2017.1.31

阿蘇カルデラ復興支援ツアーを提案しました

阿蘇カルデラ復興支援ツアーを提案しました

現地の方々との有意義な交流で、ツアープランの内容が深まりました

 国際観光学部では、2〜3年生の学生有志8名が阿蘇カルデラ復興支援ツアーの作成支援にかかわっています。昨年12月10日から11日にかけて、1回目の阿蘇市の現地調査と打ち合わせを行い、ターゲットを絞った着地型ツアーを作成することになりました。その後、毎週木曜日の放課後にメンバーで集まり、議論を進めてきました。各メンバーのツアープランの概略ができあがったことから、1月20日から21日にかけて再度阿蘇市を訪問することになりました。
 20日はまず、依頼元であるNPO法人ASO田園空間博物館を訪れ、下城卓也マネージャーに各メンバーのツアープランを提案しました。そこで、それぞれのツアープランに対して評価や改善点などについてコメントをいただきました。その後、ツアープランに掲載する写真を撮影するために、2つのグループに分かれて現地調査を行いました。
 20日の夜には、同じように着地型ツアーの作成依頼を受けている西南女学院大学の学生と合流し、阿蘇市役所やASO田園空間博物館の職員、地元の方々も含め、約30名で交流会を開催しました。ここでも各メンバーのツアープランを紹介するとともに、地元の方々からさまざまなご意見やご提案をいただきました。
 翌21日は、交流会でいただいた情報をもとに、再び現地調査を行いました。はじめに古閑の滝の氷瀑を見学した後、前日同様2つのグループに分かれ、新たな地域資源を見て回りました。以下で、参加した学生がツアープランの内容とともに、現地調査で得たことを報告します。
 今後は2月上旬を目途にツアープランをまとめ、再び提案する予定です。今回の調査の実施にあたり、下城マネージャーをはじめ、現地の方々からさまざまなご意見やご提案、アドバイスをいただき、とても有意義な調査になりました。ここに記して心より感謝いたします。(森重昌之)

フィールドワークの様子

  • ASO田園空間博物館でのツアープランの提案の様子

  • 交流会でのツアープランの紹介の様子

  • 各自のツアープランを手に現地の方々と交流する学生

  • 古閑の滝の氷瀑

  • 御宿かわせみでの聞き取り調査の様子

  • 子安河原観音での写真撮影の様子

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参加した学生の報告

地元の方の意見の大切さを学んだ2日間
 国際観光学部3年 三谷悠子

 最近「カメラ女子」という言葉をよく耳にします。自前の一眼レフカメラで写真を撮り、撮った写真をSNS上にアップするということが、一部の女性の間で定番になってきています。そこで、今回私は大学生から20代までの「カメラ女子」をターゲットに、阿蘇の景観や女性の受けが良さそうな場所を絞って観光してもらうツアープランを提案しました。私自身、女性の友人とよく旅行へ行きますが、その時にカメラで撮った写真を頻繁にSNS上に投稿することがあり、普段の自分自身の経験を活かせるようなツアーを考えたいと思いました。また、阿蘇は季節ごとに見える景色が違うので、春夏秋冬でカメラ女子が楽しめるようなツアーにしていきたいと思いました。
 阿蘇と言えば、やはり広大な自然や世界一の大きさと言われているカルデラの景観が観光の魅力になっていると感じます。私は、1回目の現地調査の時に「草千里」に行きました。草千里から少し歩くと、阿蘇市内とカルデラを一望できます。草千里や大観峰はカメラ女子だけでなく、多くの観光客が訪れる場所です。それを踏まえた上で、今回誰もが阿蘇を訪れた時に、必ず立ち寄る定番の観光スポットだけをピックアップするのではなく、地元の方しか知らない隠れた名所などを混ぜながらツアーをつくろうと考えました。
 そして、2回目の現地調査を行い、地域住民の方や観光協会の方などと交流会を行った時に、地元の方から阿蘇の「野焼き」を観光スポットにぜひ入れてほしいという意見を下さいました。また、ASO田園空間博物館の下城さまからは、カメラ女子のツアーということもあり、女子が思わず写真を撮りたくなるような、女性の受けが良さそうな「カフェ」を教えてくださいました。さらに、阿蘇の飲食店は冬期間休業しているところがいくつかあることも教えていただきました。私たちが実際に現地に行き、初めて休業しているということを知ったので、やはり現地調査がいかに大切か、また地元の方々の意見がとても重要だということがわかりました。ツアープランの作成にあたり、事前に季節ごとに写真スポットをおおまかに考えていましたが、写真を撮ることのできる時期が少しずれていたことから、違う場所にした方が良いといったアドバイスもいただき、とても助かりました。
 今回、交流会で地元の方々とお話しさせていただき、その時に阿蘇の観光ガイドブックやパンフレットには載っていないような情報をたくさん教えてくださったので、今後ツアーに積極的に取り入れてきたいと思います。

推進すべし、サイクリング観光
 国際観光学部3年 寺田收孝

 私たちは1月21、22日の2日間、自分たちが作成した観光ルートの良し悪しを探るため、阿蘇市を訪れました。
 初日の夜、阿蘇市の方々に話を聞く場があり、多くのご意見、ご感想をいただくことができました。その中で、現在サイクリングでの観光の取り組みを始めようとしていることを知りました。サイクリング観光の場合、運転免許のない方でも観光を楽しんでもらうことができるという大きなメリットがあります。現在、阿蘇市以外の多くの自治体でも取り組みが行われており、特に広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道では積極的にサイクリング観光を行っています。現在、私は阿蘇神社や阿蘇駅周辺を中心に、JRで訪れた一人旅向けのサイクリングルートをつくっているのですが、このルート以外にも、温泉街のある内牧周辺や阿蘇の街や阿蘇山を一望できる大観峰や北山展望所、さらに宿場町のある坂梨方面へのルートも作成していく必要があると感じました。現在、阿蘇駅近くには電動付き自転車しか置いていないので、今後はロードバイクやマウンテンバイクなども置いていただき、サイクリング上級者でも楽しめるようにしていただきたいと感じました。また、1日しか借りることができないようなので、複数日にわたって借りることができるようにしたり、しまなみ海道のように乗り捨てができるよう、多くの箇所に自転車を設置したりすると良いと思いました。
 1日目に出てきたご意見やご紹介してくださった観光資源をもとに、2日目はその場所を訪れた際、観光客に満足していただけるのか、2つのグループに分かれて調査を行いました。私たちのグループは、阿蘇神社近くにある「柑七」というパン屋を紹介していただいたので訪れました。安くかつ美味しいパンを味わうことができ、個人的には満足したのですが、店内に休憩できる場所が少なく、テイクアウト中心の店であるため、サイクリング観光には少し向かないようでした。阿蘇神社の近くには「阿蘇マーボー」という阿蘇名産のあか牛が食べることができる店があり、さらに道の駅で柑七のパンが置いてあるため、わざわざそのパン屋を訪れる必要がないのではないかとも感じました。また、阿蘇神社から阿蘇駅に向かう途中にあるカフェにも訪れたのですが、店内は1人も客がおらず、1人では入りにくいのではないのだろうかと感じました。
 今後は、1人でも気軽に訪れることができ、ゆっくりその場に滞在できる店や観光スポットを探し出していくとともに、サイクリングの経験度によってルートに差を設けるなどして新たなルートをつくっていき、阿蘇に来た多くの方々にサイクリング観光を楽しんでいただけるよう取り組んでいきたいと考えています。

最初のフィールドワークでは気づかなかった阿蘇の風景
 国際観光学部3年 隅田光佐

 1月21日から2日間、阿蘇復興支援プロジェクトのため、熊本県阿蘇市へプロジェクトメンバーと向かいました。NPO法人ASO田園空間博物館(以下、「田空」という)の依頼で観光ツアーの作成を行っており、12月に一度阿蘇市を訪れ、プロジェクトの内容や観光の現状を確認し、メンバーそれぞれがターゲットを細かく絞り、今回の2度目の現地調査までにシチュエーションに合ったツアープランの作成を行ってきました。
 私はカップルのツアーを考える中で、単なるカップルのツアーではなく「○周年記念日旅行を考えている人」向けに作成し、普段の旅行とは違い、特別感を得られるようなツアーを考えました。なぜ「特別感」に着目したかというと、1年記念日などにどこへ行きたいのか、さまざまな人にヒアリングした際、ディズニーランドやUSJといったテーマパークが多くあげられました。しかし、阿蘇市にはそのような施設はなく、真正面から対抗することは不可能だと感じ、「特別感」という違う角度からツアープランを考えました。プランの中でこだわった部分は、共同作業で何か残るものを作成することでした。
 そして、宿は1日1組限定の「森の駅どんぐり・御宿かわせみ」にこだわりました。ここは60代のご夫婦が経営しており、夕食、朝食ともにメニューなどはなく、その日の旬の食材が使用されています。今回のフィールドワークの中でかわせみを訪問し、経営者の菅さんとお話しする機会があり、宿の中も拝見させていただきました。一言でいうならば、一軒家がまるごと貸し切りになっていて、菅さんが家の壁、屋根、湯船といった家のほとんどを自分の手でつくり上げたとおっしゃっていました。その影響のせいか、何か温かい雰囲気が醸し出されていました。
 初日の夜に、田空のご厚意で懇親会が開催されました。その会には同様のプロジェクトを行っている西南女学院大学の学生や阿蘇市の職員の方、地域住民の方などが集まっていました。懇親会で自らのプランを発表する機会があり、多くのご指摘をいただくことができました。私自身がプランの中で行き詰っていた、共同作業で何かつくることのできる場所を教えていただきました。また、阿蘇市に泊まるからには夜を満喫してもらうためのプランを考えていたのですが、夜空をメインに考えてみてはどうかとの提案をいただき、地域の方しか知らないディープなスポットや情報も教えていただきました。
 今回は2回目の阿蘇市訪問でしたが、1回目は初めてという感動、そして今回は初めてではないからこそ見えた感動が多くありました。それは新たな観光スポットの発見であり、店や宿の方の人柄でした。今回得た情報も取り入れてツアープランの作成し、阿蘇市の復興支援に最後まで尽力していきます。

新たに知ることができた阿蘇の魅力と現状
 国際観光学部2年 寺地広将

 1月21〜22日の2日間、熊本県阿蘇地方でフィールドワークを行いました。阿蘇では、着地型観光ツアーの提案(ターゲットやコンセプトを絞った詳しい内容のツアー)と追加のフィールドワークを行いました。
 私は若い男性をターゲットに、「体験」をコンセプトとした内容で提案しました。ツアーの作成にあたり、交通の面でさまざまな問題がありました。昨年の熊本地震の影響で、現在鉄路は肥後大津駅から阿蘇駅までの間が運転休止の状態にあります。そして、道路も迂回路を使わないと行けない状況になっており、時間の配分が難しい状況でした。そこで、最終的な熊本への入り方として、空路を提案することにしました。最安値では伊丹空港発で1万円ほどと新幹線より安いこと、熊本空港でレンタカーを借りることができるという2点により、このように考えました。提案したツアーの大まかな流れは、1日目の昼から乗馬を体験し、ゲストハウスに宿泊します。2日目は朝からパラグライダーを体験し、午後から内牧温泉での湯めぐり、そして夕方に熊本を発つという内容です。
 フィールドワーク1日目は、昼にASO田園空間博物館の方とミーティングのあと、追加のフィールドワークを行いました。そして、夜には市民や行政の方々、西南女学院大学の学生との懇親会があり、ツアーに対して数多くの意見やアドバイスをいただきました。最も印象に残った意見は、空路で入るのではなく、鉄路で阿蘇へ入るというものでした。私のプランでは、体験プログラムにお金を費やすため、食事や宿泊にかかるコストをできるだけ抑えた内容になっています。飛行機はLCCを除くと、比較的高価な乗り物です。そこで、鉄路で「青春18きっぷ」を使用し、大分側より阿蘇へ入るというルートを教えていただきました。また、食事は道中の店でと考えていましたが、地元の安いお食事処で、観光客にとっての穴場を教えていただき、良い資源を得られました。さらに、期間限定ではありますが、「野焼き」という阿蘇の景観を守るための伝統的なイベントがあることも教えていただきました。懇親会を通して、ウェブサイトでは集められない数多くの情報を教えていただきました。プランの内容やターゲットについては、お褒めの言葉をいただいたこともあり、嬉しかったです。
 2日目は追加のフィールドワークを行い、先輩方のプランで訪れる場所を中心に訪れました。途中、前日に教えていただいた「お弁当のヒライ」で販売されている、竹輪の中にポテトサラダが入っていて、外側を揚げた名物商品を食べることもできました。サイズが大きく、これ1本とごはんでお腹が膨れるくらいのボリュームでした。
 今後は、作成したプランに教えていただいた情報を追加し、さらに地元のお食事処を調査することで、プランに組み込んでいこうと考えています。

カップルツアーとの差別化
 国際観光学部3年 小路健太

 1月21日から22日までの2日間、熊本県阿蘇市を訪れました。阿蘇市へは2度目の訪問で、前回は観光地を巡り、着地型ツアープランの情報取集でした。今回はツアーの対象を限定し、コンセプトを明確にしたプランを阿蘇市の方々に発表しました。
 私が提案したツアープランの対象は、長い間交際を続け、お互いの親にも紹介しているような、将来結婚を考えているカップルです。コンセプトは、阿蘇での思い出を形に残し、将来の子どもと分かち合えるような「ものづくり」にこだわった体験ツアーです。このようなプランを考えた理由は、カップルを対象にしたツアーはたくさんありますが、ツアーの対象が定まっているプランが数少ないと感じたからです。例えば、交際期間が1ヶ月であっても1であってもカップルといえますが、行き先や思い出の残し方が違ってくると考えられます。そこで、カップルのシチュエーションを深堀りしました。
 阿蘇には、体験できるプログラムがたくさんあることから、私は「ものづくり」に重点を置きました。熊本空港からレンタカーを借り、阿蘇市内へ向かいます。市内に到着すると、「隠れ茶蔵」という古民家のカフェへ立ち寄ります。「隠れ茶蔵」は店内に薪ストーブがあり、カウンターからは田園空間を眺めることができ、普段味わえない静かな時間を彼女と楽しめるスポットです。
 次に、体験の「ものづくり」へと移動しますが、発表したプランではスプーンづくりを織り込んでいました。しかし、店のご都合で体験できないとのことでした。そこで、関屋さまに教えていただいた「石鹸づくり」を入れたいと考えました。石鹸は阿蘇の名物「あか牛」の脂身や「酒」を使用しており、阿蘇でしか体験できない「ものづくり」です。その後、宿舎「阿蘇乃やまぼうし」で日の入り時間を合わせ、展望台で日没を眺めます。「阿蘇乃やまぼうし」は大観峰と距離が近く、日の入りや日の出の景観を楽しむことができることから選びました。
 翌朝のチェックアウト後、「阿蘇神社」へ向かう予定でしたが、「阿蘇神社」は人気の観光地として知られており、下城さまには「国造神社」や「乙姫神社」、「子安河原観音」のあまり知られていないスポットを提案していただいたことから、取り入れることにしました。
 次に昼食を入れる予定でしたが、時間の兼ね合いで体験を入れることにしました。1日目の石鹸は使うとなくなってしまうものなので、陶器などをつくり、形の残るものを織り込む予定です。体験を終えると、遅めの昼食をとり、その後空港へと帰ります。
 このツアーの強みは、阿蘇の売りである「景観」を見ることができなくても楽しめることです。そして、交流会でいただいた意見から、カップルツアーとの差別化を図ることを課題とし、コンセプトと対象を見ただけで理解されるようなツアーへと改善しなければなりません。今回の訪問で、修正点と新たなスポットを発見できたことから、次の訪問に向け、完成したツアーを発表するのが楽しみです。

地元の方に聞いた阿蘇の魅力
 国際観光学部3年 小林廉

 私たちは今回、1月21、22日の2日にかけて、2度目となる阿蘇市を訪問しました。前回訪れた際には、ほとんど阿蘇の情報や現状を知らないままでの訪問でしたが、今回は2回目ということもあり、たくさんの情報や知識を持って訪問することができました。また、今回はプロジェクトの本題である観光ツアーのモデルコースを個人でつくり、阿蘇で発表しました。
 まず、はじめにASO田園空間博物館の方に対して、1人ずつ発表していきました。そこで各ツアーの概要や要点、ターゲットなどについて発表し、意見やその他のお勧めスポットを教えていただきました。この打ち合わせの後、実際にパンフレットなどをつくる際に必要な写真を、2つのグループに分かれ、各ジャンルの内容に沿った写真を撮って周りました。そして、その日の夜に西南女学院大学の学生や阿蘇市観光課の方、まちづくり課の方、地元の方などと意見交換会を行いました。ここでも自分たちのツアーの内容やターゲットについて発表しました。この場では、各自で自身のツアーの問題点や改善すべきところ、また地元の方だからこそ知るスポットなどについてうかがい、意見を交換しました。
 私のツアーの内容は「男友だちと阿蘇の食を満喫しよう」というものです。このツアーについて、いろいろな方にお話をうかがいました。この意見交換会の時に阿蘇で民宿を経営されている「あそ兵衛」の代表取締役専務の方とお話しする機会がありました。この「あそ兵衛」では、阿蘇で有名なあか牛を食べ比べするかたちで提供しているということを教えていただきました。あか牛のサーロイン、ヒレ、カルビ、ロース、ウデといった5種類の部位を食べ比べることで、あか牛の魅力を伝えているそうです。また、あか牛の食べ放題プランもあるとのことでした。
 私が最初に提案したツアーでは、他の宿で阿蘇の野菜などを楽しむ予定にしていましたが、今回のお話をうかがってツアーの宿は「あそ兵衛」に変更しようと決めました。また、食べ物だけではなく、地元の方とも触れ合えるサービスを勧めていただきました。今年の夏ごろに完成するバーに阿蘇の年配の女性を雇用することで、宿泊客に阿蘇の人の温かさを楽しんでもらおうというものだそうです。旅行に出かけて地元の方と触れ合うことで、もっとその土地を好きになるのではないかと思いました。今回の意見交換会を通じて、地元の方が阿蘇を本当に好きなのだと感じました。皆さんは多くの店やスポットをご存じで、それらを私たちに丁寧に教えてくださいました。地元の方々と話すことで見えてくるものや改めてわかった阿蘇の魅力を、これからツアーで伝えていきたいと思います。

訪日外国人観光客を地方に誘致
 国際観光学部3年 若林佳代

 1月21日から1泊2日で、2回目の熊本県阿蘇市を訪れました。前回行った現地調査から、どのような観光地が自分自身の考えたプランに合っているのかを確認し、立てたプランをNPO法人ASO田園空間博物館の方に発表しました。また、今回の阿蘇市フィールドワークでは西南女学院大学の学生や阿蘇市観光課・町づくり課の職員、地元の方々との夕食を兼ねた意見交換会が行われました。そこで、季節に合った観光地や風景を提案していただきました。また、当初プランの中にあか牛などの有名な場所を掲載しようとしていたのですが、郷土料理を載せて見てはどうかといった意見をいただき、意見交換会で指摘された内容や地元の方と触れ合える店など、紹介していただいた場所をプランに掲載しようと思いました。そして、観光客がこのプランを見て楽しく周ることのできるコースを提案し、また違う季節に訪れてみたいと興味を持ってもらえることで、リピーターにつなげられればよいと感じました。
 3年後の東京オリンピックで、さらに訪日外国人観光客が増加すると予想されている中で、訪日外国人観光客には日本の大都市を楽しんでいただくだけでなく、地方にも足を運んでいただき、日本の四季を楽しんでいただきたいと感じたので、外国人向けコースを考え、阿蘇くまもと空港の国際線の状況を調べました。阿蘇くまもと空港の国際線は現在、韓国と台湾、香港の路線しかなく、訪日外国人観光客はどのようにして熊本県を訪れているのかわかりませんでした。そこで、もう少し調べて見ると、周遊ルートの例では福岡空港から熊本市内を観光し、阿蘇市に訪れることがわかりました。福岡県から韓国・釜山にフェリーが運航しているので、周遊コースとして熊本県へ訪れる韓国人観光客も多くいるのではないかと感じました。NPO法人ASO田園空間博物館の方の話によると、福岡空港から阿蘇を訪れる訪日外国人観光客は65%おり、残りの15%は阿蘇くまもと空港から訪れていることがわかりました。そこで、熊本市を訪れ、さらに周遊コースとしていろいろな地方を周るようなプランをつくりたいと思いました。
 私が考えたプランは、1泊2日で日本の四季を楽しむ外国人向けコースです。レンタカーを借り、的石御茶屋跡で桜や紅葉を見ていただき、日本の風景を感じていただきます。次に、穴場のスポットとして西小園八幡宮をコースに入れようと思いましたが、実際にその場所に訪れて感じたことは、訪日外国人観光客が見つけることができるのかということでした。そこで、意見交換会の時に教えていただいた、桜の風景が楽しめる長寿ヶ丘つつじ公園などに変更しようと考えています。また、宿泊する旅館として、浴衣を着たり、お土産ブースがあったり、周辺コースを周ることができるという内容から、「入船」旅館を選びました。地元の方と会話しながら触れ合える状況をつくりたかったので、商店街などの店でお酒を飲みながら、1日目が終わるプランにしました。
 2日目は朝食をとった後、体験メニューとしてパラグライダーを入れ、阿蘇の朝の風景を楽しんでいただけるようにしました。昼食では郷土料理を堪能していただき、阿蘇神社を訪れ、門前町商店街で「白玉団子」を食べていただきます。そして、草千里で阿蘇の自然を感じていただき、道の駅・阿蘇でお土産を購入した後、空港へ戻るというコースにしました。
 今後は、訪日外国人観光客が周りやすい場所を変更しようと思っています。また、訪日外国人観光客向けですので、多言語に対応したマップも作成しようと考えています。

阿蘇の歴史観光の再確認
 国際観光学部3年 小田建斗

 私は、1月21日から22日までの2日間にかけて、熊本県阿蘇市で2回目のフィールドワークを行いました。1日目はASO田園空間博物館での打ち合わせ、他大学と阿蘇市に携わる方々との交流会が開かれ、2日目は観光資源を回りました。今回は、私たちが考えたルートを発表し、そこから多くの方々との意見交換を行っていくことで、よりよいプランづくりを進めていくきっかけになりました。
 発表するにあたって、私が考えたルートは「久々の男二人旅で今の阿蘇を満喫」というテーマです。主に、歴史が好きな男性向けに作成しました。ルートの内容は、有名な観光地である大観峰などを入れながら、歴史がある国造神社や地震の甚大な被害を受けた阿蘇神社を巡るほか、男性同士ということですので、食の面でも満足できるようにし、内牧温泉の宿を入れるなど、男性目線の充実した内容で作成しました。
 1日目の打ち合わせや交流会が行われた中で、阿蘇の方々と話し合い、多くのご意見をいただいた点が、阿蘇だけでなく内牧の歴史にも触れ、つながりを意識してはどうかということでした。一方、問題点として、ただ歴史がある場所を巡るだけでは物足りない部分があるということでした。私がこのルートを作成するにあたって、最初は歴史や天然記念物といった大まかなカテゴリーで観光地の場所を決めていきました。しかし、この方法では観光地の本当の良さを伝えきれていないことがわかりました。改善点として、阿蘇の歴史について十分調べきれていなかったため、もう一度しっかりと調べ直し、観光地と歴史のつながりを踏まえた上で、ルートをつくり直すことがあげられます。2日目には、交流会などで教えていただいた観光資源を巡りました、その中で、霜神社というところはまったく知らなかったのですが、興味深い言い伝えがあり、私のこれからのプランに当てはまるものがあるように思いました。
 今回のフィールドワークで感じたことは、阿蘇は自然景観の魅力が多く、歴史というものから少し離れているように思っていました。しかし、決してそのようなことはなく、阿蘇の方々とお話しする中で、歴史のおもしろさや深さを感じることができました。景観と食のイメージが強い阿蘇ですが、視点を変え、古き歴史を辿りながら観光することは、新たなイメージのひとつになり得ると思いました。今後は、交流会などでいただいたアドバイスを取り入れながら、阿蘇の神話などの物語性にも基礎に置きつつも、阿蘇・内牧の両方を満喫し、阿蘇をより感じることができるようなプランをつくろうと考えています。