2023.2.22

沖縄でフィールドワークする③-観光実習3(国内)

沖縄でフィールドワークする③-観光実習3(国内)

1年間の研究成果を現地で報告しました

 今年度の観光実習3(国内)は、沖縄県恩納村にあるホテルの情報発信方法を検討してきました。これまで2度現地調査を行ったほか、入学前オリエンテーションで今年4月に入学予定の高校生に向けた発表も行いました。今年度の研究では、ウェブサイトで事前情報をどのように発信するか、そして実際の利用を通して満足度をいかに高めていくかをテーマに設定しました。そして、事前情報で期待を高めるために、特徴の異なる建物ごとに情報を明確に分けて発信するほか、建物ごとのコンセプトを明確に設定する必要性を明らかにしました。また、利用を通した満足度向上に向けて、建物ごとの具体的なコンセプトも提案しました。
 これらの1年間の研究成果をまとめ、2月9日(木)に沖縄県を再訪し、那覇市内のホテルで報告会を開催しました。当日の成果報告会にはホテル事業会社の社長や総支配人をはじめ、7名の方々が参加してくださいました。その後、なぜこのような提案を考えたのか、大学生には沖縄やホテルのイメージがどのように映っているのかなど、活発な質疑応答が行われました。会社側からはおおむね好評価をいただき、これまでの努力が報われた受講生は嬉しそうな表情をしていました。
 国際観光学部は「現場(フィールド)で学ぶ」ことを大切にしており、現場にかかわることでさまざまな知識を吸収できます。こうした学びの機会を与えてくださった株式会社ファイブスターコーポレーションの皆さまに改めて心より御礼申し上げます。以下で受講生が当日の様子を報告します。(森重昌之)

当日の報告の様子

  • 成果発表の様子

  • 成果発表の様子

  • 成果発表の様子

  • 成果発表の様子

  • 質疑応答の様子

  • 成果報告会後の記念撮影

※関連記事

参加した学生の報告

報告会で感じた宿泊施設の魅力を創造・発信することの難しさ
 国際観光学部2年 原菜摘

 2月9日に沖縄県那覇市にて、恩納村にあるリゾートホテルの皆さまに向けて、これまでの現地調査と授業内での活動の成果報告を行いました。
 私たちは沖縄県にて2度の現地調査を実施しました。そして、授業内で対象のリゾートホテルの宿泊前後におけるイメージギャップの改善策について熟考してきました。2回の現地調査から、ウェブサイトが実際のイメージに合っていないという課題を見つけました。この課題を解決するために、施設そのものの魅力を底上げすることと、その魅力を宿泊客へ最大限に伝えるための工夫が必要であるとの結論に至りました。そこで今回の報告で、部屋ごとに今ある良さを生かしたコンセプト作成し、公式ホームページでこれらのコンセプトの発信方法について具体例やイメージ図を用いて提案させていただきました。
 今回定めたコンセプトについては、3つのタイプに分かれています。1つ目のオールドアメリカンのコンセプトは、自然が身近に感じられ、築年数が相まって温かみのある雰囲気が施設の魅力だと感じていたので、その良さを前面に打ち出すことができる提案だったと思います。2つ目のカラフルのコンセプトは、外観の壁面に施されたアートがホテルのアピールポイントだと考えたので、壁面のアートを部屋の内装にも取り入れ、部屋の中にいてもアートが楽しめることに重点を置きました。3つ目のシンプルのコンセプトは、淡い色味が好きな女性や、落ち着いた雰囲気が好きな方に向けて作成しました。これらのコンセプトは現地調査で訪れた観光施設のインテリアなどから得たアイディアで、合致した時はとても興味深かったです。
 今回、このこだわりを持っていたコンセプトについて、お褒めの言葉をいただくことができて光栄でした。一方で、多様性に配慮したコンセプトを掲げていましたが、そこからさらにターゲットの絞り込みが必要であるとのご意見もいただきました。今後は、ご指摘いただいた部分も改善しながら、内容の改良を重ねていきたいと思います。
 この研究からホームページなどで得る事前情報が、私たちに多大なる影響を与えていることを知りました。また、ウェブサイト上のイメージと実際の利用体験の差を少なくすることが、口コミによるマイナスイメージの拡散の抑止になることがわかりました。これにより、口コミによるプラスイメージの定着がリピート客を増やすとともに、新規の顧客の獲得という好循環につながることもわかりました。
 1年間の活動を振り返ってみて、授業内での話し合いではさまざまな意見が飛び交っていてとても刺激的でした。議論の回数を重ねることに新しい発見が増えていきました。また、実際にフィールドワークを行い、細かい部分まで観察をしたからこそ見つけることができた魅力や課題がありました。現地調査の重要性について、改めて実感しました。私自身、企業の方々の前で発表することは初めてで、発表当日に近づくにつれて緊張が高まっていました。しかし、頭の中にイメージしていたことが発表の準備をしていく段階で、徐々に形になっていくことに喜びを感じていました。発表内容や資料をプロの視点から評価していただけた上に、さまざまなご意見がいただけて、とても貴重な経験になりました。この経験から得た知識や考えを今後の授業やゼミの活動につなげていきたいと思います。
 最後に、ザ・プールリゾート沖縄の皆さま、このような学びの機会を与えてくださりありがとうございました。貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

1年を通して学んだ口コミの重要性
 国際観光学部2年 藤原穂耶

 今回のフィールドワークで、私たちは沖縄県恩納村にある宿泊施設で「旅行前後のイメージギャップの改善に向けた提案」について、実際に運営されている企業の方々の前で成果報告を行いました。
 成果報告の内容は、私たちが2回に分けて行った現地調査での着眼点や感じたこと、現地調査を通じてわかった口コミの重要性、部屋のコンセプト提案およびその他の改善点、またウェブサイトの改善点として、ウェブサイトと実際にギャップがあること、ウェブサイト上で情報が混在していることについて報告しました。
 この中で、私は「部屋のコンセプト提案について」を担当し、発表しました。私たちが1年を通して調査したリゾート施設は、大きく本館とコテージに分かれていました。私は本館チームで提案を行いました。提案を考える中で、本館はコテージに比べて築年数が経っており、古いという印象を与えてしまう傾向にあります。そのため、今ある本館の良さを最大限に生かせるコンセプトに悩んでいました。
 しかし、本館の内装がタイルやレンガ張りになっていたり、土足で過ごす部屋があったりするなど、アメリカを彷彿させる部屋があることに加え、沖縄にはアメリカ文化が今でも根付いていることに気付きました。アメリカ文化を調べていると、先生が「アメリカ世」という文化があることを教えてくださいました。「アメリカ世」とは、戦後から1972年までの沖縄がアメリカに統治されていた時代を示す言葉です。このアメリカ世をコンセプトにすることで、築年数の経過が本館の良さとなることに気づきました。そして、具体的な例として、客室番号を自動車のナンバープレート風にすることや、部屋の中にオールドアメリカンの絵を取り入れることなどを提案しました。このように大幅に改善しなくとも、少し手を加えるだけで魅力を最大限に生かせるコンセプトを提案しました。私は企業の方々に向けて発表することが初めてだったので緊張しましたが、良い反応をいただくことができて安心しました。
 1年を振り返って、問題解決に向けた提案の難しさを実感しましたが、事前調査や現地調査を進めていく上で良い案が出て、意見がまとまり、1つの成果として報告することができました。また、遠方での長期現地調査や企業・高校生向けた発表はすべてが初めての挑戦で不安でしたが、自身のスキルアップにつながり、無事に良い形で終わることができて良かったです。
 今回はザ・プールリゾート沖縄の皆さまのご協力のおかげで、たくさんの学びの機会をいただきました。本当にありがとうございました。