阿蘇カルデラ復興支援ツアーの作成に向けて、動き始めました

阿蘇地域を訪問し、資源調査を行いました

 本年4月に発生した熊本地震によって、阿蘇地域は甚大な被害を受け、観光客も減少している中で、新たな観光振興を図ることが求められています。国際観光学部ではNPO法人ASO田園空間博物館から阿蘇カルデラ復興支援ツアーの作成支援の依頼があり、国際観光学部2〜3年生の有志8名がかかわることになりました。
 そこで、12月10日から11日にかけて、阿蘇地域へ現地調査に出かけました。1日目はASO田園空間博物館と打ち合わせを行い、調査の進め方などを確認した後、草千里と大観峰を調査しました。夕食後には学生同士で話し合いを行い、メンバーごとにツアーのたたき台を検討しました。
 2日目は的石御茶屋跡、隼鷹天満宮、北山展望所を視察した後、午後から阿蘇神社、門前町商店街を調査し、最後にASO田園空間博物館で調査報告と今後のスケジュール確認を行いました。2日間とも天候に恵まれたこともあり、雄大な景観が魅力であることを学びました。以下で、参加した学生が2日間のフィールドワークの様子を報告します。
 今後はターゲットを絞った着地型ツアーをいくつか検討し、年明けに再度阿蘇地域を訪問する予定です。今回の調査の実施にあたり、ASO田園空間博物館の下城マネージャーをはじめ、現地の皆さまに大変お世話になりました。ここに記して感謝申し上げます。(森重昌之)

フィールドワークの様子

  • ASO田園空間博物館との打ち合わせの様子

  • 阿蘇中岳と草千里

  • 的石御茶屋跡での調査の様子

  • カルデラが眺められる北山展望所

  • 阿蘇神社前インフォメーションセンターでの聞き取り調査の様子

  • ASO田園空間博物館・下城マネージャーとの記念撮影

参加した学生の報告

復興の兆しと残る爪痕
 国際観光学部3年 隅田光佐

 12月10日から11日の2日間にかけて、熊本県のNPO法人ASO田園空間博物館との共同プロジェクトのため、私たち森重ゼミは阿蘇市を訪問しました。
 まず、ASO田園空間博物館とは、阿蘇市全体を屋根のない博物館にたとえ、自然と人びとが創出した有形・無形の地域資源(サテライト)を展示物として保全活用しようという取り組みを行っている団体です。地域内外への情報発信や体験イベントを通じた都市と農村の交流を図っており、現在これらの取り組みをASO田園空間博物館が行っています。
 今回のフィールドワークの概要としては、4月中旬に起きた熊本地震の影響で観光客が減少しており、阿蘇の二大産業である農業・観光ともに衰退している現状がありました。そこで、ASO田園空間博物館の方の依頼で、阿蘇地域の周遊コースを作成することになりました。
 まず、初日の話し合いの中で、現在の阿蘇の復興状況などを確認しました。その中で、私たちが事前に調べていた、若者が観光へ行く動機に見合った観光地を教えていただきました。ヒアリングを行う中で、観光資源が大観峰やミルクロード、草千里ヶ浜といった景観が中心となっており、「世界一のカルデラ」といわれている阿蘇山により形成されたカルデラを基盤に、観光産業が成り立っていると感じました。現在はSNSの流行で、こうした景観をSNSにアップし、その投稿を見た人が新たに訪問するという道筋ができあがってきているとのことでした。そして、海外の観光客に関しては、震災後大幅に減少していたが、徐々に回復しており、海外の観光客はアジア人であれば景観を求めて、ヨーロッパの人たちはトレッキングを楽しみに来ているということもわかりました。来訪者の中には、ミルクロードを活用し、サイクリングに訪れる人やバイクで訪れる人などがおり、サイクリングであれば、自動車で現地まで来た人のために駐車場を提供するサービスなどが実施されていました。
 2日間を通じて、たくさんの観光スポットは周れませんでしたが、阿蘇の観光スポットをいくつか訪れることができました。そこで感じたのは、熊本地震の震災の爪痕です。斜面が削れて落ちていたり、建物が崩壊したままであったりと、まだまだ震災前の姿には戻ってはおらず、地元の人たちは「一生戻らないところもたくさんある」とおっしゃっていました。
 震災の現状や復興に力を注いでいる地元の人たちを見て、今後は現地調査やヒアリングを通じてより良い周遊コースを作成し、震災前の活気のあった阿蘇以上に、笑顔あふれるまちに阿蘇が戻るように貢献したいです。

解決すべき阿蘇の課題
 国際観光学部3年 寺田收孝

 私たちは12月10、11日の2日間、熊本県阿蘇市を訪問し、阿蘇の現状を見て、観光客誘致のために今後どのような取り組みを行えば適切なのかを知るため、現地調査を行いました。
 私が特に印象に残った市内にある観光資源は、1日目に訪れた草千里ヶ浜です。草千里ヶ浜では、阿蘇市街や外輪山といった阿蘇独特の風景を見ることができ、さらに阿蘇中岳の噴火の様子を見ることもできます。さらに、市街地から草千里ヶ浜に行く道中の草原には、ウシやウマが放牧されており、阿蘇の風景と一緒に写真を撮ることができます。
 しかし、美しい阿蘇の風景が見ることのできる草千里ヶ浜には、問題もいくつか存在しているように感じました。1点目は、交通手段についてです。近年、若者のクルマ離れが進んでおり、運転免許を取得していない人がたくさんいます。草千里ヶ浜にはバス停がありましたが、2日間の滞在期間中に、市内でバスが走っている姿を見かけませんでした。市内には、草千里ヶ浜以外にも大観峰など、眺めの良いスポットが多くありますが、そのほとんどが歩いては行けないような高地に位置しています。阿蘇駅にはレンタサイクルがありますが、事故が起きる危険があるため、利用客に高地へは行かないように呼びかけているようです。そのため、眺めの良いスポットにクルマなしで行くことは難しい状況です。
 また、阿蘇の周辺には、黒川や湯布院といった温泉地や熊本城のある熊本市、さらに高千穂、太宰府など、観光地が多く点在しています。そのため、ある観光地から別の観光地へ行く途中に阿蘇があり、せっかくなので寄ってみようといったケースで訪れる方もおられると考えます。私自身もそのようなケースで一度阿蘇を訪れたことがあります。今後、短時間滞在でも楽しることのできるようなコースをいくつか制作したいと考えています。
 駅からの交通手段が悪いとなれば、その観光地がどんなに良くても、短時間滞在型の観光客がその観光資源を訪れたいと感じなくなり、ひいてはその地域を訪れようと思わなくなるかもしれません。まずはレンタカーなどを利用しなくても訪ねることができるよう、公共交通網の強化を行うべきだと感じました。
 2点目は、楽しめる施設が乏しいことです。草千里ヶ浜には火山博物館やレストハウスなど、観光施設が数店舗ありましたが、訪れた時間もあって営業しているようには見えず、草千里ヶ浜を訪れている観光客は数人程度でした。この状態では、その場所を訪れたとしても景色を楽しむだけとなってしまい、観光客は短時間でその場所を去ってしまううえ、また訪れたいとは思わないでしょう。改善するためにアイデアを出し合い、現在よりも長い時間滞在したいと感じられる施設に変えていくべきだと感じました。
 最後に、草千里ヶ浜には震災により崩壊した石碑がいくつかありました。草千里ヶ浜以外にも、市内には崩壊したものが多くあると思います。今後、震災の恐怖を知ってもらうために、残して観光資源として利用すべきか、それとも安全などを考慮して新しいものに作り替えていくべきか、議論する必要があると感じました。

阿蘇観光の模索
 国際観光学部3年 小田建斗

 私は熊本県阿蘇市の阿蘇復興プロジェクトに参加し、12月10日から11日まで現地でフィールドワークを行いました。今回の調査では、初めて阿蘇を訪れる人が多かったので、地域のことを少しでも理解するため、観光地を重点的に巡りました。
 熊本県北東部の阿蘇地域に位置している阿蘇市は、阿蘇五岳を中心とする世界最大級のカルデラや広大な草原、平坦地の阿蘇谷、傾斜地の多い阿蘇外輪地域で形成されており、自然資源がとても豊富で、県内最大の観光地となっています。熊本県は4月14日夜に熊本地方を震源としたマグニチュード6.5の地震が起き、16日未明には阿蘇市で震度6弱の揺れが襲い、大きな被害がもたらされました。初めて現地を見て、ブルーシートがかかっている家屋が多く、土砂崩れの箇所もあり、映像で見てきたものだけでなく、実際にはいたるところに地震の爪痕が残っている状況です。
 私たちは、1日目にNPO法人ASO田園空間博物館へ訪れ、話し合いを行った後、観光地を時間の限りいくつか巡りました。その中から大観峰について紹介したいと思います。大観峰は標高936メートル、阿蘇北外輪山の最高峰に位置し、数あるビュースポットの中でも抜群に良い景色が見ることができる展望台となっています。そこからは阿蘇五岳を一望できるほか、カルデラ盆地や大分県のくじゅう連山まで見ることができ、360度の大パノラマが楽しめる人気の景観スポットです。見どころはやはり、お釈迦さまが寝ている姿に似ていることから涅槃像とも言われている阿蘇五岳です。空気が澄みわたっている時期には綺麗に景色が見えるほか、四季によって緑の草原、野焼き後の黒い大地、秋のススキなど、自然の変化とともに見る景観は、楽しむポイントの1つだと思います。さらに、阿蘇では竹田城跡でも有名な雲海を見ることができ、寒暖差が大きく、風のない日に出やすいという難しい条件ですが、運が良ければ、カルデラ盆地を覆いつくす雲海を見ることができます。とても神秘的なもので、阿蘇に来たらぜひ見ておきたい魅力の1つであると思いました。大観峰は年代を問わず、阿蘇に訪れたらここに行くべきと言えるほどの観光地として定着しているようで、普段見られない絶景はとても自分の中で焼き付けられました。
 これから観光のプランニングを行うにあたって、観光者のニーズに合わせながら阿蘇がどのようなところかについて学びながら、景観というイメージだけでなく、さまざまな面で観光という形で光を当てられるように、またそれらを多くの人に伝えられるように、活動していきたいと思います。

外国人観光客を誘致し、日本の風景で癒す
 国際観光学部3年 若林佳代

 12月10日から1泊2日で、私たちは熊本県阿蘇市を訪れました。NPO法人ASO田園空間博物館の方々と話し合い、どのようなターゲットに絞り込み、プランを考え、今後どのようにして観光客の誘致につなげていくのかについて調べるため、現地調査を行いました。
 私自身、今回のプロジェクトに参加する以前、熊本というと「くまモン」のイメージしかありませんでした。今回の現地調査に参加し、阿蘇の観光資源として、たくさんの景観スポットや季節によって変化する風景、サイクリングを楽しむ人びと、野焼きの黒いイメージから「黒い季節」と呼ばれているなどといったことを知りました。そして、バスで移動する団体の外国人観光客をたくさん見かけました。どのくらい外国人観光客が訪れているのか、気になったので調べて見ると、熊本県を訪れた外国人観光客は昨年、過去最高の71万人でした。しかし、熊本地震の影響で、最も多く訪れていた韓国人観光客が激減していることがわかりました。さらに、ホテルではキャンセルが殺到したことや郷土料理店に外国人観光客が訪れなくなったことなどがあげられます。外国人観光客はメディアなどの情報だけで不安になってしまい、そうしたことが風評被害につながってしまうのではないかと感じました。外国人観光客を呼び戻すために、熊本空港はソウルを結ぶ国際チャーター便を計16往復運航することが決まったそうです。外国人観光客を誘致し、外国人向けの観光コース、マップなどをもっと増やしていくことで、さらに外国人観光客を集客できるのはないかと思いました。
 外輪山からは阿蘇の全体的な風景を見渡すことができ、写真スポットになっているので、私もたくさん写真を撮りました。団体バスも駐車していたので、外国人観光客にも人気のスポットで、阿蘇に訪れたなら絶対に訪れるべき場所だと感じました。SNSなどにも展望所からの写真がたくさん掲載されていました。私は季節によってどのように風景が変化するのかを気にしながら、いろいろな場所を紹介したいと思いました。
 特に、今回訪れた「的石御茶屋跡」という場所は、違う季節の時にも訪れてみたいと感じた場所です。春には桜、秋には紅葉の風景が池に映り込み、写真スポットになるほか、静かで癒されるスポットでもあると感じました。NPO法人ASO田園空間博物館で働いている外国人スタックのブラックさんの話によると、外国人観光客は時間通りに移動するより、自由に行動したいということでしたので、外国人観光客にも日本の風景を季節ごとに感じてもらえるコースを提案したいと思います。そして、SNSにアップしてもらうことで、さらに外国人観光客の誘致につながると感じました。
 もう1つ、興味を持った場所が「ホタルの里」です。今回はホタルを見ることができる季節ではなかったので、私も行かなかったですが、夜の観光コースとしてよいのではないかと思いました。今後は外国人観光客が日本の風景を楽しみ、郷土料理を食し、さらに夜の観光コースが楽しめるコースを作成したいと思います。

阿蘇が誇るカルデラの不安と期待
 国際観光学部3年 小路健太

 私たちは、熊本県阿蘇市にある道の駅(ASO田園空間博物館)から阿蘇を周遊できる着地型観光プランを提案してほしいと依頼があり、阿蘇市へ足を運びました。熊本県阿蘇市は今年4月に発生した地震により、多大な被害を受けました。地震の規模は震度7で、東日本大震災とほぼ同じ揺れが観測され、熊本地方は土砂災害や家屋の倒壊など、さまざまな被害を受け、壊滅的な状態でした。加えて、阿蘇山の噴火警戒レベルが上がるという不幸も重なりました。私たちが阿蘇に訪れたのは12月で、地震発生から8ヶ月後でしたが、熊本空港から阿蘇市へ行くルートが土砂崩れで封鎖されていたため、1つのルートでしか行けませんでした。また、空港を出ると、ブルーシートに覆われている家もあり、被害の大きさを感じました。
 熊本空港から約1時間で道の駅阿蘇に到着し、NPO法人ASO田園空間博物館のマネージャーである下城卓也さんと打ち合わせを行いました。打ち合わせでは、若者のニーズに合った周遊コースをつくり、その際に年齢や性別、関係、シチュエーションなど、細かいテーマを決めて作成することが決まりました。打ち合わせが終わると、阿蘇の魅力の1つである「景観」スポットの大観峰へ行きました。大観峰はかつての噴火の影響により盆地になった縁の山となって形成されています。盆地となっている部分を「カルデラ」と呼び、さまざまな展望所があることから、訪日外国人や若者が多く訪れていて、阿蘇では人気の観光スポットでした。
 その中で、大観峰の近くにある北山展望所は、草原に囲まれており、阿蘇市を見渡せる展望所です。また、天候条件により見ることが難しいとされる雲海も見ることもできます。前日が雨で、次の日が晴れて気温差が大きい時に雲海が出ることが多いそうです。展望所以外にレストランがあり、駐車場もあるので、バイク乗りの方が多く訪れるそうです。レストランには特産物の赤牛があり、「震災割」で安くなっていて、観光客を呼び込む工夫がされていました。しかし、2、3月の真冬になると、北山展望所は氷点下になり、雪が積もることもあるそうです。雪が積もると展望所に風が吹き、雪が道に流れ込み、交通止めにもなるそうです。レストランの方も1、2月は店を閉めるそうで、展望所に閑散期があることがわかりました。そして、また地震が来ると、北山展望所は崩れやすくなり封鎖されることもあるそうです。
 阿蘇市は「景観」が魅力であり、雨や悪天候になると観光で周遊できる場所が減り、観光客の呼び込みに苦労しているようです。これからは、雨でも楽しめる阿蘇ならではの資源を組み合わせ、モデルコースづくりに励んでいきたいです。また、閑散期や防災に向けた対策を考えていきたいと思います。

阿蘇の現状を知ることが出来た2日間
 国際観光学部3年 三谷悠子

 今年4月に熊本県内で起きた地震により、国の重要文化財に指定されている阿蘇神社の2階建ての桜門が倒壊しました。そして、境内の建物も甚大な被害を受けました。柱は折れて潰れ、屋根も大きく傾いている状況でした。この他にも、拝殿や3カ所の神殿も損壊していました。阿蘇神社は国宝であるため、既存している素材をそのまま使わなければならず、新しい素材を用いると国宝ではなくなるため、桜門の再建には何年も時間がかかることがわかりました。そして、地震後は仮の参拝所が設けられていました。本来であれば、国内のみならず、韓国や中国をはじめとした外国人観光客が阿蘇神社に訪れることが多いようです。しかし、地震の影響もあって客足が減り、観光客がまったく来なくなったそうです。
 国の重要文化財の楼門は、倒壊した元の材料が再建に利用できるため、再建後も重要文化財として指定される予定になっています。また、再建には10年の歳月と、20億円の費用がかかると見込まれています。阿蘇神社は地域住民の願いを込めて、一刻も早い復旧、また再建に向けて着々と動き出していることがわかりました。今回の地震では、阿蘇神社のみならず、阿蘇市内では至るところに地震の爪痕があり、その中でも道路に亀裂が入っているところが多く目立ち、地震の被害をどれだけ受けているのかを知ることができました。また、阿蘇神社の鳥居周辺では、地震の揺れで石が落ちているところがあり、これは草千里を訪れたときにも同じような光景を目にしました。
 そして、現在も阿蘇市内から熊本市内へとつながる道路が、迂回ルート1本しか通っておらず、またJR線も阿蘇大橋付近での土砂崩れの影響で、阿蘇駅までの運転となっており、交通の便が非常に悪いという現状も、現地に行って初めてわかりました。
 これらを踏まえて、今回は観光ルートをつくることになりました。まずは観光客のターゲット層を絞り、その中でも私たちに近い年代の人たちを狙うという取り組みを行うことになりました。いまやインターネットの時代でもあり、若者がSNSを使って情報を発信する際、拡散力があると思います。私たちの目線でどのような情報を発信することができるか、そして今後はASO田園空間博物館の方と一緒になって、どのようなコースをつくれば、いろいろな観光客に来ていただけるかなど、どんどん提案し、阿蘇市に地震前よりもたくさんの観光客に訪れてもらえるような観光ルートをつくっていこうと思います。

現地で感じた人びとの明るさ
 国際観光学部3年 小林廉

 私たちはNPO法人ASO田園空間博物館と連携し、4月16日に起こった熊本地震の復興支援の活動を行っています。12月10日から11日にかけて熊本県阿蘇市を訪れ、現地の観光資源や地震の影響を調査しました。阿蘇で有名な「大観峰」や「草千里」、「阿蘇神社」などの観光スポットのほか、ASO田園空間博物館の方に教えていただいた観光スポットなども今回の調査で見ることができました。その中の阿蘇神社の近くにある「門前町」について紹介していきます。
 この「門前町」は、現在地震の影響により倒壊している阿蘇神社の横にある商店街です。この「門前町商店街」には、水基という水飲み場が20数か所あります。この土地は古くから湧き水に恵まれており、その湧き水を生活や飲用として活用してきました。この湧き水を商店街に来られた方にも飲んでいただきたいということで、木や石で水基という水飲み場をつくり、多くの方に水をふるまっています。この美しい湧き水に惹かれて商店街を訪れる人も多いそうです。現在、地震の影響で数か所の水基が枯れてしまっていますが、多くの水基では今も湧き水を飲むことができます。
 水の他に、湧き水を使ったおいしい料理の店も多く並んでいます。店の中には、熊本の特産品である「あか牛」や「馬肉」を使った料理を販売している店があります。私たちは、その中でも「あか牛」を使った「牛かつ重」を販売している「はなびし」で昼食をとりました。そして、みんなで「牛かつ重」をいただきました。熊本名物の「あか牛」はとてもさっぱりとしていて、食べやすい肉でした。子どもや女性の方でも食べやすい肉ではないかと思います。
 その他にも、「馬肉」を使ったコロッケ、「馬ロッケ」の店にも多くの方が並んでいて、大盛況でした。この他に湧き水を使ったコーヒー店が新しくできていて、そこでコーヒーも飲みました。私はコーヒーが苦手なのですが、とても飲みやすくおいしかったです。
 このように、多くの水飲み場や名物を使った店がたくさんあり、とても賑やかな商店街でした。また、震災後にもかかわらず、多くの観光客の姿が見られ、賑わっていました。商店街の至る所に「がんばろう!熊本」や「がんばろう!阿蘇」といった文字を見ることができました。店の方や案内所の方も、地震があったことを感じさせないぐらい元気な印象を受けました。
 今回の調査では、これまでなかなかイメージの湧かなかった阿蘇についての現状や阿蘇の観光スポットなどについて知ることができ、非常に貴重で重要な時間になりました。今後の活動では、今回の情報などを活用して活動していきたいです。