大阪府商工労働部との連携事業「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」③
浅井金型株式会社浅井理男社長よりご講演をいただきました

 2016年6月20日(月)、経済学部「グローバル・ビジネス論a」において、特別講義として羽曳野市にある浅井金型株式会社代表取締役社長の浅井理男(あさいまさお)さんより「金型産業の現状と今後の展望」というタイトルでご講演をいただきました。
 浅井金型(株)は、平成24年度に大阪中小企業顕彰事業実行委員会(注1)が実施する「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞、また2015年3月には、中小企業庁が革新的な製品開発、創造的なサービスの提供等を通じて、地域経済の活性化や海外での積極的な販路展開に取り組む中小企業の取組み事例として選定する「がんばる中小企業・小規模事業者300社」の1社に選ばれるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 この特別講義は、大阪府商工労働部の連携協定に基づく「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」事業の一環として、学生にとってよくわからない「金型産業」「ものづくり産業」に対する理解を深め、もっと身近なものとして関心を持ってもらうことを目的に実施されました。

 (注1) 大阪中小企業顕彰事業実行委員会:
 大阪府、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、公益財団法人大阪産業振興機構、地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所で構成

浅井金型株式会社 会社概要

 1987 年設立・創業。家電用商品の部品用金型の作成でスタートし、現在は 金型製作だけでなく、弱電・医療関係等広プラスチック製品の企画サポート、さらに少ロット成形加工まで行っており、完成品の供給も可能。特に1000個くらいの少量プラスチック部品制作においては、金型のモールドベースを共有することによりコストを削減できる「チェンジシステム金型」の技術を持っていることが強みの会社である。
以下に今回のご講演で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

国際コミュニケーション学部 2年 唐鎌 さつき さん

 今回の浅井社長のお話を聞いて、周りを見渡せば、今このように文章を書くためのシャープペンシルですらプラスチックでできていて、つまり金型が必要で、金型があるからできているんだと気付きました。お話を聞かなければ、できあがった製品しか考えないと思いますが、金型は製品をつくり上げるために必要な縁の下の力持ちだと思います。浅井社長が「金型づくりは最新です。世に新商品が出ている時にはもう次の新商品の型を作っています」とおっしゃったのを聞いて、確かにデザイナーさんの次くらいに新商品に触れることのできる、楽しくワクワクする仕事だなと思いました。
 仕事は技術だけではなく、お客様の心をつかむことが大切だと浅井社長はおっしゃっていました。その通り、浅井社長はマラソンをしていたりすごく元気で、お話していただいていた時もニコニコされていて、人柄や営業力がビジネスでは大切なんだと感じました。

経済学部 2年 佐野 宏太 さん

 今回の特別講義では、浅井金型の浅井社長にお話をいただきました。このご講演の中で印象に残ったことは、金型産業はものづくりの先端であるという話です。ここ何十年を経てアナログ技術からデジタル技術へと進歩していきました。このように金型とは時代とともに日々変化していくものだそうです。「金型は製品や商品の鏡」という言葉はすごいと感じました。商品の形は金型によって決まっているのです。世の中には形あるものが多く存在しており、その裏には金型産業の活躍があるのです。こんなにも重要な産業であるのに、金型産業に関わる人たちは減っていく一方なのです。高齢化が主な原因です。最近では金型産業の堅いイメージをなくすために女性雇用に取り組んだり工場見学ツアーを行ったりと活動し始めています。
 ものづくりの先端である重要な産業を若者に向けて発信していることを知ったので、もっと金型産業について知り、知らない人にもどのような産業であるかを知ってほしいと思いました。

経済学部 2年 柴田 北斗 さん

 浅井社長のご講演を聞いて印象に残ったことは、54歳なのに考え方がとても若く、グローバルな考えをお持ちだということでした。
 マラソンのチームを結成したり、阪南大学のサークルのためにコスプレ会社見学会を開いたり、発想がとてもユニークで面白いなと思いました。しかしやる時はやるとおっしゃっていて「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選ばれるなど、従業員が6人しかいないのにすごいなと感じました。金型産業はこれから先も絶対に必要だということを知って、やはり日本のものづくりを支えているのは中小企業なのだなと感じました。今まで大企業で働くことが大事だと考えていたけれど、これから先はベンチャー企業でやりがいのある仕事を見つけることが自分のためになるのではと思い、今日のご講演で僕自身の考え方が変わりました。とてもためになるご講演でした。

経済学部 3年 中崎 瞬 さん

 今日の特別講義では、金型産業について学びました。その中でも一番印象に残ったことは、独立して会社を興しやすいということでした。金型産業は少人数で運営されていることは知っていました。しかし独立しやすいとは思っていませんでした。金型を作る方法が会社によって異なるということにも驚きました。この商品ならこの型というものだと思っていたが、完成形が一緒なだけで、作る過程は会社によって異なると初めて知りました。作る過程が違うのに、完成形は一緒だなんて、どうやって作られているんだろうかと疑問に思いました。
 今後金型産業は高齢化により廃業する企業が増え、従事する人が減っていくと知り、不安になりました。金型産業とはどういうものなのか、少し自分で調べてみたいと思いました。

経済学部 2年 石原 夏帆 さん

 金型と聞けば工場で作業し職人が作っている堅いイメージしかありませんでした。しかし浅井社長のお話を聞いて、最近では手書きだった図面もCAD化されるなど近代化していることを知りました。他にも、先輩が後輩を指導する様子をiPadで動画撮影し、後でわからなくなった時にはわざわざ先輩に聞きなおさなくても再度見ることができるようにすることで、先輩後輩間の人間関係も良好であるとお聞きし、さらに堅いイメージがなくなりました。金型産業の約75%が10人以下の従業員であることにも驚きましたが、そんな少人数でも成り立つ業種なのに仕事の役割はとても重要なので、やりがいがあるのだろうなと感じました。工場見学も広く受け入れており、ユニークなやり方で学生が来やすいような雰囲気を作ってくれているのは斬新だと思いました。しかしこの業界は高齢化の影響で企業の数が減ってきています。しかしものづくりに必ず必要なものなので、もっと就職する人、興味を持つ人が増えればいいなと思いました。

ご参考