2014.9.23

海外からの招待学生13名に対し、OMOTENASHIプロジェクトを実施

海外からの招待学生13名に対し、OMOTENASHIプロジェクトを実施

50周年記念イベント事業として、招待学生と本学生との10日間の国際交流を展開

阪南大学は2015年に創立50周年を迎える。50周年記念イベント事業として数多くの試みが行われているが、学生支援プロジェクトの一環として実施されたのが、2014年7月29日(火)から8月8日(金)の10日間にわたる「おもてなしプロジェクト」だ。
海外協定校から7ヵ国13名の大学生を招待し、本学学生と交流を深めながら関西・大阪への理解を深めてもらうことで、ミッションステートメントに謳う「国際的なビジネスパーソン」の育成を図るのが目的だ。
本学教員による講義、学生主導型の関西の魅力発見フィールドワーク、体験型学習とエクスカーションなど、多彩なプログラムで使用する言語は全て英語。参加学生にとっては密度の濃い10日間となった。

過去の記事

開校式から、使う言語は英語のみ。

「おもてなしプロジェクト」の初日となる2014年7月30日(水)、阪南大学本キャンパスで開校式が行われた。会場にはアメリカ・ニュージーランド・デンマーク・インドネシア・中国・台湾・韓国の7ヵ国から招待された13名の学生と、招待学生をおもてなしするバディ役の本学学生、イングリッシュスペースのスタッフ、そして阪南大学の教職員が集った。「おもてなしプロジェクト」の言語ルールは英語であるため、全てが英語で進行した。まず足立照也副学長が“Please enjoy staying in Japan!(日本での滞在を満喫してください)”と開校の辞をスピーチ。司会進行役の経済学部・植村吉輝准教授が、プロジェクトの内容や阪南大学についての概要を解説。続いて13名の招待学生が壇上に上がって自己紹介を行い、最後に本学学生を代表して国際観光学部の中井美菜子さん(3年生)が招待学生へ“We hope you enjoy the project!(皆さんがこのプロジェクトを楽しんでくれますように)”とウェルカムメッセージを送った。

「英語での講義」「学生バディ」「日本を体験」の3本柱でおもてなし。

招待学生の日本滞在期間は10日間。限られた時間で日本(関西)の文化や現状を理解してもらうために、プロジェクトは3本柱で構成されている。1点目は本学教員が全て英語で6回の講義を行い日本への理解を深める。2点目は招待学生1名に対し、3〜4名の本学学生がバディとなってチームを作り、関西の魅力発見フィールドワークを行う。そして3点目は日本の文化(英語落語・浴衣試着・書道・漆塗り・企業訪問)やスポーツ(オリンピック選手を輩出するトランポリン部でのトランポリン)の体験型学習と足立ゼミによる淡路島へのエクスカーション(小旅行)だ。
10日間は、これらのプログラムがびっしりと組まれており、時には合同で、時には各チームに分かれて行動した。足立副学長が開会の辞で "Ask any question to the buddies!(どんなことでもバディ学生に聞いてください)"と招待学生に告げたように、学生たちは招待学生からのあらゆる質問に応え、また要望をかなえるべくサポートしていく。こうしたおもてなしのためのコミュニケーションの中で、国際人としてのスキルを磨くことも大きなねらいだ。

おもてなしが育んだ友情と日本理解。

最終日である8月8日は、あべのハルカスキャンパスで「魅力発見フィールドワーク報告会」が行われ、イングリッシュスペースのスタッフの進行の下で、13チームがプレゼンテーションと質疑応答を行った。
報告会からは、各チームのバディが招待学生に日本を満喫してもらうためにそれぞれ工夫をこらしたフィールドワークを展開したことがうかがえた。どのチームも歴史・文化遺産(大阪城・清水寺・金閣寺など)、食文化(寿司・串カツ・ラーメン・たこ焼きなど)、ファッション(HEP FIVE・ユニクロ・H&Mなど)、サブカルチャー(プリクラ・ゲームセンター・100円ショップ・アニメショップなど)をバランス良く組み合わせて、日本の様々な面を体験できるフィールドワークを構成していた。
プレゼンテーションの手法も多彩で、映画村で忍者の衣装を着て撮影したショートムービーを流すチーム、ドラえもんの替え歌でフィールドワークの感想を伝えるチーム、「すきやねん」「なんでやねん」「ほんまに?」など、覚えたばかりの大阪弁を招待学生が披露するチームなど、会場からは笑いや拍手が起こる場面も数多く見られた。
招待学生からは、 寿司を“best food!(最高においしい)”、大阪と東京を比べて大阪の方が“open(気さく)”、バディ学生を“very good company!(素晴らしい仲間)”、フィールドワーク体験を“memory in my life(一生の思い出)”など、本学学生のおもてなしを賞賛するコメントが数多く寄せられた。また招待学生・本学学生の双方からスケジュールが“very tight!(びっしり)”という感想が多く、あっという間の10日間だったようだ。

招待学生のひとり、Esther Harrisonさん(ニュージランド/ヴィクトリア大学ウェリントン/18歳)は、高校時代に日本からの留学生と出会ったことがきっかけで日本に興味を持つようになった。開校式の際に話を伺った際には、バディ学生と出会ったばかりで緊張した面持ちだったが、報告会を終えた後は笑顔を見せてくれた。
「神社に行ってみたかったので、京都の八坂神社と淡路島の伊弉諾神宮へお参りできて嬉しかったです。初めて引いたおみくじで中吉が出たのもラッキーでした。バディ学生たちは、メイドカフェに行きたいというリクエストに応えてくれるなどすごくフレンドリー。また淡路島で案内役を務めてくれた足立ゼミの学生は4年生なので頼りがいを感じました。旅館の方はベジタリアンの招待学生のメニュー変更に対応してくれ、またタクシーの運転手さんもとても親切。日本人はとてもシャイというイメージを持っていましたが、実際はとても積極的で温かな人ばかり。日本のおもてなしを体感できました」と日本理解を深めてくれたようだ。

短い期間で友情が芽生え、日本の魅力を伝えることにも成功し、「おもてなしプロジェクト」は初の試みながら大きな成果を収めた。

国際人としての自信を獲得した阪南大生。

精一杯のおもてなしを行ったバディ学生たちのリーダー役となっていたのが、開校式でウェルカムメッセージを送った中井さんと、国際コミュニケーション学部の辻本一樹君(4年生)だ。中井さんはカナダ・ゲルフ大学へ7ヵ月、辻本君もカナダ・ウィニペグ大学へ4ヵ月の留学を経験しており、英会話力が高く、豊富な異文化体験も持っている。

Jessica Priscilla Nangoiさん(インドネシア/マラナタ・クリスチャン大学/21歳)を担当した中井さんは「他のバディはこれから私と同じゲルフ大学へ留学するメンバーなので、外国人と話すことに慣れてもらうためにJessicaと話す機会をできるだけ多く設けました。また、プレゼンテーションの際にあらかじめ作ったペーパーを読むのはとても“日本人っぽい”ことなので、間違ってもいいからその場で思ったことを話すようにアドバイスしました。留学したときにきっと役立つと思います」と、Louise Salebjerg-Hansenさん(デンマーク/ヨークセントジョン大学/24歳)を担当した辻本君は「感情を込めて話すことに自信があったので、後輩には気持ちが伝わるコミュニケーションを心がけるように言いました。自分のことだけでなく、チームやプロジェクト全体を見る力を養う機会にもなりました」とリーダー役を通じて得られた成果を語ってくれた。

また、日本やおもてなしをテーマにした今回の体験について、中井さんは「招待学生たちの反応を見て、私たち日本人が当たり前にしていること、例えば居酒屋で店員さんが『もうメニューはお決まりですか?』と聞きにくることなどが、すでに“おもてなし”なんだと再確認できたことが新鮮でした。これからはこの良いところをもっと意識していこうと思えました」と、辻本君は「Louiseは24歳と年上でしっかりしているし、出身国であるデンマークと現在在学しているイギリスの両方を知っているので、いろんな話を聞かせてもらい、逆に日本という国が見えました。また、おもてなしを実践すると、誰に対してもこの感覚を身につけていたいと思うようになりました」と感想を述べてくれた。

中井さんはこれから就職活動に入る。「松村ゼミでのTICの経験、カナダ留学、そして今回のおもてなしプロジェクトでの経験やコミュニケーション能力を仕事で発揮したいです。できれば国際的な関わりのある仕事に就きたいです」と今後の抱負を語ってくれた。

また、辻本君はすでに流通関係に内定している。「直接英語に関わる仕事ではないですが、ステップアップのチャンスがあれば経験を生かしたいです。また、全体を見て動く力はどんな職場でも役立つので活用できればと思います」と社会人としてのビジョンを語ってくれた。
自分たちの考えた企画で、自ら英語でコミュニケーションしながら招待学生と交流する10日間の経験は、本学学生に国際人としての大きな自信を与えてくれたようだ。