2023.9.27

海外でフィールドワークする①-観光実習2(海外)

コロナ禍を経て、4年ぶりに海外実習を実施しました

  観光は「日常生活圏を離れた移動を伴う活動」であり、観光学を学ぶ上で現場での実践は非常に重要です。しかし、2020年に始まった新型コロナウィルスの感染拡大は、人びとの移動を大きく制限することになり、本学部でも海外実習を中止していました。今年度に入って、ようやくコロナ禍前の状態に戻りつつあることから、4年ぶりに海外実習を再開することになりました。
 今年度は8月24日から9月2日までの10日間、ニュージーランドで現地調査を行いました。前期授業でニュージーランドの政治や経済、文化などの概要を学んだ上で、受講生自身で話し合いながら、調査目的や行先などを議論し、調査準備を進めてきました。その結果、今回は13名の受講生がクライストチャーチ、ロトルア、マタマタ、オークランドと移動しながら、さまざまな調査を実施しました。
 これから3回に分けて、受講生が現地調査の報告を行っていきます。今回はクライストチャーチで行った歴史的建造物の利用実態調査について、3名の学生が報告します。(森重昌之)

現地での実習の様子

  • 再建工事中の大聖堂前で記念撮影

  • 歴史的建造物の調査の様子

  • 歴史的建造物の調査の様子

  • 歴史的建造物の調査の様子

  • アートセンターの作品

  • 調査後の話し合いの様子

参加した学生の報告

歴史的建造物がもたらすイギリスの面影
 国際観光学部3年 藤原穂耶

 私はクライストチャーチにて、歴史的建造物の看板の有無や用途を調べ、観光客にイギリスの植民地時代のことなどの歴史を伝えたいのか、それとも外観としての街並みを観光地として残しているだけなのか(昔の建築様式で建てられているが、現在は使われておらず、ただ残っているのか)を知るため、調査を行いました。調査を進めるにあたり、授業内での事前調査で公式ウェブサイトと公式マップから調査する歴史的建造物を絞りました。
 当日の調査方法としては、3つのグループに分け、グループごとに調査対象の建造物を配分しました。そして、案内看板があるかどうか、どのような用途で使われているか、シートに記入していきました。
 調査を行って気づいたことは、意外にも歴史的建造物がレストランやカフェに利用されていたということです。実際に私が事前に調べていたカフェが、歴史的建造物の1つであったということもありました。私のチームでは、調査を進めていくうちに目的の建物が見つからないというアクシデントに何度か遭遇し、少し苦戦しました。翻訳機を使いながら調査をしていたので、英語力があればもっと聞き取り調査もできたのではないかと思うと、悔しかったです。
 私が最も印象に残ったことは、地震の影響による歴史的建造物の崩壊です。事前調査の公式ウェブサイトでは、「2011年に起きたカンタベリー地震の影響で改修中」と書かれていたので、現在はもう改修が終わっていると勝手に考えていました。しかし、手付かずの状態でそのままになっている建物が見受けられました。また、その建物のほとんどが空き家状態で、看板なども確認できませんでした。日本では歴史的建造物が地震で壊れてしまうと、比較的早く工事に取りかかるので、日本の基準で考えてしまっていたことも気づきでした。
 もう1つ印象に残っていることは、クライストチャーチの街並みです。事前に先生からイギリス以外で最もイギリスの面影があるまちと聞いていました。実際、この調査を行いながらまちを散策すると、イギリスを感じることのできるきれいな街並みが広がっていました。イギリスの面影を感じた要因の1つに、歴史的建造物があると思いました。
 ホテルに戻ってからはそれぞれのグループごとにその日の成果を発表しました。そこで、私のチーム以外はすべての建物を見つけることができたと聞き、安心しました。
 今回、私自身初めての英語圏への渡航で、フィールドワーク初日ということもあり、とても緊張していました。しかし、調査も無事終えることができ、また南島の大自然、北島の都心部とそれぞれ違った魅力を体感できました。後期の授業からは、調査内容をマップなどにまとめ、発表を行いたいと考えています。

歴史的建造物の観光資源化
 国際観光学部2年 村戸陽一

 クライストチャーチの市街地には多くの歴史的建造物が現存しています。それらがなぜ保存されているのか、現在はどのような用途で使用されているのかについての調査を行いました。
 現地で調査を行うにあたり、出発前にガイドブックや行政のホームページを参考に歴史的建造物の位置を調べました。街の中心を流れるエイボン川沿いをはじめ、街のいたるところに歴史的建造物が現存していることが判明したため、街の北部、西部、東部の3つのエリアに分かれ、チームごとに調査を行うことにしました。建物が保存されている理由や現在の使用用途についてですが、観光客の有無や現在の活用法を参考に、歴史的建造物が観光資源として残されているのか、景観のために残されているのかを調べます。そのため、そもそも観光客がいるのか、いた場合はどのような様子なのか、建物の歴史を紹介する看板は存在するのかという点に着目して調査を行いました。
 実際にクライストチャーチに着くと、ビルや商業施設があり、かなり都会の印象を受けました。しかし、その中に多くの歴史的建造物も残っており、非常に綺麗な街でした。実際に歩きながら調査対象となる建物を巡ってみると、テナントビル、託児所や小学校といった教育施設、カフェや公園など公共施設として活用されている建物が存在しました。しかし、説明が書かれている看板と石でできたモニュメントが残されているだけや、入ることすらできない空き家状態になっている建物も多かったです。
 クライストチャーチのさまざまな顔を見る街歩きとして、マップを参考に歴史的建造物やその跡地を巡ることはできるかもしれません。しかし、目を向けている観光客がほとんどいないことや、現在の活用方法が現地住民向けであることを考えると、観光資源としてはあまり利用されていないという印象を受けました。建物にひびが入っていたり、レンガが崩壊していたりするなど、2011年に起こった地震の影響と考えられる被害も見られましたが、復興が優先されており、歴史的建造物の観光資源化はこれから先になる可能性もあると考察できます。
 地震によって建て替えられた建物と歴史ある建物が共存する美しい街ですが、現在は復興や近代的な事業にフォーカスが当てられており、歴史的建造物を観光資源として強く推し進める日はまだ来ていない印象です。しかし、平坦な地形であることを考えると、街歩きという面においては非常に優れた街であること、そしてこれから復興が進んで建物を利用出でき来るようになると、より幅広い活用方法が見出されるため、クライストチャーチは今後観光にも向いているのではないかと考えました。

イギリスの文化が残る街
 国際観光学部2年 小谷星陽

 今回の調査目的は、クライストチャーチに残るイギリスらしい建物が、現在ではどのような使われ方をしているのか、使われていない場合はどのようになっているのかを調べ、植民地時代に入ってきたイギリス文化の残り方を確かめるということでした。現地調査に行くまでに、クライストチャーチに残るイギリス文化の建築物を調べて、3つのグループに分け、方角ごとに手分けして、街全域を調査できるように調整しました。また、建築物以外にも、クライストチャーチの街を楽しめるよう、道順をグループで話し合って決めるなど、事前に準備をしました。
 現地調査当日は、調査する場所に行くまでの道中も、日本とは違った街並みを楽しみながら移動することができました。見慣れない場所に同じ人間が住んでいて、その街の中に観光地がある。地元の人の日常に溶け込んである場所や建築物が多く、日本の観光地のように賑わっている印象はあまりありませんでした。公園には多くの人がいて、親子連れや犬の散歩をしている人もいて、公園の風景や利用方法は国によってあまり変わらないと感じました。
 調査を通して、イギリスらしい街並みが残っていて、ゴシック建築やバロック建築、またはそれらが混じった建物が多く、日本とは違った光景はとても新鮮でした。街の中に観光スポットがいくつもあるというよりは、街そのものが大きな観光スポットであるようでした。また、親切な人が多く、どこから来たのかと話しかけられたり、英語が聞き取れなかった時にわかるまで説明していただいたりしました。さらに、貸出用の電動キックボードが街中のいたるところに置いてあり、移動手段の一つとして定着しているようです。実際に使ってみて、私はとても便利に感じましたが、日本では受け入れられないだろうと感じました。
 今後の調査結果のまとめ方として、調査した建築物が過去に使われていた用途と現在どのように使われているかを比較して、歴史を学びながら街歩きできるように案内マップを作成することで成果を出していきます。一連の現地調査を通して、イギリスらしい街並みから、きれいな観光地としての価値だけでなく、歴史的な背景もうかがえる、楽しく旅行として過ごすだけでなく、勉強することもできる街もあることに感心しました。日本にはない、植民地であったからこその、本来違和感を覚えてもおかしくない、異文化との共生を自然と醸し出している人びとの生活を学ぶことができました。また、道路が碁盤の目のようになっていて、街そのものに歴史的な価値があるという部分が、京都と共通点があるようにも感じました。さらに、治安も良いので、観光地としてだけでなく、留学先としてもっと有名になればよいと考えました。