沖縄でフィールドワークする①-観光実習3(国内)

沖縄県恩納村にある宿泊施設で現地調査を行いました

 国際観光学部では、ゼミ活動で行うフィールドワークの他に、フィールドワークを実施する授業として「観光実習3(国内)」が開講されています。今年度の観光実習3(国内)は沖縄県恩納村にある宿泊施設のPR方法について検討することにしました。
 私たちは旅行に出かける際、ウェブサイトなどを見て宿泊施設を選びます。その時、事前の情報が良ければ良いほど期待が膨らみ、選択されやすいですが、実際に訪れた時の差が大きければ落胆し、口コミなどの評価に悪影響を与えてしまいます。それでは、どのように事前情報を発信すれば選択され、かつ口コミなどで良い評価を得られるのでしょうか。こうした問題を考えるため、実際にある宿泊施設を取り上げ、具体的に調査することにしました。
 調査の実施にあたって、2~4年生の受講生10名を2つのグループに分けました。1つは事前に宿泊施設の情報を調べてから現地調査するグループで、もう1つはまったく事前情報を与えずに現地調査するグループです。そこで、5月28~29日に沖縄県恩納村にある宿泊施設のご協力のもと、外観や部屋、プールなどの施設を視察し、両グループの施設に対する印象や受け取り方の差を調べました。今回の調査で得られた結果を踏まえ、次回は宿泊施設のさらなる調査を行うほか、周辺の観光資源調査も実施する予定です。今回の調査の様子について、参加した受講生が以下で報告します。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 視察前の打ち合わせの様子

  • 宿泊施設の部屋を視察する様子

  • 参加した受講生で記念撮影

参加した受講生の報告

調査で感じたホテルの魅力や可能性
 国際観光学部2年 原 菜摘

 5月28~29日の2日間、観光実習3のフィールドワークで沖縄県に行きました。今回は恩納村にある対象ホテルで、ウェブサイト上の情報と実際に訪れた際のイメージの違いについて調査しました。私のチームは事前のウェブサイトの情報と比較するために、ホームページや口コミで得た情報を言語化してまとめた上で、現地へ向かいました。また、事前に集めた情報からチェック項目を作成し、それをもとに建物の外観や室内の構造、設備などを細かく観察しました。
 まず、ホテルに着いてからの印象として、ホームページの写真から規模が大きく、重厚感のある造りを想像していましたが、実際にはアットホームな雰囲気であると感じました。ホテル内にはプールがあり、夜間にライトアップが行われたり、コテージの壁面に色鮮やかなアートが施されたりしていて、SNS映えを目的で訪れる人も多いのではないかと考えました。これらは、天候によって見え方が左右されてしまうところが惜しい点であると思いました。また、実際に宿泊してみて、清掃が行き届いていない部分や設備が不十分なところなどに、事前情報とのギャップを感じました。次に、室内については、木目やレンガを基調とする部屋や和室など、さまざまなタイプの部屋がありました。部屋によって構造やコンセプトが異なっていて、内装を見ているだけでも楽しく、繰り返し訪れる価値があると思いました。
 今回はホテルでの調査以外にも、那覇市内を中心に周辺の観光地を訪れました。そこでは沖縄の郷土料理を味わったり、地元の方々との交流を通して沖縄の文化に触れたりしました。那覇の市街地は交通量が多く、飲食のチェーン店なども多く並んでいて、自分の居住地と環境が似ていたため、少し親近感がわきました。一方で、少し離れた地域になると緑が多く、海の青さとのコントラストがとても美しく、自然の豊かさに魅了されました。地域によって違う景色も沖縄の魅力であると思いました。
 初めての遠方でのフィールドワークで緊張していましたが、この2日間で沖縄の雄大な自然や人の温かさに触れ、リラックスした状態で調査を続けることができました。また、沖縄の非日常感がとても新鮮で、良い刺激となりました。授業の一環であることを踏まえつつ、観光者の視点からもしっかり観察ができたのではないかと思います。今後はこの調査で得た気づきをもとに、事前情報と実際に利用した時の差の解消を中心として、ホテルの魅力を最大限に引き出せるような取り組みを考えていきたいです。そして、次回現地を訪れた際には、ホテル周辺の観光資源の調査も並行して行っていきたいと思います。

事前情報なしで訪れたリゾート施設
 国際観光学部2年 井上 風花

 5月28~29日の2日間、沖縄県恩納村にあるリゾート施設にて現地調査を行いました。今回の調査目的は、宿泊する施設の事前情報の有無によるイメージギャップの違いを図ることです。そのため、①施設について調べるチームと②周辺情報を調べるチームの2チームに分かれて、現地に行くまでの事前調査を行いました。私は②のチームで調査に参加しました。
 1日目はあいにくの雨でした。沖縄到着後、②のチームが調べたスパムおにぎりやタコスなど、沖縄の食事を楽しみました。タコスを食べた店には外国人が多く、海外にいるような気分になりました。
 昼食後、リゾート施設に向かいました。私はリゾート施設というと、プライベートビーチや敷地の広いホテルをイメージしていました。しかし、到着した施設は少し山の中にあり、規模は小さく、思い描いていたリゾート施設とは違うなと感じたのが初めの印象です。また、悪天候だったこともあり、外観はどんよりとしているというのが初めて施設を見た印象です。
 荷物を置いた後、コテージや和洋折衷、洋風など、さまざまなタイプの部屋を見学しました。部屋によってかなり雰囲気が異なるため、参加したメンバーの中でも好きな部屋のタイプが分かれたり、各部屋での過ごし方に想像を膨らませたりしていました。私は部屋を見て周った中で、リゾート施設というより古民家リノベーションホテルのような印象を持ちました。
 夜はプールサイドでバーベキューをしました。バーベキューをしながらプールやジャグジーに入るという体験は、普段の生活ではできないため、とても楽しかったです。夜はプールにプロジェクションマッピングが施されており、施設全体もライトアップされていたため、昼間に見た外観の印象とは違うおしゃれな雰囲気が漂っていました。
 2日目は晴れでした。晴れの日の施設は1日目の外観のイメージとは打って変わって、アートやプールの色が映え、つい写真を撮りたくなる外観となっていました。また、プールには朝から遊んでいる宿泊者もいて、優雅な感じが漂っていました。
 施設スタッフにいくつか質問した中で、ファミリー層と女子旅をターゲットとしているとおっしゃっていました。今回、この施設で1泊して、部屋によって設備に差がある、施設全体の清掃状態が不十分なところがあることなどが問題点だと感じました。また、女子旅をターゲットにするのであれば、SNS映えだけでなく、雨の日でも室内で楽しめる工夫をもっと凝らす必要があるのではないかとも感じました。
 今回の調査で、事前情報の有無によって施設を評価するための比較対象が異なることがわかりました。事前情報がある場合はホームページで見た口コミや写真が比較対象となり、事前情報がない場合は自分の持つリゾート施設像と比較していることがわかりました。そのため、知らないからすごいと感じられることも、事前情報によって思っていたほどではなかったという感じ方になってしまうことがあることもわかりました。
 9月には恩納村周辺の観光地も絡めて現地調査を行います。今回見つけた施設のPRの改善方法を考えつつ、周辺の観光地の魅力を絡めてどのように発信するか、これから9月までの間で考えていきたいです。