【松ゼミWalker vol.157】 西成ジャズ 「第2回 夢の祭典」 初日(3回生 平山あかね)

 台風19号が近づき通り過ぎるなか,2014年10月12日(日)・13日(月・祝)と2日間にわたって,昨年に続き西成ジャズAll Stars「第2回 夢の祭典」が,西成区あいりん地域の伝説の立ち飲みや『難波屋』にて開催されました。歴代の松村ゼミの学生たちは,西成ジャズ代表の松田順司さんと松村嘉久先生との深い信頼関係から,西成ジャズを全面的に応援し,昨年初めて開催したこの大イベントも支援しました(【松ゼミWalker vol.126】参照)。
 私たち松村ゼミの3回生は,西成ジャズを聴いた経験のある者はいるものの,昨年の夢の祭典でボランティアスタッフの経験をした者はいません。私たちはゼミの時間に松村先生から,難波屋や西成ジャズの歴史や松村ゼミとの関係について,しっかりと学び,今回のイベント支援に臨みました。
 さて,昨年の夢の祭典は大盛況で,時間帯によってはお客さんが多すぎて,難波屋に入りきれなかったそうです。その反省から,今年の夢の祭典では,西成ジャズの新たな拠点であるDonna Leeを,ミュージシャンやお客さんの休憩場として開放し,西成ジャズの写真展示と参加ミュージシャンのCD販売も行いました。

 ライブ会場は昨年と変わらず,難波屋でした。今年の夢の祭典は14時開場の15時開演,終演は21時の予定で,昨年よりも演奏時間が長くなり,お客さんが分散してくれることを期待していました。
 初日10月12日(日)の集合場所は,動物園前商店街沿い,旧飛田遊郭の大門に近いDonna Lee(ドナリー)。集合時間は余裕を持って準備を進めようと早めに設定され,11時30分でした。Donna Lee内部での写真展示の準備は,前日10月11日(土)に,新今宮TICのスタッフから4回生のキム・テギョンさんが応援に行き,すでに終わっていました。
 初日の学生スタッフについて紹介しておきたいと思います。4回生は松川和矢・橋田翔子・袁麗萍・山中彩帆里・関伽緒里・武石彩芳・山下喜央の7名が参加,このうちの6名は,昨年の夢の祭典にボランティア参加した経験があり,6名とも難波屋Tシャツを着ての集合でした。特に袁麗萍さんのTシャツは松田順司さんのサイン入り,私たち3回生も難波屋のTシャツが欲しかったのですが,難波屋に在庫がなく断念しました。

 3回生の参加スタッフは,ジーン・ジュディ・張純倩・平山あかねの4名,2回生からは辻勇之介・竹中さおり・高岸佳梨の3名が参加しました。
 松村先生も含めると総勢で15名となりましたが,途中で帰らなければならない者もいて,終演まで残れたのが11名。決して十分な人数ではありませんでしたが,昨年スタッフ経験した4回生が6名もいらっしゃったので,とても心強かったです。
 私たち松村ゼミの学生スタッフの主な役割は,ライブ会場入口でのチケットもぎりとお客さんやミュージシャンの案内誘導,ミュージシャンらが持参するCDや西成ジャズグッズなどの物品販売,ライブ会場内での飲み物やおつまみの販売,Donna Leeでのお客さん対応でした。ライブ会場とDonna Leeが歩いて10分弱の距離にあったので,その連携が難しいところでした。私たちはその後,集合したDonna Leeから難波屋へと移動して,誰がどこでどの役割を担当するのか,休憩や交替をどうするのかなど,難波屋のマスターも交えて動き方を確認しました。

 開場時間の14時前くらいからボチボチとお客さんが入り出し,14時半過ぎになるとすでに会場内の椅子席は満杯,立ち見状態になりました。それでも,4回生の橋田翔子さんや袁麗萍さんによると,昨年はもっとたくさんのお客さんが開演にあわせて一挙に押し寄せ,飲み物を注文する声が聞こえても,そこまでたどり着けなかったそうです。今年は演奏時間が2時間ほどのび,開場時間も前倒しされたので,お客さんの出足が分散してパニック状態は避けられました。
 15時に開演すると,ボーカルか管楽器を中心とする色々なバンドが,おおよそ持ち時間30分で演奏し,10分間の休憩を挟んでバンドが入れ替わる,という連続が21時まで続きました。私たち学生スタッフは,10分間の休憩時間に,椅子席のお客さんに譲り合いや交替をお願いしながら,飲み物やおつまみを売り歩きました。
 初日はプログラムに名前が載っていたミュージシャンだけで19名,普段からいつも西成ジャズに出演されている方々です。飛び入りのゲストも何名かおられました。例えば,サックス奏者の五十嵐正剛(せいごう)さんは,東京から西成ジャズへ参加するため,移動費も宿泊費も自腹で駆け付けてくださいました。

 松村先生によると,五十嵐さんは東京キューバン・ボーイズというラテン音楽バンドのメンバーで,超一流のミュージシャンとのこと。かつてゲストとして西成ジャズに出演し,その独特の雰囲気を気に入られて,わざわざ東京から夢の祭典へお越しいただいたそうです。西成ジャズの魔力というか磁力が,こうしてジワジワと大阪から全国へと広がっていって欲しいと思いました。
 初日のピークは19時からのGee-Babyのステージでした。Gee-Babyは阪井楊子さんと宮藤亜妃さんの女性ツインボーカルで,お二人のまるで漫才のようなMCがお客さんを沸かせていました。会場のお客さんとの一体感が生まれると演奏が始まり,演奏が始まると,パワフルな歌と美しいハーモニーでお客さんを魅惑していました。
 初日の最後の最後は,居残ったミュージシャンが全員参加してのジャムセッション。ぎゅうぎゅう詰めの会場は,ミュージシャンたちとお客さんとが一体となり,まさに異様に盛り上がりました。ほぼ21時ちょうどに演奏が終わると,会場のあちらこちらから「最高!」「Beautiful!」「明日も来るで!」などの声がかかりました。

 演奏終了後,ミュージシャンたちと西成ジャズの常連さんたちはDonna Leeへ移動し,簡単な打ち上げパーティが開催されました。ライブで高揚したお客さんも,Donna Leeでの西成ジャズ写真展へ押し寄せ,私たちと松村先生が到着した頃は,Donna Leeもぎゅうぎゅう詰め状態。「これは朝まで飲みそうな勢いやな。明日もあるから,松田さんに挨拶だけして,今日はみんな,はよ帰ろうや。」と松村先生。
 松田さんに声をかけると,「本当にみなさんありがとうございました。」とねぎらいの言葉をいただきました。その様子を見ておられた五十嵐正剛さんもお店の外へ出て来られ,ひとりひとりの学生に「ありがとう」と声をかけ,握手してくださいました。
 初日の今日,会場入口でもぎったチケットは164枚で,昨年を上回る大盛況だったそうです。それが全く混乱することもなく,ライブを終えられ,何よりでした。ただし,ライブの途中で入った情報では,明日13日は台風19号が近畿地方に接近するため,JR西日本の全線が16時から運休する,と今日に決まったとのこと。一体,明日はどうなるのか,みんな不安になりながらも,「明日も必ずやるぞ」という心構えだけ確認して解散しました。

参加学生からの感想

竹中さおり(2年)
 初日のサポートスタッフとして,西成ジャズに参加しました。私はミュージシャンたちのCDのポップを描き,飲み物の販売も担当しました。ジャズの演奏が始まると,ジャズに集中して飲み物を買う人がほとんどいないので,私も一緒にジャズを聴かせていただきました。
 ドラムの松田さんを含め,ミュージシャンたちもお客さんも,みんながとても楽しそうで,なかには感動して泣いている人もいて,今日のことを本当に楽しみにしていたのだろうなと実感しました。西成ジャズを聴くために,これだけの人が難波屋に集まることは,とてもすごいことだと思いました。また来年も,スタッフとして西成ジャズに参加したいです。

ジーン(3年)
 私は多くのミュージシャンからCDを預かり,その販売のお手伝いをさせていただきました。バンドが入れ替わる時間になったら,ライブ会場のなかにも入り,飲み物の販売もお手伝いしました。入れ替え時間は,野球の甲子園球場のような雰囲気でした。私が留学生だと気づいたお客さんからは,笑顔で「頑張ってね」との声援もいただきました。ミュージシャンたちの演奏はとても楽しく,盛り上がりました。椅子席もお互いに譲り合ってくださり,とても素晴らしいお客さんたちでした。

山中彩帆里(4年)
 私は昨年も参加したのですが,昨年はお客さんが多くて,演奏を聴く余裕がありませんでした。今年は,飲み物を販売しながらも,演奏をじっくり聴くことができたので,昨年よりも西成ジャズの良さがだんだん分かってきたように思います。ミュージシャンたちが観客と一体となって盛り上げていて,西成を元気にしたいという一人一人の気持ちが伝わって来ました。勢いも昨年よりも増しているように感じたので,来年はもっと発展して盛り上がっていくと思います。

高岸佳梨(2年)
 私は主にDonna LeeでミュージシャンのCD販売を担当しました。今回のライブではこのDonna Leeがミュージシャンの休憩場所にもなっていたので,ジャズのミュージシャンともお話させていただきました。短時間ご一緒しただけで,ミュージシャンの人柄の良さ,西成ジャズやお客さんを大切にしている様子が伝わりました。あの空間にいる全員が笑顔だったことが,とても印象に残っています。またスタッフが一丸となって盛り上がり団結力が生まれる瞬間を見て,中高生時代を思い出しました。大事なことを思い出し,少しでも力になれて,良い経験が出来たと思います。

ジュディ(3年)
 みんなで力を合わせて,ひとつのイベントを成功させることは,とても素晴らしいことです。私も今日,ゼミ活動で西成ジャズのお手伝いをして,みんなと一緒にワクワクしながら頑張りました。みんなが頑張っているのを見て,すごく感動しました。

山下喜央(4年)
 西成ジャズ夢の祭典の初日,昨年に続き,今年も参加させてもらいました。私はチケットのもぎりや自転車の整理をお手伝いしたのですが,西成ジャズのお客さんたちと交流もできました。西成ジャズには不思議な力があります。その原点は熱い魂を持ったミュージシャンたちが本気で演奏していること,難波屋という場所がそうさせていると感じました。