【松ゼミWalker vol.197】 「星空スタンド」を松村ゼミが応援しました

 2016年2月6日(土)から14日(日)までの9日間,なんばパークス東隣のなんばカーニバルモールにて,「星空スタンド」というイベントが開催されました。なんばやウラなんばの有名飲食店55店舗が日替わりで屋台を出し,100種類を超える日本酒が並ぶ「星空日本酒ターミナル」も併設。
 この期間はちょうど,旧正月の春節だったので,中国や台湾や韓国からの訪日旅行者が激増します。今回の星空スタンドは,そうした訪日旅行者を大阪ミナミへ呼び込み,爆買いの合間に,美味しい料理とお酒を楽しんでもらおう,と企画されました。主催は南海電鉄,協力は大阪市浪速区と阪南大学国際観光学部。実質的には,松村ゼミが期間中毎日,Welcome Information Center(WIC)を運営しました。
 土日と祝日は14時から22時,平日は17時から22時の運営という長期戦。道行く人にチラシを配って説明したり,外国人旅行者からの問い合わせにこたえました。星空スタンドとWICの業務自体は,14代目の2回生も含めて,2015年8月末にすでに経験済みなので,全く問題なし(【松ゼミWalker vol.182】参照)。新今宮TICでの経験の蓄積もあるので,ゼミ生たちはいつも通り,慣れたものでした。
 参加した学生スタッフは以下の通り。( )内は愛称と学年です。
 2月6日(土)6名:濱中勝司(OB)・JANTAPAT(ジーン,4)・CHANG CHUNCHU(ジュディ,4)・WAN WEN-LING(みづき,3)・西崎拓真(2)・阪上千里(2)
 2月7日(日)6名:竹中さおり(3)・宇都宮沙希(3)・大久保愛仁(3)・辻勇之介(3)・西崎拓真(2)・阪上千里(2)
 2月8日(月)3名:宇都宮沙希(3)・谷村恵美(3)・妻藤稀保(2)
 2月9日(火)2名:辻彩佳(2)・川畑成美(2)

 2月10日(水)4名:小山舞(3)・辻彩佳(2)・妻藤稀保(2)・中島成美(2)
 2月11日(木祝)6名:小幡晶子(3)・左近未来(3)・高岸佳梨(3)・浜野文菜(3)・CHUANG TO-CHIA(じゅり,3)・大西美咲(2)
 2月12日(金)3名:浜野文菜(3)・福田葵(3)・西山瑛理(3)
 2月13日(土)4名:濱中勝司(OB)・小山舞(3)・LAI YI-CHEN(あは,3)・大嶋千波(2)
 2月14日(日)6名:宗政巨地(4)・平山あかね(4)・中井美菜子(4)・竹中さおり(3)・三宅亜紗未(2)・川畑成美(2)


 松村はゼミ7代目OGの茶谷みなみさんの結婚式へ出席するため,2月13日(土)のみ,OBの濱中勝司さんに指導をお願いして欠席。その他の日は毎日,ゼミ生たちの活動を最前線で見守りました。運営が大変だったのは,松村が不在で大雨が降り風も強かった2月13日(土)と,スタッフの少なかった2月9日(火)でした。こうした現場での実践のなかで,ゼミ生間のチームワークと強固な結びつきが育ち,国際観光の最前線で将来に向けた課題を発見できます。

外国人旅行者の問い合わせから学ぶ

 初日の6日は,韓国人旅行者からの問い合わせが多く,それ以降は,中国人,台湾人が増えてきました。タイ人,インドネシア人からも,かなりの数の問い合わせがありました。問い合わせの内容は,星空スタンドそのものの情報提供というよりも,むしろ,なんばパークス周辺の地理案内や,店舗やホテルの問い合わせがほぼ全てでした。
 最も多かった問い合わせは,なんばパークス内にある「免税カウンター(Tax-Free Counter)の場所がわからない」というものでした。なんばパークスのパンフレットに場所は記載されているのですが,とてもアプローチしにくい場所に立地していて,そのアプローチへ誘導する案内表示が全くないため,大きな買い物袋を両手に持って,多くの外国人旅行者が迷われていました。
 初日の最初の数時間でそうした事情が判明したので,なんばパークスのパンフレットを見ながら,大きな荷物を持って迷っている外国人旅行者がいたら,こちら側から声をかけ,免税カウンターまでお連れするようにしました。免税カウンターへ外国人旅行者を誘導する案内表示の整備は,なんばパークスおよびなんばCITYにとって,緊急の課題だと言えます。

 この他の問い合わせで興味深かったのは,流行りの「民泊」の場所の問い合わせがかなりあったことです。スマホでGoogleマップのルートを見せながら,外国人旅行者が尋ねて来るのですが,絶対に宿泊施設が立地していないはずの浪速区の住宅街…。違法営業の摘発を恐れてか,外国人宿泊客は正確な住所を教えてもらっておらず,「近くまで来たら直接連絡して」という民泊ばかり。
 韓国人の若い女性ばかりのグループもいて,「ここは本当に安全なホテルなのですか」とこちらが尋ねることもありました。ネットやSNSの口コミ情報や,民泊提供者の宣伝をあまり警戒することなく,そのまま受け入れている人がほとんどで,今後,大きな事故や事件が起こらないか,本当に心配になりました。民泊の経営者が良い人ばかりならばいいのですが,悪意を持った人が混じっていたらと思うと…。
 バックパッカー時代,私は,自らの身を守る鉄則として,向う側から話かけて来たり,アプローチして来た場合は,たとえどんなに親切な人でも,むしろ親切な人ほど,警戒することにしていました。Airbnbなどが仲介しているので,疑うことなく信頼しているのかもしれませんが,基本的に,「知らない人の家」に泊まる危険性をもっと意識すべきだと思います。逆に,「知らない人」を安易に迎え入れて泊める民泊経営者も,その危険性を認識すべきです。

 もうひとつ興味深かったのは,少しマニアックな買い物の問い合わせがあったことです。インドネシア人女性が「靴を買いたくてお店を探している」と来られたので,靴の量販店を紹介すると,「そうではなくてバドミントンのシューズ」とのこと。インドネシアはバドミントンが国技,彼女によると,「日本製のシューズが世界で一番よくて,インドネシアでも売っているが種類が少なくて高い」そうです。
 その他には,野球のキャッチャーミット,忍者グッズ,コミック漫画などについても,問い合わせがありました。中国系旅行者によるブランド品や家電製品の爆買いが注目されてはいますが,日本でのショッピングには,日本ならではの専門店などがまだまだあり,近い将来,このような本来の観光消費へと移行してくだろう,との予感を得ました。少しマニアックなお店が,もしインバウンド観光を意識して積極的に情報発信したならば,インバウンド市場を独占できる可能性も感じました。