標津町の皆さまにさまざまな活動を体験させていただきました

 国際観光学部1~4年生11名が2月22日から5日間、北海道道東地域を訪問し、インカレねむろ研究発表会や標津町現地報告会にて発表を行いました。インカレねむろ研究発表会では最優秀賞である「根室振興局長賞」を受賞しました。今回は2月24日午後から25日にかけて実施した漁業見学、野付半島氷平線ツアー、スノーシューの体験について、以下で学生が報告します。
 国際観光学部の学生有志が標津町で現地調査を行うようになってから5年が経ちますが、標津町に愛着を抱き、何度も標津町を訪れる学生もいます。学生の報告からは、標津町に対する熱い思いや標津町の皆さまへの感謝の気持ちが感じ取れます。標津町の皆さまには、今回も別海町で行われたインカレねむろ研究発表会に足を運んでくださったり、ともに受賞を喜んでいただいたり、さまざまな体験の機会を設けてくださったり、懇親会を開いてくださったりするなど、学生の学びの場を提供するだけでなく、多大なるご支援ご協力を賜りました。改めまして、標津町の皆さまのご厚意に対し、心より感謝申し上げます。(森重昌之)

当日の体験活動の様子

  • 漁船見学の様子

  • 漁船見学の様子

  • 低活性処理の作業場見学の様子

  • 野付半島氷平線ツアーの様子

  • 野付半島氷平線ツアーの様子

  • ポー川・スノーシュー体験の様子

  • スノーシュー体験でのガイドの様子

  • スノーシュー体験でのガイドの様子

  • 標津町の皆さまとの交流会の様子

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参加した学生の報告

標津町を訪れて知った生産者の現状
 国際観光学部2年 森下恭生

 2019年2月22日から24日までの3日間、北海道標津町を訪れ、23日に開催されたインカレねむろ研究発表会に参加しました。研究発表会では、最優秀賞である北海道根室振興局長賞を受賞しました。24日の午前中には標津町で現地報告会を行い、受賞した「道東の周遊促進」をテーマとした発表を標津町の皆さまにも聞いていただきました。発表後には標津町の皆さまから、私たちが提案したマップに付随して標津町内の飲食店のクーポン券を配ってはどうかなどのより実用化に向けたご意見をいただき、自分たちの提案を真摯に受け止め、実行しようとしていただける町民の皆さまの姿勢にとても感動しました。
 24日の午後からは標津町でカレイなどを獲っておられる漁師の林さんの漁船に乗せていただき、職場を見学させていただきました。当初は漁船で沖に出る予定でしたが、その日はあいにく波が高く、港に停泊している漁船を見学するだけとなりました。その後は倉庫へ移動し、市場に出荷する前のカレイを市場価格などの話を交えながら見学させていただきました。
 その後、凍った野付半島を歩く「氷平線ウォーク」を体験しました。海に厚い氷が張り、人が歩けるという北海道ならではの不思議な体験に胸が高揚しました。遮るものが何もない白銀の世界では、遠近法を活用して人が手のひらに乗っている写真など、普通は撮れないような写真をたくさん撮れました。また、大型のソリに乗り、スノーモービルで引いてもらうというアクティビティも体験しました。寒さが痛いほど伝わってきましたが、スノーモービルが削り出した氷が顔に飛んできたり、スリップしている様子がわかったりするなど、氷上のアクティビティであることを身体で感じながら楽しむことができました。
 私は今回の2つの体験で、標津町の観光振興についてさまざまな可能性を感じましたが、その中でも漁師の林さんのお話を聞きながら、さまざまなことを考えました。林さんは今まで漁師と卸売会社の関係が1対9のパワーバランスで成り立っていたことに疑問を抱き、自ら低活性技術を学ぶなど、さまざまな方法で魚に付加価値を付けることで、より高値で買ってもらえる努力をされていました。しかし、漁業協同組合の一部の方々にはなかなか林さんの活動が認められないような状況であると話してくださいました。そこに私は疑問を抱きました。私の中で、漁業協同組合とはそもそも漁師をサポートする組織という認識であったので、漁師の新たな挑戦を妨げている現状に非常に驚きました。
 自然環境の影響や低価格な魚価に生活を大きく左右される漁師という職業がどうすればもっと安定し、今の時代にあったビジネスモデルに成長していけるのか考えていた時、以前テレビで見た食べ物付き情報誌「食べる通信」と、ライブ配信を観ながら商品を購入できる新しい通販形態の「ライブコマース」を思い出しました。どちらも生産者と消費者を直接つなぐことが可能で、消費者はその商品に対する疑問や、食品であれば調理方法などを生産者に直接聞くことができます。もちろん、要望や感想などを伝えることも可能です。その結果、生産者と消費者の間にコミュニケーションが生まれ、生産者は卸売業者などを挟むことなく、直接顧客を獲得することができます。SNSが発展した現代ならではの新しい通信販売の形態です。このようなツールを利用することで、漁師さんは個人で自分の魚を売ることができ、今までの不利な販売形態を脱却することができるのではないでしょうか。
 今回初めて漁師さんの職場を見学し、漁師の方々の熱い想いを感じました。その想いに対し、観光学を学ぶ学生である私自身に何ができ、どのように応援できるのか今はわかりませんが、新しい通信販売形態などの存在を伝えることぐらいはできると思います。また標津町を訪れ、観光客を対象とする提案だけでなく、町民の方々にも還元できる地域振興を模索していきたいです。

標津町を支える産業の裏側と現状を学んだ体験ツアー
 国際観光学部4年 世木杏佳

 私たち、標津町プロジェクトチームは2月22日から25日まで、インカレねむろ研究発表会と現地報告会を行うため、北海道標津町を拠点に道東を訪れました。今回、私たちは道東の観光地の周遊を促すための2つのドライブマップとデジタルフォトマップの提案を行い、インカレねむろ研究発表会では「根室振興局長賞」を受賞することができました。昨年の悔しさをバネに、この1年間の頑張りがこのような結果につながり、とても嬉しく思います。
 そして、今回の標津町の滞在期間中、インカレねむろ研究発表会と現地報告会以外にも、スノーシューや氷平線ツアー、漁師の林さんの職場見学など、さまざまな体験をさせていただきました。標津町を支えている産業の1つである漁師さんの仕事場である漁船に実際に乗せていただき、普段の仕事の流れを説明していただきました。屋根のついている漁船は寒い地域ならではということや、他の地域と使っている網の種類が違うなど、たくさんのことを教えてくださいました。その日は波が高かったため、実際に沖に出ることはできませんでしたが、操縦室に入れていただいて魚群探知機を初めて見るなど、漁船に乗るだけでも大阪ではなかなかできないため、貴重な体験となりました。
 船を降りた後、林さんたちの作業場も見学させていただきました。獲ったカレイやその他の魚が生け簀にたくさんいました。カレイだけでもさまざまな種類があり、深海魚などの見たことのない魚もいました。これらの魚を塩分濃度の低い水に入れておくことで、普段安く買われてしまう種類のカレイが何倍もの値段になり、おいしい魚になるという研究を試行錯誤しながら行っていることも教えていただきました。しかし、この取り組みについてあまり前向きでない人もいて、大々的に行えない現状であることもわかりました。林さんのお話をうかがい、漁師さんたちの取り組みが認められ、標津産の魚が新たなブランドになることを私たちも応援したいと感じました。そして、捕れたカレイと普段知っているものより何倍も大きいホタテをたくさんいただきました。実際に食べましたが、新鮮でとても美味しかったです。
 今回で標津町を訪れたのは4回目でしたが、まだまだ知らないことがたくさんあり、改めて魅力がたくさんある町だと感じました。私は今回で標津町プロジェクトメンバーとして訪れるのは最後ですが、標津町の魅力の1つである、町の皆さまの優しさに触れ、標津町の皆さまにまた会いに訪れたいという気持ちがより一層強くなりました。今回もインカレねむろ研究発表会に応援に来てくださったり、報告会後においしい焼きそばをつくってくださったり、懇親会を開いてくださったりと、何から何まで本当にお世話になりました。これからも阪南大学が標津町の観光振興に少しでも貢献できることを願っています。

道東の魅力を改めて感じた体験ツアー
 国際観光学部4年 山本真由美

 私たち、標津プロジェクトのメンバーはインカレねむろ研究発表会の参加と、標津町で1年間の成果報告を行うために、2月22日から26日まで北海道標津町を訪れました。その期間中には標津町の皆さまに協力していただき、いくつかの体験ツアーをさせていただきました。その1つが「野付半島・氷平線ツアー」です。
 氷平線ツアーは、標津町と隣町である別海町にまたがる野付半島ネイチャーセンターで1~3月の間で行われています。野付半島は日本最大の砂嘴で、寒い冬になると、海水面が凍り、白い大地になります。ガイドの方についていただき、野付半島ネイチャーセンターから凍った水面を歩いたり、スノーモービルで引くソリに乗って、遠くにあるトドワラを見に行ったりすることができるツアーです。ガイドの方からアドバイスをいただきながら、ウェブサイトやインスタグラムなどでも話題になっていた氷平線でのトリックアートをたくさん写真に収めることができ、とても楽しかったです。
 ソリに乗って氷の上を走った時には極寒でしたが、普段行くことができない場所にまで行くことができ、貴重な体験になりました。また、ガイドの方から野付半島の歴史や、年々続く地盤沈下の影響でこの景色がいつか見られなくなってしまうという現状も聞かせていただきました。この美しい景色を目に焼き付けておこうと思いましたし、タイミング良くツアー中に夕焼けを見ることができ、とても素敵な思い出になりました。
 野付半島をウェブサイトで調べてみると、マイナスのイメージを持ってしまうワードが出てくることが多いのですが、今回の「氷平線ツアー」を通じて、神秘的で美しい景色があり、友人同士で訪れて楽しめるコンテンツがたくさんあると感じました。また、この時期にしか体験できない、道東ならではのとても魅力的な体験ツアーだと思います。道東を訪れた際には、春夏秋冬でいろいろな楽しみ方のできる野付半島をぜひ訪れて欲しいと思います。
 私が標津町を訪れたのは、今回で4回目です。行く度に広大な自然と美味しい食事、温かい町の人びとと触れ合うことで、とても素敵な町だなと改めて感じます。3年生から参加した標津プロジェクトは想像以上に大変で、難しくもありましたが、それ以上にプロジェクトを通して出会った先輩方や同期、後輩たちのおかげで、笑顔の絶えない楽しい時間でした。私の大学生活の中でとても大切な思い出です。今後も標津町と連携し、町の魅力発信を続けて欲しいです。
 最後になりましたが、ご指導してくださった森重先生、フィールドワークに行くといつも温かく迎えてくださり、学びの場を与えてくださる標津町の方々に感謝を申し上げます。

氷平線・トドワラに見た冬の道東の世界
 国際観光学部2年 山本名桜

 これまでのプロジェクトの活動を通して得た調査結果をもとにいくつかの提案をまとめ、2月23日にインカレねむろ・大学研究プロジェクト2018研究発表会で、24日に現地報告会として標津町で研究発表を行いました。今回の道東での滞在期間は3日間と、昨年9月に比べて短いものでしたが、インカレねむろ研究発表会や現地報告会以外に、もうすぐ廃駅になる駅を見学したり、漁師の方の漁船や作業場を見せていただいたり、氷平線ツアーに参加したり、さまざまな交流会に参加したりしました。中でも氷平線ツアーでは、本州では決して見ることのできない景色を見ることができました。
 氷平線とは、1年の中で最も気温が低い1~3月中旬、野付半島の内側の海が結氷することで見られる景観です。また、野付半島は大きな砂嘴で山がないため、全方位に広がる氷平線を見ることができます。当日の気温は約2℃でしたが、周りに風を遮るものが一切ないため、体感したことのない寒さでした。見渡す限りの雪原は独特の遠近感を生み出します。それを利用して、トリックフォトを撮りました。野付半島ネイチャーセンターのガイドの方が写真の撮り方を教えてくださり、写真に使う小道具も用意してくださったので、初めて氷平線を訪れた私でも楽しむことができました。
 また、ガイドの方とメンバーでスノーモービルに乗り、雪原の遠方にあるトドワラも案内していただきました。トドワラとは、トドマツが海水に浸食され立ち枯れたものです。現在でも浸食は進んでおり、いずれ見ることができなくなるかもしれないと、ガイドの方はおっしゃっていました。また、キツネやエゾシカなど、野生動物が多く生息している様子も見ることができました。氷平線もトドワラも人間が一切手を加えず、自然が生み出した絶景であり、それが人びとを感動させ、「別世界」を感じさせる非日常的な空間を提供しています。まさにこの地にしかない自然観光資源です。厳しい寒さをどうしても連想してしまう冬の北海道ですが、夏に訪れたときとはまた違う、この時期にしか見ることのできない風景を楽しむことができました。
 さまざまな交流会などで現地の方々とお話しする機会がありましたが、その中で「都会に比べると不便かもしれないが、北海道の自然は季節ごとに表情を変え、私たちを楽しませてくれる」というようにおっしゃる方が多かったです。この1年弱の活動期間を通して、実際に夏と冬の北海道を訪れたことで、現地の方がおっしゃるような季節ごとの北海道の景色の違いを体感することができました。また、今回の訪問では、漁師の方々や観光協会の方々など、さまざまな人びととの出会いもありました。そこでは、現地の方の観光への思いや訪れた人への温かさを実感できました。何度も訪れたくなるような標津町の観光振興に携わることができ、とても有意義で実りある経験ができました。標津町の皆さま、本当にありがとうございました。

大阪では味わえない感動を味わえる標津町
 国際観光学部1年 立住空

 2月22日から26日にかけて、北海道標津町を訪れました。私が標津町を訪れるのは、夏以来2回目でした。夏に訪れた時とはまったく違う真っ白な景色が広がっていて、まるで夏とは違う場所を訪れたようでした。私たちは4日目に、ポー川史跡自然公園で標津町役場と観光協会の皆さまによるガイドのもと、スノーシューを体験しました。
 スノーシューを履いた時は、足がペンギンになったようでした。最初は歩くことも大変でしたが、慣れてくるとまるで自分の足と一体化したようでした。私は雪が積もっている地域を訪れたことがなかったので、一面雪に覆われた世界や雪の上を歩くたびに聞こえる足音に、新鮮さを感じました。夏に史料館を訪れた際に勉強した伊茶仁カリカリウス遺跡を見ることができたことも、このスノーシュー体験で印象に残ったことの1つです。
 その伊茶仁カリカリウス遺跡の近くで行った雪合戦は、とても白熱した戦いでした。動きやすいようにスノーシューを脱ぎ、戦いに挑みました。私たちは、大阪ではなかなかすることのできない雪合戦に夢中になりました。手に取った時はふわふわな雪ですが、手で握るだけでカチカチになり、雪玉が当たると本当に痛かったです。時々足が雪にはまるところや、復元された竪穴住居が雪に埋もれていることから、積雪量の多さに驚きました。また、カイロや防寒具がない時代のアイヌの人びとは、どのように寒さをしのいでいたのか、大変興味を持ちました。
 公園内には、凍ることのない水が湧き出ている場所がありました。ガイドの話によると、この場所があったので、アイヌの集落が形成されたとのことでした。実際にみんなでジャンプすると水が湧き出て、水紋を見ることができました。スノーシュー体験は私たちの標津町での滞在最終日でしたので、体験後は標津町の皆さまにお礼を申し上げました。そして、標津町の皆さまも私たちに挨拶をしてくださいました。その時も皆さまの温かさに触れ、私は改めて標津町にまた訪れたいと感じました。
 このプロジェクトに参加すると決めた頃は、標津町の場所や読み方さえも知りませんでした。しかし、夏と冬で違う姿を見せてくれる景観や町内の方々の優しさや温かさに触れ、とても愛着が湧きました。このプロジェクトは私にとって大学での初めての挑戦でした。そして、このような人情あふれる標津町への観光客誘致や観光客の滞在時間増加などの可能性を考えることができ、とても良い経験になりました。標津町の皆さまには本当に感謝しています。ありがとうございました。

初の雪山、感動のスノーシュー体験
 国際観光学部2年 田中慎也

 2月22日から26日にかけて、インカレねむろ研究発表会に参加するため、私たちは北海道に行きました。23日に参加したインカレねむろ研究発表会では、研究内容を高く評価していただき、最優秀賞を受賞できました。また、他大学の発表もとても興味深く、とても貴重な経験ができました。
 24日、私たちはスノーシュー体験をさせていただきました。私は大阪出身で、積もった雪を見たことがなかったので、雪山を見てとても感動しました。スノーシューも初めてで、ステッキで雪の深さを確かめてみたところ、30cm以上積もっていて、その上を歩いても沈まないということがとても不思議でした。標津町の方によると、今年はあまり雪が降っていないとのことでしたが、雪が初めての私にとっては十分すぎるほど雪が積もっていました。ちなみに、昨年は2倍の60cmくらい積もっていたということを聞き、さらに驚きました。
 当日は気温も高く、ダウンを着て歩いていると汗ばんでしまうほど、とても暑かったです。途中で雪合戦をしました。2つのチームに分かれ、お互いの陣地の旗を取り合うという形式でした。私は初めて体験しましたが、とてもおもしろく、先生や標津町役場の方も全員で楽しみました。初めての雪遊びでしたが、世代を問わず、楽しめる競技だと感じました。
 他にも、雪山で感動したことがありました。それは、動物の足跡です。雪が積もっていない山では、土や草、落ち葉などで足跡が見えづらく、動物の存在を感じることが難しいです。しかし、雪山ではくっきりと足跡が残っており、またそれがあちらこちらに広がっていることに驚きました。足跡をよく見てみると、時間が経ち、ただのくぼみになっているもの、踏んであまり時間が経っていないのか、ヒズメのような形が残っているものがあり、とても身近に動物の存在を感じることができました。他にも、アイヌの戦場や祭壇、竪穴式住居跡などもありました。今回は時間の都合上、詳しくうかがうことができませんでしたが、歴史や文化も学べ、他にも楽しいアクティビティができました。このようなツアーがあれば、もう一度参加したいと感じました。
 最後に、今回で標津町を訪れるのは2回目でしたが、標津町の方々はとても温かく、インカレねむろ研究発表会の成果も一緒に喜んでくださいました。また、何度も懇親会を開いていただきました。他にもさまざまな体験をさせていただき、どれもとても貴重な体験ができました。そうした温かさによって、何度でも行きたくなる素敵な町だと感じました。本当にお世話になりました。