バスでの旅を楽しむマップづくりの調査を行いました

 今年度の標津町プロジェクトでは、11月22~25日の3泊4日で現地調査を実施し、①謎解きクイズを解きながら道東をドライブする謎解きマップと、②バスで標津町を楽しんでいただくためのバスマップの作成に取り組んでいます。今回はバスマップの作成について紹介します。
 標津町には、かつて標茶・厚床と根室標津を結ぶJR標津線が走っていましたが、1989年に廃止され、現在公共交通機関はバスしかありません。しかし、バスは運行本数が少ないので、必ずしも利便性が高いとはいえず、自動車による移動に頼っているのが現状です。その中で、バスでも標津町を訪れ、車窓なども含めて楽しんでいただくためのマップづくりに取り組むことにしました。今回は初めて標津町を訪れたメンバーを中心に、実際にバスに乗車し、「初めての感覚」を生かしながら資源探しを行いました。今後は前回紹介した謎解きマップも含め、成果を取りまとめていく予定です。
 今回の調査にあたって、標津町観光協会や旅館なりたの皆さまに多大なるお気遣いをいただきました。ここに記して、心より御礼申し上げます。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 中標津バスターミナルでの調査の様子

  • 標津町内を走る路線バス

  • 鳥の形をしたバス停留所の待合室

  • 宿泊した旅館なりたで女将さんと記念撮影

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参加した学生の報告

星降る町 標津町を訪れて
 国際観光学部1年 上林美凪

 11月22日から25日までの4日間、私たちは北海道標津町へ行き、現地調査を行いました。事前にマップや衛星写真を見て、観光地や目立つポイントを把握しましたが、私は今回標津町に行くことが初めてだったため、イメージや雰囲気がわかず、苦労しました。標津町は、釧路空港から自動車で2時間半の場所に位置します。根室や知床に行くための通過地とされることが多いため、ポイントを巡りながら自動車やバスでの道中を楽しむことができないか考えるため、調査を行いました。現地では参加した学生12人を3つのグループに分け、標津町から根室、摩周、羅臼方面への調査と路線バスでの移動、標津町内でのまちあるきを主に行いました。
 続く3日目には、バスを乗るグループとまちあるきのグループに分かれて調査しました。私は中標津町から標津町(川北経由)へ行く路線バスに乗車しました。約40分、24停留所を通るバスからは、途中牧場に面する広大な道路や森林、小さな街中を通ることもありました。そこでは、季節によってさまざまな風景を見ることができそうですが、ちょうどその日は霧が濃く、曇っていたので、遠くまで見通すことが難しかったです。豊かな森林を活用し、冬期にはイルミネーションができるのではないかと思いました。標津町は鉄道が通っていないため、交通手段は自動車かバスに限られます。1日に数えるほどしかない路線バスでも、バスがなくなれば困る人もいます。私たちが乗った時は、地元の方が2人利用されていました。バスに乗っている最中は、時間を忘れ、ゆったりとした空間と壮大な景色を楽しむことができました。途中の川北駅バス停では、廃線になった鉄道の車両を見ることができます。そこでは、鉄道が運行していた名残が感じられました。また、通過した橋の街灯にサケがデザインされており、橋の柵にもサケのモチーフがありました。これらはマップづくりに記載でき、視覚的にも楽しめるものだと思いました。たった40分の移動でしたが、標津町の町並みや牧場、観光スポットを含むすべてがわかるバス旅だと感じました。
 標津町は、時間によってさまざまな姿を見せてくれます。例えば、この時期の標津町は太陽が4時半頃に沈み、5時半頃には星空が見えるほど暗くなります。このような風土を活かして、バスの中から星空の観察もできるのではないかと考えました。標津町では豊かな森林と牧場が広がり、満点の星空を見ることができ、海の恩恵を受けたサケの町でもあります。標津町を全国に知ってもらう、興味をもってもらうために、何か新しいものをつくるのではなく、今あるものを最大限に活かし、幅広い年代からの意見が必要だと思いました。今回現地の方と意見や交流する機会が少なかったため、地元目線の情報が得られなかったことが残念でした。今後、標津町についてさらに把握し、標津町の観光事業に尽力していきたいと思います。

バスから見える大自然
 国際観光学部1年 千賀琉偉

 私は、11月22日から25日までの4日間、北海道標津町を訪れ、現地調査を行いました。今回このプロジェクトに参加するにあたって、毎週会議を重ね、どうしたら観光客が標津町に足を運んでくださるか考えてきました。その中で、「バス旅」を考えました。中標津空港を利用した際に、多くの観光客は自動車をレンタルし、移動すると考えられますが、路線バスに乗ることによって、高い目線から広大な自然を眺められることや、長くまっすぐに伸びる道路もバスの目線で見ることによって、さらに広く長く感じることができます。それを知っていただくため、そして路線バスを利用する方に楽しんで乗っていただくため、今回調査を進めました。そこで、実際に中標津バスターミナルから標津営業所までのバス旅を考えました。
 まず、バスには今回初めて調査に参加する1年生や2年生が、羅臼方面行きバスと川北経由標津行バスの2つの方向へ行くバスに乗り、それぞれ違う方向を見ながら、初めて行くからこそ新鮮な目で確かめ、気になった場所やきれいな場所に注目しました。
 まずバスに乗って感じたことは、大きなバスだということです。夜行バス並みの大きさで、座る場所もとても高い位置から景色を眺めることができ、ゆったりと乗ることができました。出発して中標津町のあたりには多くの飲食店が並び、ジェラート屋さんやおしゃれなピザ屋さんなど、たくさんの店がありました。しばらく進むと長く伸びる一本道を通り、右を向いても左を向いても牧場や広い荒野が広がります。牛や馬など、さまざまな動物が間近に感じられました。私は途中、廃車になったキャンピングカーやバスが草原の端などに置かれていることに注目しました。一見するとゴミに見えるかもしれませんが、私にはとても素敵なものに見えました。その廃車になったバスにはコケが生え、草や葉が巻き付いていて、海外の映画に出てきそうだと感じ、ワクワクした気持ちになりました。他にも景色を眺めていると、両側に木で囲まれていて迫力がある道があり、広い場所では横に伸びる真っすぐな道があり、前にも横にも道が広がっていて、北海道の広さと自然の雄大さを再確認できます。
 今回のフィールドワークを通して、私は改めて北海道の広大さを実感しました。大自然や動物を間近に見られること、長く広い道など、北海道ならではの景色を堪能でき、とても楽しい思い出になりました。これからもこのプロジェクトに積極的に参加し、標津町をたくさんの方に知っていただけるよう頑張りたいと思います。

初めて訪れて体感した標津町の光景
 国際観光学部1年 宮本脩年

 11月22日から25日かけてフィールドワークを行うため、北海道標津町を訪れました。私にとって初めての標津町訪問であり、とても新鮮な空気や光景を目の当たりにしました。気温はとても低かったですが、空気が澄んでいて過ごしやすかったです。標津町では、大阪にはないものがたくさんありました。辺りには雄大な牧場が広がっており、信号が縦向きなど、雪国ならではの光景を確認することができました。
 今回の調査は路線バスを利用したものです。ターゲットは中標津空港で降りた観光客です。観光客に標津町を旅行していただくことが狙いです。中標津バスターミナルから標津営業所までの間で調査を行いました。実際に路線バスに乗って感じたことは、中標津バスターミナルを出発して少しの間は、お菓子屋さんや食事処やホテル、温泉施設などがありました。しかし、中標津町から標津町に入る付近においては、これらの施設はまったくなく、ただ北海道らしい景色を見ることができました。そして、標津町に入って少しすると、再び旅館や食事処がありました。
 観光客に道中の景色を楽しんでいただき、標津町で降りていただくことは可能だと気づきました。標津町までの道のりの中で、いくつか北海道らしい景色を楽しめるポイントがありました。例えば、信号が縦向きになっていることや、家がおもしろい構造になっていること、雄大な牧場見ることができることや道が真っ直ぐになっているところ、雄大な牧場越しに知床連山を目にすることもできます。雄大な牧場越しに知床連山を写真に収めることができれば、SNS映えすることも間違いないです。そして、標津町に入れば、旧根室標津駅転車台や海の公園など、観光資源となるものがあり、食事には標津町名産のサケやイクラなどの海鮮をいただけるうえ、とても美味しいので、ぜひ利用してほしいと考えました。これらすべて活用することで、中標津町からバスを利用し、標津町に訪れる観光客を増やせると考えました。
 事前に標津町について話し合いを行い、準備や下調べをして訪れて感じたことがあります。それは、実際に行ってみないとわからないことがあるということです。標津町では北海道ならではの光景が広がっており、とても心地良かったです。また、想像以上に観光スポットがあるということに合わせ、標津町にはSNS映えする写真を撮ることのできるスポットがたくさんあるように感じました。このことからインターネットやSNSを有効活用することが、標津町における観光の活性化につながると考えました。標津町に少しでも多くの観光客が訪れるように努力し、標津町の活性化に貢献できれば良いと思いました。

サケだけではない自然の町標津町
 国際観光学部1年 細川渚紗

 私たちは11月22日から25日までの4日間、北海道標津町でフィールドワークを行いました。
 フィールドワークの内容の1つ目は、観光客が標津町を通る際に楽しんでいただくために「謎解きマップ」をつくるという内容です。そのために、3つの方向別にチームに分かれて調査しました。そして、もう一つは標津町を通っている路線バスを利用していただくために、私たちが実際にバスに乗って、どのような景色を楽しめるか、何があるかを調査しました。路線バスには羅臼行きと川北経由の標津町行きがあり、2チームで分かれて調査しました。その中で、私は川北経由のバスの調査を担当しました。
 フィールドワークに行く事前準備として、バス停とバス停の間でどのような景色が見えるのか、何があるのかを調べました。大阪とはまったく違い、ほとんど同じような草原の景色が続く道で、北海道ならではの光景だなと思いました。しかし、同じ景色が続くので、どのように楽しんでいただくかが難しいと感じました。
 実際にバスに乗ると、また違った発見がありました。まず、調査している私たち以外にバスを利用しているお客さまは2人だけで、とてもゆったりと景色を見ることができました。出発地の中標津バスターミナルから4バス停くらいまでは飲食店や公園があり、少し賑わっている様子がうかがえました。そして、少し進んだところからはもみの木のような、とても大きな木がずらりと並んでいました。後から調べていると、トドマツという木だったのですが、北海道特有の一本道に大きな木がずらりと並んでいる様子に感動しました。雪が積もる時期にもう一度みたいと思いました。途中には、鳥のデザインのバス停や、雪が積もる地域限定で見られる防雪棚や、サケのデザインがかわいい電柱や柵など、小さな発見がたくさんありました。同じ風景が続くので、それらを探すように風景を見ると楽しめるのではないかと考えました。
 広大な草原を一本道で抜けていくと、川北駅跡地がありました。JR標津線が廃線になった後につくられた跡地です。当時使っていた車両がきれいになり、川北駅が一部再現されていました。今回は降りることができなかったですが、バスを降りて写真を撮りたいと思うような場所でした。また、ところどころにある家や牧場の建物は、赤や青、黄とカラフルなものが多く、自然の緑と合っていて、とてもきれいでした。SNS映えしそうな景色で、みんなにも知ってほしいと思いながら、約30分間のバスの調査が終わりました。
 バスでの調査を通して感じたことは、バスはゆっくりと景色を楽しみたい人向けだということです。今回、標津町に初めて訪れましたが、バスの調査の30分間で、私たちがイメージしている北海道らしい景色を思う存分見ることができました。また、時間が経つのが遅く感じ、ゆったりとした気分になれました。
 バスの調査を含め、今回の標津町のフィールドワークの4日間は、とても良い経験になりました。標津町の観光客が少ないということは、とてももったいないと思いました。今回の調査を活かせるように、マップの制作などに励みたいと思います。

レンタカーを使わなくても楽しめる街・標津町
 国際観光学部4年 高田有規子

 私たちはフィールドワークを行うため、11月22日から25日まで北海道標津町を訪れました。今回のフィールドワークでは、羅臼方面や摩周方面、根室方面を訪れる際の謎解き観光マップの作成のための調査と、標津町内を走る路線バスを活用したショートトリップ作成のための調査を行いました。私は標津町内の路線バスを活用したショートトリップ作成のための調査より、標津町内での徒歩観光についてレポートします。
 標津町内を走る路線バスを活用したショートトリップ作成に向けた調査は、11月24日の午前中に行いました。標津町を初めて訪れるメンバーと標津町を訪れた回数が比較的少ないメンバーには路線バスに乗車してもらい、バス車内から見える景色を調査してもらいました。比較的、標津町を訪れた回数が多い私たちは、町内を徒歩で調査しました。標津町では、阿寒バス株式会社が定期路線バスを運行しており、標津バスターミナルと標茶駅を結ぶ「標津標茶線」と、市立病院前(釧路市)と羅臼を結ぶ「釧路羅臼・釧路標津線」の2系統が走っています。
 今回は中標津空港に到着した観光客を対象にショートトリップの作成を考えているため、中標津バスターミナルから標津バスターミナルに乗車していただきます。往路は標津標茶線で10時25分に中標津バスターミナルを出発し、10時55分に標津バスターミナルに到着、または釧路羅臼・釧路標津線で10時49分に中標津バスターミナルを出発し、11時30分に標津バスターミナルに到着します。復路は標津標茶線で18時ちょうど、釧路羅臼・釧路標津線で13時58分に中標津バスターミナルに向かうバスに乗車する必要があります。路線バスを利用して標津町を訪れた観光客には、短い時間であれば2時間ほどで標津町を満喫していただく必要があります。そこで、私たちは2時間で標津町を満喫するプランを考えました。
 標津バスターミナルに到着したら、近くにある旧根室標津駅転車台へ向かいます。天気が良い日には、青い空に黒いSL車両と赤い転車台が写真映えすると感じました。その後、標津町の大通りにある飲食店で昼食をとります。飲食店を選ぶ際、私たちが3年前に提案した飲食店情報誌「美味(うま)しべつ」を活用していただきたいです。昼食の後は海の公園へ向かいます。国後島が24km先に迫り、感動しました。その後、標津神社または北方領土館へ向かいます。海上安全と大漁を祈願して創建された標津神社も、北方領土問題について学べる北方領土館のどちらも、標津町の歴史について触れる場所ではないでしょうか。その後はバスターミナルの近くにあるセイコーマートで買い物しながらバスの時間を待ちます。標津町は比較的観光資源が徒歩圏内に集中しており、散歩がてら巡るには十分だと感じました。標津町では路線バスを活用し、町内での徒歩観光も可能なので、「北海道はレンタカーで観光」というイメージも払拭できるのではないでしょうか。
 今回の調査では、メンバーの半数以上が初めて標津町を訪れました。8度目の標津町訪問で当たり前となっていた景色や動物の姿も、本州ではなかなか見られないものであると改めて感じました。調査の合間には標津町内で星空がきれいに見える場所を訪れ、プラネタリウムのような満点の星空に感動したり、間近で動物を見たりする機会もあり、馬と一緒に写真を撮ることもできました。標津町での自然を肌で感じ感動し、やっぱり標津町は素晴らしい街だと実感しました。こんなに素晴らしい街を世の中に発信するため、まだまだ精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。

標津町内を歩いて見えた観光資源の現状
 国際観光学部3年 森下恭生

 2019年11月22日から25日までの4日間、北海道の標津町を訪れ、謎解きマップ作成と路線バスを利用したショートトリップ提案のための現地調査を行いました。調査方法ですが、謎解きマップは中標津空港に到着した観光客を想定し、中標津から根室・摩周・羅臼の3方向へ移動し、クイズに使えそうなスポットを調査しました。また、バスを利用したショートトリップでは、中標津バスターミナルから標津バスターミナルまで実際にバスに乗って観光資源を調査するグループと標津町内を歩いて調査するグループに分かれ、フィールドワークを行いました。
 私は標津町内を歩いて調査するグループでした。標津バスターミナルに11時頃に到着し、次のバスが出発するまでの2時間半ほどの時間を使った、町内の徒歩観光のモデルプランを考えながら調査しました。昼食を1時間ほど取ることを想定し、旧根室標津駅転車台や海の公園、標津神社など、町内の観光資源を実際に見て回りました。転車台では機関車の向きが昨年訪れた時と変わっており、短い期間の中でも地域の人々の手が加わっていることが見て取れました。標津神社は昨年と大きく変わっていませんでしたが、しっかり清掃されており、変わらずきれいな境内でした。海の公園は初めて訪れましたが、広大な敷地が確保されており、天気が良ければ国後島がきれいに見えることから、標津町の大切な資源の1つであるように感じました。
 今回、ショートトリップの提案を見据えてフィールドワークを行いましたが、ショートトリップを観光客に楽しみの選択肢として提供するには、かなり厳しいのではないかと考えました。そのように感じた理由として、ほとんどの観光資源が無人であることです。転車台はもちろん無人ですし、標津神社でも人の姿は見られませんでした。案内看板などはありましたが、やはり人がいるのといないのとでは、旅行するうえでとても大切なことだと感じました。観光客が誰もいない観光資源を訪れても、その資源に対して得られる情報はほんの一部ですし、見て終わりなので、どうしても滞在時間が短くなってしまいます。観光業だけで生計を立てられるような地域ではなく、地域の人びとが他の仕事をしていることは重々承知ですが、土日の昼間2時間だけでも地域住民が協力し、誰かが観光資源にいるというしくみづくりが必要であるように思いました。
 今回は町役場との都合が合わず、地域住民の方々と話し合う機会が設けられませんでしたが、2月に訪れる際にはこういったことも含め、一緒に観光まちづくりについて考えていければと思います。