新たな観光資源の発掘に向け、生口島、大三島を巡りました

 5月20~21日、森重ゼミでは下見を兼ねてしまなみ海道で現地調査を実施しました。調査1日目の天候は曇りでしたが、2日目は晴れ間も見え、特に展望台や海からの景色はなかなかのものでした。同時に、観光資源の魅力が天候に大きく左右されることも実感できました。また、現地調査に当たってはインターネットなどで事前調査を行っていましたが、インターネットだけではわからない現地の様子も体感できました。今後は現地調査の結果をとりまとめ、夏季休暇に予定している本調査に生かしていく予定です。
 前回はしまなみ海道が通っている4つの島の様子をゼミ生が紹介しましたが、今回は生口島と大三島での調査の様子を紹介します。(森重昌之)

当日のフィールドワークの様子

  • 耕三寺での調査の様子

  • 未来心の丘

  • 杭谷一東さんの話を聞くゼミ生

  • 立石展望台からの眺望

  • 「果輪弥」の店内の様子

  • 多々羅大橋の写真撮影スポット

  • 大三島・ビーチへ行く途中の海の様子

  • 調査で見つけた大三島近くのビーチ

  • 参加したゼミ生で記念撮影

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参加したゼミ生の報告

本調査につながった下見のフィールドワーク
 国際観光学部3年 黒葛原大珠

 私たちは5月20~21日に、広島県と愛媛県を結ぶしまなみ海道へフィールドワークの下見へ行きました。この下見の目的は、現地の様子を実際に肌で感じるために行いました。そこで、私は2日目の午前に行った生口島の耕三寺とその敷地内にある未来心の丘、立石展望台の様子について報告します。
 朝10時過ぎ、宿泊先を出発し、スマートフォンのナビアプリを使って耕三寺へ向かいました。しかし、私たちが案内された場所は耕三寺の裏手であり、引き返そうとしていた時に出会ったのは、その土地で作業をされていた杭谷一東さんでした。お話をうかがったところ、杭谷さんはなんと未来心の丘を実際に制作した彫刻家であり、とても驚きました。未来心の丘の大理石はイタリア産のものを使用しているとお聞きし、より一層期待が高まりました。
 10時30分過ぎ、耕三寺の山門へ到着しました。私の中での寺のイメージは、建築物が古く、暗い色だったのですが、耕三寺は色鮮やかで、建築物が比較的新しいことが印象的でした。耕三寺は寺全体が登録博物館となっており、実際に建築物の中に入って資料などを見ることができました。他の観光客は年配の方々が多く、やはり寺はあまり若者向けではないのかなと思いました。
 次に、耕三寺の敷地内にある未来心の丘へ向かいました。私たちは下調べの際、この未来心の丘がしまなみ海道での一番の観光スポットではないかと考えていました。実際に現地に到着すると、真っ白な空間が広がっており、本当にギリシャにでも来たかとのような感覚になりました。耕三寺と未来心の丘の世界観の違いもあって、おもしろいと思いました。標高も高く、景色もとても綺麗で、エレベーターも設置されており、観光客に優しい場所だと思いました。未来心の丘にはおしゃれなカフェもあり、どこを切り取ってもSNS映えすると感じました。しかし、未来心の丘でも観光客は年配の方が多く、私が思っていたほど若者の観光客はいませんでした。
 次に立石展望台へ向かいました。山道に入ると看板が立てられており、案内は良かったのですが、道が狭く、駐車場もありませんでした。展望台に着くと、そこからの景色は草木が生い茂っており、あまり綺麗に見ることができませんでした。観光客も私たち以外にはおらず、アクセスもあまり良くないので、観光スポットにはなりづらいと思いました。
 今回のフィールドワークの下見を通して、現地の様子を知るという目的は達成できたのではないかと思います。しかし、計画通りに観光スポットを周ることができなかったほか、新たな資源を発掘することもできませんでした。しかし、耕三寺付近は商店街などがあって栄えているように感じたことや、立石展望台のように観光スポットにしづらい場所があることなど、本番の調査に活かせる情報は手に入れることができました。

大三島のカフェで学んだサイクリストの行動
 国際観光学部3年 井上友音

 私たちは5月20、21日に、しまなみ海道の島々でフィールドワークを行いました。このフィールドワークの目的は、しまなみ海道に来るサイクリスト以外の観光客を呼び込むために、新たな観光資源を発見・発掘することです。このフィールドワークを行うにあたって、まず事前調査を行いました。ゼミ生の中で各島の担当者を決め、今ある観光スポットやインターネットに掲載されている各島の雰囲気などを調べました。そして、それらのスポットをピックアップし、フィールドワークで訪れる場所を決定しました。それらの中から、私は大三島を訪れた際の発見をいくつか紹介します。
 大三島に着いて最初に立石展望台を訪れましたが、さらなる資源の発見のため、私たちは島の南へと向かいました。まず、事前調査でピックアップしていた「歩歩海(ブブカ)」というカフェに向かいました。海に面した道路沿いにあり、海を眺めながらランチができることが魅力のカフェです。カフェは古民家のような雰囲気で、サイクリストが休息している様子も見られました。テイクアウトはドリンクのみでしたが、メニューの中には大三島産のレモンやミカンを使用したドリンクがあり、この地域ならではの味を堪能できました。写真で見た景色よりも、綺麗な海とそれに合う美味しいドリンクでした。
 その後、今度は島の北に向かう道中で、道沿いにあった看板に惹かれ、「果輪弥(かりんや)」に訪れました。瀬戸内レモンを使用した手づくりレモンコーディアル専門店で、とても素敵な外観と店内でした。コーディアルとは、ハーブや果物を砂糖に付け込んでつくるシロップのようなものです。これらを使用したドリンクや、大三島産レモンを使用したハチミツ漬けなども販売されていました。店の方によると、サイクリストがよく訪れるとのことでした。ここまでカフェをめぐりながら調査を行いましたが、やはりサイクリスト向けの立地の店が多いということを認識できました。
 次に、サイクリストの聖地と言われる「多々羅しまなみ公園」に行きました。その名の通り、多くのサイクリストで賑わっていましたが、自動車もたくさんとまっていました。多々羅大橋をバックに写真を撮影できるため、撮影者が多くいました。フードコートもあり、ご当地グルメを海沿いのテラスで味わうことができました。
 今回、実際に足を運んでわかったことは、島によって雰囲気や特産品に違いがあることです。また、それぞれのスポットの距離が遠く、目的地での滞在時間が短いこともわかりました。これはサイクリストの行動が大きくかかわっているのではないかと考えられます。
 今後、私たちはこのフィールドワークで得た情報をもとに、調査する島を絞り、新たな資源発掘または、サイクリスト以外の観光客誘致に向けて活動していきます。そして、新たな取り組みとして、しまなみ海道の島々をめぐる旅程を考えてみることも視野に入れ、しまなみ海道の調査を進めていきます。

たまたま見つけたビーチと利用に向けた課題
 国際観光学部3年 大川陽平

 まず、今回私たちがしまなみ海道をフィールドワークの場所に決めた理由を説明します。しまなみ海道はサイクリングロードで有名な場所ですが、島で宿泊する観光客が少ないので、その場所にお金があまり落ちません。そこで、どうすれば観光客がお金を使ってくれるのか調査するために現地調査を行いました。
 新たな観光資源を発掘するグループと現在わかっている観光地を調査するグループに分かれたのですが、1日目に大三島の橋の上からとても綺麗なビーチを見つけました。そこで、このビーチを調査することに決め、2日目の最後に訪れることにしました。このビーチはとても静かな場所で、すぐそばの道路がサイクリングコースになっていて、自転車がたくさん行き交っていました、中には、オートバイでツーリングしている人もいて、良い場所だと感じました。
 実際に訪れてわかったことは、まず場所が不便ということです。道路が山の中にあるのですが、駐車場がない上に、ビーチの近くまで自動車などでアクセスできません。道路からビーチまでは300メートルくらいの距離でしたが、ビーチに行くまでが山道でとても険しく、家族連れやカップルといった一般の観光客向けではありませんでした。しかし、実際に下のビーチまでに下りてみると、とても綺麗な海が広がっており、岩から飛び込むことのできる場所もありました。冒険が好きな観光客には、とても良い場所だと思いました。私たちも実際に行って感じましたが、とても海の水が綺麗で、ビーチにはバーベキューやキャンプなどができるだけの広さもありました。これほど綺麗な場所があるにもかかわらず、アクセス道路が整備されておらず、人が訪れにくいのは、とてももったいないなと思いました。
 今後取り組むこととして、どのようにすれば観光客が安全にビーチにアクセスできるのか、どのようにすればあのビーチを観光客に広めることができるのか、どのようにアピールすればよいのかといった、拡散方法などを考えたいと思っています。ただ、正直に言うと、今回訪れたビーチを観光地にするのは、現実的に考えると少し難しいかなと思ったところもあります。しまなみ海道には、他にもたくさん良いところがあったので、私が友人としまなみ海道を訪れることになっても、他の場所を進めるのではないかと思います。しかし、挑戦することが好きな観光客や冒険が好きな人、探検が好きな人には、とてもお勧めできる場所だとわかりました。