天候に恵まれ、久米島の魅力を存分に感じることができました

 9月18日から4日間、沖縄県久米島でマリンレジャー以外の新たな観光資源を発掘するための現地調査を実施しました。調査1日目は午後に久米島に到着した後、久米島町観光協会で聞き取り調査を行い、久米島の観光振興に向けた取り組みや課題、現地の方々がお勧めする観光スポットなどをうかがいました。そして、事前にウェブサイトなどで収集したデータに、聞き取り調査で得た情報を加え、翌日からSNS映えするスポット、海洋深層水に関連する資源、歴史や風水にかかわる資源、自然資源の4つに分かれ、資源調査を実施しました。調査期間中は晴天に恵まれたこともあり、ゼミ生も久米島の魅力を存分に感じることができたと思います。調査最終日は久米島で最も有名な観光資源である「はての浜」を訪れ、サンゴ礁の中に浮かぶ砂浜という別世界を体験しました。
 今回の現地調査で得た情報をもとに、今後成果を取りまとめ、学会発表や学内での発表、さらに現地への成果報告に向け、準備を進めていく予定です。
 前回は久米島町観光協会への聞き取り調査と「SNS映えするスポット」の資源調査を担当したゼミ生の報告をお伝えしましたので、今回は残り3つの資源調査に参加したゼミ生から、当日の様子や学んだことを報告してもらいます。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 琉球コスメハウスでの資源調査の様子

  • 久米島町立博物館での資料収集の様子

  • タチジャミでの資源調査の様子

  • 鳥の口での資源調査の様子

  • 資源調査終了後にゼミ生全員で情報共有

  • はての浜から見た久米島

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参加したゼミ生の報告

久米島の魅力につながる海洋深層水
 国際観光学部3年 大石茉南

 私たち海洋深層水チームは、海洋深層水について深く調べることがテーマでしたので、はじめに海洋深層水が使われている「バーデハウス久米島」を訪れました。そこでは、海洋深層水が使われているスパに入ったり、エステを体験したりすることができます。私たちは、男女3人のチームでしたので、男性は温泉、女性2人はエステに分かれて体験することにしました。
 バーデハウス久米島のマッサージは、まずエステのコースを決めます。私たちは背中とふくらはぎのほぐしコースにしました。2つ合わせて50分ほどの体験時間で、値段は約7,000円でした。他のエステよりも安価で、観光客にお手頃の値段でした。エステの際に使うオイルの種類も選ぶことができ、ラベンダー、グレープフルーツ、ローズ、無香料のほか、沖縄ならではのシークァーサーや沖縄月桃などもあり、どれも良い香りで選ぶのに苦労しました。エステ後のサービスにも力を入れており、ティートパイナップル、ティートフレスカ、アールグレイ、美らかーぎー、琉球トロピカルなど、沖縄らしい紅茶がたくさんありました。マッサージは、とても気持ちよく、体験中に現地の方のお話も聞くことができました。担当してくださった方は元々他県に住んでおられましたが、久米島の魅力にひかれて移住してきたとおっしゃっており、都会にはない自然の中で自由に子育てできる久米島はすばらしい街だと話を聞いて思いました。
 その後、車海老の養殖場に行きました。久米島は日本一の車海老の生産地で、海洋深層水が使われている6,600m2もの養殖池が広がっていました。私たちがうかがった養殖場では、500万匹の車海老を生産しています。1日の餌代が80万円とのことで、餌の中には魚、エビなど、タンパク質を多く含んだ餌を与えているそうです。品質の良いものを育てるには、餌も考えなければならないことを知りました。車海老は、4ヶ月で15cmにまで成長するそうで、私たちが訪れた9月はまだ車海老が小さく、成長段階だそうで、11月頃が収穫時期だそうです。水揚げ作業も工夫されており、車海老に傷がつかないように、カゴ漁で収穫し、1匹1匹の車海老を大事にされていることがわかりました。見学が終わり、現地の方が車海老を試食させてくれました。食べた瞬間、今まで食べた中で1番おいしい車海老で感動しました。ここまで、手間暇かけて力を入れている車海老だからこそ、これほどの味が引き出せるのだと感じました。今でもその味が忘れられません。急におうかがいしたにもかかわらず、現地の方も皆さん優しく、親切にいろいろなことを教えてくださいました。久米島は本当に優しさであふれる街だと感じました。

久米島の海洋深層水とその魅力
 国際観光学部3年 ウォーレン湖南

 森重ゼミの久米島フィールドワーク3日目、海洋深層水チームは琉球コスメハウス、沖縄県海洋深層水研究所、宇江城城跡を順に訪ねました。今回のフィールドワークは、久米島のマリンレジャー以外の新たな観光資源を発掘するとともに、それらを新たな魅力としてSNSなどで発信することが目的でした。私が担当した海洋深層水チームは、女性観光客をターゲットとし、久米島海洋深層水を使用している美容商品やアロマエステサロンなどが新たな資源として活用できるのではないかと思い、調べました。
 3日目の最初に訪ねたのは、琉球コスメハウスです。琉球コスメハウスでは、沖縄の植物や海藻などの天然素材をバランスよく配合した業務用ブランド「RYUSPA」シリーズを取り扱っており、すべての美容商品が「琉美の島」久米島のミネラル豊富な海洋深層水を主成分としています。海洋深層水とは、太陽光が届かない200メートルより深い深海で、2000年の時間をかけて地球規模で循環している海水です。その海洋深層水は普通のミネラル水と比べ、プロコラーゲン(コラーゲンの原料)が豊富であり、これを含めた美容品を使用すると、コラーゲン合成を促し、皮膚のシワやタルミを防止し、皮膚のエイジングケアに効果を示すことが期待されているそうです。男性である私はあまり興味がありませんでしたが、女性の目線で見ると、大変魅力的に感じられました。
 次に訪ねたのは、琉球コスメハウスのすぐ横にある沖縄県海洋深層水研究所です。本来はアポイントメントなしでは入ることができない施設でしたが、特別に入ることができました。沖縄県海洋深層水研究所は、琉球コスメハウスなどが商品づくりのために使用している海洋深層水の抽出だけでなく、持続的な利用の推進を図り、沖縄県の産業振興を寄与することを目的に、農業や水産業分野における海洋深層水の活用に関する研究を実施している施設です。研究員の方が施設の案内や海洋深層水の研究について説明してくださったのですが、とても難しい内容でした。海洋深層水に興味のない観光客であれば、久米島に来てわざわざ訪れる必要はないと感じました。
 最後に、海洋深層水チームと森重先生と絶景を楽しめる宇江城城跡に訪ねました。こちらは私たちのメインの目的である海洋深層水に関係していないのですが、観光資源としてとても魅力的だと思い、訪れました。ここは島全体を眺めることができるスポットで、観光客も訪れる価値があると感じました。

フィールドワークを通して感じた久米島の魅力
 国際観光学部3年 神田淳之輔

 久米島でのフィールドワークで、私は歴史のグループを担当していました。9月19日に歴史や風水に関する建物やパワースポット、博物館などに行ったので、翌20日はそれ以外に私たちのグループ目線で行ってみたいところや興味を持った場所へ行きました。パンフレットを見て行ってみたいと感じたところが、観光客にとっても行ってみたい場所であろうと考えたからです。
 パンフレットを見て魅力的だと感じ、私たち自身もとても満足した場所は、最後に訪れた「熱帯魚の家」でした。この場所は、海の岩場に熱帯魚が集まる場所です。観光客は私たち以外にいなかったのですが、現地の方になぜ熱帯魚が集まってくるのかなど、詳しく教えていただきました。現地の方によると、熱帯魚が集まる理由は餌付けされたからだそうです。人工的に集められたとわかっていても、ずっと見入ってしまう魅力がありました。熱帯魚の家に行く道のりは険しい山でしたが、そこを抜けると広大なサトウキビ畑が広がり、熱帯魚の家に到着する前にも感動のポイントがありました。道中でも到着してからも感動があったので、私たちは「隠れ観光地」として紹介したいと思いました。
 熱帯魚の家以外に、畳石やウミガメ館などにも足を運びました。畳石やウミガメ館は奥武島にあります。久米島と奥武島の間にかかっている橋から見る海は美しく、ここも道中で感動を味わうことができました。畳石も、到着すると同時に神秘的な気持ちになります。亀の甲羅のような形をした石が広がっていて、不思議な形の石と、青く透明で、きれいな海の景色に心を奪われました。多くの観光客が見とれている様子を見て、とても良い場所であることがわかりました。ここで観光客に聞き取り調査を行うと、やはり久米島滞在の理由として海がきれいな点が魅力であり、マリンレジャーを目的に訪れていることを改めて確認できました。畳石の隣りにあるウミガメ館では、ウミガメの生態や本物のウミガメを見ることができ、とても興味深い場所でした。
 久米島では、移動している時のちょっとした景色がとてもきれいで、そのたびに感動がありました。自然が素晴らしい島ですので、この島の景色や流れる時間のスピード、島の人びとの優しさ、食べ物のおいしさなど、すべてが久米島の魅力であると4日間の滞在を通じて感じました。海がきれいなことはもちろん、サトウキビ畑の景色、沖縄らしい家屋など、初めて訪れる方に感動を与えられる島であることに気づいた現地調査でした。

久米島の歴史と風水の魅力
 国際観光学部3年 水戸のどか

 私たち歴史・風水チームは、最初に久米島の歴史を知るために久米島博物館を訪れました。久米島博物館で最も印象に残ったことは、太平洋戦争時の久米島のことでした。
 20世紀に入ると第一次世界大戦と第二次世界大戦が勃発し、多くの国々を巻き込んだ世界的規模の戦争になりました。第二次世界大戦で、沖縄は大規模な地上戦が起きました。沖縄では住民を巻き込んだ地上戦となり、かけがえのない多くの貴い人命や財産、文化遺産が失われました。沖縄戦では、日米含めて約250,000名の人命が失われ、沖縄県民だけでも約150,000名余、久米島出身者は1,101名、仲里村581名、具志川村520名の方々が犠牲になりました。久米島では、とても残念なことですが、沖縄戦終結後に住民を守るはずの日本軍によって、赤ちゃんから大人まで20名の久米島住民がスパイ容疑で殺害されたそうです。展示物では、実際に配られた赤札が展示されていて、当時は赤札が届いたら「お国のため」と喜ばなければいけないと聞き、複雑な気持ちになりました。これからも絶対に忘れてはいけない出来事だと思いました。
 久米島博物館では、風水についてもうかがいました。沖縄では一般に「フンシ」や「フンシー」などと言うそうです。また、沖縄では墓なども風水に基づいてつくられているとうかがいました。
 その後、久米島で一番風水を感じられるという上江州家に行きました。上江州家を管理されている年配の女性に話をうかがったところ、上江州家は風水に基づいてつくられており、普通の家には屋根にシーサーが置かれていますが、上江洲家ではシーサーの代わりに風水で占った石が地面に埋められているそうです。家の畳はピッタリの数字ではなく、中途半端な数字にすることで、努力してそこを埋めていくという意味があります。石垣もちょうどではなく、661坪と端数が出るようにし、満たされないようにつくられています。石垣の下の部分はきれいに積まれていますが、上部は完全に積まないようにしており、畳と同様、半端な数字にすることで足りていないところを埋めていくという意味が込められているとうかがいました。さらに、当時は誰もが風水で占った家に住んでいたわけではなく、身分の高い武士しか住めなかったとおっしゃっていました。お話をうかがって、風水によってつくられた上江州家の歴史を知ることができました。
 その後、宇江城城跡やミーフガーなども見に行きました。いずれもパワースポットであり、宇江城城跡は神山と呼ばれ、ミーフガーは子宝祈願といわれています。この日のフィールドワークは歴史や自然を感じた1日になりました。

久米島の自然を感じて
 国際観光学部3年 山下弥華

 私たち自然グループは、調査3日目にトクジム自然公園内にある「鳥の口」に向かいました。鳥の口の近くに行くには階段の上り下りが多く、起伏の激しい道でした。道はきれいでしたが、特に案内看板はなく、どの場所から見るのが一番良いのかわかりませんでした。とりあえず自分たちで一番景色が良く、写真映えする場所まで登りました。久米島町観光協会の方がおっしゃっていた「久米島は島自体がパワーエリアだと思っているので、自分でパワースポットを見つけてほしい」という意味はこれではないかと感じました。看板を立てると、観光客はそこで満足し、そこだけがパワースポットになり、他のトムジク自然公園一帯に目を通す機会がなくなるかもしれません。トクジム自然公園は緑豊かで、街中よりも少し涼しく感じる場所がありました。普段はなかなか来ることのない場所でしたので、とてもリフレッシュできました。2月に訪れると、運が良ければ道からクジラが見えるそうです。
 次に、ガラサー山に向かいました。2日目に行ったミーフガーがとても良い場所でしたので、対になっているとされるガラサー山も期待していました。しかし、近くまで行くことはできず、公園から山を見るだけでした。公園からガラサー山も距離があるので、写真を撮るにも少し難しいと思いました。
 昼以降はビーチに向かいました。海以外の観光資源を探す上で、久米島の海がどのようなものか知っておくべきだと考えたからです。まず、アーラ浜に向かいました。アーラ浜は本当に無人島に来たのではないかと思うくらい誰もおらず、驚きました。よくインターネットで紹介されているプライベートビーチとは違い、本当に誰一人いませんでした。周りが山で囲まれていることもあり、より一層無人島のような感覚を味わえたのではないかと思います。私たちのグループでは、久米島のビーチでアーラ浜が一番良いという話になりました。
 2つ目はシンリ浜です。シンリ浜は遠浅で、家族連れでも気軽に遊びやすそうだと感じました。しかし、近くで見るとゴミなどが流れていて、あまりきれいとは言えません。ビーチではないのですが、2日目午前に訪れた畳石に、もう一度夕方に向かいました。前日の朝に見た時は石の形が綺麗に見えていたのですが、夕方になると潮が満ちており、見える範囲がかなり少なくなっていました。ツアーを組む場合、時期や時間のことも考える必要があると思いました。観光協会の方もおっしゃっていましたが、一度雨が降ると、自然は一番観光が難しくなります。現地で感じたことをうまく今後の活動に生かし、天候が良くなくても久米島の自然を伝える方法を考えたいです。

大自然の中で疲れと感動と一番心に残った1日
 国際観光学部3年 久保田芹華

 久米島フィールドワーク「自然チーム」の2日目は、奥武島にある畳石からスタートしました。しかし、満潮時であったせいか、畳石の模様があまりきれいに見えないというハプニングに遭いました。それでも遠浅の海と晴れた青空の景色は清々しいスタートになりました。その後、久米島本島に戻るために歩いていたのですが、32度という気温と、日陰のない道で早々にギブアップしました。バスもタクシーもなかったので、私たちはヒッチハイクしました。1回目で乗せてくださった現地の方は、仕事中にもかかわらず、いろいろな話をしてくださいました。
 次に、観光協会の方が勧めてくださった北原海岸の石切り場を訪れました。ここは岩場なので、運動靴で訪れることをお勧めします。所々に海水がたまっていて、そこに魚が泳いでおり、波が高いのであまり奥まで行けませんが、人がほとんどいない穴場スポットです。
 その後はタチジャミに訪れました。タチジャミとは、見る角度によってまったく形が変わって見える一枚岩です。タチジャミのある場所は結構険しい道のりですので、昔は「幻の名所」と呼ばれていたそうです。確かに山道を上がったり下がったり、とにかくしんどかったです。帰り道、階段を上がる途中に振り返ってみると、景色が奇麗だったことを覚えています。
 ハードな運動をした後、赤嶺パイン園で新鮮なパインジュースを飲みました。タチジャミの後ということもあり、とてもおいしく感じました。初めてドラゴンフルーツも食べましたが、久米島ではシークワーサーが添えられていて、かけて食べるとシークワーサーの味しかしませんでした。
 その後、おばけ坂という、目の錯覚で上っているのに下っているように見える(逆に見えることもあるそうです)坂を通りました。実際は、奥に向かって登っている坂ですが、通ると本当に下っているように錯覚してしまいました。
 最後はやちむん土炎房でシーサーづくり体験をしました。それぞれ個性的なシーサーをつくることができました。シーサー色付けのみの体験もあって、予約がいらないので気軽に立ち寄ることができます。ここの店主さんも気さくに話しかけてくださいました。また、窓からはての浜が見えるロケーションで、ちょうど夕日の時間でしたので、海面に反射してきれいでした。
 夜はイーフビーチに星を見に行きました。空気が乾いているので、頭上から水平線まで満点の星空が広がっていて、波の音と相性よく、とても良い雰囲気でした。

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