サッカーのピッチに立てるのは選手22名と審判員4名(主審1名、副審2名、第4の審判員1名)のみです。サッカーの試合は審判員がいないと始まりません。そんな審判員たちは普段どんな準備、トレーニングをしてピッチに立っているのでしょうか。

 ある日、日本を代表するトップアシスタントレフェリー国際審判員 西橋 勲さんから同じく審判員の赤阪(経営学部)に相談がありました。「シーズンが始まったところで、改めて難しいシチュエーションでトレーニングがしたい」と。そこで赤阪はひらめきました、今年度から開講された上赤坂先生の日本サッカー協会C級指導の授業とコラボレーションできないかと。受講生たちは判断が難しいオフサイドのシーンを演出します。それをトップレフェリーたちが判定します。トップスピードで走る選手たちのすれ違いの数㎝をどうやって見極めているのか。副審の実際のトレーニングを学生たちと一緒に行うことで、受講生は新たな「副審」の世界を知るとともに、自分たちのプレーを振り返ることでサッカーIQを高めることを狙いとしました。2024年5月1日(水)に日本のトップアシスタントレフェリーたちが阪南大学グラウンドに集結しました。

  • まずは教室でトレーニングの意図と再現するシチュエーションを理解した

  • オフサイドトレーニング。学生たちも副審役を体験した

  • トレーニング後のディスカッションの様子

  • 副審の感想や世界トップレベルの選手の印象など、質問は多岐にわたった

学生コメント

荒木 七瑠さん
私は今までサッカーの試合を見る際はプレーのところを特に重視していました。しかし、今回生で国際的に審判をされている方たちの姿を見て交差する際の判断の難しさを知りました。そして、改めて審判の面白さを知ることが出来たのでまた試合を見る価値観が変わりました。
 
篠田 純之助さん
国際審判の方々と講習をさせていただいて学生のジャッジはプロの方々にくらべて大きく違うなと感じました。この経験はプレーにも繋げられると感じたので、とても良い経験ができました。
 
藤川 隼之輔さん
国際審判の方のオフサイドの判定について、実際に複数のシチュエーションでの判定を観てみて凄さを実感しました。実際に自分もやってみたところ、感覚的にしか判断出来なかったけど、国際審判の方は足が残っているや、空間が空いているなどの表現で、一瞬で鮮明にその状況を判断していたので驚きました。
 
家田 龍之輔レイフさん
僕たちが動画でスローモーションにしてやっと判断できるような際どいシーンを一瞬で的確に裁いていて驚きました。皆さん僕たちが普段遊びでボールを蹴っている時のように楽しそうにレフェリングのトレーニングをしていて好きだからこそ極められる芸当なんだなと感心しました。Jリーグなどプロの世界でよく見られるハイレベルな駆け引きは、彼らのようなスペシャルなレフェリングに支えられているんだと思いました。これからはより一層試合を見てくれる審判の方々に敬意を持ってプレーすることを心がけていきたいと思いました。
  • 学生の意欲のおかげで最高のトレーニングが実現した

トップレフェリーコメント

国際審判員 西橋 勲さん

 今回、阪南大学サッカー部の皆さんに協力していただき、副審のプラクティカルトレーニングを実施することができました。
 シンプルな1対1の抜け出しのシチュエーションから、DFの人数を増やしたり、距離感を変化させ、難易度を上げていき、普段我々が国内トップリーグ担当している中で起こるシチュエーションを作り出してもらいました。こちらの無理な要望にも即対応し、微調整させていく適応能力に、阪南大学サッカー部の選手の皆さんの技術の高さとサッカー理解の高さを感じました。今回の経験が普段の試合の中でのラインコントロールや、局面での飛び出しに活かしてもらえれば嬉しく思います。
 選手と審判、立場は違えど、同じサッカーファミリー、沢山のOBがトップカテゴリーや色んなステージで活躍されている阪南大学さん、いつか同じピッチで一緒にプレーできることを楽しみにしています。

教員コメント

総合情報学部 上赤坂 佳孝 准教授

 今回赤阪先生の提案により、サッカーC級受講生が、国際審判という一流のプロの審判のジャッジを体験できたことに感謝いたします。また審判の方のTRに取り組む姿勢は、謙虚で向上心があり、受講生と向き合う際の真摯な態度に素直に感動をしました。
 国際審判の方から、現在川崎フロンターレのキャプテンとして活躍している阪南大学サッカー部OBの脇坂選手は、学生時代から変わらず今もグラウンドで会うと必ず挨拶し声をかけてくれる好印象な選手というお話がありました。OBの活躍をうれしく思うと同時に、改めてコミュニケーション能力の重要性を学ばせていただきました。
 これからも自身が大切にしてきた「サッカー選手の前に1人の人間である」という心構えを大事にし、指導に携わりたいと強く思いました。