はじめに

 阪南大学経済学部で、グローバル・ビジネス論(a・b)、ベトナムインターンシップ、等を担当している三木です。約1年前に「グローバル志向で拡がる就職先」というテーマで寄稿させていただきましたが、今回はその続編です。

経済がグローバル化して、人材面ではどんな変化が起きたか

 「経済のグローバル化」という言葉を耳にした人は多いと思います。では経済がグローバル化すると、人材面では何が起こるでしょうか。皆さんのご両親が若かった頃には当たり前だった「終身雇用」「正社員採用」が、もはや必ずしも当たり前ではなくなったことも踏まえ。簡単にまとめると、こんな感じになるのではないかと考えています。
  1. 世界の価格(商品価格・人件費)と競争することになった。ベトナム人でできる仕事はベトナム人の賃金との競争になった。
  2. その結果、何も能力や技術やスキルのない日本人にとっては、給与や雇用の安定性などの面で厳しい雇用条件となった。
  3. 一方で、能力やスキルがある人にとっては、より高い給料を得たり、自由な生き方ができたりする時代になった。

雇用の安定性は、ますます失われていく

 また、最近日本を代表する大企業「トヨタ自動車」の社長が「終身雇用を守るのは難しい」と発言しました。実は、終身雇用というのは、有能な人には不利で、無能な人には有利な制度だと言われています。終身雇用がなくなると、このような変化が予想されます。
  1. 新卒正社員の給料が上がる(500~800万円/年?)。今の新卒正社員の給料が低い(大手でも300万円/年やそれ以下)のは、終身雇用で将来給料が上がることが前提で、かつ有能かそうでないかわからない人を「仕事ができるだろう」という見込みだけで採用し給料を支払うから。「終身雇用が無くなる」=「将来ではなく、今の能力に応じた給料を支払う」ようになる。
  2. 但し、新卒正社員になれるのは、学生時代から経験とスキルを身につけた、意欲と能力のある人のみ。「終身雇用が無くなる」=「長い目で会社が若者を育てなくなる」。
  3. 学生時代何もしなかった人は一生給料が低いまま使い捨てられて終わる。
  4. 正社員になれても、自分の能力を上げていかないと、いつでもクビになる。
 もちろん、急に終身雇用がなくならないとは思いますが、皆さんのご両親の時代に比べれば雇用の「安定性」はどんどん失われていきます。

本当に安定した仕事を求めるなら、グローバル人材を目指すべき

 最近のニュースで、ユニクロ・GUなどを運営する「ファーストリテイリング」が、2020年春に入社する大卒新入社員のうち「海外含めた転勤のある職種」の初任給を、2019年の21万円から、一気に2割強上げて25.5万円にすることを発表しました。この初任給は、総合商社や外資系企業レベルの高さです。ファーストリテイリングは、世界のファストファッション業界でInditex(ZARAなど)、H&Mに次ぐ第3位ですが、この初任給引き上げは、優秀な人材を確保・育成し世界トップを狙うための施策だと言われています。
 ユニクロは、既に海外店舗数が国内店舗数を上回っており、2019年8月末時点(予想)では国内店舗数827に対し海外店舗数は1407と、国内店舗数の1.7倍となっています(出所:ファーストリテイリング社 2018 アニュアルレポート)。もちろん、海外の店舗は現地の人材が中心になって運営するのですが、それでも現地でマネジメントできる日本人が一定数必要となります。別の機会にファーストリテイリングの幹部層の方から聞いたお話では、海外でマネジメントができる日本人はやはり不足しているそうで、より一層の海外展開のためには高めの給料を出してでも「グローバル人材」を確保しなければならないという状況なのではないかと推測できます。
 また、前回も書きましたが、少子高齢化と人口減少に伴い、今後縮小する国内市場に押し出される格好で、日本企業は業種や企業の規模を問わず、急速にグローバル化を迫られています。日本(人)の需要だけに頼っていては、日本企業は成長性や収益性を確保できない状況です。そのような日本を取り巻く経済環境の中で、どんな環境でも仕事をみつけて働くことができ、グローバルに活躍できる人材は、これからの時代「雇用面で最も安定」した人材になる、と考えられます。なぜなら、世界中を探せば、必ずどこかの国・地域は好景気・高成長だからです。
  • (ベトナム・ホーチミンに進出した高島屋)

大学時代をどのように過ごすかによって、その後の人生が変わります!

 今の3年生以降は、いわゆる「就職ルール」がなくなり、企業は会社説明会や面接を自由なタイミングで実施することができます。「企業は、いつ採用しても良い」「学生は、いつ就活しても良い」という時代が目の前まで来ています。そうなると、新卒を面接や試験で一括採用するのではなく、インターンシップ等を通じて、随時いい人がいたら採用するようになり「学生時代にどんな経験を積んだか」が採用選考時に今まで以上に問われるようになります。
 現状では多くの日本企業において世界で戦える人材は不足しており、グローバル事業を担う人材が強く求められています。グローバル人材に対するニーズは今後ますます高まります。あなたも阪南大学経済学部で「グローバル人材」を目指して学んでみませんか?