【松ゼミWalker vol.143】 AO新入生らと阿倍野・新今宮・新世界をまち歩きしました!!

まち歩き前半のレポート(3回生 栃原智美)

 2014年度,1回生の入門ゼミで松村先生は,AO入試で入学してきた新入生たちを担当されています。私と平山あかね(3回生)はその入門ゼミで,スチューデントアシスタント(SA)を務めさせていただいています。
 国際観光学部のゼミ活動は他の学部よりも活発ですが,歴代のAO入学者たちはそうした活動に率先して参加し,他の学生たちを引っ張る存在になることが求められています。私たちSA二人もAO入試で入学し,現在に至っています。
 「鉄は熱いうちに打て」ではありませんが,松村先生はよく「入学して学習意欲の高いうちに現場へ連れて行け」とおっしゃいます。
 思い出を振り返るならば,私たちが1回生の時も同じ経験をさせていただきましたが(【松ゼミWalker vol.93】 「新世界から西成の魅力発見」 フィールドワークを開催(速報)および【松ゼミWalker vol.95】 新今宮と新世界を国際観光学部の新入生たちが極める参照),今ではAO新入生をSAとして引率する先輩の立場。時の流れと責任を実感します。

 松村ゼミのまち歩きは現地集合の現地解散,遅刻者は待たず自力で合流するのが原則です。今回の集合は,2014年4月27日(日)13時30分,阿倍野歩道橋の上でした。集まったのは1回生13名とSA2名と松村先生の16名でした。
 集合してからのまち歩きコースの前半は,以下のようなものでした。阿部野橋歩道橋→阪南大学あべのハルカスサテライト→サテライト横の交流スペース→大阪市立大学医学部→上町台地の壁面(阿倍野区と西成区の区境)→西成区山王地域→ピースハウス昭和→新今宮TIC
 最初にあべのハルカス23階にある阪南大学あべのハルカスサテライトへ向かったのですが,残念ながら日曜日は運営しておらず,真っ暗。サテライトに来た目的は,大阪市内の環状線内側ほぼ全域を見渡せるサテライトから,大阪市内の風景を実際に展望しながら,大阪の地理やこれからのまち歩きコースを確認しようというものでした。

 サテライトの隣には,23階キャンパスフロアーの交流スペースがあり,その奥のセミナー教室もガラス張りで絶好の眺め。そこで,交流スペースの職員に「セミナー室から景色を見たいですが,入っていいですか」と松村先生がお願いされたところ,とても快く迎え入れてくださいました。
 四天王寺,天王寺公園,動物園,通天閣,大阪城,道頓堀,日本橋でんでんタウン…,と松村先生の案内で実際に風景を眺めながら,大阪各地の名所や場所の解説を聴きました。ここからは,通天閣から西側,西成区や港湾部の風景は見えなかったので,交流スペースの職員にお礼を言ってから,エレベーター近くへ場所を移動して,さらに,天保山,京セラドーム大阪などの解説も聴きました。
 AO新入生の出身地は沖縄県,愛媛県,愛知県など,関西圏以外からの者も多いので,初めて見るものばかりだったかもしれません。
 サテライトを出てからは,大阪市立大学医学部の横を通って,上町台地のがけの上へ行き,そこで阿倍野区と西成区のことを学びました。がけを下って,戦前からある山王地域の古い住宅街を通り抜け,ピースハウス昭和という外国人利用の多いゲストハウスの前も通り,新今宮TICへ向かいました。途中,気軽にレポートできないような社会の現実も色々と学び,新入生にとっては刺激的過ぎるまち歩きになったかもしれません。

新今宮TIC周辺のフィールドワーク(3回生 ジュディ)

 4月27日(日)の新今宮TIC運営スタッフは,松川和矢さん(4回生)とジュディ(3回生)とジーン(3回生)でした。14時過ぎ,松村先生が大勢の新入生を連れて,新今宮TICへ来訪されました。そして新今宮TICのなかで,松川さんと一緒に,新入生たちに新今宮TICでの活動についてご説明されました。
 その後,新今宮TIC周辺のフィールドワークへ行こう,ということになり,このフィールドワークに参加したことのある栃原さんと平山さんが新今宮TICに残り,参加したことのない私とジーンが,地域の学習を兼ねて新入生たちに同行することになりました。

 最初に訪れたのはホテル中央セレーネ,新今宮TIC周辺で最も豪華で高価なホテルです。といっても平日でシングル1泊3,600円,学割200円・早割200円の制度もあるので,一般的には超激安ホテルですが,部屋の広さや快適さは普通のチェーン系ホテルと同じくらい。地下鉄御堂筋線動物園前駅の真上にあり立地条件も抜群。新今宮TICのスタッフは,ホテル中央セレーネのトイレをお借りするのですが,土日はいつも「満室」の看板が掲げられている状態,2013年の年平均客室稼働率が90%を超えたという超人気ホテルです。
 ホテル中央セレーネはかつて,ホテル中央新館だったそうで,全面的な改修工事を行い2010年に新装開店。新装開店に際して,松村ゼミでモニター宿泊を行わせていただき,同時に大規模なフィールドワークを行い,現在の新今宮TICの基礎を固めた,と松村先生は説明されていました(【松ゼミWalker vol.39】 新今宮TICボランティアスタッフ養成講座の速報参照)。
 次に,私たちはホテル東洋へ向かいました。ホテル東洋は1泊1,500円から泊まれる格安のゲストハウスで,特に欧米系のバックパッカーやアジアの若者たちが集うとのことでした。
 部屋は決して広くありませんが,トイレやお風呂は共同ですが,寝るだけなら十分。フロントのスタッフの方々は英語もしゃべりとても親切。広いコミュニティスペースには,共同利用できるパソコンや冷蔵庫が置いてあり,宿泊客が自分で調理して食事するスペースもあります。松村先生は「アジアを放浪していた若い頃,こんな感じのゲストハウスを泊まり歩いて,英語を覚え,友達もできた」とおっしゃっていました。

 最後に,ホテル中央オアシスへ行きました。ホテル中央オアシスでも,オープン直前の2009年4月に松村ゼミがモニター宿泊を行わせていただき,のべで120名を超える学生が参加する大規模なフィールドワークを行った,と松村先生から伺いました(【松ゼミWalker vol.21】 ホテル中央「オアシス」のモニター宿泊参照)。
 オアシスでは,フロントスタッフの許可を得て,関係者以外立ち入り禁止の屋上へ登らせてもらいました。オアシスの屋上からは,あべのハルカス展望台ほどではありませんが,あいりん地域の全域はよく見えます。かつて松村ゼミで,この屋上を利用して夏休み限定のビアーガーデンを運営しようか,という提案もあったそうですが,ここならば上手く行きそう,と思いました。その屋上で松村先生から具体的な風景を見ながら,あいりん地域の実情や地域の課題などについて学びました。
 私が何よりも驚いたのは,どのホテルも事前に連絡していた訳でもないのに,松村先生と一緒に行けば自由に見学でき,フロントスタッフやマネージャーが快く迎え入れてくださり,色々と説明してくださったことです。松村ゼミの活動がこの地域で歴史を持ち,根付いていることを実感しました。

まち歩き後半のレポート(3回生 平山あかね)

 新今宮TIC周辺のフィールドワークを終え,新今宮TICに帰ってきたのは15時過ぎでした。新入生のなかには,昼食を食べずに集合し歩き続けていた者もいて,新世界でおやつがてら軽く食べよう,ということになりました。
 一般的に,「新世界と言えば…串カツ」でしょうが,松村ゼミはそうではありません。むしろ,土日は観光客で混むから「あえて串カツは外そう」となります。松村先生はよく,「(串カツは)別に並んで食うほどのもんやないし,他に美味いもんもぎょうさんある」とおっしゃいます。
 新世界に子供の頃から通い,40年以上も前の新世界を知る松村先生によると,「新世界は遊びに行くところ,映画や寄席,スマートボールや射的,すぐ隣は天王寺動物園,大人から子供まで楽しめるまちやった。寄席や演劇や映画を見に行く前や合間にササッと食べる串カツやうどん,見終わってからゆっくりと食べるお寿司やてっちり。子供の頃は,新世界へ連れて行ってもろたらラッキー,ご馳走が食べれて,甘いもんも食わしてもらえると思てた。」とお話されていました。

 さて,AO新入生と私たちSA二人は松村先生の案内で,まずジャンジャン横丁のタバコ屋さんへ立ち寄り,店番をされていた方にご挨拶させていただきました。松村先生が「この人が新世界で一番の偉いさんやから,みんな顔を忘れんといてや」と紹介されると,タバコ屋のご主人の大西さんは「偉いさんやない,身体がエライさんなだけや」と返されていました。
 ジャンジャン横丁を抜けてからは,お好み焼き屋の『狐狐』とうどん屋の『おたべや』に分かれて,おやつタイムに入りました。なぜか,新入生たちは,女子が『狐狐』,男子が『おたべや』と分かれる結果に…。松村先生と栃原さんは『おたべや』へ,私は『狐狐』へ行きました。どちらのお店も『新世界・西成 食べ歩きMAP』に掲載させていただいたお店で,松村ゼミとはもう数年来のお付き合いとのこと。
 今年の新入生は関西圏以外から来た学生が多いと聞いた『狐狐』のご主人は,「新入生にあげて」と通天閣の優待券をくださいました。松村先生によると,現在の二代目通天閣は近くに住む地域の人たちがお金を出し合って再建されたそうで,『狐狐』の先代はその際の中心人物の一人だったそうです。

 軽く食事をした後は,通天閣本通り商店街の甘味処『三好(みよし)』で合流,かき氷などをいただきました。この『三好』も新世界の老舗で,松村先生によると,「今から40年くらい前,おばあちゃんやいとこ連中と一緒によく動物園へ通った。その帰りにこの店へ連れて来てもらって,生まれて始めてクリームソーダやら安倍川餅を食べた思い出がある」そうです。そして最近は,ご自分のお子さんたちをこの『三好』へ連れて来て,「何でも好きなもん食わしたる」そうです。
 新世界フィールドワークの最後の訪問先は,包丁専門店Tower Knives Osakaでした。ここは,カナダ生まれのデンマーク育ち,英語もフランス語もドイツ語もデンマーク語も大阪弁もしゃべれるビヨンさんが,堺の打ち刃物を展示即売しているお店です。松村ゼミは外国人とのまち歩きツアーでもよくここを訪れるそうです。
 ビヨンさんによると「先生は,いつも,何も買わないで試し切りだけして帰る。でも,色々な人を連れて来てくれる。私は,日本の素晴らしい伝統,堺の打ち刃物の素晴らしさをみんなに知って欲しい。それだけでいい。」そうです。この日も新入生たちが代わる代わる色々な野菜を試し切り,包丁の重みのみで押すだけで切れる切れ味,野菜を切った断面のすべすべの手触りに驚いていました。
 その後は,通天閣が二本に見える写真撮影スポットなどをまわって,新今宮TICに帰りました。時計を見ると時間は17時前,本日のフィールドワークはそこでいったん解散。その後は,有志のみで山王交差点南側のおでんの『成田屋』で西成ジャズを楽しみました。