2020.8.5

西洋教授の研究論文が学術誌に刊行されました

 西洋(経済学部教授)の共著論文“Distribution shocks in a Kaleckian model with hysteresis and monetary policy”がEconomic Modelling,Vol.90,August,pp. 465-479に刊行されました。これは,西が2017年度に,英国のキングストン大学・ロンドンで在外研究をした際に,Engelbert Stockhammer教授(現King’s College London)と共同研究を行った成果です。

 以前,ホームページでご紹介しましたが(こちら),学生の皆さんが経済学で学修する標準的な需要と供給のモデルでは,なんらかの負のショック(例えばモノを生産するための費用の上昇や経済全体で使える貨幣量などの低下)がおきると,均衡生産量が低下します。しかし,いったんこのショックが終わると,均衡生産量は元の水準に戻っていきます。このように,標準的なモデルでは,ショックが一回限りであれば,これが除かれた後には,経済はもとの状態を取り戻します。つまり,生産量の恒久的な低下を説明するためには,ショック自体を永続的と仮定しなければいけません。しかしながら,現実の経済で発生するショックの全てが永続的なものであるとは限りません。

 われわれの研究では,一度でも負のショックが発生すると,そのショックは取り除くことができず,生産量が低下し続けるメカニズムを解明しました。つまり,例えショックが取り除かれたとしても,その爪痕が長期的に残り続ける現象を説明することができます。この現象は履歴効果と呼ばれ,世界金融危機の前後から注目されてきた長期停滞にもかかわる重要な問題です。