2023.4.20

奈良県立高取国際高等学校 講演(「総合的な探究の時間」)

講演の背景

 奈良県立高取国際高等学校(石澤竜義校長)では、私が令和3(2021)年8月に、当時の渡部憲一校長のご依頼で、WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業(WWL)のカリキュラムアドバイザーとして、高取国際高校における「探究的な学び」についての教員研修を実施しました(2021.8.23の記事を参照)。
 その後、高取国際高校では、令和4年度から「総合的な探究の時間」において新たな探究活動を展開されています。探究活動を学校全体の活動に広げることを目的にカリキュラムを改訂され、本年度から2年生でも探究活動を継続されます。また、新1年生もクラスを解体したゼミ活動を実施される計画となっています。私は、新たな探究学習に取り組む1・2年生の「総合的な探究の時間」の導入として、探究についての講演を令和5(2023)年4月17日(月)に実施しました。

講演の概要

 高取国際高校では、昨年度の第1学年で「奈良県や自分の住む地域で幸せに暮らすために取り組みたいこと」をテーマに、6つのグループ(「現代社会におけるキャリアデザイン」「住み続けたい「くに」・「まち」づくり」「みんなが幸せなコミュニティに」「学び、伝え、生かし、遺す先人の知恵」「生涯、健康であり続けるために」「地球とともに生きるわたしたち」)から生徒に興味のあるものを選ばせ、探究活動を始められました。テーマからは同校が「総合的な学習の時間」で実施していた「探究なら」の継承がうかがえます。また、6つのグループは奈良県立国際高校の6つのゼミを参考にされたもので、なおかつ、ESD(持続可能な開発のための教育)やSDGs(持続可能な開発目標)と関連付けられていることが、総合的な探究の時間が求める、「よりよい社会を実現しようとする態度を養う」目標に沿うものとなっています。
 講演は、高取国際高校のご要望により、探究的な学びについて「なぜ探究をするのか?」というテーマで、次の4つの問いに沿ってお話をしました。
 1.探究とはどういう活動か。
 2.何のために探究をするのか。
 3.探究ではどういうプロセスを踏むのか。
 4.探究では何を身に付けることができるのか。
 特に、4では、具体的な「探究の方法」として、次の4点をお伝えしました。
 方法(1) 「タテ」と「ヨコ」で考える。
  ・「先行研究」と「現代の課題」で考える。
 方法(2) 「数字・ファクト・ロジック」で考える。
  ・データから根拠を導き、論理的に説明する。
 方法(3) 「本・人・旅」と出会う。
  ・他者の考え方に触れる。
 方法(4) 「メモの取り方」と「本の読み方」を身に付ける。
  ・ 「コメント力」と「主観と客観の切り替え」。
 ※(1)~(3)については出口治明さんのご著書を、(4)については齋藤孝さんのご著書を、参考にしました。
 「メモの取り方」は、2021年の教員研修で当時の先生方に実践してもらったものです。今回は、講演の初めに高取国際高校の皆さん(生徒さんと先生方)に、私の講演に関するメモを取り、講演後にメモをもとに私にコメントをしていただくよう、お願いをしました。
 講演の最後では、生徒さんからコメントをいただくことができました。
  • 探究成果の発表でパワーポイントを作るのですが、どんなスライドにすれば良い(自分の思いが伝わる)でしょうか?
2年生は、昨年度末にすでに成果発表を行っており、その経験を踏まえての質問です。
私の回答は次のとおりです。
⇒プレゼンで自分の考えを伝えるには、文字(文章)よりも、画像(写真やイラスト、イメージ図)などを使うことが有効です。ただ、伝えたいという気持ちを強く持つことがプレゼンでは大切ですね。
また、先生からは、次のようなコメントもいただきました。
  • 私自身も改めて探究の意義を考えさせられました。また、メモを取ることが少なくなっていたので、メモを取りながら「要約力」や「対話が始まる」という言葉を聞いて、その通りだと思い出しました。

    ⇒私の講演から、先生も自らの課題として探究を考えておられることが、勇気づけられました。
 高取国際高校の目標の1つに、「挑戦(Challenge)」があります。率先して質問した2年生、自分事としてメモの取り方を実践された先生、いずれも挑戦する姿勢がうかがえます。残念ながら、講演の時間が限られたため、より多くのコメントをいただくことができなかったのは、私の反省です。しかし、新たなカリキュラムで探究学習を学年を越えて実践される高取国際高校の挑戦は、「総合的な探究の時間」の目標に沿うもので、今後の実践が楽しみです。これからも、高取国際高校の探究学習がより望ましいものとなるよう、お手伝いができればと考えています。