道中の移動も楽しめる謎解きマップの調査を行いました

 国際観光学部では、学生有志が2014年度から北海道標津(しべつ)町で現地調査を実施し、観光を通じた地域社会の再生について考える「標津町プロジェクト」を実施しています。北海道標津町は、北海道東部の根室海峡沿岸に位置する人口約5,200人の、酪農業と漁業を基幹産業とする町です。6年目となる今年度も国際観光学部1~4年生の12名が参加し、毎週木曜日の放課後にプロジェクト会議を行っています。
 この会議の中で、今年度は①謎解きクイズを解きながら道東をドライブする謎解きマップの作成と、②バスでも標津町を楽しんでいただけるようにするバスマップの作成に取り組むことになりました。そして、11月22~25日の3泊4日で標津町を訪問し、現地調査を実施しました。
 現地調査の様子を2回に分けて報告しますが、今回は謎解きマップの作成を担当した学生のレポートを紹介します。謎解きマップは根室中標津空港を降り立った観光客が根室や知床、阿寒方面に移動する際、移動距離が長いので、道中でも楽しめるしかけをつくることを目的としたものです。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 野付半島での調査の様子

  • 「三匹の子ぶたの家」での調査の様子

  • ポー川史跡資料館での調査の様子

  • ポー川史跡資料館での火おこし体験の様子

  • 中標津町で見つけたサケの頭のオブジェ

  • まっすぐに続く道での調査の様子

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参加した学生の報告

たくさんの自然と風景に見惚れた謎解きマップ調査
 国際観光学部2年 和田朱里

 私は2014年度から行われている北海道標津町の観光振興プロジェクトに今年度から参加させていただき、11月22日から25日の4日間、現地調査を行いました。このプロジェクトに参加するまで「標津」という言葉すら読めず、現地調査に行くまでの期間は標津町を知ることから始まりました。
 現地調査では、中標津空港から摩周方面、根室方面、羅臼方面の目的地に到着するまでの数時間、ただドライブするのではなく、いろいろな場所に寄り道していただき、その中で休憩もしていただくことで安全運転にもつながると考え、そのための謎解きマップの作成を目的に、3グループに分かれて調査しました。私はこの3つのグループの中で、根室方面を担当しました。現地に行くまでに、事前に同じグループのメンバーで気になる施設やスポットをマークしておき、当日はそれに沿って調査しました。
 スタートして最初にマークしていなかった場所にある小さな公園を見つけました。ブランコに乗ると海が見えることに気づき、普段自然とかかわりの少ない生活を送っている私にはそれだけで感動が生まれ、実際に訪れてみないとわからない魅力があることを改めて知ることができました。
 道の両側が海に挟まれている野付半島では、遠くにエゾシカがいたほか、ハクチョウが数えきれないほどいるなど、初めて見る動物にも出会うことができ、とても感動しました。また、道の駅おだいとうでは、三角の変わった形をした牛乳が飲め、2階には北方領土に関する展示物、3階には展望台があり、野付半島や国後島を望遠鏡で見ることができ、北方領土のことについて詳しく知ることができました。最終目的地に設定していた根室の道の駅「スワン44ねむろ」は、館内がとても開放的な空間になっていて、根室の特産品を食べられるレストランがあったり、ガラスの向こうに風連湖の景色が広がっていたりするなど、自然の中を長い間運転してきた方にとってはもちろん、根室観光に訪れた観光客にもリフレッシュできる場所だと感じました。
 今回の調査では、自然に囲まれた道が多く、一つ一つの目的地までの距離も長いので、ドライバーは景色の変化がなく眠たくなってしまったり、スピードが出やすくなったりするように感じました。また、下調べの段階では発見できなかった魅力をたくさん見つけることもでき、この地域だからこそ見ることのできた動物にも出会え、感動ばかりの現地調査でした。この調査だけでなく、1日目に見た大阪では普段見ることのできない満天の星空や、3日目に行ったバス調査で車窓から見えるたくさんの自然の風景も素晴らしく、標津町の魅力だと感じました。そして、何より私たちの現地調査を快く迎えてくださった標津町役場の方々、旅館なりたさんや町内のたくさんの方々にお世話になりました。今回参加した12名で、国際観光学部らしく標津町の観光振興のお役に立てるよう、最後まで取り組みたいと思います。

北海道標津町ならではの魅力を活かすために
 国際観光学部1年 長岡実央

 11月22日(金)から25日(月)までの4日間、北海道標津町にて現地調査を行いました。このプロジェクトでは、道東を訪れる観光客が主要観光地までのルートの中で、標津町にも訪れてより楽しめるようにするための謎解きマップやバス旅の提案を予定しています。私は、2日目に行った調査について報告します。
 2日目には、根室方面、摩周方面、羅臼方面の3グループに分かれて、謎解きマップの作成に必要な情報を集めるための調査をしました。私は根室方面に向かうグループでした。この謎解きマップを実際に解く時には自動車で移動することを想定しており、当日は根室までの道の途中で立ち寄れそうな場所、問題にできそうな場所など、事前に調べた情報をもとに周りました。当日は快晴で、比較的過ごしやすい気候でした。道中では、真っ直ぐに広々と伸びる道や牧場にいる馬や牛など、北海道ならではの光景を味わうことができ、事前に決めていた目的地と目的地との間の何気ない景色の中にも、多くの観光資源があることを、身をもって実感しました。景色や自然は、その日の天気や季節によって大きく変化することもあるため難しいですが、その変化をうまく取り入れることができれば、北海道の良さを活かすこともできるのではないかと感じました。また、謎解きマップを作成する際は、私たちが調査を行った日とはまた違う天候でも楽しめるように考えるべきだと感じました。このように、目的地までの移動中にも、自動車から見える景色に目を向けることで、事前に調べていた場所以外にもいくつかの観光資源を発見することができました。その場所も含め、実際に現地を訪れたからこそわかる感覚をしっかりとこれからにつなげたいです。
 今回、2日目に訪れた中で特に印象的だったのは、「三匹の子ぶたの家」に見えると注目されているスポットです。このスポットは、青い海や空を背景に草原の中に小屋が3つあり、まるで絵本に出てきそうで、写真を撮るとまさにインスタ映えするような場所でした。もともと漁師が使っていた古い番屋だそうです。海沿いの真っ直ぐ伸びる道の途中にぱっと現れるこの小屋を、何気なく訪れた人が見つけ、「三匹の子ぶたの家」に見えると感じ、それがSNSなどで広まったと考えると、率直にすごいことだと思いました。視野を広げて周りに目を向けることで、意外な場所が観光資源となり、新たな発見につながることが再確認できました。
 私は広島県出身で、他のメンバーよりも比較的自然豊かな景色は見慣れている方でした。しかし、主要観光地であるかどうかにかかわらず、初めて訪れた北海道の大自然は圧巻で、とても印象的でした。そして、大阪の都会的な景色に見慣れていて、より新鮮な気持ちで北海道の魅力を感じている他のメンバーの反応も、私にとって学びになりました。初めて標津町を訪れた立場ならではの目線もしっかりと活かしたいです。今回の現地調査で感じたことや発見したことを、2月に予定されている発表に向けてまとめ、より多くの方に標津町の魅力を伝えられるように進めていきたいと思います。

海風を感じ領土問題について考えた謎解きマップの調査
 国際観光学部4年 安田知弘

 11月23日(土)、自動車で道東エリアを移動している時でも楽しめる謎解きクイズをつくるための情報収集を目的に、今回は根室、摩周、羅臼方面の3つのコースに分かれて調査を行いました。そして、本州にはないような景色や道東ならではの景色、おもしろい看板、読み方の難しい地名など、事前に自分たちで行く場所をピックアップした上で、今回の調査に挑みました。
 調査当日は晴天で、調査するにはもってこいの良い天気でした。私は羅臼方面に向かうグループでした。私は今回、標津町を訪れるのが8回目でしたが、これまで羅臼方面に行ったことがなく、他のメンバーとともに初めて訪れる場所でした。標津町からスタートし、羅臼方面へと進んでいきました。標津町内では海の公園を訪ねました。少し霞んでいましたが、北方領土である国後島を見た後、標津町歴史民俗資料館を見学しました。この施設では、伊茶仁カリカリウス遺跡に関するアイヌ民族の資料や幕末に描かれた標津番屋屏風の複製などが展示されていました。また、歴史以外にも自然に関する展示として、ポー川周辺や標津湿原に生息する動植物の紹介がありました。
 羅臼方面に進んでいくと、至るところに橋がありました。そして、その橋の名前が難しくて読めない名前もあれば、おもしろい名前もあり、さまざまでした。途中、薫別神社と崎無異神社という、本州のお宮さんのような小さい神社がありました。2つの神社ともに赤色で、社の大きさも本州の神社に比べて小さめであることがわかりました。
 標津町を抜け、羅臼町に入る時に見えた看板にはワシが描かれて、羅臼町はワシがシンボルであることがわかりました。また、私たちが進んだ道は比較的海沿いを走り、一直線の道が多く、周囲に建物が少ないことから、本州ではなかなか味わうことができない爽快な景色を堪能することができました。道中に羅臼町郷土資料館がありましたが、調査当日が土曜日だったため、残念ながら休館でした。
 さらに進むと、「北の国から2002 遺言」の舞台になった店である「純の番屋」がありました。映画のワンシーンに溶け込んだような情緒ある場所でした。ここから少し進むと、羅臼町の市街地に入ります。そして、ゴールである道の駅「らうす」に到着しました。羅臼町は漁業が盛んな町ということで、道の駅には海産物が店頭に並んでいました。また、お店の方から試食をたくさんいただき、現地の人のあたたかさを感じることができました。
 道の駅の背面に位置する羅臼国後展望塔からは、国後島を見ることができました。室内の展示資料では、現在問題になっている北方領土問題について書かれており、改めて日本とロシアとの間に抱える問題について考えるきっかけになりました。展望塔からは、標津町にいる時よりも近くに知床連山を眺めることができ、感動しました。今回は知床峠の冬季通行止めに伴い、道の駅らうすより先の調査はできませんでしたが、私は羅臼方面を訪れたのが初めてでしたので、道中の景色がとても美しく、久しぶりに新鮮な感覚を味わうことができました。
 これらの調査したことをもとに、2月に行われる発表に向けて、メンバー一丸となって頑張っていきたいと考えています。

訪れるたびに魅力を感じられる標津町
 国際観光学部2年 立住空

 11月22日から25日までの4日間、北海道標津町を訪れ現地調査を行いました。私が標津町を訪れるのは3回目でしたが、11月に標津町を訪れるのは初めてでした。北海道はもう大阪の真冬の寒さと同じぐらい寒く、所々に雪が積もっていました。
 今回の調査では、大きく2つのことを行いました。1つ目は、謎解きマップやフォトロゲイニングのスポットを見つけることです。フォトロゲイニングとは、地図をもとに、時間内にチェックポイントを回り、得点を集めるスポーツのことです。私たちはこのフォトロゲイニングを道東に適応できないかと考えました。2つ目は、標津町唯一の公共交通機関であるバスでの旅についてです。今回は、1つ目の調査について報告します。
 私たちは、根室方面、摩周方面、羅臼方面の3つのグループに分かれて調査を行いました。私のチームは標津町から羅臼町の道の駅までの調査でした。調査当日は天気も良く、国後島や知床連山を見ながら調査できたので、景色に飽きることなく、車窓を楽しむことが可能であると思いました。また、羅臼町までも道には信号が少ないうえ、まっすぐの道が続くので、初心者ドライバーでも走りやすい道であるように思いました。
 訪れた観光資源も、とても素晴らしいものばかりでした。特に、知床望郷展望台では、国後島がはっきりと見えました。そこには地図を描いた石碑があったため、国後島にある山々をしっかりと確認できました。私たちは現在、国後島を訪れることはできませんが、これほどまで国後島がはっきりと見えたことに驚きました。また、標津町内では、ポー川史跡資料館やサーモン科学館を調査しました。ポー川史跡自然公園のビジターセンターでは、標津町の歴史について学べました。ビジターセンターには、大きな屏風が展示されており、標津神社を中心とした今の標津町の街並みと昔の標津町を比べることができました。さらに、サーモン科学館では、運良く遡上しているサケの産卵を見学することができ、見学を証明するカードもいただき、とても感動しました。また、サーモン科学館までの道のりにはサケの街灯が並んでいて、サケの街であることが感じられました。
 標津町の皆さま、今回も本当にありがとうございました。私たちに学びの場を与えてくださる標津町は訪れる度に温もりを感じます。そして、その標津町の皆さまにご恩返しをするためにも、知恵を出し合い、標津町の力に少しでもなれるような案を考えたいと思います。

道東のさらなる魅力を発見する
 国際観光学部3年 山本名桜

 2019年11月22~24日、北海道・道東にてフィールドワークを行いました。調査初日の23日は、フォトロゲイニング・謎解きマップづくりに活用する観光資源の発掘調査で、標津町から根室方面、摩周方面、羅臼方面に向かうグループに分かれて行いました。調査2日目は、標津町を経由する阿寒バスの活用方法を探るべく、中標津バスターミナルから川北経由のバスと羅臼行きのバスに乗車する2グループに分かれて調査しました。同時に標津町内を歩き、2時間半のショートトリップのコースを考案しました。このレポートでは、調査初日に行った観光資源発掘の摩周方面グループの調査について報告します。
 摩周方面のグループは、中標津空港から道の駅摩周温泉間の観光資源の発掘を行いました。往路と復路で別のルートを指定し、2コース内で資源発掘を実施しました。
 往路は主に道道150号を通り、国道243号から道の駅摩周温泉に向かう道です。昨年夏は標津から釧路への道のりの調査を実施しましたが、その時と比較したところ、道中に小さな川が多くあり、併せて小さな橋が多い様子が見られました。同じ道東の中でも、方面によって車窓が異なることがわかりました。また、橋が多いという点は、今回提案する「謎解きマップ」において、中標津空港から道の駅摩周温泉までの「橋の数はいくつか」という問いとして活用できると考えました。また、小さな馬と間近で接することのできる「まきば喫茶 白い馬」や、牛注意の道路標識なども観光客にとって北海道らしさを感じることのできるコンテンツになり得ると感じました。
 復路は国道243号から道道13号を主に通り、中標津空港へ向かう道です。復路では牧草ロールアートや、広大な畑と道路との境目付近にそびえる巨大な鮭の頭のオブジェなど、長時間自然豊かな景色が続く中で、目を引くようなものが多く見受けられました。これらを探しながら走ることで、長時間移動の中でも楽しみが生まれるのではないでしょうか。目標を見つけた際に感じた達成感は「フォトロゲイニング」や「謎解きマップ」に必要な要素であると感じました。
 今回の調査では、今年からこのプロジェクトに参加したメンバーの視点から見た道東の景色や印象に着目しました。初めて道東を訪れた観光客が、自動車での長時間移動の中で何に興味を引かれるのか、牧場の風景など道中に頻繁に見られる景色に対してどのような印象の変化を見せるのかを考えながら、道東の観光資源を発掘しました。それにより、「窓を開けた時の牧場の香り」や前述した「牛注意の道路標識」など、昨年夏に初めて道東を訪れ、ドライブ調査を行った時にはなかった発見があり、道東におけるさらなる魅力を感じることができました。

感動の連続、口が開きっぱなしの3泊4日
 国際観光学部2年 河合唯

 11月22~25日まで、北海道道東に位置する標津町にフィールドワークに行きました。標津町は、釧路空港から自動車で2時間ほどの場所に位置しており、どこの観光地に行くにしても、自動車での移動時間が長くなってしまう場所です。この課題を解決するために、どのようにしたら移動時間も楽しんでもらえるのかを考え、謎解きマップを作成する案があがりました。それは根室中標津空港を拠点に、根室、摩周、羅臼の3方向に分かれて実際に移動し、観光客が興味をそそるようなスポットを探しました。
 私は3方向のうち、摩周方面を担当しました。私たちは摩周に行くまでに事前にルートを2つ決め、道沿いにどのようなスポットがあるのかを調べ、地図上にそのスポットを記載しました。そして、実際にそのスポットは今でもあるのか、他にスポットがあるのかということを現地で実際に調査しました。このルートはほとんど直線で、道が難しくなく、景色が見やすいうえ、もし謎解きマップをしながら自動車に乗っていても、直線の道が多いので、そのスポットを見つけやすいのかもしれないという利点に気づきました。
 中標津空港を出発して道の駅摩周までと、道の駅摩周から中標津空港まで違うルートで調査をしたところ、往路の特徴としては立ち止まって見るような施設が多く、良い感じに時間を過ごせる道でした。一方、復路の道の特徴としては走りながら目を引くような置物があり、途中は自然がきれいで車内で楽しめるため、時間はそれほどかからずに中標津空港に到着できる道でした。往路、復路共通の特徴としては、大きい小さいにかかわらず橋と川が多いということ、自然が豊富ということ、通る自動車の台数が少ないということです。これらのことは、人によってはおもしろくない、飽きてしまう道かもしれませんが、考え方を変えれば、今私たちが作成しようとしている謎解きマップは、そのスポットが車内からでも見つけやすく、もしそのスポットが気になった場合でも交通量も多くないので、そのスポットに足を運ぶことができ、つまらないと思ってしまう道中の中も楽しく過ごせるのではないかと感じました。
 最後に、私は今回初めて標津町を訪れ、フィールドワークのおかげで普通の旅行で行くよりも深く、標津町を知ることができました。普段大阪の中心に位置するようなところで生活している私からすると、牛が放牧されていること、動物園以外で馬に触れられること、野生のシカやキツネがいることも、天の川が見える満点の星空を見られること、高い建物がないこと、すべてが新鮮で貴重な体験でした。もっとこの雰囲気をたくさんの人に知ってもらうために、私たちにできることを頑張ろうと思いました。