ニュージーランド・ウェリントンで鉄道沿線の観光資源を調査しました

 8月19日から10日間、国際観光学部2、4年生の3名が観光実習2(海外)の現地調査でニュージーランドを訪問しました。今年度は受講生が話し合った結果、北島と南島でそれぞれ調査することになり、北島はウェリントン、南島はダニーデンでそれぞれ調査を行うことにしました。今回はウェリントンでの現地調査について報告します。
 ウェリントンはニュージーランドの首都で、北島の南端に位置しています。ウェリントンに限らず、ニュージーランドの都市の主要な公共交通手段はバスで、都市間を結ぶ鉄道はわずかしか残っていません。しかし近年、オークランドやウェリントンではコミュータートレインと呼ばれる鉄道の拡充が進んでいます。そこで、鉄道を利用した観光の可能性を探るため、ウェリントンの「Metlink」の5つの鉄道路線からウェリントンとワイカナエを約1時間で結ぶKapiti Lineを選び、沿線の資源調査を行うことにしました。
 Kapiti Lineはウェリントンからトンネルを抜け、西海岸を北上する路線で、車窓から羊の放牧の様子や海岸、ヨットのマリーナなどが眺められ、ニュージーランドらしい景色が楽しめます。受講生は、Kapiti Lineの中からワイカナエとパラパラウム、マーナー、ポリルアの4つの駅を選び、下見も含め3日間かけて駅周辺の資源調査を行いました。以下で、受講生が当日の調査の様子や学んだことについて報告します。(森重昌之)

現地実習の様子

  • 今回調査したKapiti Lineの車両

  • 車窓から見える羊の放牧風景

  • 車窓から見た海辺の様子

  • 海岸が鏡のようなパラパラウムビーチ

  • パラパラウムビーチ近くの公園にて

  • マーナ—駅周辺での調査の様子

  • マーナ—のヨットハーバー

  • ポリルアでのアスレチック体験の様子

  • ライトアップされたウェリントン駅

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参加学生の報告

新たな観光資源発掘の難しさと楽しさ
 国際観光学部2年 福田龍之介

 私は8月20日から22日まで、ウェリントン近郊の鉄道を利用した観光マップを作成するための調査を行いました。今回の観光実習で初めて調査を行った場所であり、さらにニュージーランド自体を訪れるのも初めてであったため、戸惑いや驚きが多い中での実習となりました。調査で利用した鉄道はKapiti Lineで、その中でも自分たちで観光資源を発掘するため、それほど大きな都市ではないWaikanaeとParaparaumu、Mana、Poriruaの4つの駅周辺を選択し、調査を行いました。以下で、それぞれの調査の結果を示します。
 まずWaikanae駅はKapiti Lineの終着駅であり、ウェリントンから電車で約1時間でたどり着きます。Waikanae駅周辺の主な観光スポットとして、近隣に複数存在する乗馬体験施設があげられます。われわれは体験しませんでしたが、自動車やバスでのアクセスが非常に良いので、観光スポットとして充分に成り立つと考えました。また、ラグーンがある公園も観光資源として利用できないかと考え、訪れてみました。しかし、公園はあったものの、肝心の湖は草で覆われていたので、面影もありませんでした。ただ、公園の近くにはビーチがあり、そこからの眺めは非常に良いものでしたため、こちらのビーチを活用できると考えました。
 Waikanaeからウェリントンへひと駅戻ったところに存在するParaparaumu駅は、駅からバスですぐに海に行くことができます。このパラパラウムビーチは砂浜に太陽や空に浮かぶ雲が映るため、SNS映えなどの目的で訪れる人が多いのではないかと考えました。
 次に訪れたのはMana駅です。この駅はヨットのレースが行われることで有名なため、われわれも駅周辺にあるマーナー・マリーナを訪れました。自分と海、ヨットとの距離がとても近いので、迫力のあるレースを間近で見ることができるのも、観光スポットとしての強みになると考えました。
 最後に訪れたPorirua駅は、今まで訪れた3つの駅と比較すると都市として発展していました。この駅周辺の観光スポットとして最も大きいものが、「アドレナリン・フォレスト」というアクティビティを行うことのできるスポットです。地上約30メートルの木々に足場やロープなどが設置されており、そこに自ら命綱をつけて進んでいくというものでした。実際に私も体験しましたが、かなり体力を消耗し、高さもあるため非常に恐怖を感じました。しかし、アクティビティとしてはとても良かったので、Porirua駅周辺の観光スポットとして大きな役割を果たすものだと考えました。
 今回の調査では、特定の路線の複数の駅しか訪れていないため、決してニュージーランドの鉄道をフルに活用した観光マップの作成まではできませんが、それでもこの短期間で調査したことを活用すれば、Kapiti Lineを利用した充分な観光マップやツアープランなどを作成することは可能です。そのことを考慮すると、非常に良いフィールドワークになったのではないかと私は考えます。

ほのぼのとした首都ウェリントンを歩いて
 国際観光学部2年 有地美慧

 8月19日から28日までニュージーランドにフィールドワークに行きました。ウェリントンでは、近郊列車のカピティライン沿線の観光スポットを日本人向けに伝えられるよう、複数の駅をピックアップして調査しました。事前に授業で、ウェリントンからいくつか伸びている鉄道のうち、適度な営業距離からカピティラインを選びました。そして、どの駅の界隈をフィールドワークするか話し合いで決めました。
 ウェリントン駅をはじめ、どの駅にも改札口がなく、駅のロータリーからそのまま進入できる構造になっていました。ニュージーランドでは無賃乗車や人身事故、線路侵入などが起こらないのか疑問に思いました。車窓から羊が見えて、嬉しくなりました。丘の麓に羊が群がっていて、緑の中を電車が駆けていく、いかにもほのぼのとした光景でした。
 最初に終着駅のワイカナエに行きました。ワイカナエ周辺は海がポイントということで、駅から海の方へ歩いて行きました。道中で見つけたワイカナエパークという小さな公園に寄りましたが、小さいながらも大人でも楽しめる遊具がありました。砂浜は遠浅で、どこまでも波が押し寄せてくるような浜でした。
 次に訪れたパラパラウムでは、おすすめのスポットがないか、インフォメーションセンターで確認し、教えていただいた場所へ足を運びました。小さな山の上に女神の像が建っていました。その後、ワイカナエ同様、遠浅の浜に行きました。波が引いた時に波打ち際に行くと、自分たちが鏡のように写り、逆さ富士のように綺麗な写真を撮ることができます。そのため、この砂浜をSNS映えする写真スポットとして観光資源にできるだろうと考えました。夕方になると、すでに店が閉まっていて驚きましたが、夕方から家族との時間を大切にしているのだと感じました。これと比較すると、やはり日本人は働き過ぎなのではないかと思いました。
 翌日に訪れたマーナ駅の周辺には、マリーナがありました。港でも海水がとても澄んでいて、綺麗でした。ポリルア駅から徒歩20分ぐらいのところに「アドレナリンフォレスト」というアスレチックがありました。想像以上に爽快感があり、日頃の鬱憤を晴らすことができました。ハラハラドキドキのスポットで、ウェリントンに行く際には一番おすすめしたいスポットです。帰りに「今日はどうでしたか」と聞いてくださり、とてもフレンドリーだと思いました。この時に痛感したのが英語力でした。なかなかうまく伝えられず、もどかしいので、これから英語力を鍛えていかなければならないと感じました。
 初日は不安でしたが、2日目からはニュージーランドに移住したいと思うようになりました。日本はストレス大国といわれていますが、その名の通り、少し息苦しさを感じることがあります。ニュージーランドに入国すると、人が自由で寛容・開放的・おおらかという感じで、のびのびと過ごしているように感じました。フィールドワークのために行ったにもかかわらず、羽を伸ばしに行ったのではないかと思うぐらい非現実的で、気分も楽でした。最終日はニュージーランドロスになるくらい、ニュージーランドが好きになりました。
 後期のまとめもニュージーランドの良さを最大限に出せるように頑張りたいと思います。