2025年10月29日(水)、経済学部の三木ゼミ2年生は、大東市にある明星金属工業株式会社を訪問し、代表取締役社長の上田幸司さんをはじめとする社員の皆様からお話をうかがいました。
 明星金属工業株式会社は昭和25年(1950年)設立、主な事業は自動車用プレス金型設計・製作、産業機器用金型設計・製作で、国内外の自動車メーカーと直接取引を行っています。いち早くNCシステム化に踏み切り、CAD/CAMなどを駆使した設計から加工、検査により、短納期、高品質の金型を顧客へ提供しています。平成20年(2008年)には近畿経済産業局と中小企業基盤整備機構近畿支部が実施している「KANSAIモノ作り元気企業100社」に選出されるなど、大阪を代表するものづくり企業です。
 経済学部三木ゼミは、グローバル人材を育成する「グローバルキャリアプロジェクトゼミ」であると同時に、民間企業出身の教員が指導するという特色を活かし、企業/行政/地域との接点をできるだけ多く持つようにしています。三木ゼミ2年生は今年度も昨年度に引き続き、大阪府商工労働部の連携協定に基づく事業の1つとして「ものづくり中小企業と大学生の求人求職ミスマッチ解消」という課題に取組んでいます。今回はその活動の一環として訪問しました。


 以下に今回の訪問見学で得られた、学生たちの気付き(一部)を紹介します。

【経済学部2年生 藤川 愛子 さん】

1.はじめに
 私たちは今回、大阪府大東市にある明星金属工業株式会社を訪問しました。
明星金属工業株式会社は昭和25年(1950年)9月に設立されました。ここでは、自動車用プレス金型の設計・製造、産業機器用金型の設計・製造、プレス加工および組立を行っています。
 この会社は、「魂をこめた物づくりを、志を持って実践し、和を尊ぶ、人を育成する」という経営理念(行動指針)を掲げています。
 
2.明星金属工業株式会社の強み
 明星金属工業株式会社の強みだと感じた点は4つあります。
 1つ目は、高い技術力と金型製造の専門性です。大阪府表彰「なにわの名工」が8人在籍しており、3次元CADやシミュレーション技術を活用して、精密な金型設計を行い、無駄な材料使用や細かい製造ミスを減らすことで、資源の効率的な活用を実現しています。
 2つ目は、人材育成と教育活動への積極的な取り組みです。地元の小中学校、工科高校、大学と連携し、金型技術の教育プログラムを展開しています。また、「金型保全技術者育成講座」などを通じて、次世代技術者の育成にも貢献しています。
 3つ目は、地域との深い関わりです。社員食堂では地元の「大東米」などの食材を使用し、地産地消を推進しています。地域イベントにも積極的に参加しており、工場の壁には近隣の幼稚園や小学校の卒業記念の絵が飾られています。地域の子どもたちに企業の魅力を伝えることで、将来の人材確保と地域活性化を目指しています。
 4つ目は、グローバル対応と技術の海外展開です。海外企業への技術支援や職人派遣を行い、国際的な技術交流にも対応しています。
 
3.明星金属工業株式会社の環境
 明星金属工業株式会社では健康に力を入れており、従業員の福利厚生の一環として、月額3,600円で100種類以上のメニューを楽しめる社員食堂を利用できます。地元産の米はおかわり自由で、大学と連携して社員食堂のヘルシーメニュー開発も行っています。
 誕生日月には社長からクオカードとメッセージが贈られるなど、社員への気配りも感じられます。社内の雰囲気としては、年2回の社内バーベキューがあり、従業員同士の交流の場が設けられています。
 また、「男女いきいき・元気宣言」企業として大阪府から認定を受けており、女性の活躍支援にも力を入れています。
 
4.まとめ
 今回の企業訪問を通じて、明星金属工業株式会社が地域社会や教育機関との連携を通じて人材育成に積極的に取り組んでいることに感動しました。社員食堂の充実や社内イベント、誕生日の気配りなど、従業員の健康と働きやすさを重視した環境が整っていると感じました。
 また、グローバル展開にも積極的で、海外企業への技術支援を行うなど国際的な視野を持っています。さらに、SDGsにも取り組み、技術・地域・環境のすべてに配慮した企業活動を実施している点が印象的でした。
 

【経済学部2年生 西田 裕咲子 さん】

事業内容について
 明星金属工業株式会社は、プレス金型の設計・製造を主力とするものづくり企業です。
金型とは、金属の板を決まった形に加工するための“ものづくりの原点”ともいえる重要な装置であり、自動車部品の品質や形状を左右する重要な生産設備です。明星金属工業は、この分野で70年以上にわたり高い技術力を培ってきた企業です。
 明星金属工業の主な事業内容は「自動車用プレス金型の設計・製造」であり、フロントドアやルーフ、フェンダー、トランクなど、自動車の外板・構造部品に使用される金型を多く手掛けています。
 1,800トン級の超大型プレス機を導入するなど、国内でも有数の規模と精度を誇る設備を備えています。0.01ミリ単位の精密な加工技術を実現しており、これによって自動車メーカーの高い要求に応えています。
 また、明星金属工業は「設計から製造、検査、メンテナンスまで一貫対応できる体制」を確立しており、3次元CAD/CAMや自動設計ソフトなどの最新デジタルツールを導入することで、設計効率と精度を両立させています。これにより、短納期化や高品質化を実現し、アルミ材など新素材への対応も進めています。近年進行する自動車の軽量化・電動化の流れにも積極的に取り組んでいます。
 
経営理念と地域貢献
 明星金属工業の経営理念は「社会的価値ある物を魂を込めて創出し、グループ全社員の幸せを実現する」です。
 この理念には、「魂をこめたものづくりを、志を持って実践し、和を尊ぶ人を育成する」という姿勢と行動指針が表れています。
 単なる製造業にとどまらず、人材育成や地域社会との共生を大切にしており、地域の清掃活動や子ども向けワークショップの開催、近隣の幼稚園やJAと協力した避難訓練など、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
 
訪問しての感想
 明星金属工業を訪問し、工場と本社を見学しました。工場では、大きな金属部品を精密に加工する工程を見ることができ、0.01ミリ単位での調整を行う技術力の高さに驚きました。社員の方々は一つひとつの作業に誇りを持っており、最新の3D設計ソフトを使って効率化を図るなど、伝統とデジタル技術の両立にも感心しました。
 ものづくりの現場を直接見ることで、日本の産業を支える技術者の努力と情熱を実感する、貴重な体験となりました。