スーパーでの物価比較調査とファストフード店での食文化調査を行いました

 前回もお伝えしましたが、本学部では4年ぶりに海外実習を実施し、8月24日から9月2日にかけてニュージーランドで現地調査を行いました。今回は4年ぶりということもあり受講生も多かったことから、たくさんの調査を実施しました。その中から、今回はスーパーマーケットでの物価調査とファストフード店での食文化調査の様子をお伝えします。
 前者の調査内容ですが、今回クライストチャーチ、ロトルア、オークランドの3地域を訪問することになったので、あらかじめ決めておいた商品の価格が都市間でどの程度差があるのか、比較する調査を行いました。また後者ですが、ニュージーランドには分け合う文化である「シェア文化」があるそうで、ファストフード店にも「シェアメニュー」があります。そこで、実際にどのくらいの人びとがシェアメニューを選択しているのか調査しました。こちらは上記3地域に加え、マタマタでも調査を実施しました。
 今回はこれらの調査の様子について、5名の受講生が報告します。(森重昌之)

現地での実習の様子

  • ロトルア湖を背景に記念撮影

  • クライストチャーチでのスーパーマーケット調査の様子

  • クライストチャーチでのスーパーマーケット調査の様子

  • ロトルアでのスーパーマーケット調査の様子

  • ファストフード店での調査の様子

  • マオリの文様が展示されているロトルアのファストフード店の店内

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参加した学生の報告

大手スーパーでわかる物価の違い
 国際観光学部3年 井上優芽

 私は8月24日から9月2日までニュージーランドに行き、南島にあるクライストチャーチ、北島にあるロトルアとオークランドを訪れました。現地のスーパーマーケットでショッピングすることが好きなのですが、同じスーパーマーケットであっても、異なる都市で売られている同じ商品の価格に違いがあるのかを疑問に思い、物価の違いについて調査しました。
 事前の授業で3つの都市を周ることに決定した時に、まずどのようなスーパーマーケットがあるのかを調べたところ、3社の大手スーパーマーケットを見つけました。それらは格安スーパーの「PAK’n SAVE」、一般スーパーの「countdown」、高級スーパーの「New World」です。そして、地図アプリを活用しながら、周る都市にこれらのスーパーマーケットがどこにあるのか調べました。その後、商品名や価格などを記録するための記録紙を準備しました。
 当日の調査の際は3つのグループに分け、各グループが同じスーパーマーケットを担当する形で調査を行いました。私のグループはPAK’n SAVEを担当し、開店時間の8時に合わせて店に向かいました。商品の陳列方法は背の高い大きな棚にたくさんの商品が売られていて、倉庫のようでした。また、開店直後にもかかわらず、多くの幅広い年齢層のお客さんが買い物に来ていて、格安ということもあるからか、地域住民に愛されていると感じました。
 調査中は、他店でも同じ商品が売られているかを確認するため、ほぼ同じ時間帯に各グループが担当のスーパーマーケットを訪れ、適宜電話をしながら調査を進めました。しかし、同じ商品でも売れ切れていたり、1つのスーパーマーケットだけが同じ商品を販売していなかったりするなど、思っていたよりも調査に難航しました。
 参考までに、PAK’n SAVEのクライストチャーチ店(C店)とオークランド店(A店)の調査結果から、一部の商品を比較してみました。まず牛乳1Lですが、C店が2.35NZD、A店が2.48NZDでした。ジャガイモ1個はC店が3.19NZD、A店が3.99NZD、ヨーグルト6パックはC店が6.19NZD、A店が5.99NZDでした。調査した商品全体で見ると、すべての商品ではありませんが、オークランド店の方が少し高めの値段で売られていることがわかりました。しかし、PAK’n SAVEに限ってみると、クライストチャーチ店とオークランド店の商品の物価がそれほど大きな差がないことがわかりました。これからは、この調査結果をわかりやすくまとめ、countdownとNew Worldの物価の違いもどのぐらいあるのかをまとめる予定です。
 気づきや学びとして、ニュージーランド最大の都市ともいわれているオークランドで売られている商品は、人口も観光客も多いので基本的に割高だと思っていましたが、意外にも高くないということを学びました。また、日本や他国のスーパーマーケットも今回の調査結果と同じような結果になるのか、気になりました。さらに、New Worldには行ってないのですが、countdownはオリジナルブランドがあり、野菜と果物が量り売りだったことが印象に残っています。私が調べたPAK’n SAVEにはない販売方法でした。

新たな発見が多かったスーパーマーケット調査
 国際観光学部3年 鈴江咲希

 8月24日から9月2日の約10日間、私たちは観光実習2の授業でニュージーランドに行きました。その中でクライストチャーチ、ロトルア、オークランドの3都市で物価の違いを明らかにするため、スーパーマーケットの調査を行いました。
 ニュージーランドの主要スーパーマーケットはcountdown、PAK’n SAVE、NEW WORLDの3つです。調査対象となる商品をいくつか選定し、同じ商品のグラム数、値段の違いを比較して、表にまとめるという方法を採用しました。値段と販売方法をメモし、1つ1つ自分たちの目で見て確かめました。
 結論から言うと、どこのスーパーマーケットも物価の違いはあまりなかったような印象を受けます。日本だと地方のスーパーマーケットが安く、都会のスーパーマーケットがより高いので、ニュージーランドも同じではないかというイメージを持っていました。しかし、実際に調査したところ、地方のスーパーマーケットの方が高いものもあり驚きました。
 私が1番興味深く感じたことは、地域によって値段の差があるのではなく、スーパーマーケットごとに差があったことです。countdownは日本と同じような様式でした。また、内装が倉庫のような造りになっているPAK’n SAVEは、量・サイズとも大きい商品が豊富にありました。さらに、NEW WORLDは質が良く、珍しい商品を多く扱っているという印象を受けました。そのため、全体的にcountdownの商品の価格が安いですが、一気に多くのものを買いたい場合はPAK’n SAVE、少し値段が高くなるがなるべく新鮮なもの、または他のスーパーマーケットで扱っていないものが欲しい場合にはNEW WORLDです。このように、スーパーマーケットによって使い分けができるという特徴がありました。どこの地域もスーパーマーケットが比較的距離の近いところにあったので、便利に使い分けられると思ったと同時に、日本との大きな違いを感じました。
 調査を行なった当日は調べたい品物が置いていなかったり、メモをとり忘れたりするなど、トラブルがたくさんありました。また、土付きのジャガイモと洗浄済みのジャガイモが売られていたり、牛乳パックはどのメーカーも蓋付きであったりと、トラブルの中でも小さな発見がいくつもありました。さらに、最近日本でもセルフレジが導入されてきていますが、ニュージーランドではほぼ全部の店舗にセルフレジがありました。しかも、台数も多く、少しだけ購入する際にとても便利でした。
 他にも日本にはない点がいくつかあり、文化の違いを目の当たりにしました。最初は不安やしっかり学び取れるだろうかと心配でしたが、たくさんの発見があり、楽しみながら調査を行うことができました。調査の難しさや大変さなどもこれらを通して知ることができました。

マクドナルドから見るニュージーランドの食文化
 国際観光学部4年 川野愛実

 はじめに、この調査をしようと思ったきっかけは、海外の食文化に興味があったからです。健康的な日本食と違って、ニュージーランドの食はイギリスに影響を受けたものなのか、マオリの食べ物はどのようなものがあるか気になりました。調べていくと、マオリ族には「ハンギ」という伝統料理があることを知りました。ハンギとは地面に穴を掘り、そこに焼き石を敷き詰めた自然のオーブンで、野菜や魚、肉を蒸し、できあがったらみんなで食べるというものです。ここでは一度で大量につくることができるので、1人でつくるというより、みんなで協力してつくり食べるという、食を通じて人びとが交流するものでした。そこから、より食文化について調べていくと、「ニュージーランドはシェアする文化」というインターネットの記事を見つけました。ここで伝統料理であるハンギのように、人びとは食においてシェアを大事にする国かなと思いました。そこで、世界中に店舗を持つチェーン店のマクドナルドに目をつけ、ニュージーランドの食は日本と世界とどのように違うのか比較しようと思いました。
 まず、事前にニュージーランドマクドナルドの公式ホームページを見て、メニューを比べました。ニュージーランドは物価が高いと聞いたので、ニュージーランドとアメリカ、日本のマクドナルドの値段、メニュー、サービスを比較しました。アメリカ、日本に比べ、ニュージーランドは種類が豊富で、シェアメニューがあることに気づきました。コンボメニューはハンバーガー1つ、サイドメニュー1つ、ドリンク1つに対して、シェアメニューとはハンバーガー3つ、サイドメニュー3つ、ドリンク3つで、コンボを3つ買うより少しお得に買うことができます。シェアメニューもさまざまで、ハンバーガー4つ、サイドメニュー2つ、ドリンク2つというパターンもありました。アメリカのマクドナルドにはシェアメニューはなく、日本はクーポンのシェアメニューはありますが、レギュラーメニューにはありません。このことから、ニュージーランドは「シェアする文化」が発展しており、チェーン店でも国の個性が出ているのかなと考えました。シェアするということは、大人数で何組も来られるように、店内も大人数向けの机が多くあるのかなど、店内の配置についても気になりました。また、メニューを見ていくと、ドリンクの種類だけで43種類もあるので、ドリンクだけ買う人が多いのかなと疑問に思いました。
 調査当日は、店舗によっていろいろなサービスがあることがわかりました。ロトルアでは店員さんが店の外まで届けに行くこともあり、クライストチャーチではデリバリーが多いと感じました。ニュージーランドの中でも、地域によって店の個性がありました。事前にある程度シェアメニューとコンボの定義を決めていましたが、実際に調査を進めていく中で、いろいろな買い方があり、コンボとドリンク単品、コンボを複数など、人によって買い方がさまざまであり、トレイだけを見て判断するのはとても難しかったです。私たちが行ったマクドナルドではすべてタッチパネルでの注文だったので、タッチパネルの手元が見える位置に座っていると頼んでいる商品がわかりましたが、見えない時の情報の正確性は統一できないと感じました。また、調査結果を共有する際に、どのグループもシェアメニューを頼んでいる人は少ないという結果が出ていました。
 今後は調査シートを集計し、一目で見やすいようにグラフ化し、私たちが考えていたシェアメニューの需要が高いという結果にはならずとも、集計したものからニュージーランド人の食文化における行動や嗜好を調べていきます。一連の現地調査を通して、実際に行ってみないとわからないことがたくさんあり、行く前にある程度調べる軸は持つものの、現地で感じたことは少しでも記録し、少しの違和感も見つけられるように常にアンテナを張り、現場に適応していく力が必要であることを学びました。

日本との違いを感じたファストフード店
 国際観光学部2年 斉藤紗佳

 世界共通のチェーン店であるマクドナルドの特徴がどこに出ているのか調査するため、クライストチャーチとオークランドのマクドナルドに行きました。調査に行く前に、前期の授業時間中にニュージーランドの食文化やマクドナルドのメニューについて調べました。日本のメニューとは違って、ニュージーランドにはシェアメニューというものがあります。ニュージーランドにはシェア文化があるため、現地の人がコンボメニューを頼むのか、シェアメニューを頼むのかを調べることになりました。
 クライストチャーチのマクドナルドに、私たちが入店した12時にはまったくお客さんがおらず、調査ができるのか不安に思いましたが、12時20分頃になると急にお客さんが増えてきました。1人で入店するお客さんはおらず、たいていが夫婦か家族で来店していました。プレイランドもあるせいか、子連れのお客さんが多く、3歳くらいの子どもが多かったです。家族で来ているお客さんはシェアメニューを頼むより、コンボメニューを頼む人がとても多かったです。その中には、飲み物だけを頼み、店内を飲んで短時間で帰るお客さんもいました。
 一方、オークランドのマクドナルドには家族連れではなく、1人か2人で来るお客さんが多く、店内が狭かったためか、持ち帰りの人が多かったです。クライストチャーチとオークランドでは客数がまったく違い、オークランドの方が多かったです。人が多かったせいもあり、オークランドの方が商品の出てくるのに時間がかかっているように感じました。また、オークランドのマクドナルドではドアが開いた状態だったため、店内にハトがたくさん入っていましたが、お客さんも店員さんもあまり気にしていない様子でした。日本では、店内にハトがいるとお客さんが嫌がるので、追い出すか、入らないような対策をとると思うのですが、嫌がるお客さんがいなかったので、日本人と感じ方が少し違うと思いました。
 また、商品を提供する際、クライストチャーチでは店内で食べる時にはトレイに乗せて受け取っていたのですが、オークランドでは店内でも紙袋で入れて提供されていたことに驚きました。また、注文はすべてタッチパネルからで、現金の場合はカウンターで支払う形式だったことにも驚きました。
 調査結果については、都市と田舎のお客さんの人数や注文した商品などを比較し、日本との違いと特徴をまとめようと考えています。調査を通して、全国チェーンの店でも提供や注文の方法が異なっていたほか、支払い方法もカードが多く、日本よりキャッシュレスが進んでいると感じました。

ニュージーランドにおけるファストフード店の地域差
 国際観光学部2年 白石夢里亜

 クライストチャーチとロトルア、マタマタ、オークランドでニュージーランドの人びとの食習慣について知り、世界共通のチェーン店の中でもニュージーランドではどのようなところに特徴が出ているのかを知るために、マクドナルドの調査を行いました。マクドナルドの調査を行うにあたって、マクドナルドのメニューについて事前に調べました。ニュージーランドのマクドナルドでは、日本では「セット」と呼ばれるものを「コンボ」と呼ぶこと、日本にはないシェアメニューがあることを知りました。ニュージーランドでは、シェアをする文化があることがわかり、コンボを頼むお客さんとシェアを頼むお客さんのどちらが多いのかを調べることになりました。
 私たちのチームはロトルアとオークランドでマクドナルドの調査を行いました。ロトルアのマクドナルドでは、マオリのシンボルの模様が入り口や店内に描かれていたり、彫られていたりしていて、外観、内観ともにマオリ文化を感じられるようになっていました。一方、オークランドのマクドナルドは外観、内観ともに日本とあまり違いはありませんでした。10分間に来るお客さんの人数が、ロトルアではどの時間でも10人以下であったのに対し、オークランドでは10人以上来ることが多く、都会と田舎ではお客さんの人数が大きく変わることもわかりました。また、事前の調査からシェアメニューを頼む客が多いと考えていたのですが、コンボを頼む人の方が多かったです。ニュージーランドのマクドナルドは、日本よりも提供に時間がかかっているように感じ、日本の厳しい労働環境に比べ、比較的緩い労働環境なのではないかと考えました。
 調査の際、ロトルア、オークランドのマクドナルドでは、日本のマクドナルドとは違い、イートイン、テイクアウトどちらの場合も紙袋で商品を渡していたため、コンボを頼んでいるのか、それともシェアメニューを頼んでいるかの区別がつきにくいことが多くありました。メニューを頼む際は店員に注文するのではなく、タッチパネルを使用して注文を行う形式であったため、注文を行っている最中を見ることや、紙袋を開いて商品を取り出すまでを確認しながら調査を行いました。また、日本にもタッチパネルを使用する店がありますが、店員に注文する場合がほとんどなので、完全にタッチパネルのみで注文していることに驚きました。
 ニュージーランドには初めて行き、言葉が通じず不安な時もありましたが、現地の方から話しかけてくださったり、簡単な単語で説明してくださったりと、優しい方やフレンドリーな方が多いと感じました。
 後期の授業では、すべての店の調査結果をもとに、ニュージーランド内の都会と田舎のマクドナルドの違い、日本との違い、そこから見える特徴や食習慣をまとめていきたいと思います。