2015年度海外インターンシップ ベトナムクラス 参加学生の感想・気付き②(経済学部 三木)

 2015年度海外インターンシップ ベトナムクラスに参加した学生の感想・気付きを紹介しています。今回はその第2回となります。

松本 光司さん(経済学部3年)

 私は、8月22日から9月20日の間ベトナムで行われたインターンシップに参加しました。海外は去年のゼミ海外視察研修で訪問した香港とタイ以来でした。二度目の海外ということで、少し緊張はしていましたが、今回はインターンシップということで以前よりも、より高度な目標を立てて臨もうと決意しました。その目標は、大学生の間に社会人としての地盤を確実に築いておくというものです。それは、私の最終目標が『起業する』ということから、世間的に同じ立場にある人間よりも考え方や行動力、経験が一歩も二歩も先へと進んでいるべきだという考えを元にたてたものです。出発前の機内で、緊張と不安、期待が入り混じる中、目標を思い返し自身を奮い立たせていました。
 ベトナムに到着しての第一印象はバイクが多すぎるというものでした。バイクが多いということは聞いていましたし、テレビでも見たことがありましたが、実際に目にしてみると迫力が違いました。また、同じ地域の発展途上国のタイと非常に環境が似ていたために懐かしさを感じました。到着してからの数日間は生活設営ということで、ホテル周辺を探索したり生活必需品を買い揃えたりなど、これから生活していく場の状況把握に努めました。また、工場見学でワタベウェディングの工場を訪問しましたが、ベトナム人が自社の製品に対して誇りを持ち、きびきびと働く姿には感動を覚えました。そしてベトナム人が働く姿に感化されながら、自身の勤務スタートの日を迎えました。
 私の研修先は『Crown line JSC』で、主に海外引越し事業とメディア事業を行っている企業でした。出発前からインターンシップ生という扱いではなく、新入社員と同じような扱いを受けさせていただける企業であると伺っていたので、自分ならばやり遂げることができるという気持ちと、どれだけ大きな経験を得ることができるのだろうという期待を持っていました。私は、メディア事業の「ハローアジア」という媒体の「エンターテインメントガイド」というトピックスに掲載する、レストラン及びビューティー関連の広告掲載企業の新規開拓と、希釈度を変えるだけで洗剤の代用品として使用することができるアルカリイオン水に関するマーケティング調査を主に任されました。初めに、ベトナム(主にホーチミン)に所在するレストラン・ビューティー関連のお店のリストアップを行いました。初めはなぜリスト化する必要があるのかを理解せずに業務を行っていましたが、そのリストは自身が実際にテレフォンアポイントメントを行う営業先であるだけではなく訪問した時刻、訪問時の相手の印象、広告掲載の可能性の有無などを記入することで、インターンシップ終了後業務を上司にきちんと引き継ぐための貴重なデータであることが分かり、その仕事の重要さを身に染みて感じました。次に企業説明、テレフォンアポイントメント及び営業トークのトレーニングを行いました。
 ここまでは順調に与えられた仕事をこなし、何も難しいことはないと高を括っていたのですが、それは大きな間違いでした。テレフォンアポイントメントも営業トークも企業及び紹介する媒体の特性を頭に入れた状態でないとうまくできないということは当たり前のことなのですが、自分がしたことがないということもあり想像以上に難しく、このままでは実際に外での営業は厳しいという言葉さえも聞かされました。二日ほど同じようにトレーニングを積み重ねましたが進展はなく、場所が場所だけに人生で初めてと言っても過言ではないほどの挫折を味わいました。挫折を味わえば逃げればいい、今までの私の思考はそのようなものでした。しかし、逃げれば自分が果たすべき仕事や、職場でのやるべきことがなくなってしまうという事実に働くことの厳しさを痛感することになりました。結論としては、インターンシップでの初めての学びになるのですが、「できないことは何であれ努力し続けて、できるようにしなければいけない」という一つの答えにたどり着くことができました。そこからは、自室にいる時間、シャワーの時間、ありとあらゆる空き時間を利用して練習を繰り返しました。そのような中、上司の佐藤さんがシンガポールへ出張されることとなり、次週に訪問できる営業先の確保としてテレフォンアポイントメントを実践することになりました。正直なところかなり不安ではありましたが、佐藤さんから送っていただいたメールにあった「もし、失敗しても俺が全部ケツを拭くからとにかく全力で頑張れ!」というメッセージを見て勇気づけられました。結果的に、その日は二件しか電話をかけることができなかったのですが、内一件は先方が翌日から日本へ出張するため、本日ならば都合が良いという返事をいただきました。以前の自分ならば確実に逃げていたことだと思います。しかし、積み重ねてきた練習や佐藤さんが送ってくださったメッセージを思い出し、その日に一人で訪問することを決意しました。百戦錬磨を潜り抜けてこられた日本人の重役の方を相手に営業するとなると、練習とは比べ物にならないほどの緊張が私に襲い掛かりましたが、頭の中が真っ白になることもなく、順序立てて説明できたので、訪問前に感じていた不安や緊張は、訪問後には一人でやりきったという大きな自信へと変わっていました。
 飛び込み営業を一人で任されたり、テレフォンアポイントメントで営業先を確保したりできるようになった後は、佐藤さんと一緒に営業訪問するという日々が続きました。佐藤さんの営業トークの仕方、相手との距離感、話し始めるきっかけの作り方など、隣で見させていただいている間に独自で懸命に学びました。後半になると一人で営業に行く機会も増え、インターンシップ生ではなく、本当に新入社員の立場にあると自覚して行動できるようになっていました。正直なところ、挫折していた頃は次の日から会社に行きたくない、自分にはこの仕事は向いていない、社会人と学生はこれほどまでも違うものなのかと愕然としていましたが、後半になると、早く営業に行きたい、自社の媒体をお勧めしたい、色んな社会人の方と対面(会話)することで知識が増えるということが楽しいと思えるようになっていました。
 業務も残り二日になった頃、セールスプロモーション事業(主に店内販促物の作成)の提案書作成を任されることになりました。残り二日しかない状況でしたが、アドバイスなしに作成し、添削していただき修正を加え無事に完成させることができました。
 私の中でこの一ヶ月のインターンシップを終えて、最も良かったと思えたことは、しっかりと自分を見つめる機会が多々あったため、はっきりとした長所と短所を見つけることができたことです。インターンシップ前の自己PRで自身の長所・短所を体力には自信があります、集中力が少し足りません等の、ありきたりな内容でしか表現することができませんでした。今後、長所である自己プランニング、タイムマネジメント、状況適応能力、分析力は帰国後さらに伸ばし続けて自分の武器にすることができ、また短所である行動力が控えめであることと決断するスピード遅い部分は、長所に変えていける部分であると確信しています。新入社員としての経験ができたというだけでなく、ただただ起業するという最終目標のみを掲げていた私に、その目標達成までに成長すべき部分や道筋を考察し、知ることができたという点で非常に有意義なインターンシップになったと実感しています。
 帰国後、長所を伸ばし短所を長所に変えること以外にも、毎日欠かさずニュースを読むということを情報のインプットとして行っていきたいと思います。些細なことかもしれませんが、アウトプットできる情報をもっているということは、自身の知識を潤し、時には武器としても扱える重要なものだと一ヶ月の業務を終えて感じました。就職活動のツールとしても使うことができるのできちんと行います。三回生の後期が始まり学生生活も残り僅かになりましたが、この一カ月間の業務、ベトナムでの生活、たくさんの方とのコミュニケーションなどを含む経験を携え、また成長させるべき部分は成長させ、自分の目標を達成するための第一歩となる就職活動に向けて準備をしていきたいです。
〜受入先一言コメント〜 CROWN LINE JOINT STOCK COMPANY / Media General Manager 佐藤 貴史 様

困難な道に目を背けるといずれまたその時に同じことを繰り返すでしょう。でも今回その山を乗り越えたことは何よりも大きな成果になるでしょう。後ろをみず、とにかく前を向いて走っていくことで松本さんの将来を期待しています。