国際観光学科2年生 小林奈菜

今年7月、私はJEMUNという模擬国連(Model United Nations:MUN)のイベントに参加しました。この記事では、JEMUNでの3日間の経験について紹介します。この記事を通して、阪南大学の学生の皆さんにも模擬国連に興味を持ってもらえたら嬉しいです。12月には阪南大学でもHUMUNという模擬国連イベントが開催されます。皆さんもぜひ参加してみませんか。

JEMUN(Japan English Model United Nations)は、参加者が各国の代表(Delegate)となり、国際問題について話し合いながら解決策を考える模擬国連会議です。参加者は自分自身の意見ではなく、担当国の立場に基づいて発言し、他国の代表と協力しながら提案を作り上げていきます。私はカンボジア代表として参加し、担当国の状況や政策について発表するとともに、他国の代表と意見交換を行いました。

JEMUNに参加する前に、担当国であるカンボジアについて調べながらポジションペーパーの準備を行いました。ポジションペーパーとは、JEMUNで担当する国の立場を説明するレポートです。JEMUNでは担当国の考え方や政策に基づいて議論を行うため、事前の調査が非常に重要になります。
今回のポジションペーパーでは、すべての参加者が以下の4つのテーマについて調査し、それぞれの国の立場をまとめる必要がありました。
  1. Economic Impacts of AI in the Tourism Industry(観光産業におけるAIの経済的影響)
  2. AI and Environmental Sustainability in Tourism(観光分野におけるAIと環境の持続可能性)
  3. Cultural and Social Impacts of AI in Tourism(観光分野におけるAIの文化的・社会的影響)
  4. Ethical and Privacy Challenges of AI in Tourism(観光分野におけるAIの倫理的・プライバシー上の課題)
これら4つのテーマは、それぞれ委員会A、B、C、Dで議論するテーマでもありました。私は委員会Dに所属し、「Ethical and Privacy Challenges of AI in Tourism(観光分野におけるAIの倫理的・プライバシー上の課題)」について議論しました。そのため、ポジションペーパーでは特にカンボジアにおけるAIの活用状況やプライバシー保護に関する課題について重点的に調査しました。

レポートには、テーマがカンボジアにどのように関係しているのか、カンボジア政府が行っている政策や参加している国際的な取り組みなどを書きました。調査では、先生方に教えていただいた政府機関や国際機関の資料を主に参考にしました。また、生成AIも活用し、関連する記事や報告書を探しました。

ただし、AIが提示した情報をそのまま使用するのではなく、情報源となる政府機関や公的機関の資料を必ず確認しながら調査を進めました。公的機関の資料の多くは英語で書かれており、内容も専門的だったため、必要な情報を整理するまでに多くの時間がかかりました。
会議ではA、B、C、Dの4つの委員会ごとの議論と、アフリカ、アメリカ、アジア・パシフィック、ヨーロッパ、中東の5つの地域ごとの議論が行われました。
初日はまず地域ごとに集まり、各国がポジションペーパーの内容を発表しました。私はアジア・パシフィック地域に所属し、日本、タイ、中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、オーストラリアの代表者と議論を行いました。それぞれの国が抱える課題や取り組んでいる政策を共有しながら、共通する問題点について話し合いました。

その後、委員会ごとに集まり、地域ごとに出された課題を共有しました。私は委員会Dに所属し、ケニア、ルワンダ、アメリカ、ペルー、コスタリカ、インド、オーストラリア、スイス、オマーン、エジプトなどの代表者と議論を行いました。各地域から出された意見や課題を整理し、それらに対する解決策を協力して考えていきました。

会議の途中にはワークショップも開催されました。海外企業による説明会や講演会が行われ、私はインフルエンサーのコタさんの講演会に参加しました。講演では、自分の価値観を明確に持つことの大切さについて学びました。自分がやりたいことに対して「なぜそう思うのか」を深く考え、自分自身の価値観を見つめ直す機会となりました。

一日目の夜には、シェラトン都ホテル大阪で開催されたGlobal Networking Galaに参加しました。夕食を楽しみながら、多くの参加者と交流することができました。また、DJ Yumiによる音楽もあり、参加者同士が踊ったり話したりしながら楽しい時間を過ごしました。初日は多くの人が緊張していましたが、このイベントを通して自然と打ち解けることができ、その後の会議でも積極的にコミュニケーションを取れるようになりました。

二日目は、一日目から続いていた解決策の作成を進めました。その後、地域ごとに集まり、各委員会で作成した解決策について発表を行いました。参加者はそれぞれの提案に対して意見を出し合い、修正が必要だと考えた部分について議論しました。そして、各チームのScribeが修正内容を記録していきました。

三日目は再び委員会ごとに集まり、地域会議で出された修正案について検討しました。それぞれの修正案に賛成か反対かを議論し、全員が納得できる内容になるまで話し合いを重ねました。そして最後に、会場内の全参加者で委員会A、B、C、Dの最終提案に対する採決を行い、三日間にわたる会議は終了しました。
その後の閉会式では、会議やポジションペーパーにおいて優れた成果を残した参加者に賞が贈られました。参加者一人ひとりの表情からは達成感が伝わってきました。私自身も、この三日間をやり切ったという大きな充実感を感じました。

会議中のコミュニケーションはすべて英語で行われました。特に初日は議論のスピードが速く、専門的な英語も多かったため、内容を十分に理解できず圧倒される場面がありました。発言したいと思っていても、自信が持てず、なかなか手を挙げることができませんでした。しかし、そのままでは成長できないと思い、分からないことは積極的に周囲のメンバーに質問するようにしました。その結果、二日目以降は少しずつ議論の流れを理解できるようになり、自分からも発言できるようになりました。

英語で考え、それを英語で伝えることは決して簡単ではありませんでした。うまく伝わらないこともありましたが、メンバーたちは私の考えを理解しようと最後まで真剣に耳を傾けてくれました。そのおかげで、自信を持って意見を伝えることができました。また、各委員会が作成した提案書を確認する作業では、難しい英単語が多く集中力も必要だったため、最後まで読み切ることに苦労しました。

JEMUNでは、オーストラリアの大学から来た学生や、京都産業大学、名古屋大学、滋賀県立大学などの学生と交流することができました。休憩時間や食事の時間には、お互いの大学生活や将来の目標について話しました。特にオーストラリアの学生は、過去にニューヨークで開催された模擬国連に参加した経験を教えてくれました。世界中の学生と議論し、さまざまな背景を持つ人と交流できたという話を聞き、私も将来そのような国際的な会議に参加してみたいと思いました。また、交流した学生とは連絡先を交換し、JEMUN終了後もつながりを持つことができました。異なる環境で学んでいる学生たちと交流したことで、新しい考え方や将来の可能性に触れることができ、とても刺激を受けました。

JEMUNに参加したことで、英語を聞き、話す経験を数多く積むことができました。また、AIや観光、プライバシーといった現代社会の課題について深く考える機会にもなりました。私は、この三日間を通して、JEMUNで本当に大切なのは高度な英語力ではなく、テーマについて深く考え、自分の意見を相手に伝えようとする姿勢だと感じました。

JEMUNへの参加を考えている人の中には、「英語に自信がない」「国際問題について詳しくない」と不安に思う人もいるかもしれません。私自身も参加前は、自分の英語力で本当に議論についていけるのか心配していました。しかし、実際に参加してみると、完璧な英語を話すことよりも、自分の考えを持ち、それを伝えようとする意欲の方が大切だと分かりました。分からないことがあれば周囲の人が助けてくれますし、失敗を恐れず挑戦することで大きく成長できます。

JEMUNは英語力だけでなく、国際問題への理解やコミュニケーション力を高めることができる貴重な機会です。また、日本全国や海外から集まった学生との出会いを通して、自分の視野を広げたり、将来について考えたりするきっかけにもなります。英語を伸ばしたい人、国際問題に興味がある人、将来やりたいことを探している人、自分を成長させたいと思っている人にとって、JEMUNは大きな刺激になるはずです。