかるようにすることをポイントにしました。宿泊施設のPR方法のまとめとして、魅力を知る宿主が情報発信できることが重要であり、それによって魅力や正確な情報が発信できます。また、情報発信方法を簡単にすることで永続性を見込め、その主なツールとしてインスタグラムやTIKTOKなどを利用し、情報発信を行い、観光客がそれを閲覧することで魅力が伝わり、宿泊客の増加につながるのではないかと考えました。
 次に、サイクリングコースの提案では、1回目のフィールドワークで決定した新たなサイクリングコースの提案をもとに、実際に自分たちで作成したサイクリングコースをサイクリング初心者である自分たちで周りました。それにより、初心者にとって不便に感じる場所や不安を感じるものに気づき、新たにサイクリング初心者の顧客を生むことにつながると考えました。マップ作成の際に意識したポイントは、島によって少し異なります。尾道市街からやや遠い生口島では、島でサイクリングを長時間楽しんでもらうことをポイントに説明しました。自分が今何キロ地点にいるかを記載することで不安をなくすほか、お手洗いの場所を記載することで、女性でも安心してサイクリングを楽しんでもらえるよう意識しました。一方、向島では尾道市街から近い島を意識しました。1つ目は、写真映えするスポットを記載し、立ち寄ってもらう機会を増やしました。もう1つは、自転車以外の移動手段を記載することで、体力に自信がない方でも安心して島を周ることができ、来島者を増やす可能性を説明しました。
 この2つを提案した後、市役所の方と話し合い、SNSを使った宿のPRやサイクリングコースでの初心者に向けた工夫など、取り入れられる部分を伝え、また市役所の方からは私たちのような若者が旅行に行く際に利用するツールなどを尋ねられました。
 ZOOM会議を振り返り、金銭面や時間の都合上、自分たちが直接的に島の利益の増加につながることはできませんでしたが、手段や方法によって島に利益を還元できる実感を持てたZOOM会議となりました。また、実際にフィールドワークを行い、現地で自ら課題を見つけることによって、観察力や現地の人の立場になって考える想像力と、多くのことを得たフィールドワークとなりました。