矢倉 研二郎

プロフィール

経済学部 経済学科 / 大学院 企業情報研究科

矢倉 研二郎 (ヤグラ ケンジロウ)

 私自身、カンボジアをはじめとするアジア諸国の経済について研究してきましたが、日本企業のアジアへの進出の加速、アジア諸国から日本への観光客の増加など、近年、日本とアジアの国々(そしてその人々)とのつながりはこれまで以上に緊密になり、その重要性を増しています。みなさんも今後の社会人生活において直接・間接に何らかの形でアジアとかかわることになるでしょう。ぜひ今のうちからアジアの国々に関心を向けてみてください。

職名 教授
出身地 東京都
出身校 京都大学大学院農学研究科博士後期課程
学位 博士(農学・京都大学)
担当科目 開発経済論a/b、経済発展特論(大学院)
研究テーマ
  • 発展途上国における農村発展
主要業績
  • "Imperfect Markets and Emerging Landholding Inequality in Cambodia" Japanese Journal of Rural Economics, Vol.7, pp.30-48. 2005年1月
  • 「カンボジア農村における工場への出稼ぎと子供の就学水準の関係-相互促進関係と男女間教育格差への影響-」『国際開発研究』第14巻第2号,2005年12月
  • 『カンボジア農村における貧困と格差拡大』2008年,昭和堂
  • "Safety Net Perception and its Effects on Household Investment in Developing Countries: Chemical Fertilizer Input by Cambodian Farmers,"Oxford Development Studies, Vol.27, No.4, pp.363-395, December 2009
                        

※その他の研究業績については、下記「researchmap」(国立研究開発法人科学技術振興機構)で公開している研究ページをご覧ください。

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e-mail k-yagura@hannan-u.ac.jp

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担当科目「開発経済論」

 この科目では、ある国や社会が、どのようにして経済的に発展していくのか、またその過程でどのような問題が生じ、それをどう解決すればよいのか、といったことを考えます。ですから、対象となるのは、「発展途上国」と呼ばれる国々です。講義では、自分の研究対象であるカンボジアの例を主に使いながら話をしています。
 今後、途上国も発展していき、途上国と日本との経済的関係も深まっていくと予想されます(中国はそのよい例です)。途上国の社会や経済について理解することは、ビジネスや国際交流の面からもますます求められるようになるでしょう。

演習(ゼミ):カンボジアへの視察研修

 ゼミでは発展途上国の経済について「貧困」という側面と「経済成長著しい新興国」という2つの側面から学びます。「貧困」という側面については、普段の自分たちの日常とはかけ離れたもので、しかも外国の話ですから、なかなか実感を持つことはできません。そこで、途上国の貧しい人々の実際の声を集めた『Voices of the Poor』(邦題『貧しい人々の声』を輪読しています。
 「貧困」と「経済成長」の2つの側面を直に学ぶため、3年次の夏休みにはカンボジアに行き、農村で調査をするとともに、都市部の工場を見学したりします。このカンボジアへの視察研修は、単に途上国について学ぶこと以上の意義があります。日本とは大きく異なり、様々な困難に直面している人々の暮らしぶりを目の当たりにすることで、自分自身の生き方、日本社会のあり方について、深く考えるきっかけになるものと考えています。

カンボジアの研究

 カンボジアは、1990年代中ごろまで戦争や政治の混乱が続いたため、経済的には立ち遅れ、アジアの中でもとくに貧しい国とされています。しかし近年は、外国からの投資も増加して、高い経済成長率を記録しています。私は、このカンボジアのとくに農村部において、人々がどのような経済的問題を抱えているのか、そして近年の経済的変化の中で、農村社会がどのように変化しつつあるのかを明らかにしたいと考えています。
 実際にカンボジアに行って農家や労働者にインタビューをして情報を集める、というのが私の研究スタイルです。大学院時代には調査のために2年以上カンボジアに滞在し、今でも年に2,3回は行っています。
 現地の言葉であちらの農家から話を聞くのは楽しいものです。何といっても、生の声から社会の現実や人々の想いを知ることには醍醐味があります。

カンボジアから日本を見つめなおす

 カンボジアに限らず、外国について学ぶことで、自分たちの国を見直すきっかけになります。たとえば、カンボジアには「これはひどい」という問題もたくさんありますが、よく考えると、日本でも大差ないようなことがあるわけです。警察による容疑者の拷問や検察のいいかげんさは記憶に新しいところです。
 また、日本がカンボジアから学ぶべきこともあります。たとえば、私の調査しているカンボジアのある農村には、誰かが重い病気にかかると村人が皆で募金をしてその病人に寄付をする、という活動があります。日本でも、今回の震災で注目されたように、農村部ではそうした地域社会の「絆」はまだかなり残っていると思われますが、全体としてそうしたものが薄れているように見受けられます。
 そして何より、外国あるいは外国の人々とよい関係を築くには、相手のことをよく知らなければなりません。たとえば、カンボジアにとっては、日本からの援助や投資は非常に大きな影響をもたらします。日本の私たちがカンボジアについて理解していなければ、援助がかえってカンボジアの人々に悪影響をもたらすようなことにもなりかねません。