産官学連携先:エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

経済学部・瀬野ゼミ(2年生)では、キャリアゼミの活動の一環として、2025年6月28日(土)に、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)にて、労働資料の見学と実習を行いました。当日は館長である谷合佳代子氏の全面協力のもと、まずプログラム前半として、エル・ライブラリーの概要についてご説明いただいた後、所蔵されている貴重な労働資料を、書庫ツアーのような形で順番に見せていただき、それぞれに詳細な解説が行われました。今回は特に、つい最近発見されたという資料を見せていただき、労働者の生活がどのようなものであったのか、その一端を垣間見ることができました。
後半は労働データの理解を深めるための実習を行っていただきました。査読誌について理解するために「格付けチェック」というワークを行ったり、労働研究でよく用いられる「毎月勤労統計調査」と「賃金センサス」の違いをグループ毎に調べるワークを行い、一見すると単なる「数字」にしか見えないデータの何が違うのか、具体的に学んでいきました。

ゼミ生は今回学んだことを踏まえて、後期にグループ毎の調査・報告・執筆を行います。



学生活動状況報告

 今回のキャリアゼミ活動を通じて、昔の資料は伏せ字で隠されていたり、白色で塗られていたり規制が厳しかったということを理解しました。その中で大量の資料を集め、資料館として成立しているエル・ライブラリーの方々は非常に素晴らしい人だと感じ、素晴らしい活動だと感じました。日本労働年鑑と労働経済白書の違いを調べたが、最終的には事実とその問題に対する対策や傾向などと結論づけたが、これは普段行っている輪読の能力で必要なところを認識し、まとめることが出来たのだと思います。
聞いたところによると今日見せてもらった手帳は本人の元に返されずに保管されているものだと知り、これは昔の日本がいい加減な政策をしてその当時の青年などが犠牲になり本人たちに返されなかったとも受け取れるため昔の日本が横柄であったことを結論づけるものだと考えました。
最後に行った資料の判別のようなものは、一見同じように見えて細かい中身は全然違うものだということを理解し、指示通りきちんと判別することができました。
 
経済学部2年 中角 勇斗 
 
連携先:エル・ライブラリーの谷合館長様より、上記の「学生活動状況報告」をご覧になった上で、下記の補足説明をいただきました。
「言及されている「手帳」は「国民労務手帳」(1941年10月施行)のことであり、厚生省が労働者に発給して、職業指導所(現在のハローワーク)に登録させていたものです。軍需工場に就業する際に労働者が会社に手帳を預けます。転職の際は会社が労働者に返還し、労働者はそれを持って次の工場へ異動するという仕組みになっていました。事実上異動できないわけです。いずれにしても、会社には退職の際の返還義務がありました。これが本人に返還されずに会社に数十人分も残っていた理由は不明ですが、1945年8月15日の天皇によるポツダム宣言受諾の放送(いわゆる「玉音放送」)を聴いたあと、行員たちが出勤しなくなったからではないかと推測できます。工場があった港区あたりは空襲で丸焼けでしたから、その前から出勤していなかった可能性もあります。亡くなっているということも否定できません。この手帳については私の調査不足で解明できていないことが多いのですが、労働統制のために発給されていた手帳をたぐっていくと、戦時下の労働者生活の一端が見えてくるようです。」

参加学生一覧

寺西 柊翔、 秋山 岳樹、 田中 大、 坪井 翔汰、 中角 勇斗、 藤原 悠介、 万邉 芳政、 川満 唯翔、 玉野 成龍、 中村 鷹翔、 中村 悠人、 飯島 大希、 今井 悠人、 岡本 侑大、 原田 雪葉