久米島町観光協会にさまざまな提案を行いました

 今年度の森重ゼミでは沖縄県久米島を調査対象地に選び、「マリンレジャー以外の観光資源や魅力の創出」をテーマに1年間研究を行ってきました。昨年9月に現地調査を実施し、その後提案内容をまとめ、昨年12月には日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッション、今年1月には国際観光学部学生会主催のゼミ報告会で発表し、そこでいただいたさまざまな意見を取り入れ、提案内容をまとめてきました。そして、3月6日に久米島を再訪し、久米島町観光協会に研究成果の還元のための報告を行いました。提案内容の詳細については以下で参加したゼミ生が報告しますが、久米島町観光協会の方からたくさんの前向きなご意見をいただき、とても有意義な時間を過ごしました。
 成果報告会終了後、復路の飛行機の出発まで時間があるゼミ生がいることを観光協会の上原さまにお伝えしたところ、ミーフガーや宇江城城跡などを案内してくださいました。こうした温かさも久米島の魅力であることをゼミ生も実感したと思います。久米島町観光協会の皆さまのお心遣いに心より感謝いたします。
 今回は留学から帰国したばかりのゼミ生も参加し、久しぶりにゼミ生全員が揃ったフィールドワークになり、ゼミ生同士で沖縄での再会を喜んでいました。3年生はこれでフィールドワークを終え、4月から卒業研究に挑みます。(森重昌之)

当日のフィールドワークの様子

  • 久米島町観光協会での成果報告の様子

  • 久米島町観光協会での成果報告の様子

  • 成果報告会後の記念撮影

  • 観光協会の方にご案内いただいたミーフガー

  • 観光協会の方にご案内いただいたミーフガー近くの滝

  • 観光協会の方にご案内いただいた宇江城城跡

※関連記事

参加したゼミ生の報告

どこか懐かしい解放感あふれる久米島の魅力
 国際観光学部3年 栗牧真美

 2018年9月18日から21日、マリンレジャー以外の観光資源を発掘するとともに、オフシーズンでも楽しめる観光資源の魅力を発信するというテーマのもと、沖縄県久米島で現地調査を行いました。そこで得られた結果を2019年3月6日、久米島町観光協会の方へフィードバックさせていただくため、再び久米島へ行きました。私たちが現地調査を行うにあたり、観光資源の場所がわかりにくいことや、どこから見ると一番よい景色なのかがわかりにくいという調査結果のもと、観光地に足跡マークのようなフォトスポットを指定するという提案をしました。フォトスポットを指定することにより同じ写真が増え、その場所の知名度を高めることができるとともに、景観保護や立ち入り禁止区域への侵入を防ぐ効果もあると考えました。また、フォトスポット付近へQRコードを設置して読み取ってもらうことで、観光地の情報や周辺情報を提供することも提案したところ、久米島町観光協会の方から「看板だと一度設置してしまうと編集できないが、QRコードだとパソコンから内容の編集ができて、最新情報に更新していくことが可能でとても便利」と、も喜んでいただけました。
 また、はての浜はとても景色が綺麗なのですが、屋根のある建物が少ないので、もう少し脱衣所やシャワールームなどを増やすことはできないのかと提案しましたが、米軍との関係で建物を建てることができないというお答えでした。その時、私たちは普段米軍とのかかわりなど感じませんが、久米島の方々は常に感じて過ごされていると感じ、私たちはもっと関心を持っていくべきだと感じました。石切り場では、溝に海水がたまり、生き物をとても近くで見ることができますが、海岸にはごみが多く、汚い印象があったので、ごみ処理の強化を提案しました。観光協会の方は、この久米島の海岸は海のごみとりネットの役割を果たしていて、海にはたくさんごみが漂流していることや、そのごみを久米島の岩が掃除していることを知ってもらうことができるとおっしゃっていました。その考えは私たちにはありませんでした。ごみ拾いをしているが、追いつかないほどのごみが漂着してしまうそうです。そこで、ロングステイの観光客や外国人観光客へ安価に宿泊施設を提供する代わりに、石切り場のごみ拾いのボランティア活動をしてもらうのはどうかという提案もしました。
 私たちは久米島空港に着いた時、なぜかわかりませんが、懐かしい気持ちになりました。なんだか落ち着いてリラックスできる、そうした雰囲気も久米島の魅力のひとつだと再確認できた瞬間でした。ぜひいろいろな方にもっと久米島の魅力を感じてもらい、どこか懐かしい落ち着く気持ちをたくさんの人と共有することができればと思っています。

実家に帰るような安心感のある久米島
 国際観光学部3年 樫原萌香

 私たちは3月6日、再び沖縄県久米島を訪れ、久米島町観光協会の方に1年間の研究成果を報告しました。私たちは、マリンレジャーは盛んですが、そのオフシーズンになると観光客が少なくなる久米島に着目し、マリンレジャー以外の観光資源を見つけ出し、価値づけしようと1年間研究を行ってきました。
 まず、SNSチームは久米島のSNS映えしそうな場所を訪れました。観光地にフォトスポットを設定する提案をしました。フォトスポットを設定することで同じ写真の投稿が増え、その場所の知名度が上がることや景観の保護、危険防止につながることが期待できます。
 次に、風水にまつわる場所と久米島の歴史を感じられる場所を調査した歴史チームは、SNSチームの提案と組み合わせ、指定したフォトスポットの足型マークの中に、観光地の説明を見ることができるQRコードの設置を提案しました。また、QRコードで入手できる観光地の説明を1ページの漫画にまとめ、他の場所の漫画も集めると、久米島の歴史がわかるようにすることで、回る興味を引き立てることができると思いました。このQRコードの受け入れについて、観光協会の方が検討したいとおっしゃっていました。
 久米島の自然を調査した自然チームは、自然を守りつつ、整備されていない道の舗装と、時間によって景色や見え方が変わる自然の観光資源をアピールすることで、魅力を高めることを提案しました。最後に、海洋深層水チームは、海洋深層水の可能性を広げ、化粧水のネット販売や他の離島と手を組む方法もあるのではないかと提案しました。
 これらの調査の結果から、久米島にはマリンスポーツ以外の観光資源があることがわかりました。天候に左右されない観光資源であるため、マリンレジャーができない時でも久米島の魅力を堪能できると思います。さらに、私たちゼミ生も感じたように、久米島には実家に帰ってきたような安心感があり、島全体が穏やかなところが大きな魅力のひとつであると考えます。初めて訪れる方には訪れてわかる想像以上の魅力を、リピーターには安心感を伝えていくことができたらよいと思いました。
 発表が終わり、帰りの飛行機まで時間があったのですが、なんと観光協会の上原さまのご好意で、久米島を案内してくださいました。ミーフガーは周りの海の波が高く、夏に受けた印象と違う良さを感じました。見落としていた滝もすぐそばまで連れて行ってくださいました。ガイド付きで見た具志川城跡では歴史を感じることができました。最後に、沖縄県で最も高い場所にある城である宇江城城跡を訪れました。360°久米島全体を見渡すことができ、そこで得た感動は忘れられません。
 1年間を通してみんなでひとつの研究に取り組み、さまざまな視点から物事を考え、成長できたと思います。久米島での素敵な出会いがあり最高の思い出ができました。

ゼミ研究の1年間とその成果
 国際観光学部3年 ウォーレン湖南

 3月6日、私たち森重ゼミは、3年生の1年間続けてきた沖縄県久米島でのゼミ研究の活動と成果を報告するため、久米島町観光協会に向かいました。活動テーマとして掲げていたことは、「沖縄県久米島におけるマリンレジャー以外の新たな観光資源または魅力の創出」です。
 私たちがこの活動テーマに取り組むにあたり、最初にガイドブックやインターネットなどで久米島の観光資源の情報収集を行いました。そして、昨年9月に現地に赴き、歴史や風水などが絡んでいるスポット、インスタグラムで注目を集める可能性がある場所、また久米島ならではの海洋深層水が使われている施設など、新たな観光スポットになりそうなスポットで現地調査を行いました。久米島での現地調査の後、私たちは現地で行った調査結果をまとめ、観光客の誘致に向けたさまざまな検討を行い、12月に東京で開かれた日本観光研究学会全国大学生ポスターセッションで研究発表を行いました。加えて、国際観光学部学生会主催のゼミ報告会やゼミ卒業研究発表会でも、私たちの久米島の活動内容の成果を報告しました。その中から指摘していただいた内容の問題点や改善点、また課題などを受け、今回の成果発表の1ヶ月前から修正作業を行いました。これが7期生森重ゼミの1年間の久米島での研究内容でした。
 これらを報告するために、私たちは久米島へ2度目の訪問をしました。結果として、私たちが最初に求めていた新たなスポットを探し出すことはできませんでした。その代わり、現在の久米島のマリンレジャー以外の観光資源の足りないところや改善すべき点を、観光客目線から提案することができました。1年間研究していた割には、そこそこの成果に見えるかもしれませんが、観光協会の方がすでにご存じの点もあれば、まだ気づいておられない点もあるように見えました。例えば、久米島で最も観光客を集めるスポットの一つである「はての浜ビーチ」では、着替えを行う場所が限られており、テントぐらいしかありませんでした。そこで、着替えができる場所やトイレといったファシリティなどがあった方が便利なのではないかと私たちは提案したのですが、はての浜は土地の所有権が久米島側にはないため、難しいことがわかりました。これは数ある提案の中のひとつで、その他にも改善点などをあげました。
 結果としては微力ではありましたが、少しは観光協会の力になれたように感じました。個人的には、このような観光客の増加目的の研究は、思っていたよりも難しい問題であると思いました。今後、私が社会に出て仕事をする時、この活動が何らかの形で役に立つのではないかと感じました。

報告会を通して新たに知ることのできた久米島の魅力
 国際観光学部3年 山下弥華

 私たちは、3月6日に沖縄県久米島で行われた報告会で、昨年9月に3泊4日で実施したフィールドワークの成果について発表しました。報告会では、観光地に求めていることに関するランキングと照らし合わせて決めた4つのチーム(風水を含む歴史、自然、海洋深層水、SNS)の視点から、観光資源を見て感じたこと、今後の対策について提案させていただきました。
 私は自然チームでしたが、久米島の自然はその場に行くだけで空気が変わり、特にミーフガーでは空気だけでなく、本当に周辺と温度がまったく違い、大阪では感じることのできないもので、とても感動しました。しかし、地図に場所が載っていなかったり、道がわかりづらかったり、行くまでの道のりが険しかったりするところが多いと感じました。そこで、看板を立てたり、簡単な道の整備を行ったりすることで、タチジャミやアーラ浜まで訪れやすくし、幅広い年代の観光客に訪れていただけると考えました。
 しかし、私たちの意見に対し、観光協会の方は「どこかわかりにくいところにあり、それを見つけ出すということも良いのではないか」とおっしゃっていました。私たちもフィールドワークの時に、アーラ浜に行くまでとても迷い、山を周りましたが、それがあったからこそ、ビーチに着いた時にとても感動した記憶があります。道の整備については島民の方からも意見が出ているそうで、私たちの提案によって観光客だけでなく、島民の方にとってもより良い久米島になればよいと感じました。
 最後に、「久米島を訪れたら良さがわかってもらえる」と提案しましたが、まず久米島に足を運んでもらうには何が必要かを考え、発信方法を考えるべきだと思いました。広大な自然の景色や別チームはSNS映えするスポットも多く見つけることができたので、その写真を使い、今後の久米島のPRにつなげたいです。
 このフィールドワークで久米島を2回訪れましたが、島の人はとてもあたたかく、本当に実家に帰ってきたような空気を感じました。私たち学生の考えに対してもさまざまなご意見をくださり、それがまた「もっと久米島を知ってもらおう」という気持ちになりました。フィールドワークから帰ってきてからも、学会発表など得た知識を多く使う場面がありますが、私は今回の研究の結果、より一層久米島の魅力を知ることができたので、今度はそれらを身近な人にどんどん発信していきたいと考えています。これから社会に出て、疲れた時は久米島に帰ってきて、ゼロに戻りたいなと思いました。