活動テーマ:観光マーケティングに関する研究と実践
産学連携先:株式会社フェリーさんふらわあ
      一般社団法人志布志市観光特産品協会


 大谷ゼミでは株式会社フェリーさんふらわあと一般社団法人志布志市観光特産品協会(以下、観光協会)にご協力いただき、阪南大学キャリアゼミとして、フェリーさんふらわあが大阪南港・志布志航路に5月・9月に就航させた新造船と、その就航先である志布志市の観光の魅力を発信しようという活動に取り組みました。
 5月と6月に観光協会からお話をうかがい、私たちは志布志の強みが肉・鰻・果物などの「食」であることに着目しました。そこで、「食」を中心とする志布志の観光を発信するイベントや動画制作を企画することにしました。7月には鹿児島県大阪事務所へのインタビューも行い、活動へのご助言をいただきました。
 そして9月の新造船就航の際に志布志の「食」の魅力を打ち出すイベントを大阪南港で開催する企画を検討しました。しかし具体的な提案が遅れ、関係者との調整や予算の確保ができず実現には至りませんでした。
 また、「志布志まるごといただきます」のコンセプトで志布志の観光地や農産地を取材して動画を制作することにしました。その予備的な取材として8月上旬に新造船に乗船する取材を行い、また、観光協会のご協力のもと現地の「食」に関わる観光地(堀口製茶、山田水産、若潮酒造など)を取材させていただきました。しかし8月下旬に予定していた実際の撮影が台風のため中止となり、11月に代替日程を組んだもののやむを得ない事情により直前に中止となりました。
 このほか、9月の新造船お披露目会の見学や10月の「堺まつり」における観光協会による出展の補助などを行いました。しかし、日程や人員の関係で船や志布志での取材を行うことができず、当初構想していたことがまったくできないまま年末を迎えてしまいました。
 さらに、活動の中心となっていた4回生が年度末まで日程調整が難しいことが判明し、3回生を中心に活動を立て直すことになりました。そして「食」などテーマ性の高い観光を打ち出す以前に、新造船と志布志の主要な観光スポットの魅力をおさえ、コンテンツとして整理することに注力し、テーマ性の高い情報の発信は次年度以降に持ち越すことになりました。
 そして1月にフェリーと志布志の取材を行いました。新造船と志布志の魅力を紹介するウェブサイトにおけるコンテンツを想定して、自分たちがモデルとなり自分たちで撮影してたくさんの写真素材を作りました。2月には鹿児島県大阪事務所より情報発信についてアドバイスをいただきました。そしてウェブサイトを構築していくために話し合いを重ね、その作業も進めました。

学生活動状況報告

 この活動は元々、4回生の先輩たちが過去数年にわたるフェリーさんふらわあと志布志市観光特産品協会とのおつきあいを積み重ねきた集大成として大きな成果を出したいと意気込んでいたものでした。先輩たちは、志布志市観光特産品協会と何度も打ち合わせたり、観光推進機関へアドバイスをいただきにいくなど、例年以上に精力的に活動に取り組んでいました。綿密に準備をしていた8月の取材が台風で中止となった後、改めて準備を進めてきた11月の取材についてもやむを得ない事情で中止となってしまいました。その後のスケジュールの関係もあり活動の継続すら厳しい状況になってしまったため、私たち3回生が中心となって活動を立て直すことにしました。
 話し合った結果、新造船が就航したにもかかわらず一度しか乗船できていないこと、また、志布志の「食」を打ち出す前に、基本的な観光資源の取材ができていないことから、まずは船と志布志の観光についてしっかり取材することが優先だと考えました。そして1月に取材を実施しました。
 私は昨年度2回この航路を利用したことがありますが、新造船は今回が初めてでした。乗船した瞬間から豪華客船やホテルと勘違いするほどで驚き、興奮しました。特別にすべてのタイプの客室を見学させていただきましたが、各タイプが価格と設備内容で差別化が行われていながらも、すべての部屋において現代人のニーズに合わせた設備となっており、多くの乗客が満足するだろうと感じました。レストランも美味しいし、フェリー業界初というプロジェクションマッピングも印象的でした。海を観ながらマッサージチェアを使っていたらイルカが見えたという特別な体験もできました。
 志布志ではあいにくの天気や、飲食店の営業時間の情報がわかりづらいなどの問題で、特に若者のニーズに合致するSNS映えする景色の良い場所や美味しい飲食店について、予定通りに取材を行うことができませんでした。それでも工場併設のお店で鰻や焼酎を味わうことができたのは、志布志らしい体験でした。
 志布志の観光は掘り起こせば魅力がもっともっとあると思います。しかし、周辺には桜島や都井岬、佐多岬など有名で“絵”にインパクトがある観光スポットがたくさんあり、それらに比べると志布志の観光スポットは地味に見えてしまいます。そのため、志布志の魅力を掘り起こすだけでなく、周辺地域の観光との動線を意識しながら、下船後や乗船前に立ち寄ってもらう観光を打ち出す必要があると考えます。しかし今年度の活動ではそこまでの提案は無理でした。
 まずは前年度までのものも含めこれまでの取材内容から、船と志布志港からの観光について魅力を発信するウェブサイトを想定してその発信内容を考えることにして、仮のウェブサイトとしてまとめることにしました。完成といえる状態には至っていませんが、今後も完成度を高めながら、機会をいただけるのであれば引き続き取材を重ね、コンテンツを充実させていきたいです。個人的にはバイクで志布志港を拠点に大隅を観光するプランを提案したいです。

国際観光学部 3年生 野口 総太

参加者一覧

田中 彰哉、関田 理佐、野口 総太、藤原 芽唯、織田 星也、家次 未來、北川 晶穂、山口 真実

教員のコメント

 2018年は新造船の就航と鹿児島を舞台とする大河ドラマ放映という、フェリーさんふらわあの大阪・志布志航路にとってとても大切な年でした。それに合わせて何か大きなことをやり遂げたいと、学生達は大変意欲的に取り組んでくれていました。
 ただ気持ちだけが空回りしていたところもあったようです。イベント提案は綿密な議論も行われず唐突なタイミングで進められ、案の定、良い反応は得られませんでした。
 しかし8月の取材計画では、志布志市観光特産品協会のお力もお借りしながら、さまざまな相手先との取り組みを用意してくれました。それが台風などのため2度も中止ととなってしまったのは残念でなりません。そして3度目は日程調整すらできないという事態になってしまいました。
 不可抗力によるものではありますが、動画撮影・編集などのスキルを特定の学生に頼っていて代替人員がいなかったことや、それ以外の代替案を出さなかったという、ゼミ内の問題もあったと思います。結果的に3回生が計画を立て直すことになりましたが、学年間での情報共有や議論が不十分であったこともまた問題を大きくしたように思います。
 それでも、新造船と志布志・大隅の魅力を紹介するコンテンツを考えるという最低限の課題を何とか設定し、取り組んでくれたのは、今後につながるものであったと思います。当初の構想にあった志布志の「食」にこだわるコンテンツをはじめ、鹿児島県大阪事務所からアドバイスをいただいた来阪インバウンドのフェリー利用による鹿児島へ誘導など、この先の取り組みの基盤になるものと思います。
 このような機会を頂戴しましたフェリーさんふらわあと、ご協力いただきました志布志市観光特産品協会、ご助言いただきました鹿児島県大阪事務所、そのほか現地でお世話になった方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。