2016.11.4

連載講座「インターネットと経営」任天堂とポケモンGO ~続・「ポケモンGOと企業・社会」~

任天堂が中間決算を発表

2016年8月のこのコラムでは、大ブームとなったポケモンGOと、それが企業や社会に及ぼす影響を述べました。前回の記事はこちら
そのとき企業については、特に任天堂の株価について紹介しました。

今日は、2016年10月26日に発表された、任天堂の9月30日までの半年間の営業成績(中間決算)について見ます。これについては、一般紙(あるジャンルに特化していない新聞)でも、例えば「任天堂 営業赤字59億円」(毎日新聞10/27朝刊)といった見出しで取り上げられました。

収益のいろいろ

一方、「ポケモンGO効果120億円」という見出しの朝日新聞(10/27朝刊)では、次のように書かれています(番号は、書かれている順につけた便宜的なもの)。

[1]関連会社でポケモンのブランドを管理するポケモン(東京)などから受け取る営業外利益が、…120億円となった。
[2]筆頭オーナーだった米大リーグ球団シアトル・マリナーズの所有権を…売却した。この利益が627億円に上り、…純利益は…382億円となった。
[3]売上高は…1368億円。営業損益は…59億円の赤字に転落した。
途中略したこともありますが、上の順序で書かれている記事ではわかりにくいかもしれません。そこで次の計算書を見ましょう。上であげられている金額等はゴシックで記しました。カッコの番号は上の番号に対応する箇所です。
任天堂の損益計算書(2016.4.1〜9.30,単位:億円)                    
売 上 高
1,368
[3]
 (−)売上原価など
1,428
営 業 利 益
-59
[3]
 (+)営業外収益
156
  内、持分法による投資利益
120
[1]
  内、その他
36
 (−)営業外費用
405
  内、為替差損
399
  内、その他
6
経常利益
-309
 (+)特別利益
630
  内、投資有価証券売却益
627
[2]
  内、その他
2
 (−)特別損失
25
税金等調整前純利益
320
 (−)法人税等
-63
純 利 益
382
[2]
任天堂HPより作成.
四捨五入などにより差引額が合わない個所がある.
まず、売上から製造原価や給料、事務費などを引いたものを営業利益と言います[3]。これが本業での儲けを示す利益で、任天堂の場合、主に娯楽製品の製造・販売で得たものです。この額に、持っている株や受け取った利息などで儲けた分を加え[1]、逆に損した分や金利を差し引いた結果を、経常利益と言います。

そして、臨時的な利益を加えて[2]、同じく臨時・偶発的損失を差し引いた結果残った額から、税金を差し引いた(戻ってくる場合もあります)最終的な利益を純利益と言います[2]。以上を簡単に言うと、ゲームを作ったところでは赤字でしたが、関連会社から入ったポケモンGOの収入で助けられ、さらに臨時的な収入によって最終的利益が黒字になったわけです。

今後の見通し

しかし、2016年度下期(10月から翌年3月まで)「への期待は大きい。目玉となるのがスマホ事業と新型ゲーム機の投入だ。」(産経新聞10/27朝刊)と言うように、今後は本業でも利益が出ることが見込まれています。なお、新型機については、任天堂「平成29年3月期第2四半期決算短信」p.4で詳しくわかります。

経営情報学部では、このように身近な企業も教材にして「会社の数字」、まさに「経営」・「情報」について学びます。

なお、以前のコラムでは任天堂の8月26日までの株価を示しました。下図で、中間期決算発表があった翌日(10月27日)までのものを見ましょう。ポケモンGOによって株価が急速に上がり始めた7月10日すぎに任天堂株を買った場合でも、10月27日現在は損をしていないことなどがわかります。

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