櫻井ゼミは、「経済地理学の知識を使って地域の活性化を考える」をテーマに活動しています。学生たちは地域の現場に足を運び、歴史・文化・自然環境を学びながら、都市部への情報発信やイベント企画を通して地域の魅力を伝える実践的な取り組みを行っています。また、フィールドワークを通じて地域の課題を自ら発見し、その解決方法を探りながら、レポートやプレゼンで社会に発信する力を養っています。
経済学・地理学・経営学・文化人類学・歴史学など幅広い学問領域を横断的に学び、データ収集や地理情報システム（GIS）、地図作成などの実践的スキルも重視。こうした取り組みを通じて、地域に根ざした学びと社会に発信する実践力を兼ね備えた人材の育成をめざしています。
櫻井ゼミはこの万博を契機に、地域と都市をつなぐ活動をさらに推進し、経済地理学の学びを社会に還元するとともに、持続可能な地域活性化の実現をめざしてまいります。

奈良県の中央部に位置する吉野町は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を有し、桜の名所としても知られる自然豊かな町です。山と川に囲まれた環境の中で育まれた林業は、古代からの木材利用に始まり、戦国時代には持続可能な造林が確立されました。吉野杉・吉野桧は、均一で美しい木目と高い強度を持ち、建築材としてだけでなく、文化・生活に根差した製品づくりにも活かされています。
吉野町の林業は戦国時代の城郭・寺社建築需要を背景に持続可能な造林が始まり、江戸時代には「山守」や「借地林制度」といった高度な森林管理制度が整えられました。その結果、他地域にはない高付加価値の木材を供給できるようになり、割り箸文化を支える基盤ともなっています。
今回のワークショップで使用する『石州割箸』は、吉野杉を用いた高級割箸で、懐石料理や茶の湯の場でも用いられてきました。四面カットの美しい形は、日本の『おもてなしの心』を体現しています。