7月16日、 経営学部 千島ゼミでは株式会社 大丸松坂屋百貨店 DX推進部 インフルエンサー事業マネージャーの島袋孝一様をお招きし、デジタル技術を活用した顧客接点づくりについて特別講義を実施しました。

従来の百貨店は、便利な立地、魅力的な売場、丁寧な接客、豊富な品揃えなどを通じて、店舗に顧客を集めるビジネスを発展させてきました。しかし、インターネットやSNSが生活に深く浸透した現在では、顧客が店舗を訪れる前の段階から、企業との関係づくりが始まっています。
今回の講義では、TikTokやYouTubeショート、Vlog、メタバースなどを活用することで、すでに百貨店を利用している顧客だけでなく、これまで来店経験のない若年層、海外の利用者とも接点をつくれることを認識できました。

特にショート動画は、利用者が百貨店の名前を検索しなくても、SNSの推薦機能を通じて偶然視聴される可能性があります。そのため、商品を直接宣伝するだけでなく、まず動画を「面白い」「もう一度見たい」と感じてもらうことが、新しい認知を広げる入口になります。
  • 株式会社 大丸松坂屋百貨店 DX推進部 インフルエンサー事業マネージャー 島袋 孝一 様

AI・Digitalが百貨店・小売業界に与える影響

また、大丸松坂屋百貨店がメタバース上で3Dアバターや衣装を販売し、VRChat内のイベントや仮想空間の制作にも取り組んでいることが紹介されました。これは、現実の商品を仮想空間で宣伝するだけの活動ではありません。利用者がアバターを使って自分らしさを表現したり、ほかの参加者と交流したり、イベントに参加したりするなど、メタバース内の生活や体験そのものに価値を提供する試みといえます。

ゼミでは実際に動画を視聴しながら、企業が想定する顧客との関係づくりについて考えました。その流れは、次のように整理できます。

動画を視聴する → アカウントをフォローする →繰り返し動画に触れる →企業に親しみを感じる → イベントへの参加、商品の購入、店舗への来店につながる繰り返し接触するなかで心理的な距離を縮め、将来の来店や購買へつなげていく長期的な活動要素も含まれる点をあらためて認識することができました。
  

「デジタルに存在する課題に対応することも重要」

ショート動画では、短時間で注目を集めるために、分かりやすさ、驚き、笑い、テンポの良さが重視されます。しかし、過剰にそれを追求し間違った伝わり方が起きると、百貨店が長年大切にしてきた品質、信頼、上質な接客、文化性といった魅力を阻害することにつながるかもしれません。

ゼミ生からは、「ショート動画を顧客との最初の入口として活用しながら、その後に長い動画、店舗イベント、ECサイト、会員アプリなどへ案内し、より深く企業や商品の魅力を知ってもらう仕組みが必要。デジタルと実店舗を別々に考えるのではなく、両方をつなぐことが重要になる 」というご説明が非常に印象的という反応がありました。

今回の特別講義は、百貨店という伝統あるビジネスが、ショート動画やメタバースといった新しい技術を取り入れながら、顧客との関係をどのように変えようとしているのかを学ぶ貴重な機会となりました。学生たちは、デジタル技術の活用は、目立つことや再生数を増やすことだけに偏るのではなく、その後の来店、購買、継続的な関係づくりまでを設計することが重要であると、実際の企業事例を通じて理解を深めました。