1.はじめに

 阪南大学経済学部で、グローバル・ビジネス論(a・b)、ベトナムインターンシップ、等を担当している三木です。今日は「グローバル志向で拡がる就職先」というテーマで皆さんに知っておいてほしいことを記します。

2.グローバルな仕事って、何?

 皆さんは「グローバルな仕事」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。普通は商社マン、海外営業マン、貿易事務、ツアーコンダクター、ホテルマン、などが思い浮かぶのではないでしょうか。確かにこれらの仕事はグローバルな(海外・外国人と関係する)仕事です。しかし、今はこれらのような「いかにもグローバルな仕事」に限らず、あちこちにチャンスが拡がっていることをご存知でしょうか。

3.日本の人口減少と経済的地位の低下

 日本の人口は既に減少に転じています。様々な予測がありますが、おおむね2050年頃に日本の人口は1億人を割り込むとの予想が一般的です。今の人口が約1.27億人ですから、約30年後に人口が今より2割減少することを意味しています。人口が2割減少すれば、ご飯を食べる人も電車に乗る人も電化製品を買う人も2割減少します。ということは、単純に考えると約30年後に向けて日本市場は今より2割縮小することになります。また、その時には高齢化が進みますから、消費の質も変わります。こう考えると、日本企業が成長性と収益性を今後も確保するためには、海外に目を向けなければいけない状況であるということがわかります。あらゆる業種にとって、今やグローバル化や海外進出は避けて通れない時代となっている、と言っても過言ではないでしょう。

4.海外を目指す日本企業と、その問題点

 日本企業もこの状況を黙って見ているわけではなく、積極的に海外展開を進めています。私はベトナムインターンシップを担当している関係でホーチミンを年に数回訪問するのですが、ベトナムにはスーパーマーケットのイオンが4店舗あり、6号店まで計画されています。そのイオンには、テナントとして例えば丸亀製麺(セルフうどん)、コーナン(ホームセンター)、すき屋(牛丼)、大阪王将(中華料理)、ダイソー(100円ショップ)、公文(塾教室)、等が進出しています。皆さんの近所にあるお店も、このように海外展開を進めています。

 しかしながら、このように海外展開を進める日本企業にもいくつか問題があり、その中の1つが「グローバル人材の不足」です。例えばある日系アパレル企業を例にとると、海外店舗展開を積極的に進めていますが、事業拡大のペースにグローバル人材育成が追いついていません。他にも、例えばある地方銀行では、顧客の海外進出に伴い海外におけるサポート業務は増えているものの、地方銀行に就職する人は「地元志向」の人が多く、海外で活躍したいという人が少ないので困っています。これらの例に限らず、あらゆる業種において日本企業はグローバル人材の不足に直面しています。つまり「いかにもグローバルな仕事」以外にも、ここに皆さんが活躍できるチャンスがあるということです。

5.英語(外国語)は重要だが、最重要ではない

 「グローバル人材」=外国語が話せる人材、と誤解している人が多いです。確かに語学力は大事な要素の1つですが、外国語が話せなくてもグローバル人材として活躍している人や、外国語が話せても世界で戦えない人を、私は前職時代にたくさん見てきました。
 また、2015年3月に経団連が公表したアンケート結果によると「グローバル事業で活躍する人材に求める素質、知識・能力」として、いわゆる外国語能力(「英語をはじめ外国語によるコミュニケーション能力を有する」)は3位であり、1位は「海外との社会・文化、価値観の差に 興味・関心を持ち、柔軟に対応する姿勢」、2位は「既成概念にとらわれず、チャレンジ精神を持ち続ける」となっています。このように、確かにグローバル人材を目指す上で、英語をはじめとする外国語は重要ですが、最重要ではないとも言えます。「私は英語が苦手だから、グローバルで活躍するなんて無理!」と決めつける必要は、全くありません。

6.まとめ

 少子高齢化と人口減少に伴い、今後縮小する国内市場に押し出される格好で、日本企業は業種や企業の規模を問わず、急速にグローバル化を迫られています。しかし現状では多くの日本企業において世界で戦える人材は不足しており、グローバル事業を担う人材が強く求められています。
 グローバル人材に対するニーズは今後ますます高まります。あなたもグローバル人材を目指してみませんか?