特別講義の背景

 阪南大学は、教育内容の一層の充実・発展を図ることを目的として、奈良県立法隆寺国際高等学校(上田精也校長)と高大連携協定を締結しています。
 法隆寺国際高等学校の総合英語科2年生は、12月に実施されるユネスコフォーラムでの発表を目指して、「総合英語」の授業でSDGsをテーマとした探究活動に取り組まれています。私は、その導入として、「探究のノウハウ」を主題とした特別講義を令和5(2023)年9月25日(月)に実施しました。

特別講義の概要

 特別講義は、法隆寺国際高校のご要望により、探究的な学びのノウハウについて、これまで私がいくつかの高校でお話してきた、探究の目的や内容・方法の4つの問いに沿ってお話をしました。
 1.探究とはどういう活動か。
 2.何のために探究をするのか。
 3.探究ではどういうプロセスを踏むのか。
 4.探究では何を身に付けることができるのか。
 特に、2では、法隆寺国際高校がユネスコスクールであることから、ESD(持続可能な開発のための教育)を推進することが目指されており、ESDは総合的な探究の時間が目指す「よりよい社会を実現しよう」とすることと重なることを伝え、ESDをSDGsから考え、SDGsを探究の視点として活用することが学校の特色ある探究活動となることを説明しました。法隆寺国際高校は、よりよい社会を実現しようとする生徒を育てるユネスコスクールであることが、他の学校にはない大きな特徴といえます。
 また、4では、具体的な「探究の方法」として、「メモの取り方」を身に付けることも説明しましたが、今回は、特別講義の最初で私の講義に関するメモを取り、講義後にメモをもとに私にコメントをしていただくよう、皆さんにお願いをしました。
 講演の最後では、授業担当の先生と生徒さんから、探究活動への取組み方や本の読み方についてのコメントをいただくことができました。

 法隆寺国際高校の総合英語科2年生が探究活動で扱う教材が4つあります。
  Lesson 2  The Diversity of Traditional Houses(伝統的な家)
  Lesson 5  Animals as Indispensable Partners(サポートアニマル)
  Lesson 7  Be Free from Gender Bias(ジェンダーバイアス)
  Lesson 10  Keys to Finding Happiness(幸せについて)
 これらは、SDGsの17の目標のいずれかに該当します。生徒の皆さんは、17の目標のどれを当てはめて、自分との関わりも考えながら探究の課題(問い=なぜ?)を設定できるかが、探究的な学習への入り口となります。絶対的な正解を求めるのではなく、より望ましい答え(最適解)に近づいていくことが探究的な学習になります。課題の設定と課題の修正(再設定)をくり返す「探究のプロセス」に、粘り強く取り組まれることを期待します。
 この高大連携事業では、継続的に学習活動を支援しています。次回は11月に、ユネスコフォーラムへの発表に向けた取り組みの進捗状況を拝見する予定です。生徒の皆さんが4つの教材を手がかりに、どのように探究活動を進められたのか、その成果を楽しみにしています。