このキャリアゼミのご紹介

 このキャリアゼミは、厚生労働省大阪労働局との連携により、経済学部髙橋ゼミ2回生が主体となって大学生と中小企業の効果的な人材マッチングに向けて調査研究に取り組むというものです。
 大阪・梅田にある大阪労働局所管の大阪新卒応援ハローワーク(以下、「新卒応援HW」という)を考察対象とし、第1に「新卒応援HWの魅力向上にかんする調査研究」として、①より多くの学生に利用してもらうための課題の抽出と改善、②大学1・2年生向けの支援活動の強化、③施設・サービスを広く学生に認知してもらうための広報活動の強化、第2に「大学生の持つ企業観・仕事観にかんする調査研究」として、求人を出す中小企業側においても、充実した採用活動につなげていくことができる企業づくりのために、学生が就職したいと思う企業にしていくために何か必要なのかについて把握できる機会を広く提供していくことを目的に調査研究活動を進めていくことになりました。

課題解決案のプレゼンテーションの実施

 「第3報」でお伝えしました通り、髙橋ゼミの2回生の学生たちは、「新卒応援HWの魅力向上にかんする調査研究」の一環として、2022年6月24日、11月22日のフィールドワークを経て、次の課題解決に向けた提案内容を整理することになりました。
 ・大阪新卒応援HW主催の新たな就活イベント(3グループ)
 ・大阪新卒応援HWの環境改善(1グループ)
 ・大阪新卒応援HWの情報発信(2グループ)

 2023年1月17日、新卒応援HWにて大久保所長をはじめとする職員の方々や所管の大阪労働局の職員の方々を前に、各グループで検討した課題解決策をプレゼンテーションしました。各グループの発表テーマは次の通りです。

〇新卒応援HW主催の新たな就活イベント(3グループ)

 第1報告(代表・三浦響によるグループ)「先手必勝 早めの就活」
 第2報告(代表・山本翔大によるグループ)「1・2回生限定イベント開催」
 第3報告(代表・井脇凌馬によるグループ)「上級生と下級生の座談会」

〇新卒応援HWの環境改善(1グループ)

 第4報告(代表・岩崎優樹によるグループ)「大阪新卒応援ハローワークの雰囲気づくりに向けて」

〇新卒応援HWの情報発信(2グループ)

 第5報告(代表・松井茉奈によるグループ)「TikTokで認知度UP」
 第6報告(代表・谷山知慶によるグループ)「SNSの強化」
 報告ごとに職員の皆様から質問があり、返答に窮する場面もありましたが、概ねしっかり自分たちの計画してきた内容に基づき説明することができていました。また、実践していくことを想定した実務的なアドバイスをいただくことができ、実践に向けてさらに何が必要になるのかを明解にすることができた有益な機会となりました。各職員の皆様、ご協力いただきましてありがとうございました。

次年度はいよいよ提案内容の実践へ

 次年度は、今回の提案内容を実際にやってみることが活動テーマとなります。新卒応援HWの大久保所長様をはじめ、職員の方々から期待の声を多くいただきました。彼らが3回生となり、新たに2回生の後輩ゼミ生が入ってきます。先輩と後輩がタッグを組み、実践していく形を想定しています。また、この取り組みのもう一つの課題である「大学生の持つ企業観・仕事観にかんする調査研究」は、実際に求人をかけている中小企業について、求職者である大学生側とつなぎ合わすために何が必要かを考えていくというものです。今回彼らが提案したイベント案では、実際の中小企業を巻き込んで実践していく予定であり、この調査研究の深化も期待されます。

学生のコメント

 経済学部2年 三浦 響

 ハローワークプロジェクトの全体を振り返って、利用者を集める難しさを実感した。6月に初めて大阪新卒応援ハローワークを訪問した際、私たちはインターンシップに関連したイベントの実施を考えていた。これは1・2年生の利用者を増やすことと就職活動の早期化に対応するという目的があった。これについて提案しようと考えているということを11月の2回目の訪問で話し合った際に、インターンシップに関連したイベントの実施は法令的に難しいという話を受けた。そのため、最終的な提案内容は目的を変えない形で業界研究に関するイベントを実施するというものになり、これで進めることになった。これらの内容を考える際にどこに課題があり、それを解決するために何が必要か、ハローワークと利用者の両方にメリットがあるのかなど取りこぼしてはいけない要点が多く、計画を具体化していくのが大変だった。最も悩んだのがそもそも業界研究をなぜ取り上げるのかという点であった。メリットがあるということはわかったが、他の方法でもそれを実践することは考えられたが、業界研究はハローワークと大学のキャリアセンターが常にサポートしているものではないため、そこを補うと良いということで解決した。
 今回の活動で人を集めるためには様々なことを考えないといけないということを知った。そして、それの問題点も出し、解決するために必要なことも考えなければならない。利用者を集めることを単純なものと考えていたが、複雑で難しいということを実感した。発表した最後にハローワークの職員の方に実践が可能なものだというお話しをいただき、やりがいを感じた。

 経済学部2年 山本 翔大

 半年以上の長い期間にわたって大阪新卒応援ハローワーク様に新事業を提案することを基にプロジェクトに取り組んできました。まずはお忙しい中、対応してくださったハローワークの福田様をはじめとする職員の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。合計で3回にわたり現地で活動できる機会があり、1回目は6月にハローワークの施設全体に対しての説明や見学を受け、魅力や改善点をグループワークとして挙げていきました。その後一定期間は大学で現状分析を行った上でグループの題材となるテーマ・課題を吟味した後に2回目となる11月に自分たちのテーマに近い業務を担われている職員様へ直接質問する場となり、この計2回で得た情報や現場の雰囲気等から感じたことをもとに自分たちでパワーポイント資料を作成し、1月に職員様に対して発表という形となりました。
 率直な感想としてはここまで無事に終えることができて一安心しています。 私はグループのリーダーを務めたのですが、メンバーをまとめていき何か1つの方向性を決定して進めていくことの難しさや事前準備の重要性を目の当たりにしました。なかなかテーマが決まらなかったのですがメンバー全員と話し合った結果、低学年の利用者が少ない現状に着眼点を置き「1・2回生限定のイベント提案」というテーマで進めていきました。資料作成においても、自分たちの持つ就活のイメージだけでは焦点が小さすぎるため、経済学部の1・2回生を対象としたアンケートを実施するといったことにも挑戦しました。イチから新しいことを作り上げてきたことも社会人の方々の前でプレゼンテーションしたこともなかったのですが、今回のプロジェクトからまずは土台や基盤を形成して、そこから必要な情報を付け足し根拠を示していくことも重要だと勉強になりました。 事業の提案は終わったのですが、これで終わることなく、実行まで移していくとことになるため、「1・2回生の利用者増加」につながるよう、来年度以降も引き続き力を入れて取り組んでいきたいです。

連携先コメント

大阪新卒応援ハローワーク
福田 雄二 様

 阪南大学髙橋ゼミの皆様、このたびの調査研究活動お疲れさまでした。6月、11月と2回のフィールドワークを通して、皆様の意見が具体的かつ鋭く、実践的なものになっていくことに感動すら覚えました。皆様からの提案を参考に、学生に「響く」サポートを提供できるように大阪新卒応援ハローワークの事業計画を考えていきたいと思います。このたびはありがとうございました。そして来年度以降も一緒に歩を進めていきましょう!

教員コメント

経済学部
髙橋 慎二 教授

 髙橋ゼミでは、中小企業を考察対象に調査研究を進めています。今年度は2回生の専門演習のテーマの一つとして、中小企業の人材問題を取り上げ、サポート機関であるハローワークの中でも、大学生等を中心として対象としている大阪新卒応援ハローワークの利用者拡大について取り組みました。まだ2回生ということもあり、就活についてイメージと知識を入れていくところからのスタートとなり苦労も多く、テーマ自体も難しいものでしたがしっかり取り組んでいました。次年度は下級生とともにプランを実践していくさらに高度な取り組みに挑戦していきます。

参加学生名簿

岩本 懍、江川 昂希、下村 亜梨沙、中林 彩香、福井 彩乃、三浦 響、山田 幸香、丸山 京悟、井上 愛彩、綿谷 空、池本 拓実、谷山 知慶、堤中 悠基、松井 茉奈、森重 恒輝、森本 祐生、八鍬 有真、山原 夏美、前田 歩夢、井脇 凌馬、岩崎 優樹、小門 舜、久木 稜太、山本 翔大