標津町の皆さまに成果を還元するための報告会も開催しました

 国際観光学部では、学生有志が2014年度から北海道標津町で観光振興に向けた調査を実施しています。今年度も1~4年生11名が9月に現地調査を行いましたが、その成果を発表するため、2月22日から26日までの5日間、北海道道東を訪れました。
 2月23日に別海町で行われたインカレねむろ大学等研究プロジェクト2018研究発表会に参加し、2年ぶり2度目となる最優秀賞「根室振興局長賞」を受賞しました。今回は「つながる魅力、つなぐ思い出」をテーマに提案をまとめました。発表内容の詳細については、以下の参加した学生の報告をご覧ください。学生の報告にもあるように、毎週月曜日の17時から20時過ぎまでプロジェクト会議を行い、内容を検討してきましたが、今年度は提案内容がなかなかまとまらず、かなり苦戦しました。それでも標津町をはじめ、道東の魅力を発信したいという学生の思いで何とかまとめあげ、発表当日の午前中まで入念な発表練習も繰り返しました。こうしたプロセスこそが学生の成長につながるのですが、彼らの努力が受賞という形で実り、喜びもひとしおです。
 翌24日には、標津町で現地報告会も開催しました。当日は町内の観光関係者約20名にお越しいただき、学生の発表の後には活発な意見交換も行われました。標津町で現地調査を行い、標津町に愛着を抱くようになった学生にとって、町内の皆さまからご意見をいただくことは何よりもの喜びにつながります。
 現地報告会終了後にはさまざまな体験もさせていただきましたが、今回はインカレねむろ研究発表会と現地報告会の内容やそこで得たことなどについて、以下で学生が報告します。(森重昌之)

当日の発表の様子

  • インカレねむろ・研究発表の様子

  • インカレねむろ・研究発表の様子

  • インカレねむろ・質疑応答の様子

  • インカレねむろ・授賞式の様子

  • インカレねむろ・授賞式後の記念撮影(拡大してご覧になれます)

  • 現地報告会・成果発表の様子

  • 現地報告会・成果発表の様子

  • 現地報告会・成果発表の様子

  • 現地報告会・質疑応答の様子

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参加した学生の報告

たくさんの人の想いが詰まった研究発表会
 国際観光学部3年 高田有規子

 私たちは、2月23日に北海道別海町で行われた「インカレねむろ・大学等研究プロジェクト2018研究発表会」に参加しました。今回は標津町の観光客増加に向けた魅力発信について、3つの提案を行いました。
 昨年行った道東のドライブ調査により、観光地間の移動距離が長いことが判明しました。また、同じような風景が長時間続き、より一層時間や距離を感じてしまいます。この課題を解決するために、マップを活用した2つの提案を行いました。1つ目は「オリジナルフォトマップ」です。これは道東のマップ上に市町村ごとに写真がはめ込むスペースをつくり、各市町村を訪れた際に撮影したお気に入りの写真をはめ込むことで、自分のオリジナルのマップをつくるというものです。ガイドブックなどで使用されている写真は、誰もが興味を引く美しい写真がほとんどです。しかし、自然資源が多い道東では、ガイドブックの写真で期待していたものと違うこともよくあります。そこで、私たちが提案した「オリジナルフォトマップ」では、自分で撮影した写真をマップにはめ込むことで、がっかりした出来事も思い出に変えることができます。また、自分たちで撮影した写真には観光地を訪れた時の印象や訪れるまでの会話の記憶などが詰まっており、それらの写真を使用することで、旅の思い出が詰まった世界でたった一つのマップになります。
 2つ目は「パズルマップ」です。これは道東の各市町村のカントリーサインがピースとなり、そのピースを集めていくマップです。パズルのピースを各市町村の観光施設にて配布することで、観光客は各市町村の魅力を満喫しながら、パズルの完成をめざしていきます。これらの2つのマップは、どちらも完成のために多くの観光地を巡る必要があります。当初訪れる予定になかった観光地にも行く機会が生まれ、道東の周遊の促進が期待できます。また、「オリジナルフォトマップ」や「パズルマップ」は写真やピースを集めるスペースが多いため、一度で全部を集められないこともあります。それにより、観光客の収集意欲をかき立て、再度訪問して続きを集めるリピーターの増加も期待できます。
 3つ目は、私たちがメインでフィールドワークを行っている標津町内の周遊を目的とした提案です。昨年度私たちが実施したアンケート調査で、町内の滞在時間が短いということが判明しました。しかし、観光客の滞在時間が短い標津町ですが、町内に魅力がないわけではありません。そこで、標津町の魅力を知ってもらう方法として、公共配布カードのコレクションを目的とする旅に着目しました。公共配布カードの1つであるマンホールカードは、発行元の自治体に行かないと入手できません。統一したデザインの中に、地域ごとに特色があり、収集欲をくすぐることから、地域を訪れるきっかけになっていることが判明しました。このような事例から「デジタルフォトフレーム」を提案しました。もともと標津町に標津線が走っていた歴史を感じてほしいという意味を込め、鉄道の駅名看板をモチーフとしたデザインにしました。駅名看板の自駅名の部分に観光地名、前の駅や次の駅の部分に別の観光地名を表記することで、観光地を巡り、標津町の滞在時間の延長が期待されます。デジタルフォトフレームを使って写真を撮影することで特別感が増し、旅の記念となる写真を残すことができます。さらに、もともとある観光資源に特別なフォトフレームで写真を撮り、コレクションできるという新しい楽しみを加えることができます。
 今回、私たちは「つながる魅力、つなぐ思い出」とテーマを決め、3つの提案を行いました。魅力をつなげ、それを形に表現することで、思い出もつながっていきます。私たちが提案したツールを活用して道東全体に周遊が促進され、観光客に「つながる魅力、つなぐ思い出」を感じてもらえることを期待しています。以上の提案を研究発表会にて行いました。審査の結果、根室振興局長賞(最優秀賞)をいただくことができました。昨年度は思うような結果が出ず、悔しい思いをしたので、非常に嬉しい気持ちでいっぱいでした。今年度は提案がなかなかまとまらず、また例年よりも提案内容が複雑になり、審査員の方々に理解していただけるか不安でした。リーダーとして頼りない私でしたが、就職活動が忙しい中参加してくださった4年生の先輩方、プロジェクトの進め方などの相談に乗ってくれた同期、初めての標津町でのプロジェクトにもかかわらず、積極的に意見を出してくれた後輩たち、そしていつも夜遅くまで一緒に残ってくださり、ご指導いただいた森重先生には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
 そして、今回のフィールドワークでも標津町の皆さまには大変お世話になりました。別海町までわざわざ発表を見に来ていただき、私たちのために懇親会を開いてくださいました。さらに、漁師さんの仕事場見学やスノーシュー体験もさせていただきました。また、昨年夏のフィールドワークの際には地震に巻き込まれ、途方に暮れていた私たちを助けてくださいました。今年度は標津町の皆さまの優しさや温かさを身に染みて感じた1年間であり、感謝に絶えません。これからも標津町の知名度向上と観光客誘致について考えていきたいです。

つなぐ魅力、感謝をかたちに
 国際観光学部4年 佐古健太

 2月22日から26日の5日間、北海道の道東地域を訪れました。今回の来訪では、昨年9月に標津町で行った現地調査をもとに、インカレねむろ・大学等研究プロジェクト2018での発表と、標津町での現地報告会を行いました。また、標津町の皆さまに野付半島での氷平線ツアーやスノーシュー、漁船見学など、さまざまな体験をさせていただきました。
 今回は、インカレねむろ・大学等研究プロジェクト2018研究発表会について報告します。この研究発表会は、根室管内の1市4町について研究してきた学生が集まり、成果を発表する場で、今回は別海町で行われ、全国の5大学6団体が参加しました。私たちは、最優秀賞である根室振興局長賞を受賞することができました。
 今年度の私たちは、昨年度行った観光客へのアンケート調査の結果をもとに、道東全体の観光促進について考えてきました。そこで「つながる魅力、つなぐ思い出」をテーマに、3つの提案を行いました。1つ目はオリジナルフォトマップ、2つ目はパズルマップ、3つ目はデジタルフォトフレームです。オリジナルフォトマップとパズルマップは、道東全体を周遊される観光客を対象としたマップです。1つ目のオリジナルフォトマップはマップ上に写真の挿入スペースがあり、観光客が実際に撮った写真をはめ込むことができ、旅の思い出が詰まった世界にたった1つのマップをつくることができます。また、マップを見返した時、マップ上に写真がはめ込んであることで、道中を含めた旅全体を振り返ることができます。
 2つ目のパズルマップは、道東の各市町村のカントリーサインがピースとなったマップです。配布場所である各市町村の観光施設を訪れ、ピースをもらうことで、魅力を満喫しながらマップを完成させることができます。道東は広いので、1度の旅でピースをすべて集めることは難しいです。ピースを集めるという収集欲が促進され、リピーターが期待できます。また、たくさんの市町村を周ることになるので、観光客に道東全体の魅力を感じてもらえるというものです。
 3つ目のデジタルフォトフレームは標津町を訪れる観光客を対象としたもので、QRコードなどを使って、観光地の名前が入った統一感のあるフォトフレームを観光客に配布します。デザインは昔、標津町に国鉄標津線が走っていたことから、鉄道の駅名看板をモチーフにしており、近くの観光スポットを次の駅のように表示することで、他の観光スポットを訪れるきっかけをつくり出すことができ、滞在時間の延長が期待できます。また、統一したフォトフレームにすることで、フォトフレームを集めるために周遊する観光客も期待できるのではないでしょうか。
 今年度は提案がなかなかまとまらず、メンバー全員が知恵を絞り、紆余曲折しながら形となった提案でした。そうした努力が実り、最優秀賞を受賞することができました。また、今年度も標津町の方々にはたくさんの支援をしていただきました。最優秀賞という形で、多少ご恩返しができたのではないかと思います。
 私がプロジェクトで標津町を訪れるのは、今回が最後となります。プロジェクトに参加した2年間で、標津町には今回を含め、4回訪れました。訪れる度に新たな魅力を発見することができ、また来たいと思う素敵なまちです。豊かな自然、おいしい食べ物、温かい町民の方々、すべてここでしか感じることができないものばかりです。私自身、まだ標津の魅力を少ししかわかっていないと思います。もっと魅力を見つけるため、次は観光客として標津町を訪れたいです。

標津町の皆さまとともに
 国際観光学部1年 大谷航太

 私たちは2月23日に北海道別海町で行われた「インカレねむろ・大学等研究プロジェクト2018研究発表会」に参加しました。この研究発表会では、道内外から5校6ゼミが参加し、これまで行ってきた根室管内での研究成果を発表しました。私にとって、初めてのインカレねむろ研究発表会の出場でした。私たちは夏にフィールドワークを行い、ドライブ調査などを行いました。そして、この調査結果をもとに、2種類のマップとオリジナルフォトフレームを提案しました。その結果、「北海道根室振興局長賞」を受賞し、優勝することができました。初めてのインカレねむろ研究発表会でこのような結果を残すことができ、大変嬉しかったです。
 今回のインカレねむろ研究発表会では、大きく分けて2つのことを提案しました。1つ目は2種類のマップの提案、もうひとつはオリジナルフォトフレームの提案です。まず、マップの提案についてです。以前、標津町で観光客を対象に行ったアンケート調査で、標津町への移動手段は自動車・バイクが75パーセントを占めていることがわかりました。また、標津町以外に知床や根室など、広域で周遊している傾向があることもわかりました。これらのアンケート調査の結果から、観光地間の移動距離が長いことがわかり、同じような風景が長時間続くことから、余計に距離や時間を感じてしまうと考えました。そこで、オリジナルフォトマップとパズルマップを提案しました。オリジナルマップは旅行先で撮影した写真をマップにはめ込み、観光客それぞれのオリジナルなマップをつくります。こうすることで訪れた場所を地理的に理解できるほか、後で見返したときに写真と一緒に思い出すことができ、時間を超えたつながりが生まれます。一方、パズルマップは各市町村のカントリーサインがピースになったマップで、各市町村に訪れるとピースがもらえ、ピースを集めていきます。この2種類のマップは、どちらも完成させるためにたくさんの場所を巡る必要があり、当初行く予定になかった観光地にも足を運ぶことになり、道東の周遊を促進します。また、1度の訪問では完成が難しいので、収集意欲をかき立て、再度訪れるリピーターの増加も期待できます。
 2つ目はオリジナルフォトフレームの提案です。アンテナカードやダムカードを例に、駅名看板をモチーフにしたフォトフレームです。このフォトフレームを使うことで、もともとある観光資源に「特別なフォトフレームで撮影し、コレクションできる」という新しい楽しみを加えることができ、収集意欲もかき立てられると考えました。
 今回、初めてインカレねむろ研究発表会に参加し、優勝することができましたが、このような結果を残せたのは、決して私たちだけの力ではなく、調査に協力してくださった標津町の皆さま、そして今まで標津町を調査し、土台づくりをしてくださった先輩方のおかげだと思います。来年度も標津町の皆さまと協力し、この提案を実現できるよう努力していきます。本当にありがとうございました。

標津町の皆さまの地元に対する熱意が感じられた報告会
 国際観光学部3年 安田知弘

 私たちは、2月24日に生涯学習センター「あすぱる」において、現地の方に向けた報告会を実施しました。報告するにあたって、昨年度の夏に行ったドライブ調査からわかったことや感じたことなどをメンバーで意見を出し合いながら、まとめていきました。意見を出し合ううちに3つのテーマがあがりました。1つ目は根室管内で利用することを考えたオリジナルフォトマップ、2つ目は道東地域の市町村のカントリーサインを使用したパズルマップ、3つ目は標津町内において魅力ある観光地の写真を撮り、周遊してもらうことを目的としたデジタルフォトフレームの3つです。
 毎週月曜日の放課後に集まって、これらのことについて考えていきました。しかし、なかなか話がまとまらないことや進まないことがあり、楽しいことよりも難しいことや苦しいことの方が多かったように感じます。また、インカレねむろ研究発表会もあり、同時進行していくことも簡単なことではありませんでした。しかし、みんなで協力し合い、進めていくことができました。そして、今回のプロジェクトは今までと違い、大きく変化したことがあります。それは、今までは先輩についていく立場にありましたが、3年生ということで、後輩たちを引っ張っていくような立場に変化したことです。昨年度までは、私たちに後輩がいなかったのですが、今年度から後輩が入ってきて、いろいろと指示することも多くなりました。しかし、後輩が今までいなかった分、どのように指示すれば相手に伝わるのかという点は、一番頭を悩ませました。その時には先生や先輩方にアドバイスを受けながら、プロジェクトを進めていくことができました。
 報告会では、地元の方々から私たちが提案したことに対して、たくさんのご意見をいただきました。また、その時に地元の方から「いつも良い提案してくれるのに、標津町がその期待に応えきれていないから、私たちも変わらないといけない」というお話をうかがいました。地元の方々も、私たちと同じように、この町をより良くしたいという気持ちを再確認できた良い機会になったように感じています。
 今年度を振り返ると、昨年夏の北海道胆振東部地震で大阪に帰れなくなった時も温かなご支援をいただき、標津町の方々はとても優しい方ばかりだと実感しました。また、今回も私たちの訪問に合わせて、懇親会や体験プログラムなどを楽しめる準備もしていただき、心から感謝しています。

発表を通して感じた標津への思い
 国際観光学部4年 井上佑太

 私たちは2月22日から25日まで、北海道標津町を訪れました。私は今回で9回目の標津町の訪問になりますが、今年度取り組んできたことの成果報告を行いました。
 今年度は昨年9月に行ったドライブ調査をもとに作成した2つのドライブマップと、デジタルフォトフレームを提案しました。道東には世界遺産の知床や釧路湿原、納沙布岬、摩周湖などの有名な観光地が多くありますが、観光地間は距離が離れているため、移動時間が長くなることや、風景があまり変わらないことがわかりました。そこで、道東のマップに各市町村で撮影した自分のお気に入りの写真を挿入できるオリジナルフォトマップと、市町村名の標識をはめ込んでいくパズルマップを考えました。オリジナルフォトマップでは、観光客が実際に撮った写真を載せることができ、その場所を訪れた時の印象や会話など、旅の思い出が詰まった自分だけのオリジナルマップにすることができます。
 一方、デジタルフォトフレームは昨年度実施したアンケート調査結果から、標津町では多く人びとが半日か1日しか滞在しないことがわかりました。しかし、標津町に魅力がないわけではなく、20キロメートル先に見える国後島や、チョウザメの指パク体験のできるサーモン科学館、季節によりまったく違った景色、サケをはじめとした新鮮でおいしい海鮮、さらに町民も優しい方々ばかりです。そうした標津町の魅力を知ってもらうために、町内の観光地にQRコードのついた看板を設置し、スマートフォンなどで読み込むことで、カメラの画像と重なるようにフォトフレームが現れ、写真を撮れるようにします。標津町にはもともと標津線が走っていたので、駅名看板をイメージしたフォトフレームとし、観光地をつなぐことを考えました。
 報告会では、町民の方々から「マップを完成させたら特典があるのか」、「マップを活用したモデルツアーを考えてみてはどうか」など、貴重な意見を多くいただきました。このことを参考に、後輩たちには修正して実現してほしいです。
 私は標津町プロジェクトに1年生から参加し、4年間携わってきました。最初は「しべつ」と読むことすらできず、北海道のどこにあるかも知りませんでした。初めて訪れた時には、真っすぐに伸びる道路や国後島が目の前に見え、とても感動しました。その中で、先輩や同期、後輩たちと4年間頑張ることができました。また、いつも迎えてくださる標津町の方々はとても優しく、調査においても多大なるご協力をいただきました。標津町で貴重な経験ができ、人生の大きな糧になりました。今後も標津町の方々と後輩たちの力で、標津町がさらに活性化されることを願っています。