大阪府商工労働部との連携事業「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」④ 株式会社仁張工作所を訪問しました

 2016年6月22日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、東大阪市にある株式会社仁張工作所を訪問し、代表取締役の仁張正之(にんばりまさゆき)さん、総務経理部係長の荒俣弘(あらまた ひろし)さん、及び若手社員にお話をうかがいました。
 株式会社仁張工作所は昭和39年(1964年)創業、優れた金属加工技術を軸に、製品の企画・デザイン、設計、製作(加工)、塗装、組立、梱包、配送に至るまでを一貫して行うトータルメーカーです。平成21年(2009年)には近畿経済産業局が選定する「KANSAIモノ作り元気企業100社」に選ばれるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。

 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

学生レポート

経済学部2年生 森永 弘佳 さん

 6月22日に「ものづくり中小企業と大学生の求人ミスマッチ解消」事業の3社目の訪問先として仁張工作所を訪問しました。
 以前MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)を訪問した際に私の中で一番印象に残っていた展示物が仁張工作所で製造されたカラフルなデザインロッカーでした。今まで見たことがあるロッカーは学校や事務所などに置かれている灰色の四角いロッカーでした。しかし、MOBIOに訪問し展示物を見学しているときに見たロッカーは真っ赤で形が滑らかでプッシュタイプのデザイン性のあるロッカーでした。このようなおしゃれなロッカーがあるのだと驚きました。
 仁張工作所では、様々な分野に広がる板金の可能性を追求し新しいカタチを創っていくことを目標としています。また、受注生産をベースにすることで、月ごとの変動を地域の協力会社と共有し、この地域で必要とされる会社を目指しています。さらに、大手スチール家具メーカーにはないオリジナル性や、よりお客様のニーズに合わせた商品を製造するために多品種変量一貫生産体制をとっています。仁張工作所ならではの技術を活かし、設計開発、機械加工から溶接、塗装、仕上、完成までを一貫して行っています。私たちがよく見かけるロッカーだけでなく博物館や史料館にある展示ケースや野球やサッカー、プロチーム、クラブチームなど数多くのチームが愛用しているスポーツロッカーも仁張工作所で製造されている商品です。スチール家具と一言で言い表せないほど様々な形やデザインがあるのだと思いました。
 今回はお話を伺うだけでなく工場の見学もさせていただきました。工場見学の際に思ったことは機械で造るというよりも人の手が加わることで商品が完成するということです。見学前までは、ほとんど人の手が加わることがなく機械で製造されているのかと思いました。しかし実際に工場を見ると、一つ一つの工程で人の手が加わることで正確に精密に造ることができ、お客様視点で考え製造することができるのだと思いました。
 私たちが知っているロッカーや板金で造られた商品からデザイン性がありオシャレな商品が増え目にする機会が増えていけばロッカーや板金のイメージアップにもつながると思います。また、デザイン性がありオシャレな商品が増えれば学校やオフィス、街中もオシャレで明るく少し楽しい時間が過ごせるのではないかと思いました。

経済学部2年生 武村 勇汰 さん

 6月22日、私たちは株式会社仁張工作所を訪問し、お話をうかがいました。
 仁張工作所は、板金加工の技術を活かした会社で、身近なものだとロッカーなどを製造されていて、オフィスや、アミューズメント施設などの身近な場所で使われています。 スポーツロッカーも製造されていて、プロ野球やサッカーのスタジアムに納入されており、またお客様の使い道に合わせたオーダーメイドの製品も製造されています。実際にイメージ図を見せて頂いた感想としては、赤色でオシャレなスポーツロッカーだと思いました。私も中学の頃サッカーをしていたので選手としてロッカールームに入った事があるのですが、仁張工作所で製造されている赤いロッカーなどがあったら試合前のモチベーションが高まるだろうなと思いました。
 仁張工作所では、4人に1人が女性で製造業の中では多く、女性でも働きやすい環境があり、アットホームな職場作りをされていて素晴らしいなと思いました。また、若手社員の方にもインタビューする中で感じた事は、若手の方でも自分にしか出来ないことを、仕事として与えられるので、やりがいや責任感あると聞いて、若いうちからこの様に責任感のある仕事をする事により、良い経験が出来ると思いました。得意不得意が自分の中でも分かって、どの様にすれば不得意な仕事を出来るように修正出来るかなど、自分の中で考える事も出来ますし中小企業ならではだと感じました。
 また、学生の内に経験しておいた方が良い事も教えていただきました。それは同世代の方達とだけ喋るのではなく目上の方と喋る機会を増やして欲しいということでした。確かに社会に出れば目上の方と多く接するので、学生のうちにアルバイトなどで目上の方とコミュニケーションをとれる様にしていくのが大事だと感じました。
 仁張工作所では、一つの業種だけに絞るのではなく、他の業種にもチャレンジした事により複数の取引先との繋がりが出来ており、将来的にもっと展開していくだろなと思いました。
 今回訪問して、ロッカーなど仁張工作所で製造している物が多いと感じましたし、会社の雰囲気や仕事のやりがいなど、素晴らしいなと感じました。

経済学部2年生 二階堂 秋華 さん

 今回訪問させていただいた仁張工作所は、今まで訪問した企業と違って、安定した事業の中で、社員同士でどう会社を経営していくのかという違う視点からの訪問になりました。仁張工作所は、昭和39年に設立し、50年以上の企業で、現在約半分がサプライヤーという板金部材やサブキット化された半完成品を納入しています。他にもオーダーメイド製品や、オリジナル製品が販売されています。私が一番驚いたのは、ブックスタンドです。MOBIOで一度仁張工作所の製品を見せていただいたとき、ロッカーの会社だと聞いていたので、そのイメージのまま訪問をしたのですが、ロッカー以外にもブックスタンドや展示ケースを作っていました。もともと仁張工作所の製品のデザインは、私にとって目に引くものだったので、更に仁張工作所の製品に興味を持ちました。会社説明が終わると、私は真面目で着々と学んで、成功へと進んでいく会社だという印象が生まれました。大切なわが子を育てるように会社を大きくしていっているようなそんな様子が見えました。だから、会社説明会では、大切な会社に入社されるのだから、まず自社の製品を間近で体感してもらいたい。興味を持ってもらいたい。そこから、わが社に入社を考えてほしいと考えています。良いところばかり見せるのではなく、すべて自社を曝け出すというのは、自社に自信があるということです。実際、若手社員インタビューでは、会社説明会の印象で入社を決めたと答えていました。
 こう話していると、会社に合った人だけを雇うと思うかもしれないがそうではありません。むしろ、個々を大切にする会社なのです。社長に「人材育成はどうしているのですか?」と尋ねると、「何でもチャレンジして、得意なことが見つかれば、それを伸ばしてほしい」と答えられました。私はこの言葉は、それぞれを信頼して、作業を任せているという意味に聞こえました。若手社員の多くは、会社のためにもっと働きたいと言っていました。信頼されているから、自分たちも頑張ろうと思えるのだろう。しかし任せられることにより、何でも自分から行動をすることを要求されるので、新入社員にとって最初は、苦労するみたいです。
 今回の企業訪問は、経営について学べたというより、社会人になるとき、またなったときに、どうすればいいのかを学べたと思います。次の訪問では何を学べるのか楽しみです。

経済学部2年生 佐野 宏太 さん

 2016年6月22日に私たち三木ゼミ2年生では、東大阪市水走にある「株式会社仁張工作所」を訪問しました。
 まず初めに、総務経理部係長の荒俣さんに会社合同説明会と同じような形で会社についてご説明をいただきました。仁張工作所では創業から52年間で蓄えた板金加工技術や製造ネットワークを活用して、生産・設計から切断、プレス、塗装、仕上げ、そして完成までの全工程を一貫して行う「一貫生産体制」をとっています。この体制のもと、多業種・多業界に精密な板金加工製品を提供している会社です。主な製品カテゴリーとしてはサプライヤー(部材・半完成品供給)、OEM供給、オーダーメイドスチール製品、自社のオリジナル製品があり、これらのうちサプライヤーが約50%の構成比を占めています。中でも特に興味を持ったのはオーダーメイドで作られているスポーツロッカーです。私自身スポーツをしていてよく目にしていた物がここで作られていると初めて知りました。職場を案内していただいた時には、ちょうどあるプロスポーツチームのロッカーを3Dでデザインしている最中でした。実際に使用したことのあるロッカーなどが仁張工作所で造られていることに驚きました。
 工場見学を終えた後は質疑応答の時間をいただきました。その際に、仁張社長がおっしゃっていたことで印象的だったお話しがあります。社長さんは会社の経営理念としてお客様の満足と社員の満足の2つを重要視しておられました。お客様に対しては、板金加工を通じて良い商品を社会に提供し安全で快適な商品を届けること。もう一つは社員に対して、社員一人一人が更なる高みを目指し、事業の発展に向け、志や夢を持つ社員が情熱と熱意を持って活力みなぎる企業風土を持つこと。この2つの経営理念がしっかり形として表れているのです。平成27年度の売上高は過去最高の22億3000万円を達成しました。着実に売上を伸ばし成長しています。これを見るといかにお客様から支持されているか一目瞭然です。そしてもう一つは若手社員インタビューの時のことです。「社長さんはどのような人ですか」という私たちの質問に対し、「社員の変化に気づき、常に気にかけて下さる」と、答えて下さいました。マスクをしている社員やどこか元気のない社員がいると、必ず「大丈夫か」と、声を掛けて下さるそうです。他にも、入社してから1ヶ月ごとに面談の機会を設け、不安や悩みがないか聞いて下さったり、プライベートの面でも気さくに話したりとても親身に接して下さるそうです。このように社長さんが社員を思いやる気持ちはしっかりと届いていました。
 自分にしかできない仕事・自分だからできる仕事を任されることによって、若手社員の方々は会社から必要とされているのだと肌で感じていました。私もこう思える環境で仕事をしてみたいと強く感じました。

ご参考