2021.3.1

法学検定試験合格者の振り返り

 既報のように、本学部1年生の濱田康樹君が今年度の法学検定試験スタンダードコースに合格し、しかもエクセレント合格でした。今年度の出願者数、合格者数、合格最低点、エクセレント合格判定基準等については、法学検定試験の実施主体である公益財団法人日弁連法務研究財団のHPで公表され、スタンダードコースの合格最低点は41点、エクセレント合格基準は59点でした。
 この法学検定試験は、「法学に関する学力を客観的に評価する唯一の試験として、大学での単位認定、企業の入社・ 配属時の参考資料等として、さまざまな場面で利用」されています(詳細)。今年度の法学検定試験の講評もアップされており、法曹を目指す法学部生の特待生選抜で利用される例もあると言われています。そうした客観性の高い試験であるため、当然ながら付け焼刃や暗記のみでは通用しない法律学の基礎を問う試験内容となっており、ハウツー本などを読んだだけでは到底太刀打ちできない問題となっております。
 濱田君はコロナ禍の中で、本学部の教養演習や法学研究会主催の勉強会の機会を活かして学修を続け、上記の結果を得ました。本学部は経済学部でありながら法律学を体系的に学べるカリキュラムを用意しており(いわば法律学と経済学との二刀流となりますがその詳細については、その1その2を参照)、濱田君はそれを十分に活用したものと言えます。
※濱田君より個人情報部分を隠す形で提供してもらいました。前便に合格証書の画像があります。

今回は濱田君自身に法律学を学ぼうとしたきっかけや、コロナ禍での学修について、寄稿してもらいましたので、以下に掲載します。

経済学部1年(法学研究会部長) 濱田 康樹

 私は、自分が今実際に住んでいるこの日本という国の主たるルールである法律を対象とする法律学に高校生のころから興味を持っていました。幼少期から高校まで、本格的に柔道に取り組んで来ましたが、単に力があったり体格がよいだけでは柔道とはならず、「ルール」内容をしっかり把握したうえで日々の稽古や試合での作戦を組み立てなければ結果に結びつかないことを痛感したからです。今後も柔道からは離れることなく続けていきたいと思いますが、「ルール」を知りその内実を探る文法ともいうべき法律学を学ぶことは、これから生きていくうえでとても重要だと感じたからです。
 阪南大学の経済学部には法学部はないものの、法律学について体系的・専門的に学ぶことができることを知り、本学に入学しました。
 入学後、履修登録の際に教養演習(法律学への誘い)という抽選形式の演習科目があることを知り、迷わず応募しました。無事抽選に通り、演習担当である松村幸四郎先生に手ほどきを受けるという形で法律学の勉強を始めました。
 今年はオンラインののみでの学修で始まりましたが、教養演習では松村先生が六法の引き方など基礎の基礎から教えてくださいました。私なりに主体的に取り組もうといろいろと考えながら演習に臨み、松村先生の演習で勉強を重ねるに連れて、徐々に法律学に対する興味が増し、自分から法律学の勉強方法を積極的に教わるようになりました。松村先生は具体的な勉強方法や夏休み中のオンラインでの勉強会など、コロナ渦の状況でできうる限りの機会を作ってくださったおかげで、自宅に自粛しながらも内容の濃い法律学の学修をすることができるようになりました。同時に、松村先生が熱心に法律学を教えてくださったことで、より法律学を学ぶ環境を作りたいと考え、法学研究会にも入部しました。
 学修が少し進んだ頃に先生から法学検定の存在を教えていただき、受検するために過去問題集を購入し勉強に取り組み始めました。私は過去問題集で勉強する前に最低限の法律学の知識を身につけることが重要だと考え、はじめのうちは過去問題集には目を通す程にとどめ、先生に教えていただいた参考書の内容を一から書き写し、六法を引きながら読んで頭に叩き込むということを愚直に続けました。通常であれば不安も生ずる筈なのですが、演習のなかで先生が繰り返しおっしゃっていた「なぜその作業を行うのか」ということを強く意識して取り組んでいたため、不安から勉強が止まるということは幸いにしてありませんでした。そのため、それなりに順調に学修は進んでいたようで、過去問題集に本格的にとりかかり始めた際には「全く分からない」ということは少なかったように感じます。
 また、法学検定直前には先生が勉強会を何度もオンラインなどで開催してくださり、自分の分かりづらい箇所の解説や有効な試験直前の時間の使い方を学ぶことができました。その結果、法学検定試験スタンダードコースにエクセレント合格することができました。
 昨年大学生になった私は、現在も続いているコロナ渦の状況で、大変ではありましたが法律学の難しさや面白さを学修を通して実感することができました。また、コロナ禍の状況だからこそ存在したチャンスを意識できたことで、例年と比べ学べることが多かったとも思います。これらの学びも、先生の演習での社会・時事問題を交えたお話によって得られたもものであると私は感じております。演習の最初の段階から先生は「無用の用」ということをおっしゃっていましたが、私も自分なりに一所懸命に学修して、「無用の用」を感じかけてきているように思います。
 いずれにしましても、私自身今回の結果に満足せず、更なる高い目標に向けて学修を怠らず精進して参ります。

 このように濱田君はしっかりと方向性を定めながら主体的に学修に取り組んで来ました。さらに法学検定試験のみならず本学部の高大連携授業で高校生を相手に法律学に関する質問に答えるチューター役も引き受けてくれ、好評でした。
 本学部ビジネス法パッケージや法学研究会での学びや活動は、いわゆるお勉強だけでもなく、団体を運営する対人関係のスキルだけでもない、様々な経験や成果をもたらすことを歴代の法学研究会会員に続いて濱田君の今回の成果が示しております。また成果が仮にでなかったとしても相互に助け合い学び合うという良き伝統が法学研究会にはあります。
 人の持ち味はそれぞれ異なります。そうした良さを伸ばしながら活躍する場を提供し、社会に羽ばたいていくための学修を支える体制がここにはあります。共感して下さる皆さんを心より歓迎しております。

経済学部ビジネス法パッケージ所属教員一同